火災や災害からも守ってくれる金庫 泥棒からだけじゃない!
マイナンバー制度後、貴重品管理の重要度が見直され、金庫の需要が増えています。
しかし一口に金庫と言っても、防盗性や耐火性などの用途の違い、そして開錠方法が異なるさまざまな金庫があり、どのように選べばよいかわかりませんよね。
本記事では、そんな方のために防犯アドバイザーの京師美佳さんへの取材のもと、金庫の選び方とおすすめ金庫をご紹介いたします!
金庫の選び方 用途や種類・耐性
防犯のエキスパートである京師美佳さんに、金庫を選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。
用途に合わせて金庫を選ぶ
金庫には「据え置き型」と「手提げ型」の2つのタイプがありますが、用途や目的に合った選び方が大切です。それぞれのタイプの特徴について説明しましょう。
防盗性・防火性なら「据え置き型」を
据え置き型の特徴は、重たくてかんたんには持ち出せないという点です。定位置に設置するため、火災や地震が起こったときにも運び出すことはできません。
重たいだけでなく頑丈なので防火性と耐久性にすぐれており、火災や地震でも保管した中身を守れます。
値段や施錠法はいろいろですが、貴重品や大事なものを保管するのに適しています。
緊急時に持ち出すなら「手提げ型」を
手提げ型の特徴は、かんたんに持ち運びができるという点です。据え置き型とは違い、軽いので必要な場所へ移動できます。
お求めやすい値段なので導入しやすいですが、耐火性や防盗性では据え置き型より劣ります。火災や地震が起こったときは持ち出すことができますが、持ち出せないときは保管した中身の保証はできません。
貴重品ではないものを気軽に保管するのに適しています。
鍵の種類は重視するポイントで選ぶ
金庫にはいろいろな鍵の種類がありますので、選ぶときはなにを重視するかがポイントになります。それぞれの鍵の特徴について説明しましょう。
使いやすさと防犯性なら「磁気カード式」
増えているのが磁気カード式の電子ロックです。カードをスライドさせるだけで施錠や開錠でき、使いやすいのが特徴です。防犯性にすぐれ、セキュリティ会社などでも多く使用されています。
テンキーなどを組み合わせて防犯性を高めた製品もあり、値段は高くなりますが防犯性を重視する場合に適しています。
カード式なので持ち歩くときにも便利です。
施錠の確かさなら「ダイヤル式」
金庫で多く使用されているのがダイヤル式です。ダイヤル式は操作性に特徴があり、ダイヤルを回して数字を合わせて施錠・開錠をおこないます。慣れてしまえばスムーズに操作可能です。
ダイヤル自体が軽すぎたり数値の位置がわかりづらい場合、数字を合わせにくいことがあります。選ぶ前に自分でダイヤルを操作して使いやすいかどうかチェックすることが大事です。
電子ロックなら「テンキー式」
金庫の扉にテンキーが付いており、暗証番号を入力するだけで施錠・開錠できるのがテンキー式です。鍵を持ち歩かないのが特徴。
ほとんどの製品がシリンダー錠を併用した2重ロックになっているのでセキュリティにすぐれています。ただし電池が切れると作動しなくなるため、年に一度は交換が必要。
暗証番号を忘れないことも重要です。
磁力で開けるシンプルな「マグネット式」

Photo by Unsplash
マグネット式は鍵穴がないので、こじ開けられる不安はありません。
磁力を使って施錠・開錠できるのがマグネット式で、鍵穴がないタイプが多く、ピッキングなどの被害を防げるのが特徴。
特殊なマグネットキーを使用する高性能タイプです。鍵を差し込む必要がなく、タッチするだけでロックを開閉できます。
マグネットキーは携帯に便利なつくりになっており、キーケースなどに保管も可能です。
開けやすく使いやすい「シリンダー式」
一般的によく見るタイプで、鍵を差し込んで施錠・開錠できるのがシリンダー式です。何度も開けたり閉めたりする場合に使いやすく、面倒がないのが特徴。
開錠しやすいのですがつくりによってはかんたんにこじ開けられてしまうこともあるので、なるべく高性能な鍵を使用している製品を選んでください。
複製やピッキングを防げて防犯性が高いのはディンプルキーです。
防犯アドバイザー
時間のかかるものがより安心
金庫の鍵はダイヤルや番号、鍵など、いろいろなタイプがありますが、どのようなタイプであってもできれば2段階開錠になっていると開錠するのに時間がかかり、盗まれにくくなります。
自宅の鍵と同じで、単純に時間がかかれば泥棒が諦める確率が高くなるからです。さらに防盗金庫は15分間以上、泥棒の攻撃に耐える試験がおこなわれています。
とにかくすべてにおいて、開錠に時間がかかるものを選ぶ、という考え方で間違いはありません。
耐性は保管するものに合わせて選ぶ
金庫には火事から保管物を守る耐火性と、盗まれないようにする防盗性があります。どちらを選ぶかは、保管するものに合わせることが大事です。
重要書類を保管するなら「耐火性」
火災などから重要書類を守るのなら耐火性のある金庫を選びます。耐火性能には日本基準のJIS規格と国際基準のUL規格がありますが、「耐火試験合格品」のマークがあるものを選びましょう。
家庭用の耐火時間は30分~1時間が目安です。ハードディスクやメモリーなどデジタル系のものや、貴金属類は熱に弱いので、メディア系の保管物も守れる機能つきの耐火金庫が適しています。
破壊行為から守るなら「防盗性」
防盗性の金庫は壊されて中身を盗まれないようにつくられています。耐工具試験や耐溶断試験によって防盗性をチェックされている製品を選びましょう。
「耐工具破壊試験1時間合格」の認証がある金庫は、破壊するまで1時間かかります。検査員が厳しい基準で検定しているのでセキュリティにすぐれ、貴重品を保管するのに適しています。
防犯アドバイザー
火にも、犯罪者の攻撃にも強い防盗金庫を
金庫にはいろいろな種類がありますが、大きくわけて、昔からよく使われている耐火金庫と防盗金庫があります。
耐火金庫
耐火金庫は火事などの際に大切なものを守る効果はありますが、泥棒や強盗の攻撃(持ち去られたり、壊されたり、開けられたり)には弱いのです。
防盗金庫
一方、防盗金庫は、耐火は勿論のこと、犯罪者の攻撃に一定時間耐えられる基準をクリアした商品ですので、やはり防犯目的であれば防盗金庫が望ましいです。
金庫の重さで選ぶ
設置場所でサイズと耐火性を選ぶ
いろいろなサイズや重さの金庫があります。家庭用の場合、どこに設置するかが選ぶときのポイントです。
据え置き型の場合は小型でも重量があるので、棚の上などに置くのは要注意。床に置く場合でも耐荷重のチェックが必要です。
また耐火金庫は壁が分厚くつくられているので、外寸と内寸はサイズが違ってきます。その点もチェックして選んでください。
防犯アドバイザー
持ち去られないためには、重ければ重いほどいい
防盗金庫はアンカーボルトなどで床に4点留めするのがあたり前ですが、耐火金庫はそうでないものも多いので、泥棒や強盗に持ちだされにくくなるように、できるだけ重いものを選んでください。床が抜けない程度であれば、重ければ重いほどいいです。
軽くて持ち運びがかんたんなものは選ばないようにしてください。軽いものは材質も柔らかく薄いということですので、持ちだされるだけではなく、こじ開けられるなどかんたんに壊される可能性も高くなります。
金庫の価格で選ぶ
防犯アドバイザー
安くしたいときは強化型金庫を選ぶ
強化型金庫は、防盗金庫ほどの強度など安心感はありませんが、普通の耐火金庫より強度があり、さらにバールなどの攻撃に15分間耐える試験に合格している金庫であればより安心です。もちろん、耐火などに関しても対応していますので、ご家庭の貴重品保管程度の用途であれば強化型金庫でも対応可能です。
防盗金庫より安いものがほしいが、あまり防犯性を落としたくない方は、強化型金庫を選ぶといいでしょう。
【防災アドバイサーが選ぶ!】金庫おすすめ5選 小型・業務用・有名メーカーまで紹介
上記で紹介した金庫の選び方のポイントをふまえて、防犯のエキスパートである京師美佳さんに選んでもらったおすすめの金庫5つをご紹介します。

防盗金庫テンキー式(GAT70)






出典:楽天市場
重量 | 300kg |
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サイズ | 外寸:幅650×奥行636×高さ700mm 内寸:幅450×奥行354×高さ491mm |
耐火性 | 2時間 |
防盗性 | 15分(耐工具) |
鍵の種類 | テンキー式 |
防盗金庫の王道
テンキーによる暗証番号と鍵で、扉を開閉するタイプの防盗金庫。店舗などで頻繁に使用する時間帯がある場合は、オープンタイムロック機能を使えば、3時間だけオープンボタンとシリンダー錠のみで開けられるようになるので、開錠の手間を省くことができます。3時間後には通常の2段階ロックに戻り、テンキーとシリンダーでの開錠になります。
耐工具15分間破壊試験合格品なので、電動ハンマー・ドリルなどの工具による破壊に対しても強固。万一テンキー錠を破壊されても、内部から自動的に施錠するリロッキング装置を装備しています。
さらに取りつけも、金庫の加工なしで床への固定が可能ですので床面固定がかんたんにおこなえる手軽さがあります。店舗や自宅などどこにでも使えて、また安心機能が充実している防盗金庫の王道です。安心さと手軽さで商品をお探しの方におすすめです。

クマヒラ『防盗金庫 プロテクトセイフ(PS-06)』






出典:楽天市場
重量 | 325kg |
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サイズ | 外寸:幅622.5×奥行654×高さ700mm 内寸:幅376×奥行349×高さ303mm |
耐火性 | 3時間 |
防盗性 | 15分(耐工具) |
鍵の種類 | 100万変換符号錠+シリンダー錠 リロッキング装置付 |

サガワ『防盗金庫 指静脈認証式(GAV70)』

出典:楽天市場
重量 | 300kg |
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サイズ | 外寸:幅650×奥行673×高さ700mm 内寸:幅450×奥行354×高さ446mm |
耐火性 | 2時間 |
防盗性 | 15分(耐工具) |
鍵の種類 | 指静脈認証式 |

アイ・エス・ケイ『テンキー式耐火金庫(STJ-20E)』

出典:Amazon
重量 | 110kg |
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サイズ | 外寸:幅544×奥行528×高さ417mm 内寸:幅348×奥行270×高さ214mm |
耐火性 | 2時間 |
防盗性 | 15分(耐破壊) |
鍵の種類 | テンキー+リバーシブル錠式 |

エーコー『100万変換ダイヤル式金庫(CSG-65)』

出典:楽天市場
重量 | 140kg |
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サイズ | 外寸:幅530×奥行595×高さ653mm 内寸:幅370×奥行320×高さ463mm |
耐火性 | 2時間 |
防盗性 | 15分(耐破壊) |
鍵の種類 | 100万変換ダイヤル式+耐ドリルシリンダー錠 |
【低価格なモデル】金庫おすすめ9選 編集部が選ぶ!
いろいろ比べて選びたい人のために、さらにいくつかの金庫をご紹介します。
ここまでにご紹介した金庫より耐火性、防盗性などで劣るものの、その分、安価なモデルを9選ご紹介いたします。コスパ重視で考えたいという方は、ぜひ、参考にしてください。
ディプロマット『ホーム&オフィス用耐火金庫(119EN88WR)』

出典:Amazon
重量 | 31kg |
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サイズ | 外寸:幅412×奥行399×高さ360mm 内寸:幅320×奥行234×高さ260mm |
耐火性 | 60分 |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | デジタルテンキーロック式 |
KOKUYO(コクヨ)『ダイヤル式耐火金庫(HS-10KF1NN)』

出典:楽天市場
重量 | 50kg |
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サイズ | 外寸:幅480×奥行432×高さ368mm 内寸:幅348×奥行255×高さ212mm |
耐火性 | 60分 |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | ダイヤル+シリンダーキー式 |
エーコー『インテリアデザイン金庫(GUARD MASTER OSS-FE)』

出典:Amazon
重量 | 60kg |
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サイズ | 外寸:幅484×奥行487×高さ372mm 内寸:幅354×奥行258×高さ214mm |
耐火性 | 1時間 |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | 指紋照合+テンキー式 |
ダイヤセーフ『耐火金庫 テンキーロック プッシュタイプ(MEK50-7)』














出典:Amazon
重量 | 53kg |
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サイズ | 外寸:幅346×奥行478×高さ509mm 内寸:幅226×奥行308×高さ366mm |
耐火性 | 1時間 |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | テンキー式 |
ottostyle.jp『エレクトロニック テンキー金庫』


















出典:Amazon
重量 | 約19.5kg |
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サイズ | 外寸:幅350×奥行390×高さ500mm 内寸:幅346×奥行320×高さ495mm |
耐火性 | なし |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | テンキー式 |
ottostyle.jp『エレクトロニック テンキー金庫』


















出典:Amazon
重量 | 不明 |
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サイズ | 外寸:幅420×奥行370×高さ200mm |
耐火性 | なし |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | テンキー式 |
MRG『指紋認証式金庫(35FS)』














出典:Amazon
重量 | 23kg |
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サイズ | 外寸:幅450×奥行320×高さ380mm 内寸:幅430×奥行280×高さ340mm |
耐火性 | なし |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | 指紋認証式 |
SLYPNOS『テンキー式 電子金庫』


















出典:Amazon
重量 | 不明 |
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サイズ | 外寸:幅370×奥行310×高さ300mm 内寸:幅365×奥行260×高さ295mm |
耐火性 | なし |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | テンキー式 |
セントリー『投入式金庫(DH-074E)』












出典:Amazon
重量 | 約43.1kg |
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サイズ | 外寸:幅355×奥行392×高さ508mm 内寸:幅349×奥行281×高さ215mm |
耐火性 | なし |
防盗性 | なし |
鍵の種類 | テンキー式 |
「金庫」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 金庫の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの金庫の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
用途に合う金庫を購入しましょう! どんな貴重品をなにから守りたいのか

Photo by Michael Longmire on Unsplash
金庫の中には何を入れるのか、どんなものを守りたいのかで、金庫の様式は変わってきます!
多くの金庫はかなりの重量になります。購入のときは、配達員が金庫をどこまで運んでくれるかを必ず確認してください。指定場所まで運び入れる場合、別途追加料金が必要な場合もあります。
金庫はセキュアになるほど価格も上がります。どんな貴重品をどんな状況から守りたいのかを考慮して、用途に合う最適な金庫を選びましょう。
金庫に関連する記事のご紹介!
防盗金庫が! 頑丈さと持ち運ばれにくさがポイント 防災アドバイザーからのアドバイス
防犯アドバイザー
防盗金庫は、床への4点打ち留めで重量があり材質もかたく、壊したりこじ開けるのに15分以上かかるものが防犯として使用するのには最適です。
値段は耐火金庫より高くなりますが、耐火金庫では、かんたんに壊されてしまったり持ちだされたりしますので、防盗金庫を使用することをオススメします。
少しでも安くて安心できるものを望む場合は強化型金庫もありますが、防盗金庫ほどの効果は発揮しません。しかしながら、耐火金庫よりは強度があり一般家庭での貴重品の保管には適しています。
鍵も2段階開錠にしておけば、より安心です。軽く持ち歩けるようなタイプの耐火金庫はできる限り選ばないようにしてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/15 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
学校卒業後百貨店のエレベーターガール、商社の営業職に就き、2001年3月錠前師資格取得。 町の鍵屋さんではなく、トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。 法人営業部の責任者を務める中、2002年10月 防犯設備士取得。 その後は、防犯ガラスメーカーに勤め、セキュリティ事業部長、そして、防犯アドバイザーとして、防犯診断や電話での相談受付、セミナーなど、幅広く活動を行う。 2005年5月独立。京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、2009年11月には、一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事に就任し、現在も、講演、テレビ、新聞、雑誌など、多方面で防犯の啓蒙活動を展開中。