ダブルズームレンズキットの選び方 カメラ評論家に聞く
広角側から望遠側まで使用可能なダブルズームレンズ。実際買うときはどれにしたらいいのか悩んでしまいますよね。そこで今回は、カメラ評論家・田中希美男さんに、ダブルズームキットを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ポイントは下記3点。
【1】単品とキットどちらがお得か
【2】ダブルズームかズーム+単焦点か
【3】上達するならどのタイプか
それぞれ解説していくので参考にしてください。

Photo by William Thomas on Unsplash
キヤノン、ニコン、オリンパス、ソニー、パナソニック、富士フイルムなどのメーカーから、良いダブルズームキットがたくさん発売されている。
【1】単品購入よりどのくらいお得かを見極める
写真家、カメラ評論家
ダブルレンズキットのカメラボディは、どのメーカーもそうですがエントリー機種が多くなっています。というのも、はじめてレンズ交換式カメラに挑戦しようとしているビギナーの方々がレンズ選びに悩まず、かつ、できるだけ気軽に購入できるようにと価格も抑えて販売されているものだからです。
つまりダブルレンズキットの最大のポイントは「お買い得」ということです。レンズ、ボディそれぞれ単品での合計金額と、レンズキットの金額を比べるとレンズキットモデルのほうが断然安あがり。キットになったレンズはメーカーが決めたレンズに限定されていて、購入者が自由に選べないという制限はありますが、それでも文句なしにお買い得です。
【2】ダブルズームかズーム+単焦点か
写真家、カメラ評論家
ダブルレンズキットのモデルには大別してふたつあります。ひとつは2本のレンズともズームレンズのモデル。もうひとつは、1本はズームレンズでもう1本は開放F値(※)の明るい単焦点レンズとの組み合わせのモデルです。
広角から望遠まで幅広い画角で撮影を楽しみたいという方にはダブルズームのモデルがおすすめ。ちょっと個性的な撮影を楽しんでみたいという方には、ズーム+単焦点のモデルがおすすめです。
※開放F値について
レンズの明るさを示す値(しぼり値)です。開放F値の小さいレンズは、光をたくさん集められるため「明るいレンズ」とも呼ばれています。F値を小さくすると、背景をぼかした像が写せます。F値を大きくすると背景までくっきりとした像が写せます。逆に、開放F値の大きい「暗いレンズ」だとシャッタースピードが遅くなり、手ぶれや被写体ぶれを起こしやすくなるため、少々扱いにくいと感じる方もいるでしょう。
※ISO感度について
デジタルカメラが光をとらえる能力を示す値。ISO最高ISO感度が高いカメラほど、暗い場所での撮影が可能です。暗い場所での撮影は、シャッタースピードが遅くなり手ぶれも起こりやすくなりますが、ISO感度の数値を上げることによって光を増幅させ、シャッタースピードを速くすることが可能になり、手ブレを抑えることもできます。ただし、ISO感度を上げると上げた分だけ画像が粗くなります。
【3】上達したいなら標準+単焦点のレンズキットもあり
写真家、カメラ評論家
レンズキットモデルとセットになっているズームレンズは、多くが標準ズームと望遠ズームの組み合わせ。そのズームレンズは比較的低価格なレンズで、小型軽量を優先していて開放F値はそれほど明るくないレンズが多いようです。そのため、まずはコストパフォーマンスにすぐれたダブルレンズキットを購入して、しばらく使い込んでみてから開放F値の明るい単焦点レンズを1本買い足して撮影を楽しんでみるという方法もあります。
単焦点レンズはズームレンズのような便利さはありません。画角を変えることができないからです。しかしその「不便さ」が写真上達のカギになるのです。苦労して構図を選んで撮影する楽しみも増えます。ダブルレンズキットをベースにしながら、そこに単焦点レンズを加えて撮影領域を広げてみることをおすすめします。
ダブルズームレンズキットおすすめ7選 レンズの内訳・有効画素数・対応記録メディアもチェック!
上で紹介したダブルズームキットの選び方のポイントをふまえて、実際にカメラ評論家・田中希美男さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。

上級機種に匹敵する実力を秘めたエントリーモデル
比較的入門者向けのエントリーモデルの機種です。しかし性能や機能は、いわゆる中級機種とよばれるワンランク上の機種に匹敵するほどの実力があります。
AFの性能、連写性能、動画の機能、スマホと連携して撮影画像をすぐに転送する機能なども上級機種並みです。それにもかかわらず初心者にもカンタンで使いやすいカメラに仕上げているところがおすすめポイント。
また、標準ズームと望遠ズームの2本のレンズとボディがキットになったモデルがリーズナブルな価格で用意されているところもおすすめ。どちらのズームレンズも手ぶれ補正(IS)を内蔵しているため手ぶれにも強いところ。
標準ズームは風景、望遠ズームはスポーツなどの撮影までカバーし、描写にもすぐれた性能を備えています。

ニコン一眼レフの中でトップクラスのお買い得モデル
ニコン一眼レフのいくつかあるエントリー機種のなかではトップクラス。性能も撮影モードも申し分のない充分な機能を備えています。
画素数は約2,400万画素あり、きめこまかく解像度の高い写真を得ることができます。そのような写真を得るには手ぶれを防ぐ機能を備えたレンズがどうしても必要となります。そのD5600とキットになった2本のズームレンズには、すぐれた手ぶれ補正(VR)の機能が備わっています。
キットレンズの標準ズームはポートレートなど、望遠ズームは野鳥撮影までカバーします。キットひとつで広角から超望遠域まで撮影できるということです。ニコンの一眼レフが好きな方にはイチオシです。

カメラボディ内にも手ぶれ補正の機能を内蔵
オリンパスのレンズ交換式カメラには「PEN」と「OM-D」のふたつのシリーズが展開されています。外観スタイルがおもな違いで、「OM-D」は一眼レフ風のデザインで、いかにもカメラらしいクラシックなスタイルをしています。
そのOM-Dシリーズのなかでエントリークラスに位置する最新型が本商品です。エントリー機種といえども充分な撮影機能と性能を備えています。なかでも、オリンパスカメラの特徴ともいえるボディ内手ぶれ補正は5軸方向に対応。
標準ズームが電動式(EZ)でスナップ撮影、望遠ズームは手動式で学校行事などの撮影までカバーしてくれます。カメラボディだけでなく2本のズームレンズもとても小型で軽量なところも、おすすめ理由のひとつです。

AFスピードと動く被写体を追いかける機能が突出
有効画素数が約2,470万画素の高解像力。最高ISO感度はISO25,600まであるため、暗いシーンでもより高速なシャッタースピードで撮影ができます。
連写性能は最高11コマ/秒もの高速連写が可能。高速AFやAF追従性にもこだわっていて、AFでピント合わせできる画面範囲(測距可能範囲)も広いです。そんなカメラボディとキットになっている2本のズームレンズは、ともに手ぶれ補正の機能(OSS)が備わっているため手ぶれにも強く頼りになります。
レンズ2本のうち、1本はズーミングが電動式の標準ズームでペットの素早い動きなど、もう1本の望遠ズームは野外ライブなどまでをカバーしてくれます。
なお、どちらのキットレンズも多少の制限はあるもののαシリーズカメラで使うことも、あるいは別のαシリーズ用レンズを本商品に使用して撮影することもできます。

Panasonic(パナソニック)『LUMIX DC-GF10W ダブルレンズキット LUMIX G VARIO 12-32mm+25mm/F1.7 ASPH. 付属』
おしゃれな外観デザインが魅力の多機能なカメラ
ほかのメーカーのレンズキットモデルではズームレンズ2本とセットになっている機種が多いなか、この商品は単焦点レンズと、標準レンズの画角をカバーするズームレンズがキットになっています。
単焦点レンズはF1.7と明るいので、手軽にぼけ味を生かした撮影ができます。ズームレンズは、小型で軽量な広角系ズームを優先させています。液晶モニターはチルト式で180度回転させて自撮り撮影も容易にできます。キットの広角ズームレンズを使えば自分ひとりだけでなく、友人と一緒に自撮りすることもカンタン。
多彩な撮影モードを備えている上に4K動画撮影ができたり、Wi-Fi機能を利用してスマホに画像をアップしたり、スマホから遠隔撮影することもできます。ボディカラーはオレンジ、ホワイト、ブラックの3色ありますが、どの色も大変魅力的なデザインです。
FUJIFILM『X-T200ダブルズームレンズキット(X-T200/XC15-45mm3.5-5.6 OIS PZ & XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II)』
「ミラーレスカメラダブルズームキット」のおすすめ商品の比較一覧表
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複数メーカーのキットモデルを比較してマッチする機種を
写真家、カメラ評論家
ダブルレンズキット、カメラボディとズームレンズ1本をセットにしたシングルレンズキットを問わず、各カメラメーカーはたくさんの機種でキットモデルを販売しています。選び方としてはまず、おおよその購入予算価格を決め、その予算に見合うキットモデルを探して複数機種を比較検討してみることです。
ある機種に的を絞ったとしても、その機種のひとつ前の「旧型」も現行品のキットモデルとして販売されていることも多くあります。新型、旧型にこだわらずにカメラの機能や性能などを参考比較しながら、最終判断をするといいでしょう。
ひとつのメーカーに限定せず、自分の購入予算を元にして横断的に他メーカーのキットモデルと比較しながら、自分にマッチする機種を選ぶことも大切です。
少々手間と感じるかもしれませんが、できるだけ幅広く比較検討を重ねてご自分にとってベストなカメラを選んでください。ここに紹介したカメラメーカーはどれも一流メーカーの機種ばかりです。どのメーカーのカメラ・レンズを選んでも間違いではないでしょう。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。