超望遠カメラの選び方 広角から超望遠、高速シャッタースピード、小型軽量、便利機能
写真家の田中希美男さんに、超望遠カメラを選ぶときのポイントを教えてもらいました。

Photo by Rula Sibai on Unsplash
スポーツ撮影、飛行機撮影、野鳥撮影などさまざまなシーンで超望遠レンズは大活躍間違いナシ!
広角から超望遠までどれだけ広い範囲が写せるか 内蔵ズームレンズの画角
写真家、カメラ評論家
この記事で取り上げるカメラは、広角から超望遠まで写せる高倍率ズームレンズを内蔵させたデジタルカメラです。
内蔵しているレンズはカメラ本体と一体固定式になっていてレンズ交換はできません。その内蔵ズームレンズがどれだけ幅広い画角を自在に写せるかがチェックポイントのひとつです。
どのメーカーも撮影可能な画角は一般的な35mm判(フルサイズ判)カメラ換算であらわしていますので、その数値(焦点距離mm相当と表記)を見比べればかんたんに撮影可能な画角範囲の比較ができます。
連写性能とオートフォーカス性能をチェック
ピンぼけ写真を防ぐためにも、オートフォーカスの性能チェックは欠かせません。超望遠撮影では、被写体が少し動いただけでもピンぼけ写真になってしまいます。シビアなピント合わせに対応するためにも、合焦速度の秒数をスペック表で確認するなどして、オートフォーカスの速さや正確さをチェックしておきましょう。
また、被写体の動きが把握しにくい超望遠では、シャッターチャンスを逃しやすくなります。シャッターチャンスを捉えるためにも、連写速度が速いタイプを選んで、素早く複数枚の写真が撮れるようにしましょう。
高速シャッタースピード撮影が可能な機能を備えているか 手ぶれを防ぐ、高ISO感度
写真家、カメラ評論家
この記事で紹介するほとんどのカメラは、手ぶれ補正機能が内蔵されていて、手ぶれを効果的に補正してくれます。しかし、手ぶれ補正機能は万全ではありません。手ぶれ(カメラぶれ)だけでなく動く被写体のぶれを極力目立たなくするには、より高速シャッタースピードで写すことがもっとも効果的です。
高速シャッタースピードで撮影するためには高ISO感度が選べること、シャッタースピード優先オート撮影のモードを備えていることなども高倍率ズームレンズ内蔵型カメラでは大切な撮影機能です。
三脚があると便利
安定感のある撮影がしたいときには、三脚の使用がおすすめです。超望遠での撮影は、多少のブレでも撮影に大きな影響を与えます。
しかし、三脚にカメラを固定してしまえば手ブレが起きないので、シャッタースピードが遅くてもしっかりと撮影できます。被写体ブレを防ぐことはできませんが、撮影シーンの幅は広がるでしょう。
大きさのバランスとグリップ 小型軽量かほどほどの大きさか
写真家、カメラ評論家
高倍率ズームレンズ内蔵のカメラは、スタイリッシュな薄型コンパクトカメラとちがって一眼レフカメラ風のやや大きめのスタイルをしています。より小さくて軽いカメラのほうが持ち運びには適しているのですが、サイズが小さすぎるとカメラをしっかりと保持しての撮影がしにくくなります。
ほどほどの大きさのカメラで持ちやすいグリップが備わっているかどうかは、カメラ選びのときにじゅうぶんにチェックしたいところです。
魅力的な便利機能を持ったカメラか 電子式ファインダー(EVF)やWi-Fi機能など
写真家、カメラ評論家
カメラ背面の液晶モニターの角度を自在に変えられる機能があれば、低いアングルや腕を伸ばして高い位置からの撮影がかんたんです。液晶モニターだけでなく電子式ファインダー(EVF)つきのカメラだと、カメラをしっかりとホールディングして撮影できるだけでなく明るいシーンでも構図を決めやすくなります。
Wi-Fi機能を備えていれば、撮影した画像をすぐにスマホに転送することもできます。そうした便利機能があるかどうかもチェックポイントです。
超望遠カメラのおすすめ20選 ネオ一眼タイプから高倍率ズームコンデジまで
うえで紹介した超望遠カメラの選び方のポイントをふまえて、実際に写真家の田中さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

Canon(キヤノン)『PowerShot(パワーショット)SX70 HS PSSX70HS』














出典:Amazon
21mm超広角〜1,365mm超望遠まで4K撮影
超広角の21mm相当画角から超望遠の1,300mm相当まで光学ズームで撮影ができます。さらにプログレッシブファインズーム(デジタルズーム)機能を利用すれば、それほど画質を低下させずに約2,700mm相当もの超望遠撮影も可能です。
キヤノン独自の画像処理エンジンDIGIC8の採用をしていますから、高画質な写真が得られますし、写したいものにピントを合わせ続けながら秒間最高5.7コマの高速連写ができます。
撮影モードはP/A/S/Mのほか、各種便利なモードも搭載しており、自由で個性的な写真表現ができるでしょう。Wi-Fi機能を使ってスマホに画像転送も素早く可能です。
液晶モニターはバリアングル式なので自撮りも可能ですし、カメラを確実に構えて撮るときに便利なファインダー(EVF)も備えています。このように、このカメラにはおすすめポイントがたくさんあります。

Canon(キヤノン)『PowerShot(パワーショット)SX430 IS PSSX430IS』














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低価格で小型軽量ながら光学45倍ズームレンズ内蔵
カメラサイズが幅が約10センチ、奥行き約8.5センチ、高さは約7センチ、重さはバッテリーメモリーカード込みでも約300グラム。片手で軽々と持てる小型軽量薄型で高倍率ズームを内蔵していることがこのカメラのおすすめポイントのひとつです。そして、低価格であることも大きな魅力。
小型軽量薄型にもかかわらず、広角24mm相当から超望遠1,080mm相当の画角までを光学式ズームでカバーします。デジタルズームに切り替えれば超々望遠撮影もできます。ファインダーは備わっていませんが背面液晶モニターは3.0型で充分な大きさがあります。
内蔵フラッシュが備わっていて暗いシーンでもシャープに写せます。もちろん、手ぶれ補正機能もありますので、フラッシュなしで暗いシーンを撮影することも可能です。高速ではないですが連写撮影の機能も備えています。

Nikon(ニコン)『COOLPIX(クールピクス)P1000』


































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3,000mm相当! の超々望遠カメラ
一般のレンズ交換式カメラ用のレンズには、広角画角から3,000mmもの超望遠の焦点距離をカバーするレンズは存在しません。仮にあったとしても巨大でひとりで持ち運びすることができません。ところが、P1000には強力な手ぶれ補正機能も備わっているので、超々望遠3,000mmでも手持ち撮影することが可能。
さらに、デジタルズームを利用すればなんと1万2,000mm相当もの天体望遠鏡なみの撮影ができます。4K動画撮影もスローモーション撮影も可能。ただしカメラボディはそれなりに大きく、望遠撮影をすればレンズが長く伸びます。その際さらにカメラが大きくなることは覚悟してください。
野鳥や野生動物の撮影や、広い球技場でのスポーツシーンなど活用する場面は多いでしょう。

Nikon(ニコン)『COOLPIX(クールピクス)B500』














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単三形電池が使用できて高速連写可能な一体型カメラ
小型で軽量なボディに、広角の30mm相当から望遠900mm相当までの幅広い画角をカバーする高倍率ズームレンズを内蔵しています。さらに、デジタルズームの機能を使えば3,600mm相当の画角まで撮影できる、じゅうぶんな撮影機能を備えています。
なんといってもこのカメラのいちばんのおすすめポイントは、電源として単三形乾電池(4本)が使えること。もし外出先でバッテリーがなくなっても単三電池ならコンビニでも入手できます。
B500にファインダーは備わっていませんが、角度可変のチルト式3.0型モニターを搭載しています。秒間最高7.7コマの連写も可能で、記録サイズは少し小さくなりますが約120コマ秒で最大50コマの高速連写もできますよ。

SONY(ソニー)『Cyber-shot(サイバーショット)DSC-HX400V』




















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24〜1,200mm相当の光学式50倍ズーム内蔵
強力な手ぶれ補正の機能を備えているので、超望遠1,200mm相当でも手持ち撮影できます。比較的小型なカメラですが、グリップの形状もよいのでしっかりとしたカメラホールディングが可能。デジタルズーム(全画素超解像ズーム)にすれば高画質な2,000mm相当の撮影もできます。
秒間最高10コマの高速連写もでき、動きの速い被写体にも適した60fpsでのフルハイビジョン動画撮影も可能です。角度可変式の3.0型液晶モニターのほか、電子式ビューファインダーも備えています。
P/S/A/Mの基本撮影モードのほかに、初心者でもかんたんかつキレイに写せるオートモードも搭載。別売付属品として大光量の専用フラッシュやステレオマイクなども用意されているなど、拡張性のあるカメラです。

SONY(ソニー)『Cyber-shot(サイバーショット)RX10IV DSC-RX10M4』
































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1.0型の大型イメージセンサー内蔵のカメラ
最新の裏面照射型1.0型CMOSセンサーを使用しているので、高画質な画像の撮影が可能。また、一眼レフカメラに採用されている高速ピント合わせが可能な「位相差検出方式AF機能」を搭載。高速AFで高画質な画像が、このカメラのおすすめポイントです。AF測距ポイントも像面位相差で315点と画面の広い範囲をカバーしてくれます。
AFとAEを追従させながら最高約24コマ秒で、最大249コマもの撮影枚数を高速連写することも可能。ズーム域は広角24mm相当の画角から600mm相当の望遠画角までと、望遠側がややもの足りないと感じるかもしれません。
しかし、レンズの開放F値がF2.4~F4.0と明るいため、デジタルズームに切り替えてもそれほど画質を低下させることなく、約1,200mmの超望遠撮影することが可能です。絞り値の設定は、リング式なので直感的な操作ができます。上級者向きとも言えるカメラ。

Panasonic(パナソニック)『LUMIX(ルミックス)FZH1 DMC-FZH1』


















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4K動画撮影も可能な光学20倍ズーム内蔵カメラ
広角側は24mm相当です。しかし、望遠画角は480mm相当までと、このクラスのカメラとしてはやや控えめ。ただ、一般のコンデジ用センサーよりもずっと大きな1.0型CMOSセンサーを使用することで、約2,000万画素の高画質な写真が撮影できます。
デジタルズーム機能を使えば最大で1,900mm相当の超望遠撮影も可能ですし、画質の低下も気になるほどではありません。1.0型CMOSセンサーを使用することで最高ISO感度はISO25600まで設定できます。
このカメラのいちばんのおすすめポイントは本格的な動画撮影の機能を備えていることです。60fpsのFHD動画はもちろん、30fpsでの4K動画の撮影ができます。さらに、高精度なAF機能を生かした追尾AFで最高7コマ秒の撮影や、ピント固定なら12コマ秒の高速連写も可能です。
フラッシュを内蔵しており、液晶モニターがバリアングル式で角度を自由に変えられるのもうれしいポイント。プロカメラマンでも使用できる高機能なカメラです。

Panasonic(パナソニック)『LUMIX(ルミックス)FZ85 DC-FZ85』
















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小型軽量なカメラボディに光学60倍ズームを内蔵
幅が約6センチ、高さは約10センチ、奥行き約10センチのカメラサイズで、電池込み約370グラムという小型軽量が特長の高倍率カメラです。そのコンパクトなカメラに超広角20mm相当から超望遠1,200mm相当まで幅広い画角をカバーするズームレンズを内蔵しています。
動画機能は大変充実していて、4K動画のほか60fpsでのフルHD動画、さらには最高240コマ秒での超スローモーション撮影も可能。パナソニックの独自機能である空間認識AFにより高速で確実なピント合わせができます。
AF追従させながら最高約6コマ秒の連写もOK。背面液晶モニターは固定式ですがタッチパネルによる操作ができるうえ、電子式ビューファインダーも備えています。ポップアップ式のフラッシュも内蔵するなどカメラ機能にほとんど不満はありません。

Leica(ライカ)『ライカV-LUX(ブイルックス)TYP114 18194』














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高級カメラメーカー、ライカの高倍率ズーム一体型
内蔵の高倍率ズームレンズはライカDCバリオエルマリートの光学16倍ズームです。広角25mm相当から望遠は400mm相当までとズーム倍率はやや控えめですが、レンズの開放F値は広角側でF2.8望遠側でF4.0とこのクラスとしては明るいレンズといえるでしょう。
無理に高倍率化せずすぐれた描写性能を狙った、いかにもドイツ製のカメラという印象です。高画質な静止画が撮影できることはもちろん、FHD動画はもちろん4K動画の撮影も可能。
電子式ビューファインダーとバリアングル式液晶モニターを搭載しているので自由なアングルでの撮影もできます。さらに、一般のコンパクトカメラより大きなサイズの1.0型CMOSセンサーを採用しているので、より高ISO感度で高画質な画像の撮影ができます。
超高速50コマ秒や高速12コマ秒で連写することも可能なデザインのよい高級カメラです。
Nikon(ニコン)『COOLPIX(クールピクス)P950』






























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Canon(キヤノン)『PowerShot(パワーショット)SX740 HS PSSX740HS』














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Panasonic(パナソニック)『LUMIX(ルミックス)TZ95 DC-TZ95』














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SONY(ソニー)『Cyber-shot(サイバーショット)DSC-HX99』


































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Panasonic(パナソニック)『LUMIX(ルミックス)FZ300 DMC-FZ300』










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SONY(ソニー)『Cyber-shot(サイバーショット)DSC-WX800』


































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Nikon(ニコン)『COOLPIX(クールピクス)B600』
































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ライカ『V-LUX5(19121)』


















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Canon(キヤノン)『PowerShot SX420 IS(PSSX420IS)』






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Canon(キヤノン)『PowerShot SX720 HS(PSSX720HS)』






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Panasonic(パナソニック)『ルミックス TZ85(DMC-TZ85-S)』












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「超望遠カメラ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする デジタルカメラの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのデジタルカメラの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
しっかりとカメラを構えて正確なピントで撮るのがポイント カメラ評論家からのアドバイス
写真家、カメラ評論家
高倍率ズームレンズの多くは、広角から超望遠まで自在に画角を変えて撮影でき、なおかつ近接撮影(マクロ撮影)もできる万能レンズです。そんな大変便利なカメラですが、使いこなしにはちょっとした注意点も。
そのなかで大切なことは、カメラをしっかりと両手で構えピントが合ったことを確認して、落ち着いてシャッターボタンを押し込んで撮影することです。超望遠で撮影するときはとくに注意してください。せっかくいい写真を撮ったつもりが、ぶれていたりピンぼけだったりするとガッカリしてしまいます。
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。