フィールドスコープとは?
フィールドスコープとは、地上望遠鏡に分類される望遠鏡の一種です。地上望遠鏡には、おもにフィールドスコープと双眼鏡がありますが、双眼鏡とは異なり「片目で観察する」のがフィールドスコープの特徴です。
双眼鏡よりも倍率が高く、基本的には三脚に固定して使います。バードウォッチングや天体観測などには、フィールドスコープの使用が適しているでしょう。
フィールドスコープの選び方 直視型か軽視型か、レンズ口径、倍率、防水機能など
ここからは、フィールドスコープの選び方をご紹介していきます。ポイントは下記7点!
【1】フィールドスコープの種類で選ぶ
【2】倍率で選ぶ
【3】対物レンズの有効径が大きいものを選ぶ
【4】実視界の数値が大きいものを選ぶ
【5】アイレリーフの長いものを選ぶ
【6】防水機能が付いたものを選ぶ
【7】デジスコの対応状況をチェック
対物レンズの有効径や倍率などさまざまな違いがあります。商品選びをスムーズにできるように、必要な機能と不要な機能をあらかじめ整理しておきましょう。
【1】フィールドスコープの種類で選ぶ 直視型・傾斜型
フィールドスコープ(スポッティングスコープ)は、接眼レンズの取りつけ方によって、直視型(ストレートタイプ)と傾斜型(アングルタイプ)の2種類に大別できます。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。
直視型(ストレートタイプ)
直視型は、フィールドスコープ本体と接眼レンズが直線的に配置されているタイプ。対象物にフィールドスコープをまっすぐ向ければいいので、初心者でも使いやすいことが特徴です。デジタル一眼レフなどと合体させて写真を撮りたい場合も直視型が向いています。
傾斜型(アングルタイプ)
傾斜型は、接眼レンズがフィールドスコープ本体に対して上向き・斜めに配置されているタイプ。高い場所の鳥や天体などを観測するときに、無理な姿勢をとる必要がないのでらくに観察できることが利点です。
【2】倍率で選ぶ 野鳥観察なら20~40倍、天体観測なら10~30倍
接眼レンズが別売になっている機種は目的に合った接眼レンズを購入しましょう。メリットとしては、接眼レンズを交換することで倍率の変更が可能になります。『ED50』は小さめで軽量なため、リュックなどに入れて携帯することもできます。
倍率が大きいほど、遠くの対象物を大きく見ることができますが、その分、一度に見える範囲が狭くなり明るさも暗くなります。用途によって最適な倍率が異なり、野鳥観察なら20~40倍、天体観測なら10~30倍が使いやすい倍率です。
またフィールドスコープによっては、接眼レンズを交換できるものや接眼レンズが別売りのものがあり、そうした製品なら、接眼レンズを交換することで倍率を変更可能です。倍率を可変できるズームレンズを備えた製品もありますが、ズームレンズでは同じ倍率でも、固定レンズに比べると視野が狭くなるので注意しましょう。
【3】対物レンズの有効径が大きいものを選ぶ 撮影するなら
対物レンズの有効径(口径)が大きいほど、たくさんの光を集められるので、より明るくシャープな像を得ることが可能。とくに高倍率になるほど、対物レンズの有効径が大きいフィールドスコープのほうが有利です。
その半面、対物レンズの有効径が大きくなると、本体が大きく重くなるので持ち運びがたいへんになります。気軽に使いたいのなら、有効径50~60mmの製品がおすすめです。
【4】実視界の数値が大きいものを選ぶ 動く物を観察するなら
実視界の数値が大きいほど、動いている物を確認しやすくなります。野鳥や野生動物といった動きの速い物を観察したい場合は、実視界の数値も確認しておきましょう。
【5】アイレリーフの長いものを選ぶ メガネをかけて使うなら
アイレリーフとは、接眼レンズを覗いたときに「視野全体を見渡せる」眼の位置から、レンズまでの距離のこと。メガネをかけながらフィールドスコープを使うのなら、アイレリーフが長い製品(15mm以上)がおすすめです。アイレリーフが15mm以上の製品は、ハイアイポントと呼ばれることもあります。
【6】防水機能が付いたものを選ぶ 屋外でも使うなら
フィールドスコープの多くは多少の水であれば影響のない仕様にはなっていますが、水滴を気にせず屋外に持ち出したいのなら、窒素ガスが充填してあるタイプや防塵ガラスが使われているタイプを選んでみるのもよいでしょう。
【7】デジスコの対応状況をチェック
デジタルカメラとフィールドスコープを組み合わせて超望遠レンズにすることを「デジスコ」と呼びます。デジカメなどの超望遠レンズは高価なものが多いですが、フィールドスコープと組み合わせれば、手軽に超望遠撮影をすることが可能です。
デジスコには専用のアダプターやレリーズなどが必要になりますが、フィールドスコープによってはデジスコに向いていないものもあるので注意が必要です。
フィールドスコープおすすめ9選 人気のニコン、ビクセンほか
フィールドスコープの選び方のポイントをふまえて、IT・テックライターの石井さんと編集部が厳選したおすすめ商品をご紹介します。

コンパクトでリーズナブル、初心者におすすめ
傾斜型のフィールドスコープ。対物レンズの有効径は52mmで、付属の接眼レンズでの倍率は25倍です。接眼レンズを交換することで倍率を変更できます。アイレリーフは12mmと標準的ですが、重量が460gと軽いので、気軽に持ち運べます。ボディが伸縮式で、収納時は長さが17.7cmまで縮まるのも便利な点。
倍率も標準的なのでさまざまな目的に利用でき、とくに高い位置にある対象物を見るのに向いています。レンズやプリズムには3層以上の多層膜コーティングが施されているので、コントラストが高く、シャープに見えます。防水仕様ではありませんが、お手ごろな価格なのではじめてフィールドスコープを買う人にもおすすめです。

防水仕様でアウトドアでも安心
直視型のフィールドスコープ。対物レンズの有効径は50mmで、接眼レンズは別売りです。本格的な防水仕様で、内部に窒素ガスが充填(じゅうてん)されているので、雨天時の観察や気温差が大きい場所で使用しても、レンズ内部が曇りにくくなっています。
対物レンズにはEDガラスを採用。レンズとプリズム、防塵ガラスの全面は多層膜コーティングされているので、明るくコントラストの高い視野になります。
重量も455gと軽く、バードウォッチングはもちろん、スポーツなどで使いたい人におすすめ。接眼レンズの種類が豊富なので、用途に応じて選ぶとよいでしょう。

有効径82mmの大型高性能モデル
直視型のフィールドスコープ。対物レンズの有効径が82mmと大きく、集光力にすぐれています。対物レンズには色にじみの少ないEDレンズを採用し、ピント調整がデュアルフォーカス式なので、こまかくピントを合わせられます。
また野鳥を素早く視野に入れる際に役立つ、素通しファインダーを装備しています。付属の接眼レンズの倍率は27倍ですが、別売りの接眼レンズに替えれば倍率を変更できます。眼鏡をかけたままでも見やすい、アイレリーフ18mmのハイアイポント設計。窒素ガス充填による本格的な防水設計も魅力です。重量は1330gと重いので三脚は必須ですが、じっくり観察したい人におすすめです。

ズームレンズ搭載のコンパクトモデル
傾斜型のフィールドスコープ。対物レンズの有効径は50mmで、本体がコンパクトなことが魅力です。接眼レンズは20~40倍ズームの固定式なので交換はできません。特徴は、ポリカーボネート製のボディを採用しているため、重量が400gとひじょうに軽いこと。
また防水設計で、内部には窒素ガスが充填されているので、雨天時などでもレンズの内側が曇りにくくなっています。コンパクトで軽量化された、持ち運びやすいフィールドスコープを探している人におすすめです。バードウォッチングやアーチェリー、トレッキングなどさまざまなシーンで活躍するでしょう。

50mmクラスでは物足りなくなった人に
直視型のフィールドスコープ。対物レンズの有効径は65mmで、接眼レンズは別売りです。JIS保護等級の6級相当の防水仕様で、窒素ガス充填によりレンズ内部の曇りを防ぎます。また対物レンズにEDガラスを採用することで、クリアな視界を実現しています。
接眼レンズは、ズームタイプと固定倍率タイプが用意されているほか、同社の天体望遠鏡用の接眼レンズ(アイピース)も利用できます。倍率は最大60倍までの接眼レンズが用意されているので、高倍率での観察にも向いています。重量は1050gと比較的に重いタイプなので、三脚を使って腰をすえて観察したい人におすすめです。
軽量でコンパクトなフィールドスコープならこれ!
こちらはKowaから出ているフィールドスコープの直視型タイプのものです。こちらも傾斜型と同じく、400gとなっており、その軽量さが特徴となっています。約2.5mでピントが合うので、遠くだけでなく、昆虫観察や花の観察などでも使用できます。「色々なところにフィールドスコープを持ち歩いて使いたい」という方におすすめの商品です。
野外でも安心して使えるフィールドスコープ
鮮明でとてもクリアな視界が特徴の、フィールドスコープです。マルチコーティングがされているため、高い透過率を実現しています。防水・防霧の設計がしてあるため、野外でも安心して使用することができます。直射日光を防ぐレンズフードや、手袋をつけたままでも操作しやすい大きめのピントダイヤルも、嬉しいポイントです。
最初のフィールドスコープを買うならこれ!
フィールドスコープを初めて購入する方におすすめなのが、SVBONYのフィールドスコープになります。75倍までのズームができ、付属品として、卓上型の三脚とスマホ用のホルダーが付いてきます。付属の三脚は卓上用のため、野外で使う場合は、別の三脚を購入する必要がありますが、とてもコスパのいい商品となっています。
コスパ最強のフィールドスコープ
続いても、SVBONYのフィールドスコープになります。こちらは直視型のフィールドスコープとなっています。バードウォッチングから天体観測など、様々な状況で使用できるフィールドスコープです。レンズが70mmと大きいため、多少暗い環境でも観察を続けられます。コスパを重視したフィールドスコープが欲しい方に、おすすめです。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする フィールドスコープの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのフィールドスコープの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
フィールドスコープに関するQ&A よくある質問
フィールドスコープをデジカメに取り付けることはできますか?

できます。ただし、専用のアタッチメントやブラケットなどのデジスコーピングシステム製品が必要となります。
超望遠レンズの代用としてフィールドスコープを使うことは可能ですか?

可能です。2000mmを超えるような超望遠域を求めるのであれば、デジスコを使ったフィールドスコープがよいでしょう。1000mmまでの撮影であれば、600mmの超望遠レンズにテレコンバーターを使うという選択肢もあります。
フィールドスコープ選びでおさえておきたい2つの用語
フィールドスコープを選ぶうえで、必ずといっていいほど目にする用語があります。スペックにも関わってくる用語なので、ぜひ覚えておきましょう。
対物レンズ有効径
「対物レンズ有効径」とは、対物レンズの内径のことを言います。たとえば、「10×32」といったような表記があった場合、「10」が倍率、「32」が対物レンズの有効径ということになります。
・倍率……数値が高いほど被写体が大きく見える。その分、手ブレもしやすくなる。
・対物レンズ有効径……数値が大きいほど明るく見える。その分サイズが大きくなり重くなる。
ひとみ径
Vixen フィールドスコープ ジオマIIED82-Sセット 18073-8
「ひとみ径」とは、明るさを表す数値のことです。ひとみ径はレンズ有効径を倍率で割った数字を2乗した数値です。ひとみ径が大きければ大きいほど、暗い場所でも明るく見えます。
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デジタルカメラに装着して使うことも想定すべし! IT・テックライターからのアドバイス
フィールドスコープは、屋外でバードウォッチングをするなど、自分の目で覗いて楽しむことが基本の使い方ですが、通称「デジスコ」と呼ばれる使い方も人気があります。デジスコは、フィールドスコープをデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラと合体させて、フィールドスコープを超望遠レンズとして活用する方法です。
一眼レフ用の超望遠レンズはひじょうに高価なので、フィールドスコープ+接続アダプターのほうがリーズナブルなことが多いです。デジスコとして使うことが多いなら、直視型の製品をおすすめします。
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東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。 ライター歴25年。PC/ITに関するテクノロジーの解説や製品レビューを得意とする。 最近は、STEM教育や3DプリンターやCNCを初めとするデジタルファブリケーションに興味を持ち、積極的に取材や記事執筆を行っている。 また、子どもへのプログラミング教育にも関心があり、CoderDojo守谷のメンターを務めている。