鉄瓶とは?
鉄瓶はお湯を沸かすために使われる鉄器でできた急須のような形をした瓶です。有名な鉄瓶は岩手県の南部鉄器で、海外からの評価も高い一品です。
鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな味になり、鉄瓶から溶け出た鉄分を摂取できるといわれており健康志向の人にも人気があります。しかしデメリットとして、鉄でできているのでかなり重く、錆やすいのでお手入れがたいへんということが挙げられます。
鉄瓶と鉄製急須の違いは何?
鉄瓶と鉄製急須は見た目がよく似ていますよね。しかし、実際にはその構造に大きな違いがあります。まず、急須の主な目的はお茶を淹れることなので、直接火にかけることはできません。反対に鉄瓶はお湯を沸かすための道具なので、ガスやIH、薪火、ストーブなど熱源で使用することができます。
鉄瓶の選び方
鉄の鋳物でできたお湯を沸かす道具「鉄瓶」。昔から日本にあるものですが、現代社会ではあまり馴染みがない人も多く、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、フードスタイリストの水嶋千恵さんに、鉄瓶を選ぶポイントを教えていただきました。どんな商品を選べばいいのか悩んでいる方は、専門家の視点を商品選びに生かしてみましょう。ポイントは下記のとおり。
【1】大きさで選ぶ
【2】内側の加工をチェック
【3】熱源を確認する
【4】デザインで選ぶ
【5】老舗メーカーを選ぶ
それぞれ解説していくのでチェックしてみましょう。
【1】大きさで選ぶ
鉄瓶を購入する際にチェックしておきたいのが大きさです。鉄はもともと重いため、鉄瓶のサイズが大きくなるほど本体の重量も重くなります。
さらに、使うときには水の重さも加わるため、実際にはスペック以上の重さになります。自分が扱いやすい重さの鉄瓶を手に入れるためにも、しっかり大きさをチェックしておきましょう。
【2】内側の加工をチェックする
鉄瓶の内側に施された加工によって、使いやすさなどにも大きな影響を与えます。そのため、内部加工の方法や特徴もしっかりチェックしておきましょう。
「ホーロー加工」されていると鉄成分が溶け出しにくい
鉄瓶のよさのひとつでもある、お茶などに鉄の成分が溶けこむことで体にもいいと言われています。しかし、内側にホーローなどの加工がしてある鉄瓶もあり、そうなるとお湯が鉄瓶にふれることがないので特徴がいかせません。
鉄瓶から溶け出た鉄分を摂取したい方は、内側の加工は忘れずにチェックしましょう。
「金気止め」してあると錆びにくい
鉄瓶の仕上げに、炭を燃やして鉄瓶を高温で焼く『金気止め』の処理がしてあるかも重要です。この仕上げがしてあると、錆にくく長く使うことができます。
【3】直火かIHか熱源を確認する
さまざまな熱源に対応が可能な鉄瓶ですが、なかにはIH(電磁調理器)に対応していない鉄瓶もあります。
底辺に凹凸がないタイプや、瓶底の広さが十分あるタイプなどは、IHに対応している可能性が高いです。商品には必ずIH対応と書いてありますので、注意して購入するようにしましょう。なんでも大丈夫と思って購入したものの使えなかった……、と悲しいことにならないように、仕様をよく確認をして購入しましょう。
【4】デザインに注目する!
南部鉄器の世界的な注目から、日本の伝統的なデザインに豊富なカラーで色付けしたものも販売されています。海外の人からも人気がでるようにポップでかわいい鉄瓶も多くなりました。おしゃれなデザインのものを使うと気分も高まるのでおすすめです。おしゃれで可愛い鉄瓶でおいしくお茶を飲んでみましょう。
【5】老舗メーカーを選ぶ
今までのおすすめポイントを踏まえたうえでまだ迷っているなら、日本の老舗メーカーのものを選ぶのもおすすめです。
使われる鉄の質・コーティング材や、伝統的な製法で製造されること、また「鉄瓶といえばココ!」という信頼できるメーカーのものなら、長く安心して使えます。
日本の老舗鉄器メーカーとしては、「OIGEN(及源鋳造)」や「IWACHU(岩鋳)」などが有名です。
OIGEN(及源鋳造)|鉄器で人々の暮らしに寄り添うメーカー
「及源鋳造(おいげんちゅうぞう)」がある岩手県水沢は、村人たちが彼らの生活に必要な道具も自分たちで作ってきた歴史から、鋳物業が長く続いてきた地域です。
生活に必要なものだからこそ、丈夫で長く使えることが重要。そんな土地で発展した及源の鉄器は、決して華美とは言えないけれど、長く人々に愛用され続けているのです。
IWACHU(岩鋳)|茶の湯の伝統を受け継ぐ鉄器メーカー
「IWACHU(岩鋳)」のある岩手県盛岡市は、茶の湯の普及とともに鉄器文化が発展した土地です。南部藩主からの加護のもとその技術は磨きを増し、「南部鉄器」は全国的なブランドとして支持されるようになりました。
デザインから販売まで自社で行う岩鋳は、伝統的工芸品に新たな風を取り入れた先進的なデザインの鉄器を製造するなど、国内外で愛されるブランドとして成長し続けています。
鉄瓶のおすすめ9選
フードスタイリストの水嶋千恵さんと編集部が選んだおすすめの鉄瓶をご紹介します。
伝統的でありながらかわいいデザイン!
丸みのある形と、「アラレ」という南部鉄器の伝統的な模様が特徴的な鉄瓶。コロンっとしたかわいらしいデザインに仕上がっているので、鋳鉄の無骨さを感じさせないのが魅力です。
内部は加工せず素焼きにすることで、鉄瓶本来のはたらきを期待できるのもポイント。男性でも女性でも使いやすいため、初めて鉄瓶を使う人におすすめです。
毎日使いたくなるスタイリッシュなデザイン
一般的な鉄瓶とは異なり、モダンな形に仕上げた鉄瓶。つまみに天然木を採用することで、白湯を沸かすときに手間がなく、やけどなどの危険も軽減できるのがポイントです。
また、ガスにもIHにも対応しているため、自宅の設備に合わせて自由に使えるのも魅力的。ほかにはない特徴的なデザインだけでなく、実用性も高く、毎日使いたくなる鉄瓶です。

鮮やかな色に心躍るカラフルな鉄瓶
こちらの鉄瓶は、7色からお好みのカラーを選べます。鉄瓶本体の上を漆黒に着色し、さらに上から色づけが行なわれており、かわいらしさと鉄瓶らしいカッコよさの両方を感じられるでしょう。
容量は0.6Lと、ひとりでたっぷり飲んでも、2~3人で楽しんでも大丈夫。しかし、直火・IHを含め加熱ができない商品のため、急須として使用する必要がありますので要注意です。
また、内部は琺瑯(ほうろう)加工をしていますので、お手入れはかんたんですが鉄分補給目的には向いていません。デザインのいい急須やプレゼントをお探しの方におすすめの商品です。
金気止めと漆を塗って錆に強く長く使える!
窯焼きと漆を使った二重膜によって、内部の錆対策をしっかり行った鉄瓶。使いはじめるまでに錆ができることがなくなることで、手に入れたときからしっかり鉄瓶の働きを堪能できます。
「手まり」という名前のように、ボールのような丸いフォルムがかわいいのも魅力のひとつ。現代のキッチンの雰囲気やインテリアにもなじみやすく、使うアイテムにこだわる人も満足できるでしょう。
丁度よいサイズで扱いやすい鉄瓶
コンパクトなサイズ感で容量1Lという、扱いやすい特性を備えた鉄瓶。鉄瓶の上部には吉祥文様のひとつである亀甲模様を入れることで、テーブルの上などに置いておいてもおしゃれな雰囲気を醸し出します。
また、底面を厚く仕上げることで火力の高いIH調理器でも使用可能に。自分のライフスタイルへ自然になじむ、誰にでも使いやすい鉄瓶です。
味わい深いデザインが魅力的!
シンプルなのに味わい深い、どこか懐かしいデザインの鉄瓶。コンパクトな本体サイズは持ちやすいだけでなく、収納場所を選ばないため、日常的に使いやすい鉄瓶に仕上がっています。
容量は1.15Lやや多めなので、白湯などはもちろん料理などへも使いやすいのが魅力。自分用だけでなく、家族と一緒に、沸かした白湯などを楽しめる鉄瓶です。
鉄瓶兼用急須の小型鉄瓶
400年を越える南部鉄器の伝統を守りながら、現代の暮らしにもなじむ製品づくりへ取り組んできた岩鋳の製品です。
容量は0.65Lと小さめですが、鉄瓶としても急須としても使えるすぐれもの。兼用なので中身を入れ替えたりせず使えて、1~2人のティータイムに便利です。また、熱源はガスのほかに、IH100V・200Vにも対応。体が吸収しやすい二化鉄を多く含んだ鉄分が溶け出します。

たっぷり沸かせる昔ながらの鉄瓶
南部鉄瓶独特のアラレ文様を持つ、1.85Lたっぷりと沸かせる鉄瓶です。昔ながらのデザインの鉄瓶は、表面積が大きいほど保温性が高くなるという、先人の知恵からきているといわれています。
存在感のある大きさではありますが、鉄瓶特有のまろやかな味を楽しむことが可能。また、大家族でもみんなでじゅうぶんな量のお茶などを楽しむことができます。大きな鉄瓶を囲んで、家族でほっこりと穏やかな時間を過ごしたい方におすすめです。

持ち手も安全な機能性のいい鉄瓶
持ち手に麻紐が巻かれており、鉄瓶特有の取っ手が熱くなる懸念点を解消してくれる商品です。
鉄瓶らしいデザインもポイントのひとつ。直火、IHの両方に対応しているのもうれしい点です。容量は0.8Lのため、2~3人でお茶を楽しむときにはぴったりなサイズです。
ご夫婦やご家族で、ティータイムに鉄瓶を使用したいと考えている方におすすめです。
「鉄瓶」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 鉄瓶の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの鉄瓶の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
鉄瓶のお手入れ方法について
まず、購入したら鉄瓶に水を入れて沸騰させてお湯を捨てるという工程を3回ほど繰り返し行います。はじめは金気の影響でお湯がにごりますので繰り返し行い、無色になるまで行います。空焚きは絶対にしないでください。
はじめて鉄瓶でお茶を飲むときに変な味(錆っぽい味)がしたら、お茶のパックをいれて再度水から煮込んでください。煎茶に含まれるタンニンと鉄分の化学反応で金気止めを行います。濁りなどがなくなるまで繰り返すと良いでしょう。
また、お茶を飲むときに鉄瓶で沸かしたお湯は必ず捨ててください。お湯を鉄瓶の中に残しておくと錆の原因にもなります。お湯を捨てたら、フタを外し鉄瓶の中が乾くように置いておきましょう。
鉄瓶は水に弱いので、必ずキッチンペーパーなどで軽く拭いて水気が残らないようにしましょう。
【よくある質問】鉄瓶に関するQ&A
鉄瓶に関して、よくある質問にお答えします。
鉄瓶が錆びたらどうする?

鉄瓶の錆は、使っているとどうしてもついてきてしまいます。内側にあまりにも赤錆が広がってしまったときや、お湯が赤くなってしまうときには、以下の方法を試してみてください。
(1)鉄瓶に水をはり、煎茶のパックを入れて煮出す。(だしパックの袋に茶葉を入れたものでも可)
(2)煮出したら、溢れない程度に水を足して半日ほど放置。煎茶は入れたままにします。
(3)茶ガラとお湯を捨てて、一度お湯を沸かします。沸かしたお湯が澄んでいればOK!
※濁っている場合は、手順を繰り返します。
鉄瓶で白湯を作る方法を教えてください。

鉄瓶で白湯を作る場合には、水の量と沸かし方に注意しましょう。使用する水の量は、蒸発することを見越して、容量の70%以上まで入れるようにして多めに用意します。
沸騰したらカルキを取り除くために、鉄瓶の蓋を外して弱火で10分程度沸かし続けましょう。あとは、温度が下がるまで待てば白湯ができあがります。難しいポイントはないので、ぜひチャレンジしてみましょう。
鉄瓶を活用して新しい味わいを楽しもう!
鉄瓶はお湯やお茶を沸かすアイテムである一方で、作った飲みものの角がなくなりまろやかな味わいになるなどの特徴があります。そのため、いつも飲んでいるお茶などが、鉄瓶を使うだけでよりおいしく仕上がることも。
ただ、やかんやポットよりも鉄瓶は重く、不便さが目立ってしまい使わなくなることもあります。そこで、本記事で紹介した選び方などを参考にして、使いやすい鉄瓶を手に入れましょう。やかんやポットよりも値段は高めですが、長く愛用できるはずです。
購入した鉄瓶を活用して、いつもとは違うお茶やお湯の味わいを楽しんでみてください。
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立教大学経済学部卒業後、メーカー系商社に営業として勤務。 のちに退職し、各料理家やスタイリストのアシスタントを経て独立。 フリーランスのフードスタイリストとしてレシピ考案やフードスタイリングをTV番組、CM、グラフィック、映画、雑誌、書籍など、フードスタイリストとしては珍しく動画からスチールまで幅広く手掛ける。