【70年代】レゲエ(ルーツ/ロックステディ)のおすすめ
「スカ」から派生したレゲエのルーツ的ジャンル「ロックステディ」やボブ・マーリーでお馴染みの「ルーツ」、そして90年代〜00年代にかけて全盛期を迎える「ダンスホール」。
ここからは、まだDTMが存在しない、生楽器演奏による70年代レゲエのおすすめをご紹介します。

レゲエの神様が生み出した最高傑作
タイム誌が「20世紀最高の音楽アルバム」と評した『エクソダス』(1977年)。この作品はボブ・マーリーがジャマイカの自宅で銃撃された暗殺未遂事件後、ロンドンで製作されました。
さぁ心をひとつにと歌う代表曲『ワン・ラヴ/ピープル・ゲット・レディ』『エクソダス』はじめ『ジャミン』『スリー・リトル・バーズ(3羽の小鳥)』 といった高い精神性を感じさせる楽曲が収録されています。もともと1枚の作品でしたが、ここでご紹介しているのは未発表曲、ライヴ音源を含む特別編集の3枚組です。

こころをひとつに。愛を肌で感じるライヴ盤
1975年7月にロンドンのライシアム・シアターでおこなわれた2公演の模様を2枚組でたっぷりと。過去にリリースされていた『ライヴ!』と比較すると、全22曲中14曲が初出音源となります。客席に水の輪のように広がっていく美しい『ノー・ウーマン、ノー・クライ』、エリック・クラプトンのカヴァーで知られる『アイ・ショット・ザ・シェリフ』、闘うことをやめるな! と気持ちを奮い立たせてくれる『ゲット・アップ、スタンド・アップ』など代表作を収録。
ボブ・マーリーの力強いヴォーカルと、ウェイラーズというバンドのみずみずしさに打たれます。知らず知らずと身体が揺れ、いてもたってもいられないような胸の高まりを覚えるはずです。

ジャマイカのリアリティと底知れぬパワーを体感
ボブ・マーリーとともに、1970年代の日本のレゲエ・ブームを牽引したのがジャマイカ初の商業映画『ザ・ハーダー・ゼイ・カム』(1972年/日本公開は78年)。ジミー・クリフは音楽だけでなく、歌手を目指して上京しながらも犯罪に手を染めてしまう主人公の青年も演じています。夢と希望、それを阻む現実との葛藤、そしてジャマイカのゲットーのリアリティ。
何度みても、あふれ出すパッションに揺さぶられる。生きて奴隷になるなら墓場で自由になると歌うタイトル曲、ソウルフルな名バラード『遙かなる河(メニー・リヴァース・トゥ・クロス)』などサントラも永遠の名曲ばかり。機会があればぜひ映画もご覧ください。
【80年代】レゲエ(ロックステディ)のおすすめ
80年代~90年代にかけては、これまでの生楽器演奏によるレコーディングからDTMによる打ち込みを駆使した楽曲制作が始まります。
そして、80年代は「ロックステディ」が主流。ここからは、ロックステディの名盤をヒットリディムとともにご紹介します。
陽気なメロディーが特徴的な80年代を代表する傑作
70年代までは、レゲエはすべて生楽器によってレコーディングされていました。80年代に入り、現在のリディムが確立したと言っても過言ではありません。
なかでも、ウェイン・スミスの「スレンテン」は、遅めのBPMに陽気なメロディーが特徴的な80年を代表するヒットリディムとなりました。
1994年の名盤がデジタルリマスター版で再発!
80年代~90年代にかけて、クラブでよくかかる定番リディムのひとつがこの「Far East Riddim」。代表曲がココ・ティーの『Tune In』です。
1994年にリリースされた名盤がレーベル創設30周年を迎えるGREENSLEEVESにより、デジタルリマスター版で再発。
【90年代】レゲエ(ロックステディ/ラヴァーズ・ロック)のおすすめ
90年代はレゲエの黄金期と言われるくらい傑作リディムが誕生しました。ここでは、数々のヒット曲とともにおすすめリディムをご紹介します。

Luciano, Louie Culture & Terror Fabulous (ルチアーノ、ルーイ・カルチャー&テラー・ファビュラス)『In This Together』 In This Together(インディストゥギャザー リディム)
実力派シンガーによるミディアムテンポの名盤
父の形見のギターを手に音楽の道を歩み出した実力派レゲエ・シンガー、ルチアーノ。ルチアーノと言えば、シカゴの『Saturday in the Park』のレゲエアレンジカバーでも知られますが、こちらが代表曲になります。
『In This Together』は1995年にリリースされたミディアムテンポの名盤です。
ゲットーに捧げる応援歌
90年代はとくに「ゲットー」(貧困層居住区、スラム街)の過酷な環境、貧困の差や社会問題、「バビロン」(=反体制、転じて警察)について歌うリリックが多いのが特徴。
そんななか、エバートンの『Ghetto People Song』は、今でもクラブで耳にするヒットチューン。ゲットーに向けた応援歌とも言える名曲です。
【2000年代】レゲエ(ダンスホール)のおすすめ
2000年代に入ると、リディムは現在のような打ち込みを主体としたものへと変わっていきます。そして、2002年にリリースされ世界的ヒットとなった「Diwali Riddim」(ディワリ・リディム)により、日本でもダンスホール・レゲエブームが巻き起こりました。ここでは、今やレゲエの主流となったダンスホールのおすすめ曲をご紹介します。

Sean Paul(ショーン・ポール)『ダッティ・グレイテスト・ヒッツ~ベスト・オブ・ショーン・ポール(WPCR-17853)』 Diwali Riddim(ディワリ リディム)
21世紀のレゲエなら、これを聴け!
ヒップホップに影響された独自のスタイルで2000年にデビュー。今やR&Bシーンを中心に全方位的に注目される、21世紀を代表するジャマイカが生んだ世界のスーパースターになったのがショーン・ポールです。本作は全米No.1ヒットの『ゲット・ビジー』『テンプラチャー』、ビヨンセとの共演で全米No.1ヒットとなった『ベイビー・ボーイ』などのクラブ・シーンにも欠かせないメガヒットに加え、日本のファン向けにボーナス・トラックが3曲!
日本のアーティストMs.OOJA、LECCAとコラボしたスペシャルテイク、そしてトロピカル・ハウス・シーンで絶大な人気を誇るマトーマと共演した『パラダイス』も聴き逃せません。
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レゲエに関するQ&A よくある質問
「ラスタ」とは?

ラスタ(ラスタファリアン)とは、1930年にジャマイカの労働者階級と農民を中心に興った宗教思想「ラスタファリアニズム」を実践する人々の呼称です。彼らはアフリカ回帰を唱え、エチオピア最後の皇帝であるハイレ・セラシエ1世を「ジャー」(旧約聖書におけるエホバと同義)の化身と解釈。そして、ラスタの精神はボブ・マーリーの音楽活動を通じて全世界に波及しました。また、「ドレッドロックス」と呼ばれるその独特なヘアースタイルも特徴のひとつです。
「DeeJay」「セレクター」とは?

HIP HOPで言うMC(ラッパー)のことをレゲエではDeeJay(ディージェー)と呼び、DJのことをセレクターと呼びます。シンガーはそのままシンガーと呼ばれています。
カクテル「レゲエパンチ」の由来は?

1991年に宮城県仙台市国分町にあるバー「サウサリートカフェ(Sausalito Cafe)」のバーテンダーがお酒の苦手な常連客のために作ったのが起源とされています。その女性客がレゲエ好きだったことから、「レゲエパンチ」と命名されたと言われています。作り方は、氷を入れたタンブラーにピーチリキュールを入れ、適量の冷たいウーロン茶で割ります。また、ウーロン茶の代わりに緑茶で割ると「ゲイシャパンチ」になります。
【洋楽】レゲエの選び方 イメージに縛られずお気に入りの名盤を見つけよう
ここからは、音楽ライターの妹尾みえさんにお話をうかがい、レゲエの選び方のポイントについてご紹介していきます。
好きなジャンルから選ぶ 「スカ」「ルーツ」「ロックステディ」「ダンスホール」など

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レゲエは、1960年代に日本の秋田県ほどの国土であるカリブ海に浮かぶ島、ジャマイカにて発祥。その独自性や普遍のメッセージ性が評価され、2018年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。レゲエと言えば、ボブ・マーリー。それ以外よく知らない、そんな方多いのではないでしょうか。
レゲエは「スカ」「ルーツ」「ロックステディ」「ダンスホール」という、それぞれリズムやメロディが異な4つの音楽のジャンルからなり、その総称がレゲエミュージックです。
好きなリディムから選ぶ リディムの文化を理解すると100倍楽しくなる!
「パトワ」(※ジャマイカの公用語)で「リズム」。HIP HOPで言うところのビートやトラック(インストゥルメンタル、あるいはオフボーカル、カラオケ音源)を指します。リディムは、80年代以降のレゲエを語るうえで避けては通れない重要な概念になります。
また、「ダンスホールレゲエ」(※レゲエのひとつのジャンル)においては、ひとつのリディムを複数人のアーティストで共有し、それぞれ別々の曲としてリリースするのが特徴です。
※パトワ:いわゆるピジンイングリッシュ(混合語)。クレオール(自然発生的に生まれた言語)と英語との合成語とされる。本場ジャマイカのレゲエアーティストはすべてパトワで歌われる。
ボブ・マーリーとルーツレゲエの歴史にふれてみる
未発表曲やライヴ音源を含む3枚組。『One Love(ワン・ラヴ)』『EXODUS(エクソダス)』などボブの代名詞ともいえるレゲエのクラシックをはじめ、全28曲が収録されている。
ボブ・マーリーの褪せることないメッセージ
レゲエの神様とも呼ばれたボブ・マーリーは、圧政や差別に抵抗し、愛と自由を歌う詩人として、圧倒的なカリスマ性を示しました。36歳の若さで亡くなりましたが、今もなおジャンルを超え影響力を与え続けています。
こうした音楽的背景にあるのは、「ラスタファリズム」と呼ばれる宗教的性格の強いアフリカ回帰運動です。ジャーと呼ばれる神を崇め、生き方と音楽が直結したレゲエは一般に「ルーツレゲエ」と呼ばれます。
「ルーツレゲエ」はその一部ですが、ゆるやかなビートにメッセージを乗せた点が大きな特徴です。ボブの歌から、いつの時代も色褪せることのない彼の力強いメッセージを受け取り、選び方の参考にしてみてください。
UK(イギリス)レゲエ・シーンの奥深さに注目してみる
R&B要素も取り入れた「ラヴァーズ・ロック」が聴けるマキシ・プリーストの名盤。日本でも大ヒットした『Close to you』を収録。ラブソングが好きな方は必聴の1枚。
おしゃれなロマンチックさが魅力のUKレゲエ
ジャマイカとの結びつきが深いイギリスは、レゲエ第二の故郷。「UKレゲエ」「ブリティッシュレゲエ」のなかでも、ラヴソングの多い「ラヴァーズロック」は70年代半ばからクラブシーンで支持を集め、ジャマイカに逆輸入されました。レゲエのリズムと太いベースラインに、アメリカで流行したフィラデルフィア・ソウルなどの要素がブレンドされロマンチックな雰囲気を持ちます。
女性シンガーが多いなかで活躍した数少ない男性シンガーの頂点に君臨するのがマキシ・プリースト。彼の歌う「Close to you」は90年に全米でもNo.1に輝きました。 UKレゲエの扉を叩けば、自ずとジャマイカのレゲエも見えてくるはずです。
レゲエの醍醐味「ダンスホール」を体感してみる
ジャマイカレゲエのリアルが見えるダンスホール
メッセージ性の強いルーツレゲエに代わって80年代初めに主流となったのが「ダンスホール」。ドラムマシンやサンプラーなどの打ち込みを積極的に使って繰り出されるビート、スラックスと呼ばれる下ネタ満載の歌詞、ラップのルーツとも言われるマイク1本でまくしたてるDJによる「トースティング」(リズムに合わせてしゃべったり語ったりする歌唱法)が特徴です。
全米チャートを席捲し「ダンスホール・レゲエの帝王」と呼ばれるショーン・ポール(2000年デビュー)はじめ、ダンスホールを世界に広めたイエローマンやビーニ・マンといったレジェンドから勢いのある新人まで、ジャマイカのリアルを感じるならまずここから体感してください。
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視聴サイトも活用して本場のレゲエにも触れてみよう
夏になるとレゲエを聴きたくなるという方は多いと思います。たしかにジャマイカの太陽を彷彿とさせるのですが、今やレゲエは世界の音楽。季節にとらわれてはもったいない! 同じように、赤緑黄を基調にしたファッションにドレッド・ヘアというイメージに縛られると、進化するシーンに追いつかないかもしれません。
一方、ボブ・マーリーやジミー・クリフのようなルーツ・レゲエの大御所や最近のスターを除くとCDについては国内盤が少ないのが現状です。未発表を含む編集盤はいきなりヘビーだと感じる方は、サイトの試聴機能などを上手に使い、まずはお気に入りの1曲を探してください。
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