沢靴が必要な理由とは? 滑らない、さまざまなルートに対応、ケガを防ぐ
まず、沢登りとは沢を伝って歩いて山頂を目指す登山。通常の登山であれば、整備された登山道を歩きますが、沢登りでは岩がゴロゴロしたところ、沢の中、滝、大きな岩があるところを歩きます。岩には苔などが生えていたりすると滑りやすく、ケガをする危険性があるため、グリップがしっかりした専用の沢登り用靴が必要になるというわけです。
沢登り用靴の選び方 シューズやソールの種類、着脱方法、メーカーをみる
沢登りでは水のなかから岩場までさまざまなルートを進むため、一般的な登山靴ではなく専用の沢登り靴を用意する必要があります。
ここから、沢登り靴を選ぶときのポイントをご紹介します。自分に合った一足を選ぶための参考にしてくださいね!
シューズの種類で選ぶ 沢靴と沢足袋の違い、サンダルタイプも
昔の人は地下足袋にわらじを履くスタイルで沢を登っていましたが、わらじを作る職人さんが減った現在では、「沢靴」か「沢足袋」が主流になっています。それぞれの特徴をふまえて自分に合ったタイプを選びましょう。
沢靴:クッション性があり、足が痛くなりにくい
沢登り用の靴としてオーソドックスなのは、登山靴のようなデザインの沢靴です。ソールの素材には滑りにくいフェルトやラバーを使用。アッパーはメッシュなどの素材で水が抜けやすいようになっています。靴が水を吸って重くなることを防ぎ、積極的に沢のなかを歩くことができます。
沢靴はクッション性があり、足が痛くなりにくいのが特徴。サイズもこまかく分かれていて、自分にぴったり合ったサイズを選ぶことができます。足に負担がかかりにくいため、初心者でも使いやすいシューズといえるでしょう。
沢足袋:素足に近い感覚で安定した歩行が可能
地下足袋にフェルトやラバーのソールがついた沢足袋は、素足に近い足裏感覚で安定した歩行ができるのが特徴です。沢靴に比べて軽いものが多く、価格も手ごろなものが多くなっています。
足先がふたつに分かれているタイプは、親指で岩をつかむような感覚で登れるのがメリットですが、人によってはこすれて痛みを感じる場合も。また、サイズも1cmきざみでL・M・Sといった具合に分かれていることが多く、沢靴に比べて合わせづらいと感じることもあるでしょう。
サンダルタイプ:履きやすさと機能性を両立
通常のシューズに近いサンダルのタイプや、シューズそのものに装着するタイプもあります。いずれにしても通常のサンダルとは違って、ソールや形状が沢登り用に特化しているものになります。
ソールの種類から選ぶ フェルトソールとラバーソールの違い
沢登り靴にはフェルトのソールがついたタイプと、ラバーのソールがついたものがあります。どちらを選べばいいか悩みますが、それぞれ得意とする足場が違います。
双方の特徴を知っておいて、どんな足場が多いかで選んだり、使い分けるといいでしょう。
フェルトソール:苔のヌメりに強く、高いグリップ力を発揮
フェルトソールは苔(こけ)のヌメりに強く、高いグリップ力を発揮します。沢や一枚岩の上を水が流れている「ナメ」などではフェルトソールが有利です。こうした場所は流れが緩やかで水苔が成長しているため、フェルトソールのシューズのほうが歩きやすく感じるでしょう。
ただし、フェルトソールは消耗が早いため、登山道やヤブのなかを歩くのには適していません。入渓までのアプローチなどには別途、適したシューズを持っていく必要があるでしょう。
ラバーソール:苔のヌメりには強くないが、岩場で高いグリップ力を発揮
ラバーソールは、苔のヌメりには強くありませんが、岩場ではすぐれたグリップ力を発揮します。また、枯葉の積もった土の上もしっかり歩けるため、滝や岩を直接攻めるのを避けて高巻きするときや登山道を歩くときにも歩きやすいでしょう。
岩や滝が多い場所で積極的に岩登りを楽しみたいという人には、ラバーソールがおすすめ。フェルトソールよりも耐久性があり、ソール交換が少なく済むのもポイントです。
ルートやコースのグレードから選ぶ
どんな沢登り靴がいいか考えるときには、ルートやコースのグレードも参考になります。初級コースを選ぶなら、フェルトソールの沢靴がおすすめです。
初級コースでは、岩登りの要素は少なく、沢のなかや河原を歩くことが多くなります。流れが緩やかで苔が多い場所を進んでいくことになるので、ヌメりに強いフェルトソールの沢靴を選ぶといいでしょう。
グレードアップして中・上級コースを行くなら、ラバーソールの沢靴がおすすめ。ロープなどを使って岩や滝を登ることもあり、まわり込んで高巻きする場合も岩場やヤブを進むことが増えてきます。こうしたルートを行くなら、岩場に適したラバーソールが有利でしょう。
着脱方法から選ぶ シューレースタイプの便利なものも
沢登り靴を選ぶときには、着脱方法もチェックしましょう。沢登りでは、岩がゴロゴロした河原を歩き、ヌメりの多い沢のなかを進み、岩登りまで行ないます。足場に合ったシューズに履き替えて進む人も多く、濡れていても着脱しやすいタイプのほうが便利です。
モンベルの「イージーフィットシステム」など、シューレース(=靴ひも)をかんたんに締められるように工夫された機能のものもあるので、チェックしてみるといいですね。
メーカーから選ぶ モンベル、キャラバンは定番のアウトドアブランド
沢登りは危険を伴うアクティビティ。安全を左右する靴選びは慎重に行ないたいですよね。迷ったら信頼できるメーカーのモデルを選ぶのもおすすめです。
沢登り靴のメーカーといえば、「モンベル」と「キャラバン」の2大ブランドが定番です。どちらも長年にわたって沢登り用靴の製造を手がけてきた実績のあるメーカーですよ。
モンベル:軽量タイプなど、さまざまなタイプを販売
モンベルは、アウトドア用品や登山グッズを総合的に扱うメーカーで、軽量ブーツタイプの沢靴など、複数の沢登り靴を販売しています。
ショッピングモールやアウトレットモールなどにもショップがあるので、フィッティングしてから購入したいという人にもおすすめです。
キャラバン:初心者にもやさしい機能的なアイテムが豊富
登山靴メーカーのキャラバンは、早くから沢登りシューズを展開してきた実績あるメーカーです。
沢登りを爽快に楽しむための機能性を追求した渓流シリーズや、ソフトな履き心地にホールド感を高めた形状など、初心者にもやさしい機能的なアイテムがラインアップされています。
よく滑る日本の沢ではフェルトソールがおすすめ! 山岳写真家からのアドバイス
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
日本の沢は滑る。苔が多く湿った岩肌のほとんどに、ヌメりのある苔が付着しているといっても過言ではありません。基本的にフェルトソールがおすすめです。
また、。水抜けの性能や保温性も考慮して選択するといいでしょう。水中を歩くことが多い沢登りでは、フィット感も重要なポイントになりますね。素材やレースアップのタイプにも注目するといいですね。
沢登り用靴おすすめ【フェルトソール】 苔やヌメりの多い場所で活躍!
フェルトソールの沢登り靴のおすすめ3商品をご紹介します。フェルトソールは苔やヌメりの多い場所で威力を発揮し、初級者にもおすすめ。気になる一足を見つけてみてくださいね!
初心者にぴったり! 履きやすく歩きやすい一足
入門者でも履きやすく歩きやすいよう配慮してつくられた沢登り靴です。足首まわりやベロにはやわらかなメッシュ素材を使用。シューレースをしめたときもキツくならないよう、あたりを和らげてあります。
沢登りでは足への負担が大きくなりますが、ソフトな履き心地で足のつらさを軽減してくれるでしょう。ヌメりや苔に強いフェルトソールが、初心者向けの沢床やナメが中心のコースで力を発揮してくれますよ。
沢登り用靴おすすめ【ラバーソール】 岩場で力を発揮!
岩場に強いラバーソールタイプのおすすめ商品をご紹介します。デザインだけでなく機能性も比べてみてくださいね!
足首の面ファスナーで安定感アップ!
沢登りでは靴のフィット感も重要なポイント。足首部分の面ファスナーがクライミング性能を高めてくれる一足です。面ファスナーが後ろ側から足首全体をホールドするので、かかとが浮きにくく抜群のフィット感。安定した状態で沢を積極的に攻めることができます。
ソール部分には、さまざまな環境で高いグリップ力を発揮してくれるヴィブラム イドログリップを使用。濡れた岩や乾いた岩、草や低木が生えた岩場でも滑りにくく、しっかり体を支えてくれます。
沢登り用靴おすすめ【足袋】 水面下の状況をダイレクトに把握可能!
水面下の状況をダイレクトに感じられるのが足袋タイプの魅力。足裏感覚にすぐれた足袋タイプのシューズがいいという人向けに、おすすめの商品を紹介します。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
Caravan(キャラバン)『渓流 タビ』は、わずかな足がかりに立ち込む際などに親指に力を入れやすいのが、足袋タイプならではのポイント! ネオプレンでフィット感もよく歩きやすい。
足首までネオプレンのため、こまかいゴーロ帯(ガレ場)では足首が痛い場合もあるものの、疲れにくくフットワークの軽い人にはおすすめです。

甲部分をしっかりホールドし安定感抜群!
足袋タイプでもホールド感を重視したいならこちらがおすすめ。甲部分に配置された面ファスナーを調整すれば、サイドからしっかり足にフィットさせて履くことができます。
SS(23.0cm)からLLサイズ(27.0cm)まで1cm刻みのサイズ展開ですが、これなら多少ゆったりサイズでも安定した歩行ができますね。
フェルトソールが水を吸収して、ヌメりの多い場所でもしっかりグリップ。水苔の多いルートで頼りになる一足です。
カモシカ『渓流保温タビ』
沢登り用靴おすすめ【サンダル】 軽くて持ち運びがしやすい!
沢登りで活用できるサンダルタイプのシューズも販売されています。入渓までのアプローチにもぴったりで、軽くて持ち運びがしやすいのもポイントです。サンダルタイプのおすすめ商品をご紹介します。
沢登りのアプローチにも使える高機能サンダル
防滑性の高いラバーソールを採用することで、水辺でのアクティビティから沢登りのアプローチまでこなせる機能性の高いサンダルです。
ソールの素材にはヴィブラムのイドログリップを使用し、こまかい溝を施したフラットなソールパターンにすることで足裏全体の摩擦を高めて滑りにくくしています。
かかとのアジャスターを外せばサッと履きやすいスリップオンサンダルに。かかとを踏んで履くことも可能で沢登り以外のシーンでも幅広く活躍してくれそうです。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの人気ランキング 沢登り靴の売れ筋をチェック
Amazonでの沢登り靴の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
下山後に欠かせない沢登り靴のメンテナンス 洗い方とお手入れ方法
滑りやすい沢を渡ったり、急な岩場を登ったりと沢登り靴へのダメージは相当なもの。下山後はしっかりメンテナスを行なって靴をいたわってあげましょう。
中敷きは靴から外し、洗えるものは専用洗剤か水洗いでしっかり洗います。靴ひもは洗濯機で洗っても大丈夫。アッパー部分は靴用ブラシなどで汚れを落とし、落ちにくい汚れは水洗いで落とします。
ソールは水洗いとブラシで土汚れを落とし、詰まった小石はドライバーを使えばよく落ちます。洗った後は、直射日光は避けて陰干しで乾かしましょう。靴のなかが乾きにくい場合は乾燥剤が便利。洗うだけでなく、ソールの傷み具合なども確認してください。撥水スプレーも忘れないように。
そのほかの登山用アイテムの記事はこちら 【関連記事】
足場やコースのグレードに合わせてソールを選ぶ サイズ選びも慎重に
沢登り靴にはおもに沢靴と沢足袋の2種類があります。足場やコースのグレードに合わせて適したソールを選ぶといいですね。コースの途中でシューズを替えることもあるため、着脱のしやすいものを選ぶのがおすすめですよ。
あなたがほしい沢登り靴を選んで、爽快な沢のアクティビティを楽しみましょう!
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。