ドラム用シンバルの選び方 元プロドラマーが解説
音楽ライターで元プロドラマーの田澤 仁さんに、ドラム用シンバルを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。
「大きさ」と「厚さ」で変わるシンバルの音
演奏する音楽の雰囲気に合わせよう
シンバルの音は、基本的に大きさ(直径)と厚さ(ウェイト)で決まります。まず大きさについては、大きくなればなるほど音量が大きくなり、音程は低くなります。ハードなロックには大きいサイズのシンバルが向いていますし、アコースティック中心のバンドや少人数のジャズなどには小さめのシンバルが使いやすいです。
また、厚さはおもに音程と歯切れに関係します。厚いと音程が高くなり、薄いものはアタックが鋭く歯切れよい音になります。演奏するジャンルやバンドの構成に合わせて選んでください。
柔らかく透き通るようなクリアな音色と、スティックワークに反応する鋭いレスポンスが特徴のドラム用シンバル。ハードロックやヘヴィメタルバンドに向きます。
種類ごとに、標準的なサイズがある
買い足しのさいにも標準サイズが参考に
シンバルにはライドやクラッシュ、ハイハットなどの種類ごとに、ある程度標準的とされる大きさがあります。たとえばライドなら20インチ、クラッシュなら16インチと18インチ、ハイハットなら14インチが標準です。初めのうちは、迷ったらこの標準サイズを選べば間違いないでしょう。
また、これ以外の大きさを選ぶ場合も、この標準サイズを基準にすると選びやすくなります。たとえばライドの音量を少し大きめにしたいなら22インチを選ぶ、ハイハットの歯切れをよくしたいなら13インチにするなど、演奏スタイルに合わせて選びましょう。
「キャストシンバル」と「シートシンバル」
キャストシンバルはできれば実店舗で試して
製造方法としては、板状の合金を型抜きして作られるシートシンバルと、溶かした合金を型に入れて鋳造(ちゅうぞう)するキャストシンバルがあります。
基本的には、キャストシンバルのほうが複雑な倍音を持つダークな音色、シートシンバルは明るくタイトな音色だとされています。しかし、カップの形状や大きさなど、音色にはほかの要素の影響もあるので、それほど気にする必要はありません。ただ、キャストシンバルは1枚ごとに微妙に音色が異なることがあるので、店頭でじっくり聴き比べて選ぶのがよいでしょう。
また、シートシンバルは個体差が少ないので、ネット通販でも安心して購入することができます。
ハンマリングによる音の違いは?
機械打ちと職人打ちで倍音の複雑さが変化
シンバルにハンマーを打って仕上げられているシンバルも数多くあります。この工程にも、機械打ちのマシンハンマリングと、職人の手作業によるハンドハンマリングの2種類があります。
基本的な特徴としては、ハンドハンマリングは間隔や強さがランダムになるため、複雑な倍音を持つシンバルになることが多く、ジャズ向きのシンバルに多く採用されています。
一方、均一に打たれたマシンハンマリングのシンバルは、抜けがよく、倍音のすっきりした明るいサウンドになるため、ロックやポップス向きと言えるでしょう。
ドラム用シンバルのおすすめ6選 元プロドラマーが厳選
上で紹介したドラム用シンバルの選び方のポイントをもとに、音楽ライターで元プロドラマーの田澤 仁さんに選んでもらったおすすめ商品をご紹介します。

ジャンルを問わず使えるライドの標準形
もっともライドらしい、標準的ともいえる形状のライドシンバルです。音も標準的で、ジャンルやバンド構成を問わず使えます。
ライドサウンドは、中音域の倍音が豊かに響きますが、アタックは粒立ちがよく、きちんと芯があります。カップはややピッチが低めですが、ロックバンドのなかでも音が抜けてくるので、さまざまな場面で使いやすいライドシンバルです。

ロックバンドにぴったりのパワフルなライド
パイステ2002シリーズは、明るく抜けのよいサウンドが特徴。なかでもこの『2002 Power Ride 20"』は、鋭い高音域がよく抜けてくるので、ハードロックやヘヴィメタルバンドにぴったりのライドシンバルです。
ライドサウンドは倍音が多めで広がりがあり、カップはピッチが低めですが音量が大きく、バンドに埋もれず前に出てくるサウンド。クラッシュしたときも大音量で迫力があり、パワーヒッターにおすすめのシンバルです。

歯切れよく存在感のあるクラッシュシンバル
溝(レイジング)やハンマリングが複雑に加工され、よりダークな音色を持つ、ジルジャンのKシリーズのクラッシュシンバルです。
ピッチは低め、薄いので立ち上がりが早く減衰も早く、歯切れ良い印象ですが、倍音が豊かなので存在感があります。とがったサウンドではなく、周囲になじみやすいので、ジャンルを問わず使えるシンバルです。

明るくパワフルなクラッシュシンバル
こまかくマシンハンマリングが施されたクラッシュシンバル。叩いた感触は、ちょっと硬めに感じられるかもしれません。クラッシュサウンドは芯が強く印象に残るもので、倍音はきめ細かく、パワフルに鳴ります。
名前のとおりロックバンドに向いていますが、キレがよく明るいサウンドなのでどんなジャンルでも使えます。

シャープでキレのよいハイハット
粒立ちのよいアタック、きめ細かい倍音、上品な響きで知られる「the Paiste」シリーズのハイハットです。ボトム側のエッジを波打たせるように加工したサウンドエッジは、空気がこもらないため、クローズ状態での音の抜けがさらによくなっています。
また、オープン/クローズしたときの歯切れもとてもシャープです。テクニックがあれば、それに応えて多彩な表情の音を出すことができますが、やや上級者向きといえるかもしれません。なお、ハイハットはトップとボトムが別売りになっていることがあるので注意してください。

独特の存在感があるダークなチャイナシンバル
職人がひとつずつハンドハンマーで仕上げるイスタンブール・アゴップのシンバルといえば、ダークな音色をイメージする人も多いでしょう。そのなかのチャイナシンバルはさらにダークで荒々しい倍音が特徴。それでいて落ち着きのある音色なので、とてもユニークな存在感があります。
やたらに使うとうるさくなってしまうチャイナシンバルですが、ロックやジャズでここ一番というところで、ちょっと変わったアクセントをつけるのにぴったりです。
「ドラム用シンバル」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ドラム用シンバルの売れ筋をチェック
Amazonでのドラム用シンバルの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ドラム用シンバルに関するQ&A よくある質問
ドラムセットのシンバルの数はいくつ?

ハイハット(1)、クラッシュシンバル(1)、ライドシンバル(1)です。
クラッシュシンバルとライドシンバルの違いは?

クラッシュシンバルは主にアクセントをつけるためのシンバルで、ライドシンバルは主にリズムを刻むためのシンバルです。
ドラムスティックのおすすめもチェック
初めのうちはメーカー推奨の用途で使おう! 元プロドラマーからアドバイス
上級者になればクラッシュシンバル2枚使用も
シンバルにはクラッシュ、ライドなどの種類がありますが、必ずしもその用途で使う必要はありません。製品名に「クラッシュ」とつけられているシンバルをライドシンバルとして使ってもよいし、その逆も問題ありません。変わったところでは、クラッシュシンバルを2枚組み合わせてハイハットとして使う人だっています。
ただし、とくに初心者は、このような使い方はあくまで例外だと考えておきましょう。当然ながら、クラッシュするのに最適なものがクラッシュシンバルですし、ライドに最適なものがライドシンバルとして製造されているからです。各シンバルの特性や自分の奏法のスタイルがつかめるまでは、メーカーで推奨されている用途で使うのがよいでしょう。
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