ふるさと納税の仕組みと特徴
まず本章で、ふるさと納税の仕組みと特徴を解説します。どのような制度で、何のためにあるのかという基本的なところから、制度の特徴、具体的にどのようなメリットがあるのかまで詳細に見ていきましょう。
ふるさと納税制度とは
ふるさと納税制度とは、自分が住んでいる自治体に納める分の税金を任意の自治体に寄付し、国民がそれぞれ好きな都道府県や市町村を選んで応援できるという制度です。過疎化などによる人口が減少気味の地域の復興や都市部と一部地域の格差を埋めることを目的として施行されています。
寄付金控除制度が適用され、寄付金は所得控除・住民税などの税金控除の対象になるため、国民でも利用者は増加傾向にある制度。控除対象となるのは、寄付金から2,000円を差し引いた金額と定められています。
ふるさと納税の特徴・メリット
では実際に、ふるさと納税を活用する場合、どのような特徴が見られるのでしょうか。本章では、主に「寄付金に応じて返礼品がもらえる」「使用目的を自分で選択できる」「税金の還付または翌年の税金が控除される」という3点から、制度を利用する際の具体的なメリットをご紹介します。
寄付した金額に応じて返礼品がもらえる
ふるさと納税最大の特徴は、寄付金額に応じた返礼品を用意している自治体が多く、返礼品を寄付金として注文するとその地域の特産品などがもらえる点でしょう。食料品や家電、トイレットペーパーやタオルなど、幅広く生活必需品を地域の特産から選ぶことができます。
返礼品は寄付金の3割程度であることが多く、例えば60,000円を寄付した場合、58,000円の税額控除が受けられ、18,000円の返礼品をもらうことができるという仕組みです。旅行で訪れた地域や災害の復興支援をしたい地域を応援できたり、地元に住むことがなくなっても出身地域を身近に感じたりできるのは嬉しいですよね。
寄付金の使用目的を自分で選択できる
返礼品をもらえるイメージが強いふるさと納税ですが、寄付金の使用目的は自分で可能。たとえば、教育支援、福祉支援、街づくりなど、その自治体が用意している使用目的から選ぶことができます。寄付したお金が何に使われたか明確に知りたいという人にも、安心して活用できる仕組みです。
また、地域の活動に自身の意見を反映させたいという思いも叶いやすいでしょう。専門的なノウハウや経験を活かして、地域の役に立ちたいと考える人にもやりがいを感じる経験となるはずです。
税金の還付または翌年の税金が控除される
税金に直接関わるふるさと納税のメリットという観点では、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額が還付・控除の対象になる点です。
控除上限額は家族構成や年収によって変動しますので、事前に金額を把握した上で活用しましょう。主に独身の場合、夫婦2人の場合、子供がいる場合に分けることができ、そこに年収をかけ合わせて上限額を計算しましょう。中には、控除上限額のシミュレーションを算出してくれるサイトもありますのでチェックしてみましょう。
共働き夫婦でふるさと納税をするメリット
ここまで、ふるさと納税の大まかな特徴を解説しました。控除上限額が家族構成と年収によって異なることは前述しましたが、本章では特に共働き夫婦でふるさと納税をする場合のメリットをご紹介します。
主に「寄付する自治体は別々に指定できる」「いろいろな地域の返礼品がもらえる」という点で見ていきましょう。どのようなメリットがあるかを知ることで、自分にあった楽しみ方を模索していただけたら幸いです。
寄付する自治体は別々に指定できる
共働き夫婦でそれぞれ所得税・住民税が課税されている場合、納税する際の名義を別々にすることで寄付する自治体を別々に指定できます。一人ひとり個別に寄付を行い、控除も受けることができる便利でお得なシステムです。
住民票のある地域に寄付をしなくてもよいため、結婚して実家に住めなくなった場合でも地元に寄付することは十分可能。また、学生時代を過ごしたり旅行で訪れたことがあったりと思い入れのある地域が別々にあったとしても、それぞれ好きな自治体に寄付することができるというメリットがあります。
色々な地域の返礼品がもらえる
共働きで寄付する自治体を別々に指定した場合、それぞれに地域の返礼品がもらえる点もメリットの一つ。離れた自治体を選べば、自宅にいながらちょっとした旅行気分を味わえるのでおすすめです。
夫婦別々に返礼品を指定できるというのも魅力的。上司や友人へのプレゼント用に返礼品を選ぶ人もいるようです。二人で共通の趣味があれば、お互いにプレゼントをしあうこともできますね。いろいろな地域の返礼品を選べることで、楽しみ方の幅も広がります。
共働き夫婦でふるさと納税をするときの注意点
ふるさと納税を活用するメリットを理解したところで、ここからは共働き夫婦でふるさと納税をするときに注意すべき点をみていきましょう。
「夫婦別々にふるさと納税を行う」「控除上限はそれぞれの収入から計算する」「確定申告や年末調整も別々に行う」などをテーマに解説します。知らずに損をする、楽しく活用していたのに面倒な事態を招くことなどよう、注意点を念頭に置いておきましょう。
夫婦別々にふるさと納税を行う
共働きの場合、ふるさと納税の返礼品注文者名義をそれぞれの名義で注文するよう気をつけましょう。特に、ふるさと納税のサイトによっては、クレジットカード支払いの場合、自分名義のカードしか利用できない場合があります。注文者とカード名義人の名前が一致している必要があります。
また念のため、ふるさと納税の利用を始めるときに、クレジットカード支払い以外の支払い方法があるサイトを選ぶようにするのも手です。
控除上限はそれぞれの収入から計算する
共働き夫婦がふるさと納税をする場合、収入の合算から控除上限を計算することはできないため、夫婦それぞれの収入から上限額を計算する必要があります。
ただし、収入があるとはいえ、夫婦の一方がパートで扶養の範囲内またはすでに扶養になっている場合、住民税や所得税がほとんど発生しないため、ふるさと納税を活用しない方がよいでしょう。
子供がいる場合は、夫婦のどちらかが扶養者になっているかを確認します。ただし、子供が中学生以下なら控除額に変わりはありません。子どもが高校生以上の場合、所得控除額に影響があるので、扶養者の確認が必要となるでしょう。
確定申告や年末調整も別々に行う
共働きでふるさと納税をした場合、夫婦別々にふるさと納税をしていることから確定申告や年末調整も別々に行う必要が出てきます。片方が職場で年末調整を受けているからといって、もう片方は何もしないというケースがでてくると、何もしていない側の納税分が控除の対象となりません。
別々にふるさと納税をしているにもかかわらず何も手続きをしなかった場合、寄付した分が反映されないため、自分で確定申告を行うか、職場にふるさと納税の控除証明書を提出し、年末調整を受ける必要があります。
共働き夫婦でふるさと納税をするときの控除上限額
さらに具体的に注意点を理解するために、共働き夫婦でふるさと納税をするときの控除上限額を見ていきましょう。特出して意識すべき点は「給与収入が201万円以上あることが控除の条件」「控除上限額は早見表や計算ツールを使って調べる」などがあります。
給与収入が201万円以上あることが控除の条件
まず共働き夫婦であったとしても、ふるさと納税をする場合はそれぞれ十分な納税額があることを確認しましょう。具体的な控除条件は、それぞれの給与収入が201万円以上あることです。給与収入103万円を超えて所得税・住民税がかかっているとしても、ふるさと納税でメリットがあるのは201万円以上となるので気をつけましょう。
上記の事情から、一般的にどちらかが年収201万円未満で所得税・住民税が発生しないケースでは、共働き夫婦の対象となりません。十分に収入のある方名義で「共働き」ではなく「夫婦」としての欄を選択し、ふるさと納税を利用したほうがよいでしょう。
控除上限額は早見表や計算ツールを使って調べる
こうして注意していても、控除上限額を見誤ってしまうことはありえます。そこで便利なのが、「上限額早見表」や「控除上限額シミュレーション計算ツール」。上限額算出用のツールを使えば、自分の収入や家族構成を入力するだけで自動的に控除上限額が計算されます。
控除上限額を超えてしまうと控除に含まれない超えた分の額を自己負担するしかありません。予期せぬ支出を増やすことのないよう、念のためこうしたツールを活用するのがおすすめです。
ふるさと納税をする方法と必要な手続き
次にふるさと納税をする方法と必要な手続きをご説明します。ふるさと納税の申込手順とふるさと納税後に還付・控除してもらうための手続きを知っておきましょう。
ふるさと納税の申し込み手順
1.寄付金控除上限金額を確認する
前述の通り、控除金額は年収や家族構成によって変わります。控除額シミュレーターなどのツールを使って、上限いくらまでが注文可能かを調べてみましょう。
2.ふるさと納税サイトで自治体と返礼品を決めて申し込む
返礼品をもらいたい、応援したい自治体を決めて申し込みましょう。注文の際は、前述の注意点に立ち返り、共働きと夫婦のどちらで注文するのがよいか確認が必要です。
3.返礼品と「寄附金受領証明書」を受け取る
自治体から寄付の「返礼品」と「寄附金受領証明書」が届きます。証明書はこの後の手続きに必要となるので、大切に保管しましょう。自治体や注文時期によっては返礼品がすぐに届かない場合もあるので、事前に確認が必要です。
ふるさと納税後に還付・控除してもらうための手続き
ふるさと納税後に還付・控除してもらうためには、「確定申告」もしくは「ワンストップ納税(特例制度)」の申請手続きが必要です。夫婦別々にふるさと納税をした場合、手続きも別々に行います。
「確定申告」は、前年の1月1日から12月31日の所得と納めるべき税金を算出し、税務署に申請・納税するものです。一方で、「ワンストップ特例制度」は、年間でふるさと納税の寄付先が5自治体以内なら、確定申告することなく申請書送付による手続き完了ができるものです。
おすすめのふるさと納税サイト4選
最後に、おすすめのふるさと納税サイトを4つご紹介します。ふるさと納税の活用方法をフォローしてくれたり、おすすめの自治体が確認できたりと、便利なことが多々あるでしょう。
ふるさと納税の仕組みは理解したけれど、自身で始めるには不安が残る人、よりスムーズに注文から手続きまで終えたい人は検討してみてください。
ふるさとチョイス
ふるさとチョイスは、ふるさと納税サイトの中でも掲載されている自治体数と返礼品数が多く、選択肢の幅が広いサイト。利用者数が多くレビュー機能があるため、レビューを見ながら返礼品を選ぶことができます。
気になる返礼品をリスト化する機能や、過去の履歴を閲覧する機能があり、ふるさと納税が初めての人も管理しやすい点がおすすめ。ベテランのふるさと納税ユーザーにとっても、マイページが自分仕様になっていくのはありがたいですね。
楽天ふるさと納税
楽天ふるさと納税は、楽天IDを使用して普段の買い物感覚でふるさと納税ができるサイトです。ふるさと納税をするとポイント還元のシステムはほとんどのサイトで実施していますが、楽天ふるさと納税はポイント還元率30.5%で還元率トップクラス。寄付金に応じて楽天ポイントが付与されるので、普段楽天で買い物することが多い人におすすめです。
掲載されている自治体数と掲載の返礼品数も多く、ふるさと納税のいいとこどりができるサイトだと言えますね。
さとふる
さとふるは、ソフトバンクグループが運営しているふるさと納税を活用する人のためのサイト。ソフトバンクグループで運営しているという背景もあり、キャリア決済が充実しています。クレジットカードを持っていない人でも活用できるので、一人ずつクレジットカードを作っていない共働きの夫婦にもおすすめ。
返礼品の到着が早いのも魅力の一つです。アプリも普及しているので、アクセスが簡単で、すき間時間にふるさと納税を活用できるというメリットもありますね。
ふるなび
現在CM放映中のふるなびも有名なふるさと納税のポータルサイトです。ふるなびを運営する株式会社アイモバイルは東証一部に上場している企業なので、安心感の高いサイトとも言えます。
ふるなびは多様な支払い方法を提供しており、PayPayやAmazon Payでの支払いが可能です。また、独自のふるなびコインという還元システムもあり、PayPay残高やAmazonギフト券などにも交換がすることが可能となっています。
ふるなびコインの還元率は最大12%。例えば1万円ふるさと納税で寄付した場合1,200円分がふるなびコインとして還元されるのでとてもお得になりますよ。さらに、ふるさと納税の寄付金をサイト内でポイントに変換できるシステムもありますので、返礼品を選べなくても、後々ポイントを返礼品と交換することができます。
夫婦でふるさと納税を活用してみよう!
ここまで基本的なふるさと納税制度の解説から、共働き夫婦がふるさと納税を活用するときのメリットや注意点、手続き方法や関連サイトをご紹介しました。
共働き夫婦の場合、独身の人とは異なり、収入額をお互い入念に確認し、夫婦でどのようにふるさと納税を活用すべきか確認しておく必要があります。控除額の算出や申し込み手順の確認などをしっかりしておけば、ふるさと納税は日常がより豊かになる手助けをしてくれるでしょう。
難しく感じてしまいがちなふるさと納税が、少しでも身近に、手の届く楽しみとして夫婦で共有してもらえるようになれば幸いです。
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※掲載の情報は2021年12月時点のものになります。
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