トランペット用マウスピースの選び方 カップ容量・リムサイズで選ぶ!
ピアノ講師・元大手楽器メーカー店員の山野辺祥子さんにお話をうかがい、トランペットマウスピースの選び方のポイントを教えていただきました。マウスピースは口にあてたときにぴったりとあうものを選ぶのが重要です。唇とマウスピースとのあいだに違和感があると息が出しづらく吹いていると疲れたり、上達をさまたげたりする要因になりかねません。
そのほかに以下で紹介するマウスピースの内部の構造や表面の素材なども重要な要素です。ぜひトランペットマウスピース選びの参考にしてください。
カップ容量で選ぶ 初心者は「B」「C」、唇が厚い方は「W」がおすすめ
マウスピースのカップは大きさの違いがあり、もっとも浅いものがA、もっとも深いものがEというようにA~Eの種類があります。標準的な深さはCであり、初心者の最初の1本としてはB、Cが便利です。また、厚い唇の方でも吹きやすいWもあります。
D、Eなどカップが大きいと出す音のボリュームが調節しやすく音が出しやすいです。一方、A、Bなどカップが浅いものは高い音域が出しやすく、深いものは中音域が出しやすくなります。ジャズのソロなどで、高音域を華やかに演奏する機会が多い場合は浅めのカップを選ぶと便利です。
用途に応じてリムサイズを選ぶ オーケストラはリム大きめ、吹奏楽は標準、ビックバンドは小さめがおすすめ
リムはマウスピースのうち直接唇にあたる平らな部分のことです。唇にあたる部分はリムの厚さの部分ですが、音の響きに関わるのは、カップの縁にあたるリムの内径です。
一般的にリム内径が小さいと縁が厚くなるためマウスピース自体の耐久性が高く、高い音程が出しやすいです。ただし出る音量が小さくなる傾向があります。逆にリム内径が大きい場合、耐久性が劣るものの低音域が安定し大きな音が出しやすくなります。
そのためオーケストラはリム内径が大きめ、吹奏楽は標準、ビックバンドは小さめをと用途ごとに好まれるリム内径が異なる傾向があります。
表面仕上げの材質を比較して選ぶ 高音や低音向きなど音域を左右
トランペットマウスピースはおもに真ちゅう(しんちゅう)でできていて、腐食防止などの目的でメッキが施されています。同じトランペットマウスピースでも表面の素材が異なるものがあります。それぞれの材質の特徴や価格のバランスを踏まえて選びましょう。
耐久性にすぐれ低音がだしやすいスタンダードな「銀メッキ」
真ちゅうとの相性がよく費用もおさえられることから、もっとも標準的な種類が銀メッキです。はがれにくく耐久性にすぐれ、低音でややダークな響きが特徴です。
銀メッキだけを施したマウスピースのほか、ものにより内部にニッケルメッキを施した上に銀メッキ処理をしている場合があります。長年の使用ではがれる場合があるため、注意が必要です。
値段は高めだが高音がだしやすくなめらかな口触りの「金メッキ」
金メッキは銀メッキよりも唇にあてた際の抵抗が少なく、非常になめらかで高音がだしやすいのが特徴。使い手の好みにかかわりますが、あたりがなめらかなことで唇が自由に移動できます。きめこまやかな響きとスムーズな息の流れが作れ、柔軟性に富んだ吹き方ができます。
ただし、金が希少なため値段が高くなる傾向が。そのためリムや内径だけに金メッキ処理をした製品もあります。
珍しい外観にあたたかな音色、高級感漂う「ピンクゴールドメッキ」
ピンクゴールドメッキとは、金に銅などを加えてやや赤みがかった色のメッキです。
金メッキと同様に口あたりがやわらかいものの、金メッキよりはやや抵抗があるため、金メッキでは滑りすぎると感じる場合に使いやすいです。
銅を含むことで深みとあたたかみのある音色が加わります。販売されているマウスピースにカスタマイズしてメッキを施すことも可能です。
カラフルで視線を集める「樹脂製」
材料の研究や加工技術が進歩したことで、樹脂製のトランペットマウスピースも登場しています。
樹脂製のマウスピースは口あたりがなめらかで豊かな音色が楽しめます。カラーバリエーションが豊富なため、珍しい色あいで目立ちたい場合にも向いています。また、金属製マウスピース特有の温度感がありません。気温が高い場合でも低い場合でも安定して吹ける点がメリットです。
シグネチャーモデルであこがれのプレイをめざす
よりいっそうのスキル上達を図るなかでお気に入りのプレイヤーに出会う場合があるでしょう。トーマス・フートゥン、ボビー・シュー、神代 修、エリック・ミヤシロなどジャンルを問わず多くのアーティストのシグネチャーモデルが発売されています。
すぐに各アーティストと同じプレイができるようになるわけではありませんが、あこがれのプレイをイメージすると、演奏や練習する際のモチベーションが大きく高められるでしょう。
トランペット初心者は本体に付けない「練習用タイプ」もおすすめ
初心者には、トランペットにつけずマウスピースのみで使える練習用タイプもおすすめです。トランペットをまったくふいたことがなくても気軽にチャレンジできるのが魅力です。
サイズもコンパクトで音も小さめなものが多いので、自宅など場所を選ばず練習ができるのもうれしいですよね。トランペットじたい安いものではないですから、こうした練習用のマウスピースを購入し、入門へのハードルをさげてみてはいかがでしょうか。
主要メーカーのYAMAHA、Bachから選ぶ
トランペットの主要メーカーはYAMAHA(ヤマハ)、Bach(バック)、B&S(ビーアンドエス)、Schilke(シルキー)など。本体とマウスピースは異なるメーカーでも組み合わせが可能です。
トランペットマウスピースは複数のメーカーから発売されていますが、種類の多さや入手しやすさ、価格などを考慮すると、YAMAHA、Bachのものが選びやすいでしょう。
トランペットのおすすめと選び方はこちら 初心者必見!各メーカーの本体もチェック
マウスピースを選ぶ際は、楽器店で試奏し比較を! ピアノ講師・元大手楽器メーカー店員がアドバイス
トランペットのマウスピースは同じ型番でも一つひとつに個性があります。奏者の口の形、唇の厚さ、しいては体格や肺活量によっても音色や吹きやすさが変わってきます。楽器店で納得のいくまで試奏し、より相性のいいマウスピースと出合ってください。
トランペット用マウスピースおすすめ10選 YAMAHAなら『11B4』、Bachなら『5C』が人気
ここまで紹介した選び方を踏まえて実際の商品を見ていきましょう。
奏法がしっかり身について音量や音色が安定するまでは、標準モデルのマウスピースを使うことをおすすめします。YAMAHAの『11B4』は、浅めのカップが効率よく息を集められるため楽器を始めてすぐの方でも音が出やすいと人気のモデル。
同じリム内径でも『11C4』になると、より深みのある柔らかな音色が狙えます。Bachのマウスピースなら『5C』がおすすめ。華やかさのなかにも奥行きを感じられる音色になります。

初級者も上級者も使いやすいスタンダードタイプ
真ちゅう製のスタンダードシリーズのマウスピースで、バックの7C、ジャルディネリの7Cに相当するサイズです。
バイトが明確でほどよいリムを持つことから、唇にあわせやすく、吹奏楽からジャズなどさまざまな用途で用いられるオールラウンドなタイプです。初心者から上級者まで使えるスタンダードなマウスピースといえます。
リムがなめらかで大音量が出せる
カスタムシリーズには、マウスピースの内径にまで金メッキが施されています。バックの5C、ジャルディネリの5Cに相当するサイズのマウスピースです。
金メッキ仕様で口あたりがなめらか。リム形状も音の移行が容易となるよう配慮されていて柔軟性に富んでいます。標準的なカップサイズながら大音量が出しやすく、吹奏楽やオーケストラで好まれます。
さまざまなプレイに対応できるマウスピース
マウスピースの内径も金メッキ仕立てになっているカスタムシリーズのマウスピースです。バックの3C、シルキーの15Bに相当します。
リム径がやや大きくいろいろな唇のあて方に対応できます。またカップはやや浅く高音域にも対応しやすい構造です。完成度が高く、演奏者のテクニカルな要求にも柔軟に対応できるのも特徴です。

吹奏楽向きのマウスピース
スタンダードシリーズは、真ちゅうで作られています。バック7Dに相当するサイズのマウスピースで、スロート直径は3.65mmです。
カップの深さややや浅めで、リムの大きさがほどよく耐久性に富んでいることから、吹奏楽用途で選ばれる場合が多いです。音色が輝かしく響くため、D菅やE♭管、ピッコロトランペットにも使われます。

生き生きとした豊かな音が楽しめる
リムの厚さは標準的なMWタイプ。内側と外側を丸くしているものの、どちらかというと平らな形状です。
Bachのスタンダード・マウスピースは、適度な抵抗で疲労を防ぐ構造になっていますが、5Cは唇が丈夫で、リムの角があたるのを好まない方に向いています。しっかりとした口あたりで生き生きとした豊かな音が楽しめます。
高音域に強いマウスピース
真ちゅう製のスタンダードマウスピースで、シルキーの13A4aに相当しています。
リムはややフラットで、カップが浅いため、唇とマウスピースがしっかりあたり、息が勢いよく入りやすいです。スピード感のある音が出しやすいため、ピッコロトランペットやリードトランペッターなど、高音域を演奏する機会が多い場合に向いています。
用途を選ばないオールラウンドなマウスピース
世界中でよく使われているスタンダードタイプのマウスピースです。
リムの角が立っていないため、口あたりがよいところが特徴。楽器を吹くのに慣れているなど、丈夫な唇の人に向いています。リムの直径が17.00mmと大きく、カップのサイズも標準的なサイズのため、オールラウンドに使えます。あたたかく大きい音が出せるでしょう。
大きめカップでオールラウンドに使用可能
Bachのなかでも主力となっているサイズのひとつで、フリューゲルホルン向けやダイナミックな音が出せるメガトーン、1920年代のデザインを踏襲するアルティザンなどさまざまなシリーズが取り扱われています。
低音域に強く、音量が大き出しやすい大きめのカップを採用していて、オールラウンドに使えるマウスピースです。
世界中で好まれるスタンダードなモデル
世界中で多くの人に使われているBachのスタンダード・モデルのなかでも非常に多くの人に使用されているモデルです。
リムの厚さは標準的で外側に向かって低くなっているのが特徴。リムの内側が立っているものの全体的には丸めのリムでグリップがよいです。
輝かしい音で、学生からプロ奏者にまで支持されています。
なめらかな口あたりで豊かな音色
練習用ではなく、実際に本体に取りつけて使えるポリカーボネート樹脂(LEXAN製)のマウスピース。寸法はBachのモデルに相当し、樹脂特有のなめらかな口あたりで豊かな音色が楽しめます。
大人数で演奏する際に色にこだわって楽しめるほか、寒い時期の練習時に気になる唇のひんやり感が緩和できます。シリーズ全体でカラーバリエーションは全28色。クリアタイプはアンブシュアの確認にも便利です。
「トランペット マウスピース」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする トランペットマウスピースの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのトランペットマウスピースの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
トランペットケースやスタンドもあわせてチェック 【関連記事】
トランペット用マウスピースは自分にあったものを見つけよう まとめ
トランペットマウスピースはカップの直径とカップの種類など内部の構造がこまかく作りこまれています。部活で使う場合など、最初の1本は5Cをはじめ3~7が人気です。
日本でよく選ばれているマウスピースは1C、1 1/2C、2C、3B、3C、5B、5C、6C、7C、10 1/2Cなど。吹きなれていくと演奏したい曲にあわせて求めるマウスピースの形が変わっていくでしょう。自分がめざす音に近づけるよう、いろいろな形状を試してみてもおもしろいでしょう。
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