スノーブーツの選び方 保温性と防水性、形状・サイズ
山岳アウトドアプロデューサーの高橋庄太郎さんに、スノーブーツを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
保温性と防水性で選ぶ
スノーブーツには化学繊維やウールといった保温材が使われ、これらの質や量などで温かさが変わります。ただ、保温材の量が多ければ温かくなりますが、その分重くなって歩きにくくなります。
また、防水性も考慮しなければならない要素のひとつです。極低温で使うスノーブーツであれば、雪がない時期に使うシューズほど防水性を重要視する必要はありません。
というのも、極低温の野外では、ブーツまわりの雪はつねに凍りついたままブーツの表面に付着しているだけ。溶けて水になり、水分が浸透することがあまりないのです。そのため、防水性が低いから低性能というわけではありません。
スノーブーツを選ぶ際には、履く場面に合わせるのがおすすめ。適材適所の観点が重要です。
ブーツのインナーには保温素材のものを
スノーブーツの保温性は、ブーツの内側にあるインナーの素材が重要なポイントになります。保温性が高い素材はボアやニットなど。雪で冷えた足を入れたときの快適性にすぐれています。
また、オムニヒートやアウトラストなども保温性にすぐれた素材です。人間の体熱を利用して保温性を高めるのがオムニヒート。ブーツ内を快適に保つ保温調整する素材がアウトラストです。
生活防水と完全防水の違い
スノーブーツの防水性には「日常生活防水」と「完全防水」の2種類があります。それぞれの違いを知っておくと選ぶときの参考になります。
日常生活防水のブーツは日常的に履けるもので、普通の雨程度なら利用可能です。防水性はやや劣りますが、中が蒸れないのが特徴。
完全防水のブーツはアウトドアなどで雪の中を歩くときに使用します。防水性が高いので蒸れやすいですが、大雪でも大丈夫です。
歩きやすさはアウトソールの形状で選ぶ
一般的に、スノーブーツのアウトソールに刻まれているミゾはかなり深く、雪中で滑りにくいように細かな凹凸もつけられています。柔らかな雪面を中心に歩く場合は、それだけで充分なグリップ力を生み出すことができます。
しかし、ツルツルに凍結した雪面でも履くような場合に、深いミゾは向きません。凍結した場所には、むしろミゾが浅く、雪面に密着する面積が広いタイプのソールのほうが安定することがあります。
近年は氷の上でも滑りにくい特殊素材を使ったソールもあるので、状況に合わせてこういったタイプのスノーブーツを試してみるのも選択肢のひとつです。
滑りにくい素材と形状のソール
スノーブーツのソールに適している素材はラバーです。弾力性がありながら防滑性にすぐれており、雪道でもしっかり歩行できます。ラバー以外では合成樹脂のEVAやヴィブラムなどのソールメーカーブランドもおすすめ。
ソールの形状はラグソールタイプが適しており、深い溝と凹凸で雪道をしっかりグリップします。選ぶときはソールの形状も大事なポイントです。
寒冷地ではスパイクつきを
雪の中よりも滑りやすいのは氷の上です。寒冷地では雪が凍って路面凍結することが多いので、スノーブーツも慎重に選んでください。
凍りついた道を歩くときにおすすめなのがスパイクつきのソールです。スパイクは金属製のものや、樹脂に金属ピンが埋め込まれているタイプなどがあります。
雪と違って氷の路面をグリップするには、スパイクの力が必要です。
雪の侵入を防ぎたいなら長い丈のシューズを
丈が長く、上部をコードで絞れるタイプのスノーブーツは、保温性が高いことに加え、ブーツ内への雪の侵入も防ぐことができます。ただ、少し重いのがデメリットです。
丈が短いものは、保温性に劣り雪が入りやすいことがデメリットですが、足さばきがよくて行動しやすいのがメリットです。
サイズはぴったり足に合うものを選ぶ
スノーブーツが保温力をもっとも発揮するのは、ジャストサイズを選んだときです。窮屈なものは足の血行を阻害し、冷えの大きな原因となるので注意しましょう。逆に、緩すぎるものは足とブーツのあいだに余分な空間を生みます。保温材が温まりにくくなり、せっかくの温まった暖気も流出してしまい逆効果です。過不足ないサイズのスノーブーツを選ぶようにしてください。
アウターとインナーが分かれた2重構造のスノーブーツは、暖かいものの、フィット感の面では少し落ちるのがデメリットです。
試し履きの際には保温力が高い厚手のソックスを着用したうえで、自分の足にぴったり合うものを探してください。
おしゃれするならコーデしやすいデザインを
雪道やアイスバーンを歩くには機能性にすぐれたブーツが必要ですが、おしゃれなデザインのものも増えています。
冬のファッションを楽しむなら、機能性が高くコーデしやすいスノーブーツを選んでください。
最近は機能性にすぐれたアウトドア用ブーツをタウンユース用として履きこなすおしゃれも人気です。ファッション重視ならコーデしやすいスノーブーツを選びましょう。
人気のブランドで選ぶ
いろいろなメーカーがスノーブーツを取り扱っていますが、迷ったときには人気ブランドのものを選ぶというのもひとつの方法です。
人気ブランドものにはひとを寄せつける魅力がそなわっています。たとえば「ザ・ノースフェイス」、「コロンビア」などの海外ブランドです。
国内ブランドでは「モンベル」も人気があります。日本人向けに作られているので、履きやすいのが特徴です。
開口部が広めなら脱ぎ履きしやすい
足を入れるときに楽なのは、開口部が広いデザインのスノーブーツです。フィット感は落ちてしまうものの、パンツの裾もいっしょにブーツ内に入れられます。
開口部が狭いデザインのスノーブーツは、分厚いソックスを履いているとブーツ内に足を入れにくく、履く際には少々ストレスを感じるかもしれません。しかし、一般的なブーツのようにフィット感がよく、行動しやすいでしょう。
スノーブーツおすすめ12選 人気のブランドメーカーも
うえで紹介したスノーブーツの選び方のポイントをふまえて、山岳アウトドアプロデューサーの高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

SOREL(ソレル) 『ブリザードXT(NM2141)』






出典:Amazon
サイズ | 25cm〜29cm |
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重量 | 840g(片足・目安) |
素材 | アッパー:メンブレン裏貼りテキスタイル、9mmOHインナーブーツ、フットベッド:9mm フェルト ほか |
対応温度 | -40℃(目安) |

kamik(カミック)『ネーションプラス』

出典:Yahoo!ショッピング
サイズ | 25cm〜29cm |
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重量 | 約820g(片足) |
素材 | アッパー:防水加工スエードレザー、ナイロン、ライニング:取外し可能シンサレート™、ボトム:防水加工フレキシブルラバー ほか |
対応温度 | -40℃ |

mont-bell(モンベル) 『ヴェイルブーツ』

出典:Yahoo!ショッピング
サイズ | 22cm〜29cm |
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重量 | 806g(26.0cm・片足) |
素材 | アッパー:ナイロン、天然皮革、E.V.A.フォーム、インナーブーツ:ウール混ポリエステルフェルト、アウトソール:アイスグリッパー |
対応温度 | - |
凍結した場所でも滑りにくい特殊ソール
インナーブーツとアウターブーツを重ねて使う2重構造のスノーブーツです。
インナーには、見るからに暖かそうなポリエステル製フェルトが、ブーツからはみ出すほどたっぷりと使われています。レザーとナイロンを組み合わせたアウターは強くしなやかで、ざらついた雪に擦れても傷みにくいのが特長です。
注目してほしいのは、ポリエステル繊維を加えたアクアグリッパーという特殊なソール。凍り付いた雪面でも滑りにくく、安全性を高めています。
フィット感を調整するのは一般的な靴紐やコードではなく、ダイヤルを回してワイヤーを締める「リールアジャストシステム」というもの。グローブをしたままでも、かんたんにブーツのフィット感を調整できます。

Caravan(キャラバン)『 スノーキャラバン(SHC_10)』














出典:Amazon
サイズ | 22cm〜29cm |
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重量 | 約630g(26.0cm・片足・標準) |
素材 | ポリエステル+合成皮革アッパー、EVAミッドソール、滑り止めドット付きラバーアウトソール(C1ブロック) ほか |
対応温度 | - |

マムート『ブラックフィンⅡハイWP』

出典:Amazon
サイズ | EU 36 2/3-UK4.0~EU 48 2/3-UK 13.0 |
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重量 | 730g |
素材 | ファブリック: Synthetisches Leder、PU Protection ほか |
対応温度 | -25℃ |

KEEN(キーン)『ウインターポート2』














出典:Amazon
サイズ | 25cm〜30cm |
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重量 | 540g(25.5cm・片足) |
素材 | ポリエステルブーティーとマイクロファイバーの補強材を組み合わせたライトウェイトアッパー ほか |
対応温度 | -20℃ |
竹炭の効果で、足全体が暖か
繊細なつま先を、かたいラバーで守る構造のサンダルで人気を誇るキーン社が、サンダルのアイデアを応用して作ったスノーブーツです。
雪中に蹴り込むつま先はラバーで覆いつつも、そのほかの部分の補強はあまり大げさにせず、軽量性を重視しています。フィット感の調整もキーンのサンダル同様、ドローコードで引っ張るだけのかんたんな仕組み。竹炭を混ぜた保温材は赤外線の効果で温かさを向上させつつ、柔らかさもキープしているスノーブーツです。
暑さを感じたときはアッパーを短く折りたたんで履くこともできます。防水透湿性のメンブレンも使われ、水濡れや蒸れにも強いタイプです。
SOREL(ソレル)『ウィットニートールレース2(NL3085)』








出典:Amazon
サイズ | 22.5~26.0cm |
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重量 | 390g(片足) |
素材 | アッパー:ナイロン、シンセティックレザー、インソール:PUのような耐久性を持つEVA、ミッドソール・アウトソール:ラバー、ほか |
対応温度 | ー |
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)『ヌプシブーティーウォータープルーフ7(NFW51975)』














出典:Amazon
サイズ | 22.0~26.0cm |
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重量 | 312g(24.0cm、片足) |
素材 | アッパー:撥水加工ナイロンリップストップアッパー、ほか、ボトムユニット:圧縮成型EVAミッドソール、ラバーアウトソール |
対応温度 | ー |
UGG(アグ)『PALOMAR SNEAKER(パロマー スニーカー)』






出典:楽天市場
サイズ | 22.0~26.0cm |
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重量 | 310g (22.0cm、片足) |
素材 | アッパー:防水スエード、ライニング:天然ウール、インソール:フォーム、アウトソール:EVA |
対応温度 | -32℃ |
第一ゴム『シェブリー スノーブーツ(W85)』












出典:Amazon
サイズ | 22.5~25.0cm |
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重量 | 565g(23.0cm、片足) |
素材 | 合成ゴム |
対応温度 | ー |
THE NORTH FACE(ザ・ノースフェィス)『ヌプシブーティーウォータープルーフ6ロゴ(NF51876)』














出典:Amazon
サイズ | 23.0~29.0cm |
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重量 | 385g(27.0cm、片足) |
素材 | アッパー:撥水加工ナイロンリップストップアッパー、マイクロファイバースエード、ほか、ボトム:圧縮成型EVAミッドソール、ほか |
対応温度 | ー |
AMOJI(アモジ)『スノーシューズ』














出典:Amazon
サイズ | 24.0〜27.0cm |
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重量 | 350g(片足) |
素材 | アッパー:撥水素材、ライニング:ダウンボア |
対応温度 | - |
スノーブーツ【キッズ向け】 おすすめ2選 親子で揃えることも
暖かくて安全に配慮されたキッズ向けのスノーブーツをご紹介します。
VANS(ヴァンズ)『キッズ ヴァンズ スノーブーツタイプ BAKER (V8220K)』






出典:楽天市場
サイズ | 17.0~23.0cm |
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重量 | ー |
素材 | ナイロン・シンセティックラバー |
対応温度 | ー |
POOKIES(プーキーズ)『スノーブーツ(PK-EB510 )』

出典:Amazon
サイズ | 15.0~16.0cm、17.0~18.0cm、19.0~20.0cm、21.0~22.0cm、23.0~24.0cm |
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重量 | ー |
素材 | 合成ゴム、ポリエステル、ソールEVA底 |
対応温度 | ー |
「スノーブーツ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする スノーブーツの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのスノーブーツの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
購入後は、保温力をキープする履き方を 山岳アウトドアプロデューサーのアドバイス
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
せっかくスノーブーツを手に入れても、適当な使い方をしていると、本来の保温性が発揮されません。保温力を損ねる大敵は、ブーツ内の濡れと湿気です。大前提として、ブーツには完全に乾燥しているソックスを合わせましょう。
歩行中に注意したいのは、スノーブーツと足の隙間から雪が入らないようにすること。それでも足にかいた汗でブーツ内は少しずつ湿っていきますので、使用後はしっかりと乾燥させましょう。とくに数日間連続して履くようなときは毎日の乾燥がとても重要です。
アウトドア用シューズ関連の記事はこちら
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/02/02 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。