雪山用登山靴の選び方 失敗しない!
それでは、雪山用登山靴の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の6つ。ポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができるので解説していきます!
【1】自分が行きたい山域と季節を明確に
【2】保温性やゲイター機能をチェック
【3】アイゼンの装着をチェック!
【4】自分の足に合うものを選ぶ
【5】アッパーの素材の特性をつかむ
【6】 ハードな登山には「アルパインシューズ」を
【1】自分が行きたい山域と季節を明確に
ひと口に雪山といっても、暖かな太平洋側の低山のように積雪が数cmしかなく、ローカットのシューズでも歩けるような場所もあれば、日本海側の高山のように数mも積もっていて、足を踏み出すと登山靴ごと腰まで埋もれてしまうような場所もあります。
また、初冬や春以降の残雪期は雪山にしては、気温がそれほど寒くはないものの、厳冬期は非常に気温が下がり、同じ山でも標高が上がるに従って気温が低くなり、ときにはマイナス20度になることも。
なので、まずは「自分が行きたい山域」と、登る「季節」を明確にしましょう。目標とする山の積雪量と気温が、雪山用の靴を選ぶときにはとても重要なのです。
【2】保温性やゲイター機能をチェック
積雪と低温に対応すべく、雪山用の靴には一般的な無雪期用登山靴よりも必要とされる機能が増えますが、最も重要な機能は「保温性」です。
アッパー(足の甲を覆う部分)の裏側やインソール(フットベット)に保温材が使われていないと指先から足が冷えはじめ、ひどい場合は凍傷になってしまいます。保温材の量や質はさまざまなので、目的の山の気温に適したレベルのものを用意しましょう。
そして、雪の侵入を防ぐ構造も重要です。登山靴上部から雪が入り込みにくいように、別途ゲイター(スパッツ)を組み合わせるのが一般的ですが、なかには簡易的なゲイターが一体化して付属している登山靴もあり、そのようなタイプを選べば、登山靴のみでも雪の侵入はおおむね避けられます。
【3】アイゼンの装着をチェック!
春から秋の無雪期は登山靴だけで山を歩くことができます。しかし、積雪期は雪がやわらかくて足元が沈む場合、雪中での浮力を出すワカンやスノーシューを併せ、雪面がかたく凍りついていたり、ソールがグリップしなかったりするときは鋭い爪がついたアイゼン(クランポン)が欠かせません。
どんな登山靴にも固定できるストラップ式から、コバといわれる溝状の部分が登山靴にあればかんたんに取りつけられるワンタッチ式やセミワンタッチ式まで多様にそろっています。コバの有無を含め、登山靴とアイゼンの相性もとても重要です。
【4】自分の足に合うものを選ぶ
登山靴選びでもっとも重要なのは、自分の足の形が、その登山靴に合うかどうかです。雪山用の靴は、はじめに機能の面からタイプや形状を選んでいきますが、いくら保温性が高く、雪中で行動しやすい構造の登山靴でも、使用する人の足に合わなければ意味がありません。
雪山用に必要じゅうぶんな機能性をもつという前提をふまえ、最終決定を下す最重要ポイントは「自分の足に違和感なくフィットすること」です。
【5】アッパーの素材の特性をつかむ
現代の雪山用登山靴には防水透湿性が当たり前で、どれも「ゴアテックス」を代表格とする防水透湿性メンブレンが内側に使われています。
しかし、その上に張られているアッパーは化繊と合皮のコンビネーションタイプが主流です。一般的に、摩耗(まもう)しにくく傷みにくいのは合皮ですが、化繊よりも重くなります。
一方、化繊は軽量なものの、使用していると次第に毛羽立ってきて、ひどいときには穴が空きます。
長く使うなら合皮の面積が広いもの、体力を補える軽量なものなら化繊の面積が広いものを選ぶといった考え方をしてもいいでしょう。
【6】 ハードな登山には「アルパインシューズ」を
アルパインシューズとは、岩場などが多い難易度の高い登山道でも安定して歩けるように作られたシューズです。ほとんどがハイカットの作りになっているので、足首をしっかりとホールドすることができます。
保温性や防水性にも優れているので、ハードな雪山にはアルパインシューズがおすすめです。
安全のために目立つカラーを選ぶことも重要 エキスパートのアドバイス
厳冬期の北アルプスや富士山のように、過酷な雪山に挑む人は非常に少数で、雪山では無理をせず、自分ができる範囲で楽しめればじゅうぶんという方は多いようです。
雪山用の靴を選ぶ際に必要なのは、その「自分ができる範囲」もしくは「自分が楽しみたい範囲」を見定めることです。
高山向けのハイスペックなモデルは、低山ではむしろ使いにくく、価格が上がるだけです。セレクト時の意外な視点として挙げられるのは「色」。
雪面で視認性がよいのは原色系の靴で、真っ白で段差すらわかりにくい雪中でも安全性が高まります。
派手な色がどうしても苦手な人以外は、登山靴全体または一部だけでも目立つ色が使われているものを選ぶといいでしょう。
雪山用登山靴おすすめ13選 人気ブランドを紹介!
上記で紹介した雪山用の登山靴の選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。
様々な性能を"等しく"高めたモデル
雪山でも目立ちやすい「ブラック×イエロー」「カーボン×ライムパンチ」の2パターンで展開している「LA SPORTIVA(スポルティバ)」の商品です。エクイリビウム(Equilibrium)の名が示す通り、登山ブーツに求められる様々な性能を”等しく”高めることを意図して設計されています。オリジナルデザインのダブルヒールシステムにより、スムーズに足を運べるほか、安定感のある接地が可能!グリップ力も強いため、下りでのブレーキ性能の面でも優れています。
人気商品「トランゴ」を、最新技術でアップデート!
北イタリアのドロミテ山麓の工場で製造された「LA SPORTIVA(スポルティバ)」の商品です。同ブランドの人気シューズ「トランゴ」を、最新技術でアップデートし、総合的に性能を高めています。アッパーの部分にはペルワンガー社製のレザーを採用し、抜群の撥水性・通気性を確保!本体の部分は、サブスキン・インジェクション製法により作られており、耐久性・防水性の面でも優れています。

保温性と機動力に優れる上級モデル
登山靴の世界では絶大な人気を誇るスポルティバには「ネパール」という雪山用の定番シリーズがありますが、こちらはそのなかでももっとも進化したタイプ。
ゴアテックスインシュレーテッドアッパーと高機能のアッパーを使い、スリムな見た目でも非常に暖かで、足首部分のフィット感もすばらしく、内部の暖気を閉じ込めて保温力をさらに増しています。
また、登山靴自体の軽量化を計るために小さな金属パーツにまで軽量タイプを使用し、衝撃を最大限に吸収するソールを採用するなど、徹底して最良の素材を使用。
一番気象条件が過酷な厳冬期でも安全性を増してくれます。

甲の靴紐の部分を隠す工夫
近年増えてきている、ソックス風の簡易ゲイターをプラスしたタイプです。しかもこの登山靴は、雪が固着しやすい甲の靴紐部分を面ファスナー使いのメッシュカバーで覆う工夫に加え、さらに雪山で使いやすくしています。
そして、重要なのは簡易ゲイターのために見た目はハイカットになっているものの、実際はローカット程度のアッパーしかもっていないこと。そのために体重がかかったときの安定感はそれなりですが、重量は片足600gに抑えられ、とても軽快に歩けます。
低山が中心で、ハードな雪山には行かないという人に向いています。保温材には暖かさで定評があるプリマロフト。かかとにコバがあり、セミワンタッチアイゼンが取り付けられます。
フィット感と軽さが魅力
絶妙なフィット感と軽さがクセになる、「SCARPA(スカルパ) 」ブランドの商品です。新しいスピードレーシングシステムとソックフィットシステムを採用しており、足の部分を包み込むようにズレなくカバーしてくれます。その上、重量も片足で900g程度のため、雪山の中でも軽快なフットワークが可能です。カフの上側にはゲイターが搭載されており、雪が中に入り込むのを防ぐと共に、熱の流出をしっかり抑制してくれますよ。

LOWA(ローバー)『マウンテンエクスパート GT EVO(L210029)』
タンがずれないおもしろい工夫
タン(ベロ)の中央に金属製の突起があり、靴紐をそこにかけてから締めていくという「Xレーシングシステム」を採用。
雪山用の大ぶりな靴はいったん靴紐を締めると微調整するのが大変ですが、この登山靴ならばタンの位置を修正する手間が少なくなります。
内部にはプリマロフトの中綿が入り、保温性はじゅうぶん。さらにゴアテックスのライニングで防水性を向上させています。
アッパーは強靭なスエードでかたさがあるため、地形が緩やかな低山では少し使いにくいものの、標高2,000m級の凍(い)てついた雪山ではしっかりと体を支えてくれて大活躍するはずです。ワンタッチアイゼンに対応しています。
岩場に強いプロテクターを装備した軽量な一足
足首からつま先にかけての独特なデザインのPUプロテクターを装備することで、片足550g(UKサイズ8換算)という軽量化を実現。軽やかな歩行感を追求しています。
特別設計されたかかと部分には、専用のアブソーバーを内蔵。アウトソールを薄めに設計していることにより、足裏感覚を高めているのも魅力です。岩場など不安定な場所で強みを発揮するでしょう。

雪が入りにくい、丈が長めのアッパー
一般的な雪山用の靴よりもアッパーが長く、さらに登山靴の開口部の隙間を減らすための伸縮性素材を最上部にプラスされ、とても雪が入りにくい構造になっています。
また、写真では少々わかりにくいですが、タンの部分はパーツが2層に分かれて面ファスナーで微調整できるようになっており、足入れ後のフィット感は上々です。
アッパーの上部には前後にループがあり、ここに指をかければ、登山靴を脱ぐときに力を使わずにすみ便利でしょう。ワンタッチアイゼンが取り付けられ、保温材にはゴアテックスインシュレーテッドが使われています。
3,000m級の冬山登山でも対応できる
冬山のなかでもより厳しい環境である、3,000m級の登山へ対応するスペックを追求した一足。
ダイヤルでフィット感を調整できる「BOAシステム」を採用しているので、登山用グローブをしたままでも脱ぎ履きできます。登山中でも気軽にフィッティングを調節できるのが魅力。
丈夫かつ内部が快適なのもうれしいところです。「ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート」という素材を採用することで、湿気をうまく外部に排出でき、蒸れを軽減します。

ルックスも現代的な軽量タイプ
登山靴の内側にシンサレートという保温材を使ったモデル。保温材の量はそれほど多くはなく、厳冬期の高山には向いていませんが、アッパーの補強には特殊な薄手の樹脂を使い、靴紐にもできるだけ細いものを使うなどの工夫で、片足650gと雪山用としては非常に軽量にできています。
足首には面ファスナーで留めるストレッチ性の簡易的なゲイター部分が付属。これで足と登山靴上部の隙間をなくして雪の侵入を防ぎつつ、登山靴内部の暖気を外に逃さない作りで、軽量なわりには保温性が高くなっています。
つま先とかかとにコバがあり、ワンタッチアイゼンに対応しています。脚力に不安がある人は、選択肢のひとつに入れてもいいでしょう。

まるでソックス!? 伸縮性のアッパー
保温性が高いショーラー素材をアッパーに使い、しかもソックスのように足全体を覆う袋状の構造にして、その上から靴紐で締めてフィットさせるというユニークなタイプの登山靴。
とくに足首の部分には高い伸縮性を持たせており、雪山用のゲイターを買って組み合わせなくても雪の侵入を防ぎます。
片足の重量が645gというかなりの軽量タイプで、その分だけ雪山用としては華奢(きゃしゃ)ですが、つま先とかかとにはコバが付けられており、ワンタッチアイゼンもしっかりと取りつけられます。
甲高幅広の形状の人が多いといわれる日本人の足にも合いやすい、幅広の足型が使われているのもポイントです。
海外の登山にも最適!
日本の雪山はもちろん、海外登山にも対応できるマウンティニアリングブーツです。ミッドソールは5層で形成され、足の内側と外側のサポート形状を非対称にすることで歩行をサポート。アイゼンを装着する雪山にも快適です。
履き口はネオプレーンでできており、保温性を保ちながら雪の浸入を防いでくれます。圧倒的なブランド力でデザイン性も優れているので、気になる方はぜひ、チェックしてみてくださいね。
女性向けのアルパインブーツ
ターコイズとアイスブルーを基調とした涼し気なデザインも魅力的なLOWA(ロワ)の女性向けの商品です。Gore-TexとPrimaloft400を素材として採用しており、保温性は抜群!厳冬期の雪山にも問題無く対応することができます。
「それだけ防寒性能が高いと、重くて歩きにくいんじゃないの?」と心配になりますが、厚みを抑えたソールにより軽量化を図ると共に、アブソーバー内蔵型のシャンクも備えており、歩行性能の面でも優れています!
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山靴の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での登山靴の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
雪山登山で役立つその他のアイテム 軽アイゼンや靴下、ピッケルなど
雪山用登山靴で「寒さ」から足を守ろう! 凍傷に注意!
雪山用登山靴の選び方とおすすめ商品を紹介しました。
まずは、目的の山の積雪量と気温を確認しましょう。山の環境に合わせて最適なモデルを選ぶことが重要です。防寒性能はもちろん、フィット感や重量などにもこだわりましょう。また、試着する際は、できるだけ登山時に履く厚手の靴下を持参することをおすすめします。
凍傷にならないように寒さから足を守ってくれる、自分にぴったりのアイテムを見つけてくださいね。
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