音楽漫画の魅力とは バンドやバイオリン、ピアノ、クラシックなどテーマはさまざま!

Photo by Joe Ciciarelli on Unsplash
音楽をテーマにした漫画は数多くありますが、その魅力とはなんなのでしょうか。
当たり前の話ですが、漫画自体からは音が出ません。いくら作中で主人公が熱狂的な演奏を繰り広げても、音自体を楽しむことはできないわけです。
だからこそ読み手は作中に流れる音楽を自由にイメージして、頭のなかで音楽が鳴っているような気分にどっぷりと浸ることができます。これこそが音楽漫画の醍醐味なのです。
もちろん、大好きな音楽を流しながら作品世界に没頭するもよし。最近はCDつきのコミックスなども増えているので、いろいろな形で音楽と漫画のコラボレーションを楽しみましょう。
音楽漫画のおすすめ8選【バンド】 「このマンガがすごい!」創刊メンバーが厳選

Photo by Miika Laaksonen on Unsplash
おもしろすぎてページをめくる手が止まらないなんてことも?
それでは、ライターの奈良崎コロスケさんに選んでもらったおすすめ作品と、編集部が厳選した作品を音楽テーマ別に紹介します。

ひとりきりの音楽が、人と出会って変わりはじめる
音楽が好きでもレコードやCDの山に埋もれることのない、現在の若者たちの姿をクールに描く音楽漫画です。
マンションの管理人として働きながら、誰に聴かせることもなく日々自分のために音楽を奏でていた21歳の清澄。そんな彼の「シンプルで完璧な生活」は、同じマンションに住む24歳の女の子・潮と出会うことで崩れはじめます。
清澄の音楽に惹かれた彼女は、彼と彼の音楽をSNSを武器にして外の世界へと引きずり出していきます。ひとりでもじゅうぶんですが、人と人とのつながりは音楽を芳醇なものへと高めてくれます。
蛇口をひねって水を飲むように音楽を消費する時代への「アンチテーゼ」としても受け取れる、全音楽ファン必読のタイトルです。

中年女性の音楽を通して出会う第2の思春期
ヒロインの片岡たかこは、高齢の母とアパートの一室でふたり暮らし。10年前に離婚を経験したバツイチで、娘は元夫が育てています。恋人もおらず趣味もなく、パート勤めをしながら母の面倒をみて一日を終えます。
とくに大きな問題があるわけではないけれど涙がこぼれる夜も。そんな寂寥感(せきりょうかん)あふれる中年女性が、若者に大人気のロックバンドにドハマリしたことで人生が急速に色づきはじめていきます。
同じバンドのファンである男子中学生とメールのやりとりをしたり、ライブハウスに行ってみたり。第2の思春期を迎えた彼女の表情はどんどん豊かになっていきます。音楽だけでなく、なにかにハマっているすべての人が共感できる愛おしい物語です。
累計発行部数は1500万部以上
「ホントに平凡な人生だった‥‥あの男に出会うまでは」。平凡な中学生・コユキこと田中幸雄は、退屈な日常を変えたいと願っていた。そんな彼が、天才ギタリスト・竜介と出会い、ギターに、そして音楽に目覚めてゆく青春サクセスストーリーです。
アニメ化や実写映画化もされるなど、累計発行部数は1500万部以上の人気作品です。
バンドに執念を燃やす少年の青春漫画
中学卒業式の日、好きな女子に曲を贈って告白したところ、見事に玉砕した小雨。高校でバンドを組み、カッコよくなって見返してやりたいという思いで軽音部入部を決意するが、入学した高校には軽音部がないことが発覚!ショックを受ける小雨だったが、小柄な女の子・空次ハルが「バンドやりたいんだね?」と声をかけてくる。そして彼女に連れられた先は「金属理化学研究部」で…
常に前向きなメッセージを発する主人公の健全さがまぶしい作品です。
ふたりの「ナナ」でおなじみの名作
幸せの名をもつ少女が自らの意志で、運命を、切り拓く……。小松奈々と大崎ナナ、同じ名前を持つ2人の少女が繰り広げる、感動の恋のストーリー。
中島美嘉主演で2005年に実写映画化され、社会現象を起こす大ヒットとなった作品です。
※楽天市場は全巻セット販売となります。
リアルな音楽業界!登場人物が個性派ぞろいで魅力的
バンドがテーマの音楽漫画です。ロック好きで圧倒的な歌唱力を持つ理子が、天才サウンドクリエーター秋と出会うことにより始まる物語。彼女が飛び込む音楽業界の知られざるリアルな裏側や、バンドマン達の苦悩などが丁寧に描かれています。
第59回小学館漫画賞「少女向け部門」受賞。2013年実写映画化され、ヒロインの理子役は公募オーディション約5000人の中から選ばれた、当時17歳の現役女子高生だった大原櫻子が演じました。
彼女は伝説を残せるのか?ロックファンにもおすすめ
2013年Vol.11から『月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)』にて連載中の、バンドをテーマにした音楽漫画です。「ジミ」な高校英語教師「本田紫織」が、世界一のギタリスト「ジミ・ヘンドリクス」の「ヘン」な亡霊に取り憑かれ、「27歳終了時までに伝説を残さないと死ぬ」という契約のもと、バンドの世界に飛び込んでいく物語。
演奏シーンは迫力ある演出で描かれており、まるでライブ会場で実際に体感しているような描写であふれています。ジミ・ヘンドリックスの生前のエピソードや実際に着ていた衣装なども随所に散りばめられており、ロックファンにもおすすめしたい作品です。
音楽漫画のおすすめ4選【DJ・ラップ】

とんかつもDJも磨きあげ、唯一無二の存在へ
アニメ化もされた大人気DJ漫画です。本作の主人公は、それまで無縁だったクラブカルチャーに衝撃を受けた勝又揚太郎。彼はトンカツの名店「しぶかつ」の跡取りとして、そして地元の渋谷でDJとして大成するために、日々奮闘していきます。
初心者向けのDJ入門としても大変向いており、さまざまな専門用語が無理なく学べます。軽快なテンポとキレ味抜群のギャグで、作品全体をとおしてグルーヴがしっかり効いているのがじつに楽しい。
これまでクラブカルチャーを敬遠していた人にも、ぜひ手にとってほしいタイトルです。

開花していく、嫌いだったはずのラップの才能
松山ケンイチ主演で映画化された『デトロイト・メタル・シティ』の若杉公徳が、7年ぶりに手がけた音楽漫画です。デスメタルバンドから一転、今度はラップで勝負!
主人公はラッパー・シャカキングの息子の踏男。彼は幼少時からラップの英才教育を受けてきました。しかし、父親がどんどん落ちぶれていく姿を見てラップを毛嫌いするように。それでも否応なしにステージに駆り出され、その才能が開花していきます。
「フリースタイルダンジョン」の影響もあり、認知度が上がった日本語ラップ。言葉が重要なジャンルだけに漫画との相性も抜群です。フロウやビーフといった特殊用語の解説も随所に入るので、ラップ初心者の方も無問題です。
精神に干渉するマイクを通した熱いリリックが炸裂!
2017年に始動した男性声優による音楽原作ラップバトルプロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』のコミカライズ作品です。すべての武器が禁止・廃棄され、武力は人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」ただ一つのみ。女性に支配された世界で、男たちが言葉による力で領土を争いバトルする物語です。
山田一郎をリーダーとするイケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」と、碧棺 左馬刻をリーダーとするヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」を中心に描かれています。音楽、ドラマCD、舞台、アプリゲーム、テレビアニメなどマルチに展開している作品です。
音楽漫画のおすすめ5選【クラシック】
逆境に負けない主人公の優しい音色に癒される!
「森の端(はた)」に捨てられていたピアノをおもちゃ代わりに育った主人公「一ノ瀬海(イチノセ カイ)」。楽譜の読めない彼が、小学校の音楽教師でかつての天才ピアニスト「阿字野壮介」や、父親が世界的なピアニストの「雨宮修平」との出会いによって才能を開花し、ショパン国際ピアノ・コンクールに挑戦する音楽漫画です。
主人公のあたたかくて優しいピアノの音色は、あたたかい気持ちになり癒されます。第12回(2008年)文化庁メディア芸術祭「マンガ部門」大賞受賞。登場人物たちの胸に刺さるセリフの数々、リアルなコンクールの描写、演奏者それぞれの演奏シーンの緻密な描写など、おすすめどころが満載です。
音楽漫画のおすすめ2選【ジャズ】
音楽漫画のおすすめ4選【軽音・吹奏楽・オーケストラ】
音楽漫画のおすすめ2選【和楽器】
津軽三味線の魅力と主人公の熱い生き方にはまる!
月刊少年マガジンで連載中の津軽三味線をテーマにした音楽漫画です。祖父の死がきっかけとなり、青森から上京した「澤村雪(さわむらせつ)」が、東京で自分の音を探す旅を始める青春物語。力強い絵と演出で、迫力ある津軽三味線の演奏が聞こえてくるような作品です。
タイトルは「ましろの音」・「ましろノート(ノート:音符など)」の二つの意味を持っています。第36回(2012年)講談社漫画賞「少年部門」優秀賞受賞、第16回(2012年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品です。コミック15巻特装版には、津軽三味線第一人者の吉田兄弟による、修行篇から全国大会篇までの演奏が収録されたCDがついています。
「音楽漫画」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 音楽漫画の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの音楽漫画の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
音楽漫画で注目してほしいポイント 主人公や時代背景がおもしろい!
おすすめの音楽漫画は見つかったでしょうか?
ここからは、「このマンガがすごい!」創刊メンバー兼ライターの奈良崎コロスケさんに、音楽がテーマのおすすめ漫画を選ぶときのポイントを教えてもらったので、その内容を紹介します。
【1】新時代の音楽事情を取り入れた漫画に注目
【2】歌手や演奏者以外の人々が主役の漫画もおすすめ
【3】漫画をきっかけにそのジャンルに関心をもつことができる
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】新時代の音楽事情を取り入れた漫画に注目
時代の移り変わりとともに、人気の音楽やジャンルは変わっていくものです。「80年代」「90年代」「昭和」「平成」など、音楽シーンを象徴する表現の仕方もあるほどです。そこには当然楽器や機材の技術革新もともなっています。
現代の音楽事情に沿った新しいタイプの主人公が登場
DTM(デスクトップミュージック)の進化とSNSの爆発的な拡散能力のおかげで、音楽製作もビジネスモデルも劇的な変化を遂げました。もちろん音楽センスは必要ですが、楽器が弾けなくても、自主製作でCDを作らなくても、レコード会社と契約しなくても、パソコンとスマホさえあれば時代の寵児になることができます。
漫画においても、そんな新時代の音楽事情を取り入れた、新しいタイプの主人公が登場する作品に注目してみてください。
【2】歌手や演奏者以外の人々が主役の漫画もおすすめ
音楽漫画はなにも歌手や演奏者だけが主役というわけではありません。時代の流れに合わせてその表現方法は多様化しています。
DJやラッパー、熱心なファンが主人公の作品も
90年代以前の音楽漫画は、ブラスバンドの友情物語やロックバンドの成りあがりモノ……といった王道ストーリーばかりでしたが、近年は歌手や演奏者が主人公ではないものも増えてきました。
音楽の楽しみ方がどんどん多様化していく時代に合わせて、クラブでレコードを回すDJ、マイクひとつでステージに上がるラッパー、そして熱心にひとりのアーティストを追いかけるファンが主人公の音楽漫画が生まれているのです。
【3】漫画をきっかけにそのジャンルに関心をもつことができる
トンカツ屋の跡取りがDJに!? 音楽と無縁の主人公だからこそ、専門用語も自然と学べるDJ入門に。漫画を通して知っているようで知らなかった音楽ジャンル、音楽シーンに出会えます。
ロック、ジャズ、クラシック、テクノ、ヒップホップ……。音楽のジャンルはこまかく分かれています。しかもそれぞれのジャンルのなかでもさらに細分化されており、ライトな音楽ファンが自分の好きなジャンル以外のアーティストに触れるのは、なかなかハードルが高いかもしれません。
知らないジャンルでもわかりやすく解説されている!
そんなときに役立つのが音楽漫画です。特定ジャンルのマニアックなファン以外にも読んでもらえるように、ストーリー性のある音楽漫画は、そのジャンルがどういうものなのか、どんなアーティストが人気なのかわかりやすく読者に解説してくれるからです。ぜひ主人公と一緒に新しい世界の扉を開けてみましょう。
ほかのジャンルのおすすめ漫画もチェック 【関連記事】
あなたにぴったりの1冊を
音楽漫画の魅力や、作品を選ぶうえでのポイントはお分かりいただけたでしょうか。
おさらいですが、音楽漫画選びで注目してほしいポイントは「新時代の音楽事情を取り入れた漫画に注目」「演奏者以外の人々が主役の漫画もおすすめ」「画をきっかけにそのジャンルに関心をもつことができる」になります。
あなたにぴったりの1冊を見つけ、漫画ライフを充実させてみてはいかがでしょうか。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
別冊宝島「ザ・マンガ家」シリーズを企画・編集した後、『このマンガがすごい!』年度版の創刊メンバーに。 以降、漫画家インタビュー、漫画評論、漫画原作映画の劇場用プログラムなどを手掛けるほか、2019年には自身も漫画家デビュー。 80年代の音楽体験を描く『音楽とおじさん』を夕刊フジzakzakにて連載中。