3Dプリンターとは
プリンターで印刷するかのように、立体物を形作ることができるのが3Dプリンターです。以前は専用ソフトを使い立体物のデータを作る必要がありましたが、最近ではかなり手軽になり、3Dスキャナーで見本をトレースして複製することもできるようになっています。
材料の多くは樹脂や粉末状のもので、縦・横・高さの3軸で立体的に材料を組み合わせ、形を作っていきます。近年では家庭用の3Dプリンターも続々と登場し、手軽なものだとスマホケース、子ども用玩具、フィギュア、生活雑貨など様々なものが作れます。
▼3Dプリンターのメリット
3Dプリンターは、1点ものの立体物を作ることに向いています。例えば結婚式や人生の節目のお祝いに、自作したその人の3Dフィギュアやかわいい人形などをプレゼントすることもできます。
また仕事の面では、模型や試作品などの見本づくりに活躍します。紙に書かれた図面や透視図を見ながら議論するよりも、立体物が目の前にある方が長所も短所もよく見えて問題点や課題も把握しやすくなります。
▼3Dプリンターのデメリット
もちろんデメリットもあります。ひとつは量産には向かないこと。そしてもうひとつは、出力した立体物の強度が弱いことです。
1:「量産には向かない」
家庭に普及してきたとはいえ、やはりまだ一つの制作物を作る材料費などのコストは高いです。そのため、一点ものは作れても、それを大量に製造するのは製造コストが高額になってしまいます。
2:「出力した立体物の強度が弱い」
薄い層をいくつも重ねて立体物を作るので、どうしてもその接合部分が弱く、層が割れるといった破損がおきやすくなります。従って、造形の見本としてはじゅうぶんでも、実用的なパーツとしては使えないのが現状です。
3Dプリンターの選び方
それでは、3Dプリンターの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の6つ。
【1】層を細かくプリントできるか
【2】造形方式
【3】作成可能サイズ
【4】3Dスキャン機能
【5】Wi-Fi機能
【6】使用できる素材
上記の6つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】層を細かくプリントできるかをチェック
3Dプリンターは一層一層積み重ねてプリントしていき、3Dモデルを作成します。この一層一層のプリントが、結果として造形物を作成するというわけで、この層をこまかくプリントできるほどなめらかな造形物ができることになります。
1つの層のサイズを「積層ピッチ」といいます。高機能機ほど、この積層ピッチが小さくスムーズな曲面を描くことができます。ビギナーユーザーであまり造形にこだわらないのであれば、神経質にならなくて大丈夫でしょう。0.1mm程度であれば通常用途には充分です。
【2】造形方式をチェック
3Dプリンターの造形方式は1つではありません。一般向けにはFDM方式(熱溶解積層法)が使われています。これは熱で溶かした素材を一層一層重ねていき、造形していくものです。
ほかには光造形方式(光硬化性樹脂を噴霧し、紫外線レーザーで一層ずつ硬化させて造形していく方式)などがあります。光造形はFDMよりも細かい造形をすることができます。
【3】作成可能サイズをチェック
3Dプリンターは機種によって作成できるモデルの最大サイズが決まっています。当たり前ですが、「自分の作成したいものを作成できるか?」ということを考えて3Dプリンターを選択しましょう。
ただし、作成できるモデルのサイズが大きいと本体のサイズも大きくなってしまうので、プリンターの置き場所を考えて選択することも大事です。3Dプリンターは意外と大きいので、家庭での導入においては重要な問題です。
【4】3Dスキャン機能をチェック
3Dプリンターはモデリングのために対応する3D CADソフトを使うのが一般的ですが、作りたいものがある場合、実物をスキャンしてベースデータを作成したほうが手っ取り早いことがあります。
立体物のスキャンには3Dスキャナーが必要になりますが、最近の3Dプリンターは3Dスキャン機能を持っていたり、オプションで対応できるものがあります。3Dスキャナーがあれば、コピーしたいものをスキャンしてデータを作成できるので便利です。
【5】Wi-Fi機能をチェック
最近のパソコンは無線LANで手軽にデータを転送できるものが一般的ですが、3DプリンターにもWi-Fiが搭載されているものが増えています。
プリンターの設定の変更をスマホからできるものもあり、3Dプリンター本体のボタンを操作するよりラクに作業できます。プリンターを移動させるときも、ケーブルを気にしなくてよいので便利です。
【6】使用できる素材をチェック
PLA樹脂
PLA樹脂のメリットは、低温での加工が可能で反りに強いこと。デメリットはかたいために出力後の加工が難しく、柔軟性がないため割れやすいことです。
ABS樹脂
ABS樹脂のメリットは、出力後の加工がかんたんで柔軟性があること。デメリットは反りやすいためうすくしづらいことです。
【※】重要:カスタマーサポートの有無は確認しよう
家庭用として商品化してまだ日が浅い3Dプリンター。感覚的な操作ができない分、使用上のトラブルも多くなりがちです。しかし、家庭用3Dプリンターのメーカーによっては、カスタマーサポートの体制が整っていない場合もあります。
はじめて使う方は、なるべく日本向けのローカルサポートが整っているものや、メーカー保証がついているものを選びましょう。
エキスパートのアドバイス
維持の面倒さも考慮して購入しよう
3Dプリンターは自分が何をしたいのか、という目的をよく考えてから選ぶようにするといいでしょう。また、実際に使っていると、メンテナンスなど気をつかわなければならないことが多いので、意外と維持に手間がかかります。
このあたりは普通のプリンターとは大違いなので、覚悟して買いましょう。3Dプリンターは進化の早い分野なので、型落ちで安くなったものなどはあまりおすすめできません。
おすすめ4選|初心者も使える家庭用モデル
上記で紹介した携帯扇風機の選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。
まずは初心者も使える家庭用プリンターです。簡単な玩具制作やスマホケース作りなどにピッタリの機種ばかりです。ぜひ参考にしてください!
組み立て済みで即戦力に使える3Dプリンター
3.5インチカラーディスプレーで、操作も直感的に行えそうな3Dプリンターです。残念なことに日本語には非対応で、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、トルコ語となっています。
コンパクトサイズなので、印刷サイズは145mm立方が限界。スマホケースを作る場合は、1辺をケース面にするとギリギリかもしれません。斜めにレイアウトするなどの工夫が必要になるかもしれません。
スマホケース向けの素材としてTPUとABSのフィラメントが使用できます。

家庭向きのお手軽3Dプリンター
ビギナーにおすすめな家庭向け3Dプリンター。家庭に置きやすいコンパクトなサイズですが、それでいて大きなサイズ(150×150×150mm)のプリントをできるのが特徴です。プリンターの調整を行うオートキャリブレーション機能が搭載されているため、設定がラクなのも魅力。
また、同社から発売されている細菌が繁殖(はんしょく)しにくい抗菌性PLAを使うことで、清潔感の高い日用品を作成することが可能。これなら、子どもが使うのにも衛生面で安心感が高くてよいですよね。重量は7.7キロで、設置場所を移動するのも比較的カンタンにできるのもうれしいポイントです。
タッチパネルによるかんたん操作が魅力
操作パネルがタッチパネルになっており、はじめての方でもスマートフォン感覚で操作しやすい3Dプリンターです。複数のユーザーが同時に印刷指示を送信できるため、チームで製作をしている場合に、生産スピードが向上することもポイントです。
比較的コンパクトかつ軽量。また、ボディに取っ手がついていることもあり、持ち運びがしやすいのも大きな特徴といえるでしょう。
約1kgのボディがインテリアとしても映える1台
クラウドファンディングで、11,850人もの投資家から出資を受けたことにより開発された3Dプリンター。機能が必要最低限のものに絞りこまれており、それによって約1kgという軽さを実現しています。そのため、はじめて使う方でも扱いやすいものになっています。
また、シンプルなデザインはインテリアとしても秀逸で、工業製品っぽさの少ないおしゃれな1台となっています。
おすすめ3選|プロも使える本格モデル
続いては、本格的な機能が充実した3Dプリンターです。フィギュア制作などだけでなく、アートなどでもハイクオリティな制作ができる機種ばかりです。ぜひ参考にしてください!

スキャナー搭載で本格的に使える3Dプリンター
ビギナーよりは本格的に3Dプリンターをいろいろ使ってみたい人におすすめな製品。3Dスキャナーを搭載しているので、ミニカーやフィギュアといった実物をスキャンしてコピーを作成することができます。また、オプションのレーザーユニットを使えばレーザー刻印も可能なので使い勝手がいいでしょう。
さらに、ワイヤレス接続にも対応し、プリントアウトのパソコンの置き場所を自由にできるのもポイントです。すでに1台目の3Dプリンターを持っている人で、3Dスキャン機能を利用して3Dプリンターでいろいろな使い方をしてみたいという方におすすめ。ただし、サイズが大きいので置き場所に注意が必要です。

先進機能搭載のハイテク3Dプリンター
この商品は、内部カメラでモデリングを外部から監視できたり、ネットワーク経由で制御、管理できるなど従来の機器には見られない高性能な機能を搭載しています。新しい使い方を実現してくれるでしょう。
本体サイズはコンパクトながら、150×150×150mmまでのプリントができるのもポイント。200万画素のカメラを内部に搭載しているので、プリントの様子をクラウド経由で離れた場所から監視することができるのも便利ですよね。また、無料で使えるクラウドサービスFlashCloudでもネットワーク経由で制御と管理ができます。
キュートで魅力的なボディの3Dプリンター
本体がコンパクトで見た目もキュートな3Dプリンター。取扱説明書は英語です。PCに接続しなくても本体の2.8インチカラータッチスクリーンで操作が完了できます。見た目はややおもちゃのようではありますが、機能はしっかり作り込んであります。特に、積層ピッチの幅(0.05〜0.30mm)は本格派のマシンよりも細かいほどです。
ホワイトとオレンジのカラーバリエーションもユニークで、家庭や教室、コーヒーショップにも(メーカーHPいわく! )マッチします。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 3Dプリンターの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での3Dプリンターの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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まとめ
はじめて使う方が3Dプリンターを選ぶうえでもっとも重要なのは、「どんな素材」で「どんなサイズ」のものを作りたいのか、ということです。この2点については購入時にしっかり検討しておかないと、後々の後悔につながりかねません。
その2点を考えたうえで、サイズや軽さなどの取り回しに関係する部分や、積層ピッチなどの精度に関係する部分を、値段と相談しながら決めていきましょう。
3Dプリンターのレンタルやシェアオフィスなどでの出力体験、モデリングから出力までを請け負う3Dプリントサービスなども広がっていますので、それらを利用して3Dプリントについての知識を蓄えるのもよい方法です。
手軽に楽しめる家庭用3Dプリンターは、家で小物などを作成する際、その可能性を無限に広げてくれます。まずは1台購入してみて、自身のクリエイティブな能力を存分に発揮してみてはいかがでしょうか。
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