クラリネットリガチャーとは? 音色やタンギングなどに影響する
クラリネットリガチャーはマウスピースとリードを固定するための部品です。息を吹き込む際に発生するリードの振動をマウスピースに伝える大切な役割をもっています。
また、音色や吹き心地、高音・低音の出し方、タンギングなど影響を与えるため、クラリネットリガチャーは選び方が重要です。さまざまなタイプがあるため、自分のスタイルに合うタイプを選んで演奏を楽しみましょう。
クラリネットリガチャーの選び方 材質や形状、締め方や種類をチェック!
それでは、クラリネットリガチャーの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】素材と仕上げの違いをチェック!
【2】押さえ方で形状を選ぶ
【3】締め方の違いも確認しよう
【4】クラリネットの種類で選ぶ
【5】価格よりも演奏のしやすさで選ぶ
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】素材と仕上げの違いをチェック!
クラリネットリガチャーは素材や仕上げに違いがあります。
それぞれ特徴が異なるため、自分がどのような音色を求めるのかで選びましょう。
▼金属製
金属製は仕上げによっても音色に違いが出てきます。
・金メッキ仕上げ:深い音色が出せる。ラッカー仕上げよりもよく響く
・銀メッキ仕上げ:やわらかい音色が出て、よく響く
・ピンクゴールドメッキ仕上げ:やわらかさと明るさを兼ね備えている
・ラッカー仕上げ:メッキ仕上げよりも鳴りがいい。シャープな音色で音抜けする
▼革製
・革製品:まとまりのある音色が出せる。音のレスポンスは金属製のほうがいい
・紐製品:太く力強い音色が出せる。音のレスポンスも素早い
【2】押さえ方で形状を選ぶ
クラリネットリガチャーの形状はおもに「縦型」と「横型」にわかれます。
▼縦型
リードに当たる素材が細い縦状になっているのが特徴です。素材が直接リードを押さえるため、芯のあるサウンドを奏でられます。
▼横型
リードを支える部分を上と下(横方向)になるよう設計されています。芯のあるサウンドが出せる縦型よりも自由な吹奏感を得られるでしょう。縦型と違う点は吹奏したときの抵抗感です。
【3】締め方の違いも確認しよう
次は、リードを締めるときの違いを見てみましょう。
▼順締め:リードも直接圧力がかかる
順締めとはリード側に締めるネジがついたタイプです。締めるときにリードに圧力がかかるため音の重心が低くなります。全体的な安定感が増すタイプといえるでしょう。締め具合を調整して圧力を変えることで、サウンドに変化をつけることもできます。
クラリネットを購入する際に付属しているリガチャーはほとんどが順締めです。
▼逆締め:マウスピースに圧力がかかる
順締めとは反対のタイプ(リードから遠い部分)に締めるネジが設置されたタイプです。マウスピースの上側に圧力がかかるため、リードに当たるレールが一定になります。
音色は、中音域よりうえの倍音に関してレスポンスがよくなるのが特徴です。
順締めとは異なりリードへの圧力が直接的ではないため、ネジの締め具合ではサウンドの調整がしづらいタイプともいえます。
【4】クラリネットの種類で選ぶ
クラリネットの種類で適応するリガチャーが異なります。自分が使用しているクラリネットに合わせて選びましょう。ここでは、いくつかクラリネットの種類を紹介します。
▼B♭(フラット)クラリネット:標準的
B♭クラリネットはクラリネットのなかでも標準的なタイプです。吹奏楽や管弦楽、ジャズ、ポップスなど幅広いジャンルの演奏で用いられます。アンサンブルのほかソロ演奏でも使われる楽器です。
一般的にクラリネットと呼ばれるものはB♭クラリネットになります。リガチャーも多数販売されているため、いろいろな商品から選べる楽しみがあるでしょう。
▼E♭クラリネット:華やかな音色を出す
B♭クラリネットよりも調子が4度高いタイプがE♭クラリネットです。エスクラやソプラニーノクラリネットと呼ばれることがあります。
輝かしい華やかな音色をもっており、バンドでも欠かせない存在です。ラヴェルのボレロやベルリオーズの幻想交響曲ではソロでも用いられます。E♭クラリネットのリガチャーを探すときはE♭専用を探すようにしましょう。
▼バスクラリネット:木管楽器の低音の役割
B♭クラリネットより1オクターブ低い音色を出すのがバスクラリネットです。厚みのある音色を出すので、吹奏楽やオーケストラでも木管楽器の低音部として重要な役割をもっています。曲によってはソロパートが用意されていることもある存在感が強い楽器です。
バスクラリネットに関しても、専用のリガチャーを探す必要があります。
【5】価格よりも演奏のしやすさで選ぶ
クラリネットリガチャーはメーカーや素材、仕上げによって価格が大きく異なります。数千円で購入できるタイプもあれば数万円になるタイプまで価格帯が広いです。価格が高いものがいい音色を出せるというわけではなく、形状や締め方によって出せる音色が違ってきます。
価格が低めのタイプから挑戦し、口コミなどを確認して徐々に価格を上げて自分に合うクラリネットリガチャーを見つけるのもいいでしょう。
クラリネットリガチャー【B♭】おすすめ11選
ここからは、元大手楽器メーカー勤務・山野辺祥子さんと編集部が選んだ、クラリネットリガチャーのおすすめ商品を、対応クラリネット別に紹介します!
まずは、B♭クラリネットに対応したおすすめ商品をみていきましょう。

ビュッフェ・クランポン・ジャパン『B♭クラリネットリガチャー SP』は、楽器の付属品としても使われれるこれぞスタンダードという商品です。
シンプルなデザインの順締めタイプ
1825年に創業した楽器メーカー、ビュッフェ・クランポンのアイテムです。銀メッキで仕上げられたクラリネットリガチャーで、B♭クラリネットに適しています。
シンプルなデザインが特徴的なリード側にネジがある順締めタイプ。ダークなサウンドとやわからか音質が出せるリガチャーです。価格も控えめなため、初心者にも導入しやすいでしょう。

バンドーレン『B♭クラリネット リガチャー(LC01P)』はねじひとつで装着。キャップもついていて、手持ちのものが合わないということがありません。
キャップつきのクラリネットリガチャー
ダブルトラックタイプのネジが特徴的なクラリネットリガチャー。リードの両面を均等に締めつけるタイプです。3タイプのプレートを搭載しており演奏スタイルに合わせて対応していることもポイントです。
銀メッキ仕上げのためやわらかい音色を求めている人に適しています。付属のプラスチックキャップによって、マウスピース、リード、リガチャーをしっかり保護できるでしょう。
仕上げのバリエーションが豊富!
さまざまなクラリネットやサックスなどのリードやリガチャーを販売する、ウッドストーンの商品。B♭クラリネットのバンドレン用のリガチャーです。
レスポンスよく鳴らせるように設計されており、ボリュームが大きいのが特徴。ピンクゴールド仕上げですが、ゴールドやサテンゴールドなどバリエーション豊富なのも魅力のひとつです。

ダダリオ 『Hリガチャー B♭クラリネット用 ゴールドプレート(HCL1G)』は逆締めで、豊かな吹奏感を得られます。
ダダリオのH型リガチャー
名品ハリソンの設計思想を受け継ぎながらダダリオが開発したクラリネットリガチャーです。熟練の職人のハンマー技術によって成型されたリガチャーがリードに絶妙にマッチ。厚みと角度にこだわってつくられています。
低音から高音まで安定感の高さが特徴で、澄明で豊かな響きのサウンドが出せるでしょう。逆締めリガチャー全般に対応するキャップつきです。
ツヤのある豊かなサウンドを奏でられる
クラリネットリガチャーのなかでも人気のボナードシリーズ。銀メッキ仕上げのアイテムとなっていて、明るく響きのある音色が奏でられます。
リガチャーを押さえる形状は縦型です。リードに触れる部分が2本の金属レールだけなので吹奏した際の振動を正しく伝え、ツヤを感じる豊かなサウンドが表現できるでしょう。また、逆締めタイプのためリードに均等な圧力を加えられます。
リードの振動をそのまま伝えることができる
セルマー・パリが販売するスタンダードタイプのクラリネットリガチャー。あらゆるジャンル演奏家に愛され続けているアイテムです。
定番のデザインですが、リードの振動をそのまま伝えるため試行錯誤してつくられました。セルマー・パリがデザインを追求して完成した商品です。銀メッキ仕上げなのでやわらかくふくよかな音色が実現するでしょう。
特殊合成ゴムでつくられたクラリネットリガチャー
1974年の創業以来ユニークな楽器アクセサリーを開発し続けているロブナーの商品です。素材には特殊合成ゴムを採用。B♭クラリネットのラバーマウスピースに適しています。
VERSAシリーズはリードの接触部分に2種類の金属プレートを搭載したアイテムです。金属プレートの着脱とフラップセッティングの変更で6種類のサウンドを楽しめます。
ネジが左右につけ替えられるクラリネットリガチャー
ロブナーが販売するリガチャーのなかでも珍しい金属製の商品。太く温かみのある音色を出すことができるクラリネットリガチャーです。アーティキュレーションへの対応に強いアイテムで、安定した吹奏感を得られます。
利き手でネジが締められるようにネジの差し替えが可能です。また順締め・逆締めの両方に変更できるので、使う人に合わせて設定を変えられます。
切れ味のいいアーティキュレーションを実現
バンドーレンが販売しているリードを過度に締めつけないマスターズリガチャーとリードを左右均等に締めつけるにオプティマムの両方の融合させたのがこのエムオーリガチャーです。
マウスピースに沿ってピタッとフィトするようにデザインされているので、装着時の調整時間を短縮できます。スタッカートなどのアーティキュレーションの切れ味もよく、自由な音楽表現が実現するでしょう。
ヤマハのクラリネットに付属しているリガチャー
日本の音楽メーカー・ヤマハの商品です。ヤマハのB♭クラリネットを購入する際に付属しているリガチャーと同じ種類になります。
リードの押さえ方は縦型、ネジの締め方は順締めとリガチャーとして一般的なデザインが特徴。銀メッキ仕上げなのでやわらかいサウンドを表現できるでしょう。ヤマハのクラリネットを使用していて、ストックや代替え商品を探している人は一度確認してみましょう。
クラシックやジャズに適したクラリネットリガチャー
ブルズアイエンタープライズ社の革製クラリネットリガチャー。繊細なサウンドから力強いサウンドまで幅広く演奏できます。コントロール性が高いので安定した吹奏感が得られるでしょう。
ルークシリーズのカラーはブラックとホワイトの2色展開です。ブラックはダークサウンドが出せるアイテムとなっているため、クラッシックやジャズを演奏する人に適しています。
クラリネットリガチャー【F♭】おすすめ3選
ここからは、F♭クラリネットに対応したクラリネットリガチャーのおすすめ商品を紹介します!
E♭専用のピンクゴールドメッキ仕上げ
ピンクゴールドメッキで仕上げられたクラリネットリガチャーです。E♭クラリネット専用となっています。
ピンクゴールドメッキで仕上げることによって、明るさとやわらかさがほどよくミックスされた音色が出せます。逆締めの縦型タイプなのでリードへの振動を妨げずコントロール性も高いアイテム。さらに、ふたつのネジでしっかり押さえるので、芯のある音色が実現するでしょう。
布製のクラリネットリガチャー
さまざまな楽器アクセサリーを開発するBGのクラリネットリガチャー。E♭クラリネット専用となっていて、やわらかく輝きのある音色を出せる商品です。
全体的に使われている素材はファブリックで、マウスピースやリードをやさしく締めつけます。リードを押さえる部分にはゴールドプレートを搭載しているため、吹き込んだときの振動をしっかり伝えてくれるでしょう。
ロブナーが販売する定番シリーズ
ロブナーの定番クラリネットリガチャーです。E♭クラリネット用でラバーマウスピースに適したアイテム。逆締めタイプのためリードにかかる圧力を軽減できます。
DARKは太くやわらかな音色を再現でき、音楽のジャンルを問わず人気が高いシリーズです。プラスチック製の保護キャップが付属しているので、マウスピース、リード、リガチャーをしっかり守りたい人にもチェックしてほしい商品。
クラリネットリガチャー【バス】おすすめ3選
ここからは、バスクラリネットに対応したクラリネットリガチャーのおすすめ商品を紹介します!
クセがないラッカー仕上げ
Herouard&Benard社のハーモニーモデルにはラッカー仕上げアイテムが存在します。ネジ2本の逆締めタイプでリードを押さえる部分に小さな突起を設置。この突起によりリードがしっかりと固定され、音色がよく響くようになります。
ほどよくボリュームある心地よいサウンドが出せるクラリネットリガチャーです。この商品はクセを感じにくいため、初心者が使うリガチャーとしても適しています。
室内楽に適したバスクラリネットリガチャー
BGが発売するバスクラリネット用のリガチャーです。素材のファブリック製(布製)が特徴的なアイテム。
リードを押さえる部分にはラバーを採用しています。ラバープレートによって深みがあるダークな音色が出せる商品です。外での演奏よりは、室内楽や小編成のアンサンブルでバスクラリネットを用いる際に適したアイテムです。
SILVER STEIN(シルバースタイン)『バスクラリネットリガチャー(CRYO4 Gold)』
形状記憶機能つきでマウスピースにフィット
シルバースタイン社が開発した紐製のクラリネットリガチャーです。素材はNASAの火星探査機に採用されたこともあるワイヤーなので、丈夫でかたさもじゅうぶん。形状記憶機能つきのため手持ちのマウスピースにピタッとフィットします。
取り外し可能な金属バーを動かすとリードの締めつけ具合を調整可能です。基本的に逆位置使用する商品ですが、ネジを斜め方向に移動させると音色に変化をもたせられます。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする クラリネットリガチャーの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのクラリネットリガチャーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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自分の演奏スタイルに合うクラリネットリガチャーを見つけよう
本記事では、クラリネットリガチャーの選び方と、元大手楽器メーカー勤務・山野辺祥子さんと編集部で選んだおすすめ商品を紹介しました。クラリネットリガチャーは素材や仕上げ、リードを押さえる形状、締め方の3つをポイントに選びましょう。この3つはクラリネットの音色や操作性に大きく関わってきます。
また、大切なのは価格ではなく自分の演奏スタイルに合うかどうかです。今回紹介したおすすめ商品も参考にして、自分の用途に合うクラリネットリガチャーを見つけてください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
武蔵野音楽大学出身。卒業後某大手楽器メーカーの法人部に入社。 音楽教室の運営や講師指導のサポート、店舗接客、楽器セッティングなどを担当するイベントクルーとして全国を飛び回る。また、出版部に在勤中は楽譜校正、楽譜情報誌編集の経験も。 現在はピアノ講師のかたわらフリーランスライター、校正者として活動中。プライベートでは3児の母。