古語辞典の選び方 全訳・古語など分類、収録語数をチェック!
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科講師・鈴木邦明さんにお話をうかがい、古語辞典の選び方のポイントを教えていただきました。収録語数や全訳かをよくチェックすることが大切です。下記のポイントに注目して選びましょう。
【1】学習全般には全訳古語辞典がおすすめ
【2】収録古語数は用途に応じて選ぶ
【3】持ち運びをするなら携帯性の高いもの
【4】巻末や付録も確認しよう
【5】上級者の古語辞典選びは用例などもすべて古語のものを
ぜひ古語辞典選びの参考にしてください。
【1】学習全般には全訳古語辞典がおすすめ
授業や受験など、おもに中学生や高校生が勉強用に古語辞典を選ぶ場合、全訳古語辞典を選びましょう。全訳古語辞典は、引いた古語の用例が現代語で解説されているものです。古文の勉強をはじめたばかりの、いわば古文初心者の学生の方もスピーディーに古語の用例が調べられます。
【2】収録語数は用途に応じて選ぶ
辞典選びで気になるのはやはり収録語数です。学習スタイルや用途に応じて選ぶようにしましょう。
大学受験の勉強には収録古語数が多いものがおすすめ
収録古語数が多ければ多いほどよい、というわけではないですが、大学受験となると一定量のボリュームは必要でしょう。古語辞典は何冊も買い替えるものではないですから、調べてから購入するようにしましょう。
古語辞典の多くは2~4万語の収録数となっているので、このあたりを目安に検討することをおすすめします。
なお、小中学生は2万語以下のものを、東大などの難関大学を受験する場合は、4万語以上の古語辞典を持っておくと便利です。
普段の授業用では語数より解説が多いものがおすすめ
学習をはじめたばかりの方や、授業で利用する場合は、収録古語数よりも解説が充実しているものを選ぶようにしましょう。
古典文学の流れや、百人一首の解説など、イラストなどを交えながら説明している辞典もあります。自身の勉強用途に応じて古語辞典を選ぶとよいでしょう。
【3】持ち運びをするなら携帯性の高いもの
古語辞典は自宅での学習や読解に使う以外にも、学校、予備校、図書館など外で使用する機会も多いです。持ち運び前提の古語辞典の場合、厚みや重さがあると携帯性が損なわれてしまいます。
自宅以外で使用する古語辞典の場合は、持ち運びのしやすいサイズのものを選ぶのも重要です。コンパクトだからこそ必要なもののみに厳選して収録している古語辞典も多くありますので、内容も確認して選びましょう。
それか、電子辞書という手もあります。古語だけでなく、英語や漢字などさまざまな辞典も入っているのでおすすめです。
【4】巻末や付録も確認しよう
古語辞典によっては、古語の収録以外の部分が充実しているものもあります。たとえば、巻末に古語に関するコラムがあったり、よく聞く古語の意味が一覧になっている付録がついていたり、などです。
古典に対して苦手意識を持っている場合でも、巻末や付録の内容によっては古典文学に興味を持てる場合もあります。古語以外の教養を身につけられる機会にもなりますので、巻末や付録の有無もチェックしてみましょう。
【5】上級者の古語辞典選びは用例などもすべて古語のものを
大学生で古文を専攻している人や、古文を趣味で読んでいる人など、ある程度古語に対して知識を持っている人は古文上級者になります。古文上級者が選ぶ辞典として選択肢にあがるのが、用例などもすべて古語になっている古語辞典です。
古語辞典は現代語訳がない代わりに、より多くの古語が収録されています。古文の授業では習わない、使用頻度の低い古語も索引できますので、いろいろな古文を勉強するにはぴったりです。
古語辞典選びのポイントをエキスパートに聞いてみた 使う人の状況に合ったものを選ぶ
古語辞典選びで大事なことは、使う人の状況によって選ぶものを変えることです。初心者用、上級者用のそれぞれのレベルに合ったものを選ぶことで学びが深まります。
また、学生の場合、持ち運んで使うことも多くなります。携帯性も重要になります。
古語辞典のおすすめ11選 三省堂や旺文社など厳選!
帝京平成大学 現代ライフ学部 児童学科 講師・鈴木邦明さんと編集部で古語辞典のおすすめ商品を厳選しました。授業や受験に使いたい学生さん向けのものから、古文上級者のひと向けのものまで選んでいますので、ぜひ辞典選びに役立ててください。

はじめての古語辞典としても
教育に関する商品やサービスを幅広く展開している、ベネッセから出版されている全訳古語辞典です。古語の知識を得るのに重要な最重要語・重要語をすぐにインプットできるように、レイアウトに工夫がほどこされています。
重要語やポイントは赤字の2色カラー、識別は表にするなど視覚的に理解しやすい構造のため、古文初心者にも使いやすいです。

上級者向け辞書の補訂版
岩波書店から出版されている古語辞典は、古典学習者から日本文学に興味のある人まで、おもに古語の知識の豊富な上級者向けであるのが特徴です。補訂版でさらに500語を追加し、収録語は4万3,000語を数えるほどのボリュームがあります。さらにひとつの用例にこだわらない、厳密な解説も記載。
官職制度の概観など、古典文学の背景にある歴史像を見るのに向いている付録も充実。古典を専門に勉強または研究している人も納得の一冊です。

視覚的に理解しやすいコンパクトな辞典
大修館書店から出版されているこちらの全訳古語辞典は、読む辞典ではなく見て覚えることにポイントをしぼっている特徴があります。古語の用例のほか、類語を図解でまとめてある、人物や季語、重要語のカテゴリの分類が一目でわかるアイコンつきなどの工夫が紙面にほどこされています。
助詞や助動詞の文法構造が一目でわかる、接続、活用、意味の一覧など古文のなかでも苦手な項目も理解しやすくなっています。コンパクトなサイズのため、持ち運びにも便利です。
授業から受験まで使える1冊
全訳古語辞典で、全用例に現代語訳がついています。助詞や助動詞には補足をつける、文法の要点を解説するなどふだんの授業で使いやすいポイントもまとめられています。
入試対策に役立つポイントや図解もあり、受験用にもそのまま使用できます。巻末には古語の歴史的背景の解説や、現代語とのつながりを解説したコラムも充実しています。
入試対策や付録が充実
旺文社から出版されている古語辞典です。古語辞典としては豊富な4万3,500語を収録しているため、古文読解に使いたい上級者にも向いています。
さらに、入試対策のための特徴も充実。見出し語を3段階の重要度別に表示、敬語解説や和歌の表現など、高校生がつまづきやすい分野の解説が増補されています。百人一首の手引きなどの付録も充実しています。
短歌や俳句作りにも活用できる逆引き辞典
古語の意味や用例を引くのではなく、現代語から古語を逆引きできる古語類語辞典です。短歌や俳句を作る、自分で古語を書くときなどに活用できます。
現代語の見出しをもとに掲載された古語はのべ5万1,100語と、収録語数も豊富になっています。動詞や形容詞などの基本的な古語だけでなく、動植物の異名など創作にかかせない古語も収録されています。
授業で習った作品が用例に
小学館から出版されている全訳古語辞典は、収録している古語の用例を代表的な古典作品の場面から記載しているのが特徴です。授業で習う古典作品の主要部分を用例に持ち出しているため、理解がスムーズにできるだけでなく、予習や復習の用途にも活用できます。
助動詞ワンポイント講座、朗読で味わう日本の古典など古典文学に興味を持ったり、苦手な箇所の克服につながったりするコンテンツも記載されています。
名歌を初句から索引できる
三省堂の出版している古語辞典のなかでも、歴史のある辞典がこちらです。類書のなかでも数多い4万5,000語を収録し、用例も4万7,000件を収録したボキャブラリーの豊富さが特徴になっています。
さらに改訂版では助詞・助動詞、敬語を中心に基本語を大きく改訂。より古語の理解が深まる組立欄、接続欄、語誌欄も新設されています。名句を初句から索引できるため、和歌をはじめとした古典文学の読解向けです。
対訳方式で授業から入試対策まで
東京書籍から発行されている、全訳古語辞典です。古語辞典としてはじめて上下の段で古語、現代語をならべた対訳方式のレイアウトを採用しているのが特徴。一目で現代語との照らし合わせができるため、理解が深めやすくなっています。
古文の授業から大学入試対策まで必要な古語が収録されているため、一貫して使える辞典を探している人にも向いています。
入試問題にも特化した辞典
旺文社から発行されている、古文の授業から入試対策までに特化した全訳古語辞典です。厳選した2万2,500語に、ていねいな現代語訳がつけられています。さらに、入試対策として過去5年分の入試問題を徹底分析し内容に反映しているのも特徴です。
用例を一語一語正確に訳しているため、現代語との対比がしやすく自分自身で古語を訳す力も身につけられます。
参考書としての用途も兼ねた一冊
角川から出版されている全訳古語辞典は、授業用や入試対策の参考書としての用途も兼ねているのが特徴です。入試対策向けの古語辞書としては多めの、3万1,000語を収録しています。
用例は知名度の高い古典文学の場面から厳選して収録。また、名高い古典文学の登場人物や登場した和歌、俳句も掲載しているため授業で習った内容を発展させることにも役立ちます。
古語辞典のおすすめ2選【電子辞書】 持ち運びも楽チン!
古語辞典が収録された電子辞書もおすすめ。紙で調べるのには時間がかかり、勉強の効率を重視したいという方にはうってつけです。また、古語以外の辞典も収録されているのも大きな魅力です。
旺文社全訳古語辞典を収録した電子辞書
日本語、英語系の大辞典やさまざまな専門辞書を数多く収録。研究、翻訳、専門学習などのハイレベルなニーズに対応する電子辞書です。古語辞典においては、「旺文社全訳古語辞典 (第五版)」と「旺文社古語辞典 第十版」を収録。
高校生向けの電子辞書最新モデル
すきま時間を活かし積み重ね学習できる縦型学習スタイルの電子辞書です。人気の260コンテンツで6教科(英語、国語、数学、理科、地理・歴史、公民)に対応。大学合格につながる英語の4技能をバランスよく鍛え、英検対策にも利用できます。
古語辞典は「旺文社全訳古語辞典 (第五版)」と「旺文社古語辞典 第十版 増補版」を収録。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 古語辞典の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの古語辞典の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
効果的に古語を勉強するならココに注目! 基本的な常識を理解しよう
現在使っている日本語とは、非常にかけ離れているため、解読していくにはかなりの労力がかかるものです。ちょっとしたコツを得ると、そんな古文を理解していくことが楽になりますよ。
基礎知識や、生活常識を勉強する
時代背景、風習など、記された当時の基本的な知識を頭に入れておくことがとても大切です。時刻や月の呼び方も今とは異なっているので、あらかじめ勉強しておくと少しでも古文が読みやすくなります。
もちろん、身分制度や、生活様式も現代とは大きく異なります。どのような服を着て、どのようなご飯を食べていたのか、そういった昔の人の暮らし方を知っているのと知らないのとでは理解に大きな差ができるので、チェックしておくことをおすすめします。
マンガやアニメで、物語の概要を理解する
古文で記された物語の概要を知っておくと、古文への関心が高まるだけでなく、理解にも大きく貢献します。著名な作品はマンガ・アニメ化しているので、一度見てみてください。
有名どころで言うと、『源氏物語 あさきゆめみし』です。光源氏の恋物語をマンガで展開しており、物語の概要を掴むにはもってこいです。また、平家物語などのアニメ作品もあるので、チェックしておきましょう!
ほかの辞典に関するおすすめはこちら 【関連記事】
古語辞典は使い方に合ったものを選ぼう
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科講師・鈴木邦明さんと編集部で選んだ古語辞典の選び方とおすすめ商品を紹介しました。
古語辞典は用例などが全訳されているもの、訳されていないものに大きく分かれますので、まずは自分の古語・古文の知識レベルがどのくらいなのかに合わせて選ぶのが重要です。
そこから、授業用なら解説の充実しているもの、受験や古典文学の読解用なら収録語数が多いものを選びましょう。用途に合わせた古語辞典を選べば、より勉強や読解をスムーズに進められます。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
神奈川県、埼玉県の公立小学校に22年勤めた後、短大、大学での教員養成、保育者養成に移り、現在に至る。 現在は、大学での講義を中心に、保護者向けに子育て・教育、教員向けに授業方法・学級経営などのテーマで執筆、講演などに幅広く活躍中。