母乳搾乳器との賢いつき合い方 知っておきたい
搾乳器を利用する頻度は人それぞれ。人に預けるときや外出中の授乳時のみなら、コスパのよい手動タイプの搾乳器で充分でしょう。また、睡眠不足が続き授乳を少し休みたいと感じた場合にも、保存用の搾乳には手動式が便利。3~4カ月以降で射乳もしっかりある、乳腺が成熟している方には手動でも短時間で効果があることもあります。
母乳の出がよいママや搾乳の頻度が高いママには、短い時間で搾乳できる電動タイプがぴったりです。また、直接授乳できない赤ちゃんや大量の搾乳をしたい場合も、電動をおすすめします。
どちらが自分に合っているのか迷ってしまう場合は、レンタルを利用してみるのもいいでしょう。
母乳搾乳器の選び方 「手動」と「電動」どちらがいい?
ベビー用品のなかでも、購入するかどうか悩むママが多い母乳搾乳器。じつは、出産前からの購入はおすすめしておりません。出産後、どのように母乳が分泌するのか確認してから選ぶといいでしょう。
また、授乳後の後搾りのしすぎは分泌過多になるので、基本的に痛みがない以外は産院でもすすめていません。痛みがあるような乳腺に使用するのは、かえって刺激が強すぎて症状を悪化させることにつながる可能性があります。
ここからは搾乳器を選ぶときのポイントをご紹介します。注意点を考慮しながら、選ぶポイントもチェックしてみましょう。
搾乳の頻度と1回の母乳量でタイプを決める
搾乳器には、大きく分けて手動タイプと電動タイプがあります。それぞれにコスト面、搾乳方法、サイズ、消毒方法などによってメリット・デメリットがあるので、まずは商品の特徴を知ることが必要です。
出産前になんとなく準備するのではなく、授乳をスタートしてからママと赤ちゃんの授乳ペースに合った搾乳器を選択するといいでしょう。
軽量で持ち運びに便利! コスパもよい手動タイプ
手動タイプのメリットは、電動と比較してコスパがよく、軽量で持ち運びに便利だという点です。搾乳の強弱など微調整ができる点も便利ですが、母乳の出がよく搾乳頻度の高いママには、手が疲れうまく搾乳ができなくなってしまうことがあります。
睡眠不足で緊張や疲労がたまりやすい授乳期。ママの体に痛いところがあるのはつらいので、手の痛みを感じたら電動への買い替えやレンタルへの切り替えを検討してみましょう。
搾乳時間が短く手が痛くならない電動タイプ
電動タイプは、ボタンを押すだけで搾乳がスタートしたり、母乳の出がよいママにはうれしいダブルポンプで両胸から同時に搾乳ができたり、母乳を無駄にすることのない便利さがあります。昼間働いていたり、たくさん母乳を保存したりしておきたいママにはぴったり。
手動タイプに比べコスト面での負担は大きくなります。しかし母乳の出がいいママは1回の授乳では母乳を出しきれず、ときには乳腺炎になることもあるので、予防という観点からも持っておくと安心です。
搾乳容器はお手入れのしやすさに注目する
母乳を保存しておく搾乳容器は、きちんと消毒をしてつねに清潔にしておきたいもの。搾乳器を選ぶ際のポイントとして、組み立てがシンプルでパーツが少ないという点は外せません。
お手入れの方法としては、煮沸、電子レンジ、食洗機・薬液につけおきなどが一般的。こまめに洗うものなので、食洗機や電子レンジを使用してかんたんにお手入れできるものが便利です。
部品が少ないものや洗いやすいものがベスト
作りがシンプルで部品が少なく、お手入れがかんたんであることは、搾乳器を選ぶときにおさえておきたいポイントです。
パーツが劣化や紛失してしまったときに、部品を新品に交換できるかもチェックしておきましょう。部品を単品で販売しているメーカーだと安心です。
電子レンジで高温殺菌できるタイプに注目
専用ケースに全パーツをセットして、電子レンジで高温殺菌できるタイプだと消毒後にそのまま保管もできて便利。
空いた時間に少し座ってお茶を飲むなど、ママがリラックスできれば母乳の出もよくなって、いいサイクルが生まれるかもしれません。なるべく便利でかんたんにお手入れができるアイテムを選んでみましょう。
搾乳容器のサイズは購入前に確認を
付属の搾乳容器は、大きめのものがおすすめです。商品によっては、付属の容器が100ml以下のものもあるのでサイズの確認は必ずしましょう。一般的に150~160mlが標準サイズ。
なかには手持ちの哺乳瓶につけ替え可能な商品もありますが、手動の場合は哺乳瓶が大きすぎると手に負担がかかるので注意が必要です。
肌に直接触れる部分の素材のチェックも忘れずに
授乳中のママの肌を守る、やさしい素材かも要チェック。授乳中は、乳頭を痛めたり、胸が張って痛かったりとデリケートな時期になるので、なるべく触って心地いいと思える素材を選びましょう。
クッション素材のなかでも、アレルギーがあるママでも使えるシリコン素材は、やわらかくてストレスの少ない素材。液体シリコンや、花弁状に凹凸のあるシリコンなど、商品によって異なるので購入前によくチェックしてみてください。
母乳の出が心配なら母乳アシスト機能に注目
搾乳準備モードや搾乳モードなど、吸引力を調整できる商品にも注目しましょう。やさしく速いリズムでおっぱいを刺激する準備モードで母乳の出をうながし、母乳が出始めたら搾乳モードに切り替えることで、効率的に搾乳をすることができます。また、吸引の強さを自分の好みに調節しながら使用できるのもポイントです。
おっぱいの状態はママによって違うので、アシスト機能は多いほうがいいでしょう。
母乳の分泌は個人差があるため慎重に選ぶことが大切 わこう助産院院長からのアドバイス
わこう助産院院長・助産師/社)わこう産前・産後ケアセンター代表
母乳搾乳機を選ぶ際、個人差があるので慎重に選ぶことをおすすめいたします。母乳が出始める経過は出産してみないとわからないため、出産前からの搾乳機選びはイメージしにくく難しいでしょう。可能ならばレンタルや産院などで試してから、自分の乳房や分泌に合ったものを選ぶと安心です。
圧のかかり方や搾乳するポイント・フィット感は、メーカーによっても異なります。産後間もないころや大量の搾乳には電動を、3~4カ月以降で母乳が軌道に乗っている場合は手動でも短時間で搾乳でき、腱鞘炎(けんしょうえん)などの負担も減るでしょう。
母乳用搾乳器の正しい使い方 覚えておきたい
自分に合う搾乳器を見つけたら、つぎは搾乳時のポイントです。乳腺炎の予防にもなる搾乳器は、ママのよきサポート役。ただし、あくまで授乳のサポート役のため、使いすぎるのもよくありません。
母乳の出がよいママは、とくに搾乳のしすぎに注意が必要。たくさん母乳を搾乳することで新しい母乳が作られすぎ、胸が張ったり詰まったりすることがあります。
知っておきたい搾乳器のメリットとデメリット
搾乳器で出したぶん新しい母乳が分泌されるため、母乳の出が心配なママにとっては授乳量の増加につながることがあります。
一方で母乳の出がよいママは搾乳がクセになり、新しい母乳が作られすぎてつねに胸が張り痛いと感じてしまうことも。理想は、赤ちゃんに飲んでもらって授乳を終えることです。搾乳器は適度に使用することを心がけましょう。
完全母乳には母乳の冷蔵・冷凍保管が便利
搾乳した母乳は専用のパッドに保管して、冷蔵または冷凍しましょう。生ものなので、冷蔵庫に保存したら24時間以内に使用すると安心。
完全母乳での育児をするなら、冷凍母乳を使うことによってパパが子育てに参加するきっかけになるほか、実家に預けて出かけるときなどに便利です。
使用後の衛生面の対策もしっかりと
使用後のお手入れをかんたんにする1台2役(除菌・保管)の保管ケースもあると便利です。
指定量の水を入れて電子レンジでチンするだけで、気軽に除菌が可能。電子レンジが使用できる商品でないと故障や劣化の原因になるので、購入前にこちらも確認しておきましょう。
【手動】母乳搾乳器のおすすめ5選 カネソン、ピジョンほか
ここからは、手動と電動に分けて搾乳器をご紹介していきます。まずは、手動タイプです。
母乳バッグつきでそのまま冷凍保存ができる便利なセットや、搾乳口の素材にこだわっているもの、食洗機の使用が可能な商品などをご紹介します。気になる搾乳器を探してみてくださいね。
わこう助産院院長・助産師/社)わこう産前・産後ケアセンター代表
カネソンさんは、いつも「あったらいいな」という母乳支援グッズがたくさんある会社さんです。Kaneson(カネソン)『さく乳ハンド保存セット 母乳バッグ付』も、直接保存バッグに搾乳できるすぐれもの。母乳をより清潔な状態で赤ちゃんに届けられる搾乳機です。はじめて見たとき、感動しました。

Kaneson(カネソン)『さく乳ハンド保存セット 母乳バッグ付』














出典:Amazon
消毒方法 | - |
---|---|
搾乳容器 | 100ml |
素材 | シリコン |
食洗機 | 不可 |
セット内容 | さく乳器、母乳バッグコネクター |
Pigeon(ピジョン)『さく乳器 母乳アシスト 手動』














出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、レンジ、薬液 |
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搾乳容器 | 160ml |
素材 | シリコン、ポリプロピレン、ダイアフラム、ポリフェニルサルフォン |
食洗機 | ー |
セット内容 | さく乳器、母乳実感哺乳びん、乳首 |
NatureBond(ネイチャーボンド)『シリコンストッパーとストラップ付きシリコン搾乳ポンプ 』


















出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、レンジ |
---|---|
搾乳容器 | - |
素材 | シリコン |
食洗機 | - |
セット内容 | シリコンストッパー、ダストカバーリッド、ベルベッドポーチ、ポストストラップ、シリコンポンプ |
NUK(ヌーク)『手動さく乳器 Jolie』












出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸 |
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搾乳容器 | 120ml |
素材 | シリコン、ポリプロピレン ほか |
食洗機 | 可能 |
セット内容 | 母乳保存容器、キャップ、中ぶた、フード、さく乳器用スタンド、母乳用替えニップル |
Haakaa『シリコーン ブレストポンプ』


















出典:Amazon
消毒方法 | - |
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搾乳容器 | 100ml、150ml |
素材 | シリコン |
食洗機 | 可 |
セット内容 | ブレストポンプ、フラワーストッパー |
【電動】母乳搾乳器のおすすめ5選 メデラ、ピジョン、チュチュベビーほか
続いて、電動タイプの搾乳器を5点ご紹介します。電動タイプはダブルポンプ式もあり、なにより時短でさっと搾乳できるのが魅力的。
母乳の出がよく搾乳の頻度が高いママや、母乳を冷蔵・冷凍保存したいというママにぴったりです。自分にぴったり合う搾乳器を探してみてくださいね。
わこう助産院院長・助産師/社)わこう産前・産後ケアセンター代表
Pigeon(ピジョン)『さく乳器 母乳アシスト 電動Pro Personal』は、日本のほとんどの病産院で使用されている乳首を手がけるピジョン社製という点がおすすめポイント。母乳育児支援の研究に力を入れているため、安心して使用できるでしょう。母乳実感の哺乳瓶がそのまま使えるところがさらに便利。
なんといってもおすすめは、medela(メデラ)『Swing(スイング)電動さく乳器』。ほとんどの産院が使用されていると思います。乳腺への刺激が少なく、赤ちゃんの吸啜(きゅうてつ)により近づけた製品です。ダブルポンプもありますが、短期間や直接授乳との併用ならシングルポンプで充分でしょう。

Pigeon(ピジョン)『さく乳器 母乳アシスト 電動Pro Personal』














出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、レンジ、薬液 |
---|---|
搾乳容器 | 160ml |
素材 | シリコン、ポリプロピレン、ポリフェニルサルフォン ほか |
食洗機 | - |
セット内容 | 母乳実感哺乳びん、さく乳口パッド、チューブ、電動部 |

medela(メデラ)『Swing(スイング)電動さく乳器』




























出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、レンジ |
---|---|
搾乳容器 | - |
素材 | - |
食洗機 | 可 |
セット内容 | さく乳口、コネクター、さく乳弁、母乳ボトル、ボトルスタンド、専用袋、ストラップ、カーム、モーター、PVCチューブ ほか |
medela(メデラ)『Freestyle(フリースタイル)電動さく乳器』






















出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、レンジ |
---|---|
搾乳容器 | 999ml |
素材 | - |
食洗機 | 可 |
セット内容 | さく乳口、コネクター、母乳ボトル、ボトルスタンド、専用バッグ、カーム、モーター、充電式バッテリー、チューブ ほか |
ChuChuBaby(チュチュベビー)『電動さく乳器』






出典:楽天市場
消毒方法 | 煮沸、レンジ、薬液 |
---|---|
搾乳容器 | - |
素材 | シリコン、ポリプロピレン ほか |
食洗機 | - |
セット内容 | さく乳器本体、広口タイプの哺乳びんアダプタ、ACアダプター |
Tickas『電動搾乳器』


















出典:Amazon
消毒方法 | 煮沸、高温蒸気 ※モーター以外の部分 |
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搾乳容器 | 160ml |
素材 | シリコン、ポリプロピレン、ポリフェニルサルフォン |
食洗機 | - |
セット内容 | 本体、ポンプモーター、哺乳瓶(キャップとニップルを含む)、ボトルベース、ダックビルバルブ、シリコン乳房シールド ほか |
「母乳搾乳器」のおすすめ商品の比較一覧表
わこう助産院院長が選ぶおすすめランキング 母乳搾乳器のTOP3はコレ!
ご紹介した商品のなかから、わこう助産院院長の伊東優子さんがおすすめする商品ランキングを発表します。母乳搾乳器選びの参考にしてみてください。
3位 Kaneson(カネソン)『さく乳ハンド保存セット 母乳バッグ付』
2位 Pigeon(ピジョン)『さく乳器 母乳アシスト 電動Pro Personal』
1位 medela(メデラ)『Swing(スイング)電動さく乳器』
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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自分で搾乳したいママには手搾りタイプ
道具に頼るのは少し不安……自分の手で直接搾乳したい! というママには手搾りタイプがおすすめ。胸が張って痛いときや授乳前の準備、母乳を飲んでもらいたいのに赤ちゃんはぐっすりという場面で活躍するアイテムです。
手搾りで搾乳することで、母乳を無駄にすることがなくなります。母乳の冷蔵・冷凍保存や搾乳に興味が湧いたら、まずは手搾りで搾乳してみるのもよいかもしれません。
まとめ
母乳搾乳器のおすすめ10商品をご紹介しました。
母乳搾乳器には、さまざまな種類・サイズ・機能があります。出産前に準備するのではなく、母乳育児を続けるなかで、搾乳頻度や必要な機能などがはっきりしてから購入を検討しましょう。
これが正解という商品は存在しないので、ママと赤ちゃんにとってベストな搾乳器を選んでみてくださいね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
ドラマ「コウノドリ」の撮影場所にもなった助産院の院長。 25年以上助産師としてのキャリアを持つ。総合母子周産期医療センターをはじめ妊娠・出産・産後・子育てのあらゆる分野の経験を活かし2011年より助産院を開業。 2015年 内閣総理大臣、厚生労働大臣の視察される産前・産後ケアのモデル施設。 「安産ごはん160」監修