SF漫画はどう選ぶ? 漫画ライターに聞く
「このマンガがすごい!」ライターの奈良崎コロスケさんに、SF漫画を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。胸躍るSF漫画と出会うためにも、参考にしてみてくださいね。
SF漫画は日常を忘れさせてくれる
『このマンガがすごい!』ライター
空想の世界に浸れるSF漫画はストレス解消効果あり
「SF=サイエンスフィクション」は漫画の原点。何千年も先の未来、はるか宇宙の彼方、パラレルワールド……。白い紙の上ならどんな場所だって自由自在。
異星人やロボットだって主人公にできます。現代を舞台にしたリアルな設定の作品で、同じような立場の主人公に共感する……というのも漫画の楽しみ方のひとつですが、あまりにもシンクロしすぎて心を消耗してしまう可能性があるのもたしか。その点、空想の世界に思い切り浸って「日常を忘れさせてくれる」SFは、ストレス解消に効果抜群。
気になったタイトルを全巻そろえて、休みの日にイッキ読みするのもおすすめです。想像力の翼を広げて、思うぞんぶん「少し(S)不思議(F)」な世界を堪能してください。
定番のSF漫画は圧倒的なおもしろさに満ちている
『このマンガがすごい!』ライター
まずは定番のSF漫画を手にとってみて
「作りこまれた設定に、読者が振り落されてしまう。」SF漫画の難しさはここにあります。いくら興味深い世界観でも、過剰な説明ゼリフが並ぶと読み進めるのがつらくなるもの。だからこそ、漫画家には世界観を読者に伝える高い技量が求められます。
とくに定番と呼ばれる作品群は、自然とその作品の世界観に引き込まれる普遍的な輝きに満ちているのです。「名前は聞いたことがあるけど、読んだことはないなぁ」という作品がありましたら、ぜひ手にとってください。きっと時間が経つのも忘れてページをめくってしまうはずです。
映画・アニメとメディア化されている『寄生獣』。未知の存在と人間との接触が描かれた本作品は、「生き物」とは何かということを考えさせてくれる名作です。
人気SF映画の原作漫画を選ぶ
『このマンガがすごい!』ライター
原作漫画なら映画で描ききれなかった部分も楽しめる
日本のSF漫画は、国内のみならず世界中の映画人から熱い視線を浴びています。とくにハリウッド映画との親和性は高まっており、近年日本のSF漫画が次々に映画化。一方、ハリウッドほどの巨額の予算が割けない日本映画界も、CGのクオリティが飛躍的にアップしたことで実写化へのハードルが下がり、SF漫画を続々と実写化している状況です。
映画では描ききれなかった部分もたくさんありますので、映画で気になったSF作品があれば、原作漫画もあわせて楽しんでください。
ハリウッドで映画化された作品をコミカライズした作品。映画も漫画も楽しめます。
SF漫画のおすすめ作品5選 著者・メディア化の有無もチェック!
うえで紹介したSF漫画の選び方のポイントをふまえて、「このマンガがすごい!」ライターの奈良崎コロスケさんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

講談社 アフターヌーンコミックス『寄生獣』

出典:Amazon
著者 | 岩明 均 |
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巻数 | 全10巻 |
発売日 | 1990年07月20日(1巻) |
メディア化 | アニメ、映画 |
時代を超えて読み継がれるSF漫画の金字塔
「宇宙から飛来した未確認生命体が人間に寄生する。」これだけならありふれた設定です。ところが本作は、謎の生命体「パラサイト」が男子高校生の乗っ取りに失敗して右手のみに寄生。その結果、奇妙なパートナーシップを結ぶことになるという設定が絶妙。
主人公の高校生「新一」の、文字どおり右腕となったパラサイト「ミギー」は、人間を殺戮(さつりく)する同胞たちとの戦いを余儀なくされます。なぜなら、宿主である新一が同胞の手によって殺害されることは、自分の死に直結するからです。
物語が進むにつれ「善悪とはなにか?」という命題も浮き彫りになります。地球を汚し、キズつけ続ける人間を滅ぼそうとするパラサイトたちは本当に悪なのか……。連載開始から30年以上経っても一切古びない大傑作。
王道のSF漫画を楽しみたいという人におすすめの一冊です。一度読みはじめたら途中下車は不可能。時間を作って一気読みすることをおすすめします。

幻冬舎コミックス バーズコミックス『惑星クローゼット』

出典:Amazon
著者 | つばな |
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巻数 | 既刊3巻 |
発売日 | 2017年7月24日(1巻) |
メディア化 | - |

集英社 ジャンプコミックス『All You Need Is Kill』

出典:Amazon
著者 | 著者:小畑 健/原作:桜坂 洋/構成:竹内良輔/キャラクター原案:安倍吉俊 |
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巻数 | 全2巻 |
発売日 | 2014年6月19日発売(1巻) |
メディア化 | 映画化 |
ハリウッドで映画化された傑作ハードSF
桜坂 洋が2004年にリリースしたSF小説が、トム・クルーズ主演で2014年に英語圏では『EDGE OF TOMORROW』として実写映画化。その公開にともない、『DEATH NOTE』で知られる小畑 健の作画でコミカライズされたものが本作です。舞台は謎の異星人から襲撃を受けている地球。激戦区に送り込まれた主人公の兵士・ケイジは、戦死するたびに前日に戻ってしまうループ現象におちいります。
ケイジは強敵に瞬殺され続けながらも経験値を積んでいき、いつしか腕利きの兵士へと成長。映画は世界中で大ヒットし、原作小説の人気も再加熱。全2巻のコミックスも大ヒットと、素晴らしいメディアミックス展開となりました。
映画や漫画、小説とさまざまな角度から作品を楽しみたいという人におすすめの作品です。

宝島社 このマンガがすごい! comics『バック・トゥ・ザ・フューチャー アントールド・テイルズ』




出典:Amazon
著者 | 監修:ボブ・ゲイル/作画:ブレンド・シュノーヴァーほか |
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巻数 | 全1巻 |
発売日 | 2017年2月8日 |
メディア化 | - |
あの名作SF映画のリピート鑑賞がさらに楽しくなる
SF映画のレジェンド、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの脚本を手掛けたボブ・ゲイルが監修にあたり、3部作の隙間を埋めるエピソードがラインナップされたフルカラーコミックです。「1962年にドクの家がなぜ全焼したのか?」という、物語をとおして謎だったその理由も本作でついに明かされます。何度鑑賞しても発見に満ちている『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作。
映画では描き切れなかった重要なエピソードをコミックスで読むことで、さらにシリーズが楽しめるでしょう。シリーズのファンならばぜひ読んでいただきたい一冊です。

小学館 ビッグコミックス『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』

出典:Amazon
著者 | 浅野いにお |
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巻数 | 既刊8巻 |
発売日 | 2014年9月30日(1巻) |
メディア化 | - |
侵略者がいる日常で青春を謳歌する
サブカル系ヤングたちから圧倒的支持を得ている、浅野いにお先生が描く本格SF×日常系漫画です。物語は東京に巨大な円盤(母艦)が飛来するところからスタート。「ついに世界は終わりを迎えるのか! 」と思いきや、ぜんぜん終わりません。
3年後、侵略者と自衛隊の攻防は続いているものの、もはやそれは日常の1コマとなり、若者たちはごく普通に青春を謳歌(おうか)して……。もちろん、そのままユルユルと続いていくわけではなく、巻が進むにつれて侵略者視点にカメラが切り替わり、目の離せない展開が待ち受けます。多重構造のストーリーと挑戦的なデジタル作画で生み出された新感覚のSF漫画。
鉄板のSF漫画にそろそろ飽きてきたという方は、ぜひ一度読んでみてください。
「SF漫画」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする SF漫画の売れ筋をチェック
AmazonでのSF漫画の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
SFアニメの選び方と商品を紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
SFアニメと聞いて、すぐに思い浮かぶ名前といえば「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」など、宇宙を舞台にした作品がほとんどではないでしょうか。でもSFのジャンルはそれだけではありません。日常のその先にある想像の世界を描くのがSFの基本と言えます。そこで、エンタメライターの足立謙二さんにお話をう...
等身大のキャラクターが非日常の世界へ誘ってくれる! 漫画ライターからのアドバイス
『このマンガがすごい!』ライター
ビギナーでも読みやすいSF漫画が増えている
現実社会が舞台の作品と比べて、作品の世界観を把握するまでにやや時間がかかるSF漫画は、決してハードルの低いジャンルとはいえません。しかし、近年はSFビギナーでもすんなりと入りこめるよう工夫された作品が増えています。屈強なヒーローではなく、等身大の少年少女が主人公となり、読者を非日常の世界へと導いてくれるのです。
これまでSFを敬遠していた方も、これを機会にぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
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※2020/12/09 コンテンツ追加・修正の修正のため更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
別冊宝島「ザ・マンガ家」シリーズを企画・編集した後、『このマンガがすごい!』年度版の創刊メンバーに。 以降、漫画家インタビュー、漫画評論、漫画原作映画の劇場用プログラムなどを手掛けるほか、2019年には自身も漫画家デビュー。 80年代の音楽体験を描く『音楽とおじさん』を夕刊フジzakzakにて連載中。