無停電電源装置(UPS)とは

Photo by Keagan Henman on Unsplash
UPSは無停電電源装置のことです。内部にバッテリーが内蔵されていて、突然の停電や瞬停、雷や地震で電力供給がストップしたときにコンピューターやサーバーを保護してくれます。
通常UPSを接続していても、UPS内のバッテリーから電力供給されるわけではなく、急な停電時などに内部のバッテリーが自動的に起動し、給電がおこなわれる仕組みになっています。よって、作業中だったデータの損失やコンピューターの故障といった最悪の事態を防ぐことができます。
無停電電源装置(UPS)の選び方 家電販売員に聞く
【1】給電方式と特徴をチェック
必要な給電方式が決まれば次は、接続したいすべての機器の電源容量を計算しましょう。電源容量の計算方法は、UPSメーカーのHPに詳しく紹介されていますのでそちらを参考にしてみてください。事前にしっかり接続したい機器の電源容量を確認し、用途に合ったUPSを選びましょう。
大きく分けると3つの給電タイプに分かれます。種類によって、停電時の給電の切り替わり方などが異なります。瞬間的に給電が途絶えてから再給電するもの、停電時でも一瞬も途絶えることなく給電してくれるタイプもあるので、接続する機器に合わせて選びましょう。
常時商用給電方式
消費電力がほかの給電方式よりも少なく、安価モデルも販売されています。特徴は、給電切替時に一瞬電源が切れてからバッテリーからの給電に切り替わることです。瞬断の影響を受けにくい、パソコンや一般家庭用機器向けです。
常時インバーター方式
3つのタイプのなかで唯一、瞬断なく電力を供給してくれるのがこちらのタイプ。仕組みとしては、通常運転時にインバーターを経由して給電し、同時にバッテリー充電もおこないます。
安定した電圧・周波数での電力供給ができるインバーター機能により、停電時の給電切替時にもスムーズに給電してくれます。瞬断すると影響を受けやすく、安定した電圧の供給が必要な産業機器等向けです。
ラインインタラクティブ方式
基本の構造は常時商用給電方式と同じですが、AVR(電圧安定化)機能が付いているため、より安定した電圧で供給可能。高機能でありながら比較的リーズナブルな価格です。サーバーストレージなどにおすすめです。
(※)ポイント:どの程度の無停電・出力が必要かを確認
プロの家電販売員 兼 家電・ITライター
どの程度無停電が必要かというところに主眼をおいて選ぶといいでしょう。常時インバーターは停電時のラグがないため、切れると大変なことになるサーバー管理などには向いていますがコストがかなり甚大です。家庭のデータ打ち込み程度で万が一を考えるのであれば常時商用給電でじゅうぶんでしょう。
また、接続したい機器がふだんどの程度の出力が必要になっているかというところも確認しておきましょう。いざ停電時に出力が足りなくて機器が使用できない……などということになったら目も当てられません。
【2】2種類ある出力波形をチェック
聞きなれない言葉ですが、UPSには2種類の出力波形があり波動が違います。使用機器によっては、一方のタイプのみにしか対応しない電子機器があるので選ぶときに必ず確認しましょう。
●正弦波
安定的な波動で給電ができることが特徴の正弦波は、現在パソコンやNAS(ネットワークHDD)など多くの機器に対応しています。常時インバーター方式とラインインタラクティブ方式は正弦波のみです。
●矩形波
比較的安価な商品が多いですが、価格重視で購入してしまうと購入後に矩形波に対応していない機器だったというトラブルも。実際には矩形波でも問題なく作動するケースも多いですが、正確には実機で検証しないとわからないのが現状です。
常時商用給電方式には、矩形波と正弦波のふたつのタイプがあるのでおもちの機器を確認してから選びましょう。
【3】大きさの種類をチェック
置きやすさを左右する大きさもUPSを選ぶうえで重要なポイントです。中身はバッテリーなので重量も非常に重いです。薄型のタイプや立体でコンパクトなタイプなどさまざまですが、設置場所をイメージして選んでみましょう。
●ラックマウント
薄型のラックマウントタイプは、ラックや棚にも設置しやすく、機種によっては縦置きも可能です。狭い隙間に設置したいと考えている方におすすめです。
●小型
家庭用や小規模オフィスなどにもぴったりな小型タイプは、コンパクトで置く場所を選びません。安心のために設置したいが、設置スペースには限りがあるという方にぴったりです。
【4】その他の大切な機能をチェック
製品によって容量や性能は大きく異なります。製品によっては高価なUPSもたくさんあるので、使用する状況をしっかりイメージして選んでください。容量やコンセントの数は購入後の使い勝手の重要ポイントになります。
(a)出力総容量
家庭用なら少ない500W未満の出力のものでじゅうぶんかもしれませんが、オフィスなど消費電力の大きい機器や複数の機器を接続する場合は、大きな容量が必要です。
接続したい機器の消費電力やVAを確認し、無理なく給電できるよう余裕のある容量のUPSを選ぶことをおすすめします。
(b)コンセントの数
UPSは機種によって接続できるコンセント数が違います。もしコンセント数が足りない場合は、市販のテーブルタップでの対応もできますが、たくさんの機器を接続して気づけば出力容量オーバーなどの恐れも。事前に必要数を確認して適量のタイプのものを購入しましょう。
(c)バッテリー性能
UPS用バッテリーの寿命は、使用状況や環境にもよりますが、約2~6年とされています。
緊急時に機能をじゅうぶんに発揮してもらうために、購入前にしっかり耐用年数を確認し、購入後はバッテリーの定期的な点検・交換も忘れないようにしましょう。
人気の安心メーカー・ブランド
APC(シュナイダーエレクトリック)
APC(シュナイダーエレクトリック)は、家庭用PCや周辺機器、ネットワーク機器など、幅広い商品を展開している有名メーカー。特に、UPSにおいては業界で多数のシェアを誇っています。商品は、高性能なタイプからシンプルなタイプまで、価格に応じて幅広い商品数を取り揃えています。
人気有名メーカーということもあり、商品保証やサポートセンターなども充実しており、初心者から玄人まで、幅広いユーザーに指示されています。
Cyber Power
Cyber Powerは、台湾に本社を置く海外メーカー。日本にも製品を展開しており、安価な製品が魅力です。商品によっては1万円以内で購入できる製品もあり、リーズナブルでスペックも悪くない製品を取り揃えています。
もちろん、サポート体制もしっかりしており、商品保証などもあるため、初心者の方でも購入しやすい環境が整っています。
オムロン
オムロンは、体温計が一番有名な日本のメーカーですが、UPSも取り揃えています。企業向けの商品というよりは、一般家庭用に作られた製品が多く、また、価格も比較的安価なものまであります。高性能すぎず、かといって使用する分には問題ない、使い勝手のいい製品を幅広く展開しています。
UPSおすすめ5選|常時商用給電方式 常用商用給電方式で選ぶなら!
家庭用に購入を考えている方は、まず常用商用給電方式を検討してみてはいかかでしょうか。
お守り代わりに最低限の出力のもの、または、お仕事でも使う大切な自宅用PC周辺機器などに対応できる、500Wほどの出力容量タイプなど多種多様です。

オムロン『無停電電源装置(BY35S)』






出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電方式 |
---|---|
出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 350VA/210W |
プロの家電販売員 兼 家電・ITライター
オムロン『無停電電源装置(BY35S)』は価格と製品仕様のバランスが良い機種です。6分程度のバックアップ時間となっており、停電後に作業を片付けてシャットダウンするにはじゅうぶんすぎる時間が確保されているのが大きな特徴です。
サイバーパワー『UPSシステム(CP550 JP)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電方式 |
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出力波形 | 矩形波 |
入力電圧 | 85/115V |
入力周波数 | 47/63Hz |
出力容量 | 550VA/330W |
オムロン『無停電電源装置(BW55T)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 550VA/340W |
サイバーパワー『UPSシステム(CPJ500)』

出典:楽天市場
出力方式 | 常時商用給電方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 85/120V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 500VA/300W |
オムロン『無停電電源装置(BZ50LT2)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電方式 |
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出力波形 | 商用時:正弦波、バックアップ時:矩形波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 500VA/300W |
UPSおすすめ4選|常時インバーター方式 高性能で選ぶなら!
UPSのなかでは高性能な常時インバーター方式は、入力電圧の変動に影響を受けることなく常に安定の出力電圧を維持してくれるすぐれたUPSです。
一般的にはデータセンターなどで使われる非常に高価で大規模な装置が多いですが、そのなかでも小型で高スペックな商品をご紹介します。

GSユアサ『Acrostar THA600-15』

出典:Yahoo!ショッピング
出力方式 | 常時インバーター給電方式 |
---|---|
出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 600VA/480W |
プロの家電販売員 兼 家電・ITライター
インバータータイプは本体自体が大型化し、置く場所に困るというイメージが先行しますがGSユアサ『Acrostar THA600-15』は幅143mm*高さ222mm*奥行395mmと非常にコンパクトなのが最大のメリット。個人でゲームやクラウドなどのサーバー管理入門にうってつけの製品です。
オムロン『 無停電電源装置(BU50SW)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時インバーター給電方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100/110/115/120V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 500VA/350W |
富士電機『無停電電源装置(PEN102J1RT)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電、常時インバーター給電方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100/110/120V(インバーター給電時) |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 1kVA/800W |
オムロン『無停電電源装置(BA75T)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時インバーター給電方式(小型/給電方式切替) |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100/110/115/120V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 750VA/600W |
USPおすすめ4選|ラインインタラクティブ方式 機能面とコスト面のバランスで選ぶなら!
3タイプのUPSのなかでも、機能面とコスト面のバランスがいいのがこちら。停電時のバックアップ時間確保に加えて、電圧を安定させる機能が付いています。常時商用給電方式だと少し不安だが、常時インバーター方式ほどの機能は必要ないという方におすすめです。

エーピーシー『Sinewave Battery Backup(BR400S-JP)』

出典:Amazon
出力方式 | ラインインタラクティブ方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 400VA/240W |
プロの家電販売員 兼 家電・ITライター
エーピーシー『Sinewave Battery Backup(BR400S-JP)』はコストパフォーマンスが高く、100W程度の出力であればおよそ20分以上のバックアップ時間をほこる大容量バッテリーが特徴です。バッテリー障害の通知やかんたんに交換ができるなど、とにかくお手軽さがうれしい製品です。
エーピーシー『Smart-UPS(SMT500J) 』

出典:Amazon
出力方式 | ラインインタラクティブ方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 500VA/360W |
オムロン『無停電電源装置(BN50T)』

出典:Amazon
出力方式 | ラインインタラクティブ方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 500VA/450W |
サイバーパワー『Backup UPS(CPJ1200)』

出典:Amazon
出力方式 | 常時商用給電方式 |
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出力波形 | 正弦波 |
入力電圧 | 100V |
入力周波数 | 50/60Hz |
出力容量 | 1200VA/720W |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする UPSの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのUPSの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/09 コンテンツ追加のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
家電量販店、家電情報ブログ「家電損をしない買い方をプロの販売員が教えます」を運営するプロの現役家電販売員。 学生時代から家電に対する並々ならぬ興味を持ち、アルバイトを経てそのまま家電量販店の道へと進んで15年弱。 個人で年間2億円を売り上げ、数々の法人内コンテスト等で表彰された経験を持っています。 家電アドバイザーの資格を有し、家電と名の付く物全てに精通しています。家電で分からないことはありません。 現在は家電ライターの業務も通して「全ての人が平等に良い家電に巡り会える機会の提供」に尽力しています。