革靴を長持ちさせる靴クリーム!
革靴は毎日履いていると汚れや傷でボロボロになってきます。皮は生き物なので、栄養を与えてあげることである程度きれいな状態に戻ります。その栄養を与える役割が革靴クリームです。定期的に革靴クリームで「保湿」「栄養」「ツヤ」を与えることで革靴は間違いなく長持ちします。
しかしはじめて革靴クリームを使う人は革靴の色とぴったりの革靴クリームの色を見つけるのが難しいと思います。茶色や黒でも様々な色味があるので、靴専門店の革靴クリームから選ぶことをおすすめします。
革靴クリームの選び方
革靴クリームをどのように選べばいいのか、はじめて買う人にはわかりませんよね。そこで、エキスパートである元『monoマガジン』編集長の土居輝彦さんに、革靴クリームを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ポイントは以下の4つです。
【1】タイプ
【2】色付きカラータイプか
【3】乳化性クリームか
【4】におい対策
上記のポイントを押さえることで、あなたに合った商品を見つけることができます。ぜひ参考にしてみてください。
【1】革靴クリームのタイプから選ぶ
靴クリームは大別すると「乳化性クリーム」と「油性ワックス」があります。それぞれ主成分や用途が違います。それぞれ革の色やツヤのありなしで使い分けていくことになります。自分の革靴がどのタイプかを最初に把握して、適切な靴クリームを選ぶようにしましょう。
革を保湿してケアする「乳化性クリーム」
「乳化性クリーム」はとにかくオールマイティ。主成分は、水分、油分、ロウでできています。水分が多いとクリームの伸びもいいので塗りやすいです。とくに新品のうちは無色の乳化性クリームがおすすめ。革靴のことをよく知っている人だと、新品のうちにオイルやデリケートクリームを塗って(ファーストケア)から履きはじめる人もいます。
革靴は作られてから結構時間が経ったものもあり、思った以上に乾燥している状態のものが多いので、新品のうちにクリームでしっかり整えてあげましょう。
革の表面に光沢を出す「油性クリーム」
ツヤツヤの革靴に仕上げたいなら、油性クリームを使いましょう。成分は油分とロウ。乳化性クリームは保湿をして革を整えるのに対して、油性クリームはツヤ出しをして光沢感を出す役割で使います。したがって革を保湿したいときは、乳化性クリームと併用するのがベターです。
ツヤ出しの目的で使うのは油性クリームのほかに、油性ワックスもあります。ワックスとの違いは、革に栄養を与える点です。ワックスより光沢感は劣りますが、クリームには革の品質をたもてるというメリットがあります。
「油性ワックス」はシューケアの仕上げに
乳化性クリームで保湿した後にさらなるツヤ出しを目指す人は「油性ワックス」がおすすめ。油性ワックスは、クリームで保湿したあとに、仕上げとして使うことが多いでしょう。クリームを塗って磨き上げれば新品同様のピカピカになります。
革の種類にもよりますが、最高級のコードバン(馬のお尻の革)の靴などは、ガラスコーティングしたような仕上げになります。乳化性クリームと違い、油性ワックスは保湿効果はないのでご注意ください。
【2】着色したい方は「色付きカラータイプ」を
着色クリームを使うときは、色落ちをなくしたいとき、キズを目立たせたくないとき、あえて色ムラをだしたいときなどに使います。色付きクリームを使っても、元の靴の色を変えることはできませんのご注意ください。
【3】初心者は「乳化性クリーム」にこだわろう
初心者でも使いやすいのが、保湿など革の補修もツヤ出しもできる、オールマイティな乳化性クリームです。乳化性クリームにもさまざまな種類があるので、用途によって使いわけられるよう、くわしく解説します。
水分量が多いタイプは初心者でも塗りやすい
水分量が多いクリームはやわらかくて伸びがよく、革靴に塗り広げやすいです。かたいテクスチャーだと伸びが悪く、均一に塗り広げるのも難しいので、初心者は水分量が多くやわらかいクリームを選びましょう。
デメリットとしては、油分が少ない分だけ油性のクリームやワックスよりも持ちが悪い点が挙げられます。使い心地はラクですが、こまめな手入れが必要だと覚えておきましょう。
ツヤを持続させるなら、ロウが多く配合されたタイプを
靴クリームに含まれるロウには、革靴にツヤを出す役割があります。美しいツヤを長く維持したいなら、ロウが多く含まれているものを選ぶといいでしょう。
また、成分中の水分量が多いとクリームの伸びがよく、サラッとした仕上がりになります。なめらかに伸びて塗りやすいので、初心者の方やスピード重視でお手入れしたい方に向いています。
「デリケートクリーム」は水分&油分のバランスがいい
革靴のケアを重視したいなら、乳化性クリームのなかでもロウがあまり含まれておらず、水分と油分のバランスがいい「デリケートクリーム」を選びましょう。ロウがない分、ツヤ出しには向きませんが、栄養を与えてしっかりと保湿し、革の補修ができます。
ロウと相性が悪く、シミができてしまう素材でも、デリケートクリームなら使えます。さらっとした仕上がりで、革の本来の質感を楽しみたい人やテカテカとした見た目が好きではない人にもおすすめです。
【4】におい対策には植物系天然オイルやビーズワックスを
履き続けた革靴のにおいが気になる方は、植物系天然オイルやビーズワックスを配合した靴クリームを選ぶといいでしょう。気になるにおいを打ち消してくれるだけでなく、香りそのものも楽しめます。
香りの好き嫌いは実際に使ってみないとわからないことが多いので、まずは試してみて自分に合ったものを見つけてくださいね。
革靴クリームの人気ブランドを比較!
革靴クリームの選び方を知っても、商品はたくさんあるので、どのメーカーから買えばいいのか迷いますよね。そこで、「革靴クリームといえば」と名高い、人気ブランドをご紹介します。メーカーごとに特徴があるので、参考にしてください。
コロンブス
靴クリームを生業として1919年に創業したコロンブス。歴史がある日本の靴クリーム企業です。近年では、メイドインジャパンの信頼性を生かし、ハイエンドの商品BootBlackの欧州進出や世界的有名ブランドとの取り組みなども行っています。
こだわりの極微粒子クリームが革靴に広がって、革本来の風合いや表情を損なうことなく、深みのある色とツヤで再現してくれます。
モゥブレイ
革の聖地イタリア・トスカーナで生まれたモウブレイの靴クリームは、熟練の職人によるハンドメイド的製法で作られています。欧州の靴クリーム作りの伝統と品質を現代に受け継いでいる、品質にこだわりのあるブランドです。
なかでも、人気のシュークリームジャーは、初心者でもその効果を実感できる伸びのよさと、高い補色効果を持っています。
サフィール
サフィールは、レザー製品やアンティークのケア用品を手がける、フランス・Avel(アベル)社のブランド。1920年に誕生し、時代とともに変化する革に寄り添い、メンテナンスを進化させてきました。世界65カ国の人に愛されています。
植物性油分など天然原料にこだわり、革の刺激となる合成樹脂やシリコンを使っていません。品質のよさが、世界中の人から選ばれている理由のひとつといえるでしょう。
コロニル
コロニルの革靴クリームは、伸びがよく、浸透力が高く、また塗った箇所がシミになりにくいので、初心者さんにおすすめです。プロにも選ばれているブランドなので安心感もありますよね。革靴ケアのブランドとしては評価が高く、長年革靴を愛用していきたいと思う人にとっては、必ずチェックしてほしいケアブランドです。
革靴クリーム【乳化性タイプ】おすすめ13選
ここからは乳化性タイプの靴クリームおすすめ商品をご紹介します。

これ1本でお手入れが済む万能選手
「乳化性クリーム」や「レザーローション」として使えるフランス生まれのシューケアクリーム。1925年のパリ万博で金賞を受賞した名門ブランドです。保湿と栄養補給、そして汚れ落としもこれ1本でOK。同時に磨き込めばそれなりのツヤも出るので、あれこれ悩んでいる人は、まずはこの1本からはじめるとよいでしょう。
日本人が下駄や草鞋を履いていた時代から続いているブランドなので、その信頼性は高いです。パッケージのデザインもレトロな雰囲気。無色なので、色落ちしたシューズの補色はできません。基本のお手入れローションとして使うことをおすすめします。水分、油分、ロウが主成分のクリームです。

シューズの色に合わせて補色可クリーム
こちらも「乳化性クリーム」ですが、豊富なカラーバリエーションでシューズの色に合わせて選ぶタイプです。色つきで補色効果もあります。ブランドは歴史がある国産のコロンブス。キズやシワのあるシューズの表面に極微粒子のクリームが広がって、革本来の風合いや表情を損なうことなく、深みのある色とツヤで再現してくれます。
もちろん、栄養補給もこのクリームを使えば充分。お手入れ時間が短くて済む初心者向けの『シルバーライン』もありますが、美しさを比べたらプロも絶賛する仕上がりのコロンブスの上級ブランド『ブートブラック』がおすすめです。コスパがよいのも魅力。


ジュエル『ヴィオラ シュークリーム』
SAPHIR Noir『CREME 1925 靴磨き クリーム 』
革靴クリーム【油性ワックスタイプ】おすすめ4選
続いて、光沢感のあるツヤツヤとした仕上がりにしたい人に「油性ワックス」の商品をご紹介します。クリームで革を整えたあとに使うなど、併用してもいいでしょう。こちらも色や使い心地などをチェックしてください。

天然ワックスを使用した鏡面仕上げ用
サフィールの上級ライン「サフィール ノワール」は、1920年代からの伝統的なレシピを採用。この鏡面磨き用ワックス「ミラーグロス」は、カルナバワックスなどの高級天然ワックスを主成分に配合されています。特徴は通常のポリッシュよりも早く鏡面仕上げになることで、時間のないビジネスマンには最適。
保湿や栄養効果はないので、あくまでも通常のお手入れ後の仕上げ用として使用してください。つま先やかかとなど、革の厚い部分のみに使うものなので、アッパーへの使用は厳禁。しかし、その光沢ある鏡面仕上げは満足度が高いことでしょう。ここ一番で革靴を光らせたいときには頼りになります。
「革靴クリーム」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 靴クリームの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの靴クリームの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
革靴クリームの使い方の手順とお手入れ方法
ブラシで汚れを落とす
革靴専用のブラシで革靴の表面の汚れをブラッシングをして取っていきます。おすすめは柔らかい毛質の馬毛ブラシです。
革靴クリームを塗る
汚れをキレイに落としたら、クリーム専用のブラシか柔らかいクロスを指に巻き付けて、クリームを少量取り革靴にまんべんなく塗り込んでいきます。つま先、かかと、サイドにわけてしっかり塗り込んでいきましょう。お手入れが慣れていない人は、乳化性クリームを使いましょう。慣れてきたら油性ワックスも使いやすいです。
豚毛ブラシで伸ばす
クリームをしっかり塗り込んだら、専用の豚毛ブラシで革靴の毛穴まで浸透させる感じでブラッシングしていきます。黒い革靴には黒い豚毛ブラシ、茶色い革靴には茶色の豚毛ブラシを使いましょう。
クロスで乾拭きする
最後の仕上げとして、乾いたクロスで革靴をしっかり磨きましょう。光沢が出て買ったときのような状態に近づけることができます。革靴は環境に左右されやすいので、できれば月1回程度お手入れをしましょう。
革靴に関するQ&A
革靴のメンテナンス頻度はどのくらい?

ふだんからよく履いている靴なら、週1回はメンテナンスをしましょう。フォーマル用などめったに履かない靴でも、月に1度はケアするのがベター。靴箱から出して陰干しし、栄養クリームを塗ってあげれば、いつまでもきれいな状態をたもてます。
無色の乳化性クリームなら、靴の色によってクリームを使い分ける必要はないので、メンテナンスも手早く済みます。ていねいにメンテナンスしたいときは、同色のクリームを使いましょう。ツヤ出しでの発色に差が出ます。
靴クリームが固まったときはどうすればいいですか?

クリームの溶かし方などいろいろ試されている人もいますが、油分の多いクリームに対して水を入れたり、火を使うのはやめましょう。クリームが表面のみ乾燥していて、なかがやわらかければ混ぜることにより馴染んでやわらかくなる可能性はあります。
しかし、乾燥してしまったら、クリームの寿命だと思って新しい靴クリームを購入するのが適切です。
そのほかのシューケア用品の記事はこちら 【関連記事】
ひと手間が革靴を長持ちさせる!
革靴を買ったらそのままにせず、クリームやワックスを使ってメンテナンスをすると、長持ちさせられます。革そのものに栄養を与えて、保湿をしてくれるクリームと、ツヤ出しをするワックスどちらも大切。ひと手間で革靴が長持ちするなら、新しく買うよりもコスパもいいです。靴の仕上がりがよければ、コーデ全体もおしゃれに見えます。
この記事を読めば、どんなタイプがあるのか、自分に合った商品や使い分けがわかるはず。ぜひクリームやワックスで革靴をケアして、お気に入りの革靴を長く履き続けられるようにしましょう。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
1982年より㈱ワールドフォトプレス社の雑誌monoマガジン編集部へ。 1984年より同誌編集長。 2004年より同社編集局長。 2017年より同誌編集ディレクター。 その間、数々の雑誌を創刊。 FM cocoloへの情報提供、執筆・講演活動、大学講師、各自治体のアドバイザー、IDSデザインコンペティション審査委員長などを現在兼任中。