ブルゴーニュ白ワインの選び方
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関 華子さんに、ブルゴーニュの白ワインを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ブルゴーニュの白ワインの購入を迷っている人やどういう視点で選ぶべきか分からない人も参考にしてみてください。
ワインの個性を育む「生産地区」から選ぶ
ブルゴーニュ地方のワインの産地はいくつかの地区に分かれています。地区ごとにワインの個性も異なるので、お好みや気分に合わせて「生産地区から選ぶ」というのもおすすめです。
さわやかでミネラル豊かな「シャブリ地区」
白ワインといえばシャブリといわれるほど、白ワインの生産地として名を馳せている「シャブリ」地区。石灰質でミネラル豊かな土壌で、シャルドネ種のブドウを栽培しています。ブルゴーニュ地域のなかでも北部に位置するシャブリの気候は冷涼で、さわやかな酸味をもつブドウが育ちます。
赤も白も多様性に富んだ「コート・ド・ボーヌ地区」
コート・ド・ニュイの隣、ブルゴーニュ地方の中央付近にあるのがコート・ド・ボーヌです。ニュイでは栽培されるブドウの90%が赤ワイン用のピノ種であるのに対し、ボーヌではシャルドネも栽培しており、赤ワインも白ワインもどちらも高評価を得ている地域です。
軽快な味わいの「コート・シャロネーズ地区」
かつてはワインや農作物の積出港として栄えた町でしたが、現在では産業都市へと変貌したシャロネーズ地域。泥灰土と粘土の入った土壌がボーヌと似ているため、ワインも同じような味わいのものを生産しています。ただし、ボーヌほど認知されていないため、ワインの価格はリーズナブルなのが特徴です。
ブドウの品種に注目して選ぶ
ブルゴーニュ地方の白ワインは、基本的に「シャルドネ」もしくは「アリゴテ」というブドウ品種からつくられています。
厚みのある白ワインの品種「シャルドネ」
シャルドネは、世界で最も多く栽培されている白ワイン用のブドウ品種であると同時に、高級白ワインを生み出す品種でもあります。香り高く、辛口で厚みのあるふくよかな味わいのワインを生み出す品種です。
フレッシュな品種の「アリゴテ」
一方のアリゴテは、主に地元で消費されるワインに使用されている品種で、フレッシュな香りとシャープな酸が特徴のワインを生み出します。
畑の「格づけ」を目安にして選ぶ
ブルゴーニュ地方のワインの格づけは、ブドウ畑の区画ごとに定められています。
格づけ上位から順に、
●特級と規定された畑のブドウでつくられる「特級畑名ワイン(グラン・クリュ)」
●1級と規定された畑の「1級畑名ワイン(プルミエ・クリュ)」
●ある村の畑のブドウでつくられる「村名ワイン」
●ある地区の畑のブドウからつくられる「地区名ワイン」
●ブルゴーニュ地方全域のブドウからつくられる「一般広域名ワイン」とされています。
つまり、ブドウの生産区画がより限定的になるほど、格づけは上位になるのです。このような格付けというのも、ワイン選びのひとつの目安にすることができるでしょう。
造り手による味わいの個性を楽しもう
ブルゴーニュ地方のワインの造り手は、ブドウ栽培からワインづくりを一貫して行なう「ドメーヌ」と、農家から買い取ったブドウで、ワインづくりを行なう「ネゴシアン」に大きく分けることができます。
一般的に「ドメーヌ」のワインは個性的で希少性が高く、「ネゴシアン」のワインは安定的でより万人受けのする味わいといわれます。そのため、ブルゴーニュワイン初心者の方は、まずは「ネゴシアン」のワインから試してみるのがおすすめです。
一方、ある程度ワインを飲みなれている方は「ドメーヌ」のものを選び、造り手ごとに異なるワインの個性を楽しむのもいいでしょう。
ヴィンテージの当たり年にも注目する
ブドウが収穫された年度……ヴィンテージに注目して選ぶのもよい選び方です。ワインは、醸造に使うブドウの質がその味わいや品質に直結します。「当たり年」と言われる年に収穫されたブドウは質がよく、ワインの質もよい傾向にあるので、参考にしてみましょう。
近年であれば、1996年・2010年・2014年がブドウの当たり年だとされています。
プレゼントするなら3000円以上のワインが安心
ブルゴーニュ地方の白ワインには、何万円もするような高級ワインから1,000円程度で買えるものまで、幅広い価格帯のものが存在します。
デイリーワインとして自宅で楽しむのであれば2,000円以内のものでも充分楽しめますが、もし特別な日に飲んだり、贈答品にするのであれば、3,000円以上の「村名ワイン」以上の格づけのものがおすすめです。
ただし、価格とおいしさは必ずしも比例するわけではありませんので、価格はあくまでひとつの目安と考えてください。
ブルゴーニュ白ワインのおすすめ13選
ブルゴーニュの白ワインの選び方のポイントをふまえて、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。自分好みのワインを見つける参考にしてみてください。
シャルドネの魅力が詰まった1本
おだやかな酸味とやさしい口当たり、ほどよいミネラル感が特徴です。コート・ドールとコート・シャロネーズ産のシャルドネ種を使っています。シャルドネのワインらしいふくよかな香りとしっかりとした飲みごたえがあり、「ブルゴーニュのシャルドネ」のイメージを裏切らない1本です。
花のような香りや果実味は、鶏肉のフリカッセなどとの相性がよいです。
和食とのマリアージュも楽しめる
シャブリ地区のシャルドネらしいふくよかで華やかな香りが感じられます。すっきりとした飲み口でキレがある辛口の味わいですが、ただドライなだけではなく優雅な余韻も感じられるのがポイント。
牡蠣や魚介類と合わせることで、ワイン・料理双方のおいしさが引き立ちます。
寿司や刺身といった和食と合わせてもおいしい1本です。
豊かな味わいとコストパフォーマンスを追求した1本
「バッカスの夢」という名前がつけられた、日本でのみ流通している白ワインです。和紙のようなラベルがシャルドネ種のブドウのみを使ってつくられていますが、複数産地のシャルドネをブレンドすることで複雑かつ豊な味わいにしているのがポイント。
小エビのフリットや野菜のテリーヌ、白身魚のムニエル、寿司などとの相性がよいです。

ブルゴーニュの白ワイン入門にも最適な1本
気軽にブルゴーニュの白ワインを試してみたいという方におすすめの1本がこちら。
生産者はブルゴーニュ最大級のネゴシアンのひとつであるルイ・ジャド。土地の個性を反映したワインづくりにこだわる生産者です。
ブドウはブルゴーニュ地方全域で栽培された良質なシャルドネが使用されており、格づけは「一般広域名ワイン」にあたります。新鮮な果実味と樽熟成によるまろやかな味わいが調和し、バランスの良い味わいのワインで、その飲み口のよさからブルゴーニュの白ワインの入門にも最適です。

ギフトにもおすすめな上質の「村名ワイン」
すぐれたワインを生み出すコート・ド・ボーヌ地区のムルソー村のワインの中で、1万円前後のおすすめのワインがこちら。
格づけとしては「村名ワイン」に該当しますが、シャルドネの育成に最適な「白色泥灰土」を含む石灰岩層の土壌で育まれたシャルドネを使用している上質なワインです。
生産者のルイ・ラトゥールは、200年以上の歴史を持つ、ブルゴーニュを代表するネゴシアンのひとつ。外交の場面などでもたびたびそのワインが供されるという、実力を備えた生産者です。
ナッツのような香りと、芳醇でリッチな味わいが特徴的。贈り物に迷っている方にもぜひおすすめしたい1本です。

デイリーにもピッタリなマコネーのワイン
手ごろな価格でブルゴーニュ地方の白ワインをお探しの方におすすめの1本がこちら。
産地は白ワインの産地として有名なブルゴーニュ地方の南部に広がるマコネー地区。その中でもワンランク上質なワインを生産する「マコン・ヴィラージュ」に格づけされた村で生産されたワインです。
生産者はブルゴーニュ最大規模を誇り、安定した品質のワインを手がけるカーヴ・ド・リュニー。ブドウ品種はシャルドネが使用されており、メロンや洋ナシの香りに、ふくよかで厚みのある果実味が特徴で、酸味も穏やかなため、初心者でも比較的飲みやすい味わいです。また、お値段も手ごろなため、デイリーワインにもぴったりです。
※Amazon・Yahoo!ショッピングは1本、楽天市場は6本の価格です。

アリゴテの入門にピッタリな1本
こちらの白ワインは、シャルドネではなくアリゴテという品種のブドウからつくられています。
産地はコート・シャロネーズ地区の北部に位置し、アリゴテの栽培に好ましい条件がそろうブーズロン村。
このワインを手掛けるドメーヌ・ド・ヴィレーヌは、アリゴテの個性を引き出す製法にこだわり、アリゴテの魅力を世界に知らしめた立役者としても知られています。
すがすがしい酸味と心地よいまろやかな口当たりが特徴的で、ワイン初心者の方でも比較的飲みやすい味わいです。「シャルドネとアリゴテを飲み比べてみたい」、「アリゴテというブドウ品種のワインを試してみたい」という方にはぜひおすすめです。
樹齢が高いブドウの樹から取れた果実だけを使用
フランス、ブルゴーニュ地方を代表する名門ドメーヌのシャルドネワインです。国際的なワインの賞である、インターナショナル・ワイン・チャレンジの受賞歴をもつアルベール・ビショー。エコなブドウの栽培方法である、ビオロジック栽培のパイオニアともいえるドメーヌです。
樹齢が高いブドウの樹から取れた果実だけを使ったワインで、複雑で豊かなアロマが香るのが特徴。ソースを使った魚料理などにマッチする味わいです。フレッシュな香りと、コクのある口当たりを楽しめますよ。
和食との相性がよいシャルドネワイン
ブルゴーニュ地方で屈指の規模を誇るネゴシアン(醸造会社)である、ラブレ・ロワ社の製造したシャルドネワインです。ラブレ・ロワ社は高品質のワインを安定して供給することで定評があり、航空会社のメニューにも数多く採用された実績をもちます。
キレがある爽やかな飲み口は、海産物や和食との相性も抜群。すっきりとした辛口で、ブルゴーニュ地方のシャルドネの持ち味をうまく引き出したおいしさです。ワイン付きの方への贈り物としてもおすすめですよ。
名門ワイナリーで製造された、果実味あふれる味わい
130年以上の歴史を誇る、ブルゴーニュ地方の名門ワイナリーであるドルーアンが製造した白ワインです。シャルドネをメインに、その他のブドウ品種をバランスよく配合し、果実味にあふれたワインに仕上がっています。魚料理やあっさりとした和食との相性が良く、いつもの料理のおいしさを、より一層引き立ててくれますよ。
ナッツの風味がほのかに香るフレッシュな口当たり。スクリューキャップ式なので、手軽に開けられるのが嬉しいポイントです。
※Amazonは1本、楽天市場・Yahoo!ショッピングは12本の価格です。
丁寧に栽培されたシャルドネだけを使った白ワイン
ブルゴーニュ地方の有名ドメーヌによるシャルドネワインです。除草剤を使わず、丁寧に土づくりから行ったブドウ畑で栽培されたシャルドネ品種だけを使用しているのが特徴です。また、収穫は手摘みで行い、ワインに最適な果実だけを厳選。シャルドネ特有の柑橘系果実のような爽やかな酸味と、白い花の香りがまろやかに香ってしっかりマッチします。
サラダや魚料理に合う味わいのワインで、食事をより一層引き立ててくれますよ。バランスのよさが魅力の白ワインです。
シャトー ド ピュリニー モンラッシェ『クロ デュ シャトー ド ピュリニー モンラッシェ』
辛口のなかに果実味広がるフルーティーさ
グレープフルーツや洋梨の華やかな果実香を感じる辛口ワインです。柔らかく、穏やかな口当たり。生育が早めで果実味の高いブルゴーニュ・ブランです。
シャルドネの美味しさをじっくり味わえる白ワイン
ブルゴーニュ地方の大規模ネゴシアン(醸造会社)であるピエール・ポネル社によるシャルドネワインです。果実味豊かでエレガントな香りが特徴。シャルドネ品種の良さを存分に活かしたおいしさを味わえます。ブルゴーニュの伝統的なワイン製法を継承しているピエール・ポネル社は、近年特に注目されているネゴシアンです。
すっきりと辛口で調和の取れた味わいは、天ぷらや魚料理との相性も抜群。親しみやすい飲み口なので、ワイン初心者にもおすすめですよ。
「ブルゴーニュ白ワイン」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ブルゴーニュ白ワインの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのブルゴーニュ白ワインの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ブルゴーニュ白ワインの美味しい飲み方 温度が大事!

Photo by Scott Warman on Unsplash
ブルゴーニュのワインを選ぶのは一見難しく思えますが、産地やブドウ品種、それから格付けなど、何を重視したいかといった自分なりのこだわりを持つと選びやすくなるでしょう。
そして、せっかく買ったワインはおいしい状態で飲みたいですよね。一般的に白ワインがおいしく味わえる温度は6~10度。また、まろやかな味わいのものが多いブルゴーニュの白ワインには、10~16度で飲むのが最適なものもあります。
一概にはいえませんが、価格の高いものほど、やや高めの温度で飲んだほうがいいでしょう。いずれにしても、飲む30分~1時間前には冷蔵庫やセラーから出しておき、最適な温度でそのワインの持ち味を楽しんでくださいね。
ブルゴーニュの白ワインで乾杯!
ブルゴーニュの白ワインは、ブドウの品種によってその味わいが大きく異なります。フレッシュな味わいのものが好みであれば「アリゴテ」を使ったものを、ふくよかな味わいが好みであれば「シャルドネ」を使ったものを選びましょう。
同じブドウ品種でも地区によって味わいが異なるので、ぜひブドウが収穫された地区にも目を向けて選んでみてください。
辛口の白ワインは、魚介類や和食との相性もよいです。カジュアルに楽しめる銘柄もあるので、記事中で紹介した商品で気になるものを味わってみましょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。