パッシブスピーカーとは? アンプが内蔵されておらず、好きな音質を楽しめる
アンプが内蔵されていないスピーカーのことを一般的にパッシブスピーカーと呼びます。好きな音楽のジャンルや音質に合わせてアンプ変えることで、自分の好きな音質を楽しむことができる、カスタマイズ性が魅力です。
さまざまな種類があり、高音質を求めたり、インテリアとして設置できるなど、組み合わせ次第でさまざまな楽しみ方が生まれます。
アクティブスピーカーとの違いは?
一般に販売されているスピーカーには大きく分けて2種類のスピーカーがあります。1つは「パッシブスピーカー」。もう1つが「アクティブスピーカー」です。まずは、この2つの商品の違いについて解説いたします。
パッシブスピーカーの特徴
パッシブスピーカーはアンプを内蔵していないスピーカーのこと。
高音質で自分好みの音にカスタマイズできる点が特徴的。高音域に優れたもの、低音域に優れたもの、パワフルなサウンドを感じられるものなど、種類も豊富です。しかし、アンプを別途用意したり、接続が少々難しく、値段も高価なのが難点。
アクティブスピーカーの特徴
アクティブスピーカーはアンプを内蔵しているスピーカーのこと。
iPhoneやAndroidなどのスマホやPCをBluetoothや専用コードに接続するだけで音を出せるのが特徴的。つまり、設置が比較的かんたんです。また、低価格なものが多いです。しかし、音質や音の出力が低い傾向があるのがデメリットです。
音質にこだわらない方はアクティブスピーカー、音質にこだわりたい方はパッシブスピーカーがピッタリです。
アンプとは?|接続の基本構成を解説
パッシブスピーカーはアンプを内蔵していないスピーカーと説明しましたが、では、アンプとは一体何を指すのでしょうか。
かんたんに役割を解説すると、アンプは音の電気信号(情報)を増幅させ、スピーカーに届ける役割。スピーカーはアンプから来た電気信号を音として発信する役割。
そもそも、オーディオ機器から発しているのは音ではなく、電気信号(音の情報)です。その電気信号は非常に小さく、スピーカーに接続しても音として発信することができません。
そのため、アンプを媒介にすることで電気信号を増幅させ、音として発信できる大きさにし、スピーカーで音として発信させるのです。それが私たちが聞くスピーカーの「音」なのです。
本記事でご紹介しているのはアンプの内蔵されていない「パッシブスピーカー」。そのため、アンプがなければ作動しませんのでご注意ください。

Photo by マイナビおすすめナビ
音の電気信号は、アンプを通って音になり、そしてスピーカーから私たちの耳に響いてきます。パッシブスピーカー・アクティブスピーカーの違いを理解しましょう!
パッシブスピーカーの種類
オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんによると、パッシブスピーカーは大きく分けて2つの種類があります。折原さんの取材をもとにそれぞれ解説していきます。
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
本格的なHi-Fiオーディオで用いられるスピーカーは、スピーカースタンドや棚などに設置する「ブックシェルフ型」と、床に直接置ける「トールボーイ型」(フロアスタンディング型とも呼ばれます)に分けられます。
各社とも一番小さく安価なスピーカーはブックシェルフ型ですが、よい音を聴くためのセッティングには別途スピーカースタンドが必要です。トールボーイ型なら買ったスピーカーを床に直接設置できますが、サイズが大きくやや高価。利用シーンと設置方法に応じて選びましょう。
コンパクトなブックシェルフ型
「ブックシェルフ=本棚」の名前の通り、コンパクトで本棚にも収まる大きさが特徴的なのがブックシェルフ型のパッシブスピーカーです。インテリアとの一体感を演出でき、扱いやすいのがポイント。設置場所を小さくしたい方にぴったりです。
ただし、コンパクトな分、迫力のある低音を出すのは得意ではありません。低音を重視したい人は、大きめのブックシェルフ型スピーカーを選ぶとよいでしょう。
パワフルな音のトールボーイ型
スピーカー自体が大きく、また、設置場所にスペースが必要なのがトールボーイ型のパッシブスピーカーです。スピーカーユニットも複数内蔵しているので、豊かでパワフルな音質を堪能できます。テレビと連携させて映画鑑賞を楽しんだり、音楽観賞の専用スペースを持ちたいと考えている人にぴったりです。
大きなスピーカーによる圧迫感を感じたくない人は、スリムタイプを選ぶとよいでしょう。
再現力や迫力にすぐれたフロア型
床に直接置くフロア型のパッシブスピーカーは、音の再現性や迫力にすぐれており、音質にこだわる人に適したタイプです。映画や音楽への没入感を味わいたい人は、フロア型のスピーカーを選ぶとよいでしょう。
サイズはほかのタイプより大きなものが多く、設置には場所を取ります。
フロア型のパッシブスピーカーを選ぶ際は、スピーカーの性能に見合ったアンプも合わせてそろえると、より臨場感のある音が楽しめるでしょう。
パッシブスピーカーの選び方 オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんに聞く
上記の基礎知識をおさえた上で、オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんにパッシブスピーカーを選ぶときのポイントを3つ教えていただきました。
ワット数で選ぶ
スピーカーを使用するときの消費電力は「W(ワット)」で表されます。パッシブスピーカーを選ぶときは、このワット数にも注目しましょう。ワット数が大きなものほど繊細な音までしっかりと表現できます。
屋外で使用するのであれば200W以上のもの、繊細な音の表現まで楽しみたいなら100W前後、カジュアルに音楽や映画を楽しみたいのであれば30~50Wが目安です。
置く場所に合わせてサイズを選ぶ
パッシブスピーカーといっても、その大きさは機種によってさまざまです。パッシブスピーカーを選ぶときは、置く場所の広さに合った大きさのものを選びましょう。
ワンルームなどのコンパクトな部屋であれば、ブックシェルフ型のスピーカーが適しています。デスクに置くのであれば、幅15cm前後のものがぴったりです。
リビングなどの広い場所に設置するのであれば、トールボーイ型やフロア型のパッシブスピーカーを選びましょう。幅の狭いものでも、臨場感のある音が楽しめます。
対応している端子で選ぶ
パッシブスピーカーを選ぶときは、再生機器やアンプの対応端子を確認しておきましょう。端子に対応していない機種を選ぶと、せっかく購入したのに使えないということになりかねません。
通常アンプとスピーカーは1本の端子で接続されますが、なかには低音・中音・高音で端子がわかれているものもあります。
パッシブスピーカーでBluetoothに対応しているものはほとんどないので、スピーカーを持ち運んで手軽に映画や音楽を楽しみたいときは、Bluetooth対応のものも多いアクティブスピーカーを選ぶとよいでしょう。
スピーカーの周波数で選ぶ
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
パッシブスピーカーを選ぶ方は、やはり音質にこだわる方が多いでしょう。スピーカーの定格スペックのなかの「周波数特性」は再生できる低音から高音の音域幅をあらわしていて、数値の幅が大きいほど定格上すぐれています。高域側を40kHz(キロヘルツ)以上までカバーするものは、ハイレゾ音源を再現するための基準を満たしているため、ハイレゾ対応などと呼ばれますね。
スピーカーの鳴らしやすさをあらわす能率や、オーディオ機器とそろえるのが基本のインピーダンスの数値も確認しておきましょう。
ユニット構成で選ぶ
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
スピーカーはドライバーと呼ばれる太鼓のようなユニットを振動させて音を鳴らします。安価なモデルはひとつのユニットですべての帯域をカバーするフルレンジという機構が基本。
上位機種になると高域を再生するツィーターと中低域を担当するウーファーによる2ウェイ、さらに中域をミッドウーファー、低域をウーファーと3つに分けた3ウェイとユニットが増えていきます。
ユニット数の多いスピーカーはいずれも大型のもので、とくにユニット数が多い機種ほど低音の再生能力が高いものが多いようです。
パッシブスピーカーのおもなメーカーを紹介
パッシブスピーカーを選ぶにあたって、おもなメーカーの特徴を紹介しましょう。それぞれのメーカーの特徴をふまえて、自分好みの機種を選んでください。
ラインナップが豊富なヤマハ(YAMAHA)
楽器なども手掛けるヤマハ(YAMAHA)のパッシブスピーカーは、豊富なラインナップが特徴です。音楽制作に携わる人が使うようなものから、個人が家庭でカジュアルに楽しむためのものまで、幅広い機種がそろっています。
価格帯も幅広いので、豊富な選択肢の中からこだわりのパッシブスピーカーを選びたいという人にぴったりです。
低音重視ならボーズ(Bose)
低音を重視したいのであれば、アメリカに本社を置くボーズ(Bose)のパッシブスピーカーがよいでしょう。迫力に富んだ音が特徴で、ライブ音源や映画を臨場感たっぷりに楽しみたい人に適しています。
スピーカーのデザインはインテリアとして違和感のないシンプルなものが多く、置く場所を選ばないスタイリッシュさも魅力です。
音割れやノイズが少ないジェイビーエル(JBL)
音割れやノイズのない、クリアな音質で音を楽しみたい人には、ジェイビーエル(JBL)のスピーカーがよいでしょう。コンサートホールのスピーカーにも採用されているジェイビーエルの製品は、音量を大きくしても音が割れたりノイズが入っているすることが少なく、音への没入感が得られるのがポイントです。
音に集中したい人・音質にこだわりがある人に適したメーカーといえるでしょう。
スペックはあくまでも参考にとどめて
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
スピーカー選びの際の基礎知識としてスペックについて解説しましたが、スペックはあくまで参考値。どの機種からどんな音が聴けるかは、ブランドの個性によります。スピーカーを購入する方の決め手は、実際にショールームや専門店、家電量販店の店頭で試聴したり、Webや雑誌の記事を参考にしたりとさまざま。
また、ブランドによる音作りの方向性を信頼して購入する人もいらっしゃいます。買いものはスピーカー選びの情報収集をしっかりしてからにしましょう。
パッシブスピーカー【ブックシェルフ型】おすすめ9選

YAMAHA(ヤマハ)『NS-B330』

出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ型 |
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周波数特性 | 再生周波数帯域:55Hz~45kHz(-10dB)~100kHz(-30dB)、クロスオーバー周波数:2.8kHz |
ユニット数 | 2(13cmコーン型ウーファー、3cmアルミドーム型ツィーター) |
ハイレゾ対応 | 対応 |

Bowers & Wilkins(バウワース アンド ウィルキンス) 600 Series『607 スタンドマウントスピーカー』

出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ型 |
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周波数特性 | 再生周波数帯域:40Hz~33kHz(-6dB)、周波数特性:52Hz~28kHz(±3dB) |
ユニット数 | 2(25mmアルミニウム・ドーム・トゥイーター、130mmコンティニュアム・コーン・ミッドバス) |
ハイレゾ対応 | 非対応 |

KEF Q Series『Q350 2-wayブックシェルフスピーカー』

出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ型 |
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周波数特性 | 再生周波数帯域:63Hz~28kHz(±3dB)、周波数特性:42Hz(-6dB)、クロスオーバー周波数:2.5kHz |
ユニット数 | 2(25mmベンテッド・アルミニウム・ドーム HF、165mmアルミニウム Uni-Q) |
ハイレゾ対応 | 非対応 |
英国の人気スピーカーブランド
BBC(英国放送協会)向けに放送用モニタースピーカーを送りだした老舗として、日本でも人気の英国スピーカーブランドがKEFです。高域用のツィーターと低域用のウーファーを同一軸上に配置する、独自の同軸ユニット「Uni-Qドライバー」を用いたスピーカー設計で知られています。
『Q350』はKEFの主力シリーズでもっともコンパクトな機種ですが、同軸スピーカーユニットらしく、すべての音を淀(よど)みなく正確に定位する再現性は本物です。小型ながら低音も見た目以上に出せる実力派のスピーカー。定位感と低音にこだわりのある方にもおすすめです。

JBL『4312MII』
![JBLスピーカー4312MIIBK[ペア]](/assets/loading-gif-831efa60fcaad8b543579bb1809cf3a0cded0accde7b020d68cf390d70415d6c.gif)
出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ型 |
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周波数特性 | 周波数特性:55Hz〜50kHz(−6dB)、クロスオーバー周波数 :7kHz、12kHz |
ユニット数 | 3(133mm径ピュアバルブ・ホワイトコーン・ウーファー、19mm径テンパード・ピュアチタン・ドーム・ツィーター ほか) |
ハイレゾ対応 | 対応 |

ELAC(エラック)『BS263』

出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ型 |
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周波数特性 | 周波数特性:41Hz~50kHz、クロスオーバー周波数:2500Hz |
ユニット数 | 2(JET V、150mm パルプ/アルミ・ハイブリッドAS XR CONE) |
ハイレゾ対応 | 対応 |
Micca(ミッカ)『COVO-S(0741360331471)』








出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ |
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周波数特性 | 90Hz-20kHz |
ユニット数 | 2 |
ハイレゾ対応 | ー |
ハーマンインターナショナル『スピーカー(4429)』

出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ |
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周波数特性 | 再生周波数帯域(L):38Hz / 再生周波数帯域(H):45000Hz / クロスオーバー周波数:800/7000Hz |
ユニット数 | 3 |
ハイレゾ対応 | ー |
ハーマンインターナショナル『Stage A120』








出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ |
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周波数特性 | 60Hz ~ 40kHz |
ユニット数 | 2 |
ハイレゾ対応 | ー |
DENON(デノン)『スピーカーシステム(SC-M41)』














出典:Amazon
形状 | ブックシェルフ |
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周波数特性 | 45 Hz~40 kHz |
ユニット数 | 2 |
ハイレゾ対応 | ー |
パッシブスピーカー【トールボーイ型】おすすめ3選

MONITOR AUDIO(モニターオーディオ)『BRONZE 5』

出典:Amazon
形状 | トールボーイ型 |
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周波数特性 | 周波数特性:37Hz~30kHz、クロスオーバー周波数:600Hz、2,800Hz |
ユニット数 | 3(25mm Gold dome C-CAM ツィーター×1、140mm C-CAM Bass/Mid ドライバー×1 ほか) |
ハイレゾ対応 | 非対応 |

Bowers & Wilkins (バウワース アンド ウィルキンス) 600 Series『603 スピーカー』

出典:Amazon
形状 | トールボーイ型 |
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周波数特性 | 再生周波数帯域:29Hz~33kHz(-6dB)、周波数特性:48Hz~28kHz(±3dB)、クロスオーバー周波数:400Hz |
ユニット数 | 3(25mmアルミニウム・ドーム・トゥイーター、165mmペーパー・コーン・ウーファーx2基 ほか) |
ハイレゾ対応 | 非対応 |
YAMAHA(ヤマハ)『NS-F350(NS-F350)』












出典:Amazon
形状 | トールボーイ |
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周波数特性 | 35Hz~45kHz(-10dB)~100kHz(-30dB) |
ユニット数 | 4 |
ハイレゾ対応 | 有 |
「パッシブスピーカー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする パッシブスピーカーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのパッシブスピーカーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
購入前に気を付けるポイント オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんが伝える
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
しっかり試聴してから購入しましょう
選び方の基礎知識としてスペックの解説をしましたが、やはりスピーカーのスペックを見ただけではどんな音色に聴こえるかはわかりません。スピーカーが備えている音色はメーカーや製品ごとに個性があります。お気に入りのスピーカーを選ぶにはそこまで踏み込んで探すべきでしょう。
商品紹介には、私自身のスピーカー試聴経験をもとにしたサウンドの特徴を示しておきました。可能であれば、メーカーのショールームやオーディオ専門店、家電量販店の試聴コーナーなどに足を運び、自分の耳で聴いて、好みに合うスピーカーを探すことを強く推奨します。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/12/02 コンテンツ追加のため、記事を更新しました。(協力:マグスター 掲載:マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
オーディオ&ビジュアル専門誌『AV REVIEW』『プレミアムヘッドホンガイドマガジン』や、モノ雑誌『家電批評』『MONOQLO』『GoodsPress』『MonoMax』『DIME』『日経トレンディ』等、Webでは『Phileweb』『日経トレンディネット』『価格.comマガジン』『@DIME』『&GP』等の媒体で、レビュー、解説で活躍する1979年生まれの若手評論家。 日々、新製品発表会や欧米のIT・家電関連イベントを取材しデジタル家電のトレンドにも精通。 高価なハイエンドの機器だけでなく、格安・コスパ志向、ライフスタイル志向の製品までもカバー。 AV家電製品の取材歴が長い事もあり、製品はスペックで判断するだけでなく、実機に触れてクオリティをチェックした上でのレコメンドを心がけている。2009年より音元出版主催のオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員。