SF漫画のおすすめ作品28選 著者・メディア化の有無もチェック!
「このマンガがすごい!」ライターの奈良崎コロスケさんと編集部が選んだSF漫画のおすすめを紹介します。

時代を超えて読み継がれるSF漫画の金字塔
「宇宙から飛来した未確認生命体が人間に寄生する。」これだけならありふれた設定です。ところが本作は、謎の生命体「パラサイト」が男子高校生の乗っ取りに失敗して右手のみに寄生。その結果、奇妙なパートナーシップを結ぶことになるという設定が絶妙。
主人公の高校生「新一」の、文字どおり右腕となったパラサイト「ミギー」は、人間を殺戮(さつりく)する同胞たちとの戦いを余儀なくされます。なぜなら、宿主である新一が同胞の手によって殺害されることは、自分の死に直結するからです。
物語が進むにつれ「善悪とはなにか?」という命題も浮き彫りになります。地球を汚し、キズつけ続ける人間を滅ぼそうとするパラサイトたちは本当に悪なのか……。連載開始から30年以上経っても一切古びない大傑作。
王道のSF漫画を楽しみたいという人におすすめの一冊です。一度読みはじめたら途中下車は不可能。時間を作って一気読みすることをおすすめします。

萌え要素もたっぷり。ハードなSFが苦手な方にも
眠るたびに異世界に意識を飛ばされるようになった女子高生・愛海の物語です。その異世界には、同世代の少女・フレアの姿が。愛海は目が覚めれば現実に戻れますが、フレアは自分の本名も、元の場所への帰り方も忘れてしまっています。
そんな少女たちがお菓子を食べて笑いあったりするので、ほっこり系SFかと思いきや、突如としてグロテスクな展開に突き進み……。このギャップがクセになります。萌え要素もたっぷりなので、ハードなSFが苦手な方でも、入り込みやすい作品です。

ハリウッドで映画化された傑作ハードSF
桜坂 洋が2004年にリリースしたSF小説が、トム・クルーズ主演で2014年に英語圏では『EDGE OF TOMORROW』として実写映画化。その公開にともない、『DEATH NOTE』で知られる小畑 健の作画でコミカライズされたものが本作です。舞台は謎の異星人から襲撃を受けている地球。激戦区に送り込まれた主人公の兵士・ケイジは、戦死するたびに前日に戻ってしまうループ現象におちいります。
ケイジは強敵に瞬殺され続けながらも経験値を積んでいき、いつしか腕利きの兵士へと成長。映画は世界中で大ヒットし、原作小説の人気も再加熱。全2巻のコミックスも大ヒットと、素晴らしいメディアミックス展開となりました。
映画や漫画、小説とさまざまな角度から作品を楽しみたいという人におすすめの作品です。

あの名作SF映画のリピート鑑賞がさらに楽しくなる
SF映画のレジェンド、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの脚本を手掛けたボブ・ゲイルが監修にあたり、3部作の隙間を埋めるエピソードがラインナップされたフルカラーコミックです。「1962年にドクの家がなぜ全焼したのか?」という、物語をとおして謎だったその理由も本作でついに明かされます。何度鑑賞しても発見に満ちている『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作。
映画では描き切れなかった重要なエピソードをコミックスで読むことで、さらにシリーズが楽しめるでしょう。シリーズのファンならばぜひ読んでいただきたい一冊です。

侵略者がいる日常で青春を謳歌する
サブカル系ヤングたちから圧倒的支持を得ている、浅野いにお先生が描く本格SF×日常系漫画です。物語は東京に巨大な円盤(母艦)が飛来するところからスタート。「ついに世界は終わりを迎えるのか! 」と思いきや、ぜんぜん終わりません。
3年後、侵略者と自衛隊の攻防は続いているものの、もはやそれは日常の1コマとなり、若者たちはごく普通に青春を謳歌(おうか)して……。もちろん、そのままユルユルと続いていくわけではなく、巻が進むにつれて侵略者視点にカメラが切り替わり、目の離せない展開が待ち受けます。多重構造のストーリーと挑戦的なデジタル作画で生み出された新感覚のSF漫画。
鉄板のSF漫画にそろそろ飽きてきたという方は、ぜひ一度読んでみてください。
現実に怪獣が現れたらどうなるかを描く作品
令和X年、連絡の途絶えた沖ノ鳥島の工事現場へ救援に向かった海自護衛艦「くれづき」は、海の中から突如現れた大型怪獣に襲われ、多くの自衛隊員の命が奪われます。その後、怪獣は海の底に消えていきますが、数年後に豪華客性「富岳」が同じ怪獣に襲われます。その船内には、防衛大を卒業して自衛官として配属される前に祖母と最後の旅行を楽しんでいた防人このえという女性が搭乗しており、怪獣を相手に戦いを挑むところから物語は始まります。
怪獣が登場する作品ではありがちなヒーローと呼べる存在がなく、2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』のように、現実の世界で本当に怪獣が出現したらどうなるかを描いた怪獣掃討記と呼べる作品です。スリル満点のパニックものが好きな人にはおすすめの一作です。
テレビシリーズとはひと味違うウルトラマン
本作はウルトラマンが地球を去ってから40年後の世界が舞台です。かつてウルトラマンと同化した早田進は、科学特捜隊の同僚だった井出から、謎の異星人の存在を知らされたことで、息子の早田進次郎にウルトラマンの因子が受け継がれていることを知るところから始まります。父がウルトラマンと同化していた過去を知った進次郎は、井出から渡されたウルトラマンスーツを身にまとい、地球側の抑止力として異星人を迎え撃つことになります。
本作品に登場するウルトラマンは、巨大な宇宙人ではなく、強化スーツを身にまとった等身大の戦士として活躍します。ウルトラマンはどちらかというと子ども向けという印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、本作は大人向けの作品となっており、テレビシリーズとはまたひと味違うウルトラマンが見られます。
得体の知れない底知れぬ恐ろしさを醸し出します
1970年代に、とある小学校に通う少年少女たちは、巨大ロボットが蹂躙する混沌とした世界と、それを救う正義のヒーローとその仲間たちの活躍を描いたスケッチブックを「よげんの書」と名付けて土の中に埋めます。それから時が流れて、世界各地で異変が発生し、主人公のケンヂはその異変が幼い頃に空想した「よげんの書」通りに起こっていることに気づきます。「ともだち」と呼ばれる奇妙な人物と出会い、「ともだち」が綴る世界滅亡のシナリオを喰いとめようと、ケンヂとその仲間は立ち上がります。
本作は緻密な伏線や衝撃的な展開が特徴で、背筋がゾクッとするような瞬間や要素が至る所にちりばめられています。散りばめられています。また、どことなく懐かしさと得体の知れない不気味さも漂っていることも本作の特徴です。実写映画化もされているおすすめの一作です。
鉄腕アトム「地上最大のロボット」がモチーフの作品
ある夜、スイス最強のロボット・モンブランが山火事現場でバラバラに破壊された姿で発見される。時を同じくして、ロボット保護団体幹部のランケも遺体で発見される。2つの現場捜査にあたるロボット刑事ゲジヒトは、頭の部分に角をはやしたように見える奇妙な細工が施されているのを目の当たりにし、事件が同一犯のロボットによるものだと推察し、真相究明を目指して行動を始める。
かつて手塚治虫が手掛けた鉄腕アトムの第55話目のエピソード「地上最大のロボット」をモチーフに、浦沢直樹がリメイクした作品です。「地上最大のロボット」をベースにしながらも、新しい切り口から描いたオリジナルストーリーが展開されます。
叶わなかった夢を再び目指して奮闘する物語
幼い頃、偶然月へ向かうUFOを目撃し、「将来宇宙飛行士になる」という同じ夢を掲げた兄弟がいた。弟のヒビトは見事その夢を実現させた一方、兄のムッタは勤めていた自動車会社をクビになり、転職活動もままならないうだつが上がらない日々を過ごしていた。そんな彼のもとに、1通の封書が届く。中を確かめると、それはJAXAの試験日程が記載されている書類だった。
子どもの頃になれると思っていた夢を、大人への階段を歩む度に現実を見せつけられていつの間にか諦めてしまうということは、多くの方が経験することだと思います。本作では、一度はあきらめてしまった夢を再び追いかける姿を描き、「何事も諦めてはいけない」ということを思い出させて、やる気を与えてもらえるような情熱の詰まった一作となっております。
スペースデブリを回収する青年の物語
人類による宇宙開発が進み、資源開発が商業規模で行われたり、地上と宇宙を結ぶ旅客機が日々往復する等の技術が発達した2070年代が本作の舞台となっています。宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業を生業とする主人公の星野八郎太(ハチマキ)は、自家用宇宙船を買うという夢を持ちながら、当初の夢と現実の狭間で揺れ動く心境に思い悩んでゆく。
スペースデブリを取り上げ、その回収業者が主役という珍しいテーマを扱う作品です。優秀なSF作品およびSF活動に贈られる賞である星雲賞のコミック部門、テレビアニメ化された際にはメディア部門をそれぞれ受賞し、原作とアニメのダブル受賞は『風の谷のナウシカ』以来の快挙を成し遂げた作品でもあります。環境や人との出会いをきっかけに成長していく主人公たちの姿にも注目です。
火星で進化を遂げた黒光りする「あの虫」とのバトル
西暦2599年の未来では、火星を人が住める環境にするテラフォーミング計画が進行していた。計画の中で、火星の凍った二酸化炭素を溶かすための「苔」と「黒光りする虫」を放出していたが、それを駆除することになり、主人公の小町小吉を含む15名の男女が火星へと向かう。火星で彼らが目にしたのは、環境に適応するために進化した「ゴキブリ」の姿であった。
本作では、殆どの日本国民は苦手であろう「ゴキブリ」を題材としており、2013年度『このマンガがすごい!』のオトコ部門第1位を受賞し、2014年にはTVアニメ化、2016年には実写映画化もされたおすすめのSF漫画です。
機械の体を手に入れることを目指すSF漫画
宇宙空間の移動が自由にできるようになった遥か遠い未来、多くの裕福な人々は身体を機械に魂を移すことで永遠の命を手に入れることができるようになっていた。しかし、貧富の格差が広がり、機械の体を持てない貧しい人々は、機械化人の迫害の対象にされていた。機械化人によって母親を殺害された主人公の星野哲郎は、謎の美女メーテルとともに、無料で機械の体をもらえる星を目指して、銀河鉄道999号に乗り込むのであった。
本作は1977年に連載が始まり、TVアニメ化や実写映画化もされた本作では、999号が停車する1つの惑星につき1つのエピソードという短編形式で構成され、「生きるとは何か」「永遠に生きることは幸せなことなのか」のような人生観の模索が一つのテーマとなっています。連載が始まってから40年以上経った今でも根強い人気を誇るおすすめの一作です。
超能力者を巡る争いや近未来都市を描いた作品
1988年7月16日に新型爆弾が関東地方に投下され、第三次世界大戦が勃発する。それから31年の時が経過した2019年に、翌年のオリンピック開催を目前に控える都市「ネオ東京」では、主人公で自称「健康優良不良少年」の金田正太郎をリーダーとするバイクの一団が進入禁止の高速道を疾走していたところ、「爆心地」付近で白髪の少年と遭遇する。
1982年から連載が始まった本作では、世界に退屈している人たちを主人公として設定し、東京の様々な秘密や、政治に触れながら成長をしてゆくストーリーが特徴です。偶然ですが、作中で2020年に東京でオリンピックが開催予定であることを「予言」したことで一時期話題にもなった作品です。
古代文明のテクノロジーを守る特殊部隊の活躍を描く
かつて超古代に、現代の科学力を遥かに上回る文明が存在した。その文明の遺跡から発掘された金属板には、「我々の残した遺産を、悪しき者より守れ」という古代人からのメッセージが残されていた。主人公である現役の高校生御神苗優は、遺跡を管理する特殊組織「アーカム財団」が結成した「スプリガン」に所属し、裏社会の人間から古代のテクノロジーを守るために奮闘する。
本作は正統派な冒険活劇の少年漫画で、少年漫画ならではのバトル描写や主人公の成長等の娯楽要素が数多く散りばめられています。単なる娯楽だけでなく、人類の行く末はどうなるかという問いかけを読者に投げかけるような展開となっており、映画やアニメも制作された実績のある評価の高いおすすめの作品です。
タイムスリップで未来を変える
1989年7月10日生まれの主人公田村心は、北海道の音臼村で起こった無差別毒殺事件の容疑者として逮捕された警察官の佐野文吾を父に持つ。一貫して容疑を否認し続けたにもかかわらず、最高裁でも死刑判決が下ってしまい、今でも収監中であった。娘の出産と同時に亡くなった心の妻由紀が遺した事件の資料を手に、真相究明の為に事件が起きた村へ訪れた心は奇妙な霧に包まれる。気が付くとそこは事件が起こる前の音臼村だった。
本作は非現実的な要素である「タイムスリップ」を設定に取り入れていながらも、現実感を損なうことなくサスペンスが描かれています。「タイムスリップ」をすることで過去や未来に変化が発生し、翻弄されながらも真実を明らかにするために奮闘する主人公の姿に注目です。
「SF漫画」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする SF漫画の売れ筋をチェック
AmazonでのSF漫画の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
SF漫画はどう選ぶ? 漫画ライターに聞く
「このマンガがすごい!」ライターの奈良崎コロスケさんに、SF漫画を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。胸躍るSF漫画と出会うためにも、参考にしてみてくださいね。
SF漫画は日常を忘れさせてくれる
空想の世界に浸れるSF漫画はストレス解消効果あり
「SF=サイエンスフィクション」は漫画の原点。何千年も先の未来、はるか宇宙の彼方、パラレルワールド……。白い紙の上ならどんな場所だって自由自在。
異星人やロボットだって主人公にできます。現代を舞台にしたリアルな設定の作品で、同じような立場の主人公に共感する……というのも漫画の楽しみ方のひとつですが、あまりにもシンクロしすぎて心を消耗してしまう可能性があるのもたしか。その点、空想の世界に思い切り浸って「日常を忘れさせてくれる」SFは、ストレス解消に効果抜群。
気になったタイトルを全巻そろえて、休みの日にイッキ読みするのもおすすめです。想像力の翼を広げて、思うぞんぶん「少し(S)不思議(F)」な世界を堪能してください。
定番のSF漫画は圧倒的なおもしろさに満ちている
まずは定番のSF漫画を手にとってみて
「作りこまれた設定に、読者が振り落されてしまう。」SF漫画の難しさはここにあります。いくら興味深い世界観でも、過剰な説明ゼリフが並ぶと読み進めるのがつらくなるもの。だからこそ、漫画家には世界観を読者に伝える高い技量が求められます。
とくに定番と呼ばれる作品群は、自然とその作品の世界観に引き込まれる普遍的な輝きに満ちているのです。「名前は聞いたことがあるけど、読んだことはないなぁ」という作品がありましたら、ぜひ手にとってください。きっと時間が経つのも忘れてページをめくってしまうはずです。
人気SF映画の原作漫画を選ぶ
原作漫画なら映画で描ききれなかった部分も楽しめる
日本のSF漫画は、国内のみならず世界中の映画人から熱い視線を浴びています。とくにハリウッド映画との親和性は高まっており、近年日本のSF漫画が次々に映画化。一方、ハリウッドほどの巨額の予算が割けない日本映画界も、CGのクオリティが飛躍的にアップしたことで実写化へのハードルが下がり、SF漫画を続々と実写化している状況です。
映画では描ききれなかった部分もたくさんありますので、映画で気になったSF作品があれば、原作漫画もあわせて楽しんでください。
ビギナーでも読みやすいSF漫画が増えている 漫画ライターからのアドバイス
現実社会が舞台の作品と比べて、作品の世界観を把握するまでにやや時間がかかるSF漫画は、決してハードルの低いジャンルとはいえません。しかし、近年はSFビギナーでもすんなりと入りこめるよう工夫された作品が増えています。屈強なヒーローではなく、等身大の少年少女が主人公となり、読者を非日常の世界へと導いてくれるのです。
これまでSFを敬遠していた方も、これを機会にぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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別冊宝島「ザ・マンガ家」シリーズを企画・編集した後、『このマンガがすごい!』年度版の創刊メンバーに。 以降、漫画家インタビュー、漫画評論、漫画原作映画の劇場用プログラムなどを手掛けるほか、2019年には自身も漫画家デビュー。 80年代の音楽体験を描く『音楽とおじさん』を夕刊フジzakzakにて連載中。