ブックシェルフスピーカーの選び方 周波数特性やデザインなどで
オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんに、小型ブックシェルフスピーカーを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。下記のポイントを参考に、自分にあった小型ブックシェルフスピーカーを探してみましょう。
周波数特性で選ぶ
お気に入りの音楽を高音質で聴くために注目したいポイントの1つが、スピーカーの定格スペックのなかの「周波数特性」。これは、音の傾向をある程度知ることができるスペックで、再生できる低音から高音の音域幅を表わすものです。数値の幅が大きいほど、定格上すぐれています。
また、高域側のスペックが40kHz(キロヘルツ)以上までカバーするものは、ハイレゾ音源を再現するための基準を満たしているため、ハイレゾ対応などと呼ばれることもあります。低域側の数字の小ささは、どれだけ低い低域を再生できるかを表します。低音の表現力の目安になるので、参考にしてみてください。
能率が大きく、かつインピーダンスがプリメインアンプと同じ数値のものを選ぶ
スピーカーの代表的なスペックの1つが能率です。決まったレベルの音に対してどれだけの強さの音を得られるかをdB (デシベル)という単位で表します。能率の数字が大きいほど、出力の小さなアンプでも大きな音を出すことができます。
スピーカー内部の回路を信号が流れるときの電気抵抗を表わすインピーダンスのスペックは、4/6/8Ωがありますので、組み合わせるプリメインアンプと同じ数値のものを選ぶのがおすすめです。
なお定格入力(許容入力)は、スピーカーで大きな音を鳴らした際に破損しない限界値を表します。例えば100Wを定格入力としているスピーカーがありますが、実際に100Wで音を鳴らすと耳をふさぐほどの大轟音(ごうおん)になるので、実シーンとしては現実的なスペックではありません。
ブランドごとの特徴ある音か、フラットな音か
スピーカー選びの際の基礎知識としてスペックを解説しましたが、これはあくまで参考程度の情報です。どれだけこまかな音を鳴らせるかを示すスペックは存在しませんし、周波数帯域の幅はわかっても、そのなかでどの音の高さが強く聴こえるかはわかりません。
スピーカーユニットの構成や素材による音の特徴も含め、トータルの作りこみこそがスピーカーの音色を左右しているともいえます。スピーカーはブランドや製品ごとに、理想とする音があって作られるもの。商品説明やレビューも参考にして、自分の求める音楽性にあったスピーカーを探しましょう。
たとえば、JBLなどの海外の老舗ブランドから出ているスピーカーは、ロックやジャズに向いている傾向にあります。また、音楽制作などを目的として厳密かつ正確な音の再現を最重視するなら、「モニタースピーカー」と呼ばれるものを探してみましょう。
サイズとデザインで選ぶことも忘れずに
スピーカーは、室内に設置して音楽を流すもの。そこで考慮してほしいのがサイズとデザインです。小型ブックシェフルスピーカーのサイズに決まりはありませんが、感覚的には幅25cm程度・高さ35cm程度までのものなら、部屋に置いても大きすぎないサイズといえるでしょう。
部屋に置いたスピーカーは目につくものなので、デザイン性もある程度は考えておくことをおすすめします。スピーカーを所有していること自体に満足感を得たいのであれば、自慢できるブランドのスピーカーを選ぶというのももちろんアリです。
ブックシェルフスピーカー おすすめ7選 JBL・YAMAHA・B&Wなど
上で紹介した小型ブックシェルフスピーカーの選び方のポイントをふまえて、オーディオ&ビジュアルライターの折原一也さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。オーディオのエキスパートが厳選した商品から、お気にいりの小型ビックシェルフスピーカーを見つけてみてください。

JBL(ジェービーエル)『STAGE A130』






出典:Amazon
サイズ | W190×H321×D230mm |
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再生周波数帯域 | 55Hz~40kHz |
能率(出力音圧レベル) | 86dB |
インピーダンス | 6Ω |
米国の名門JBLの入門ブックシェルフ
オーディオを語るうえで、必ずといっていいほど登場するブランドが、米国のJBL。音楽制作のプロフェッショナル用モニターがルーツで、映画館用のスピーカーも展開しています。お手ごろな価格で展開している『STAGE A130』も、JBLのプロ用モニタースピーカーのために開発されたホーン技術を高域ユニットに採用。デザイン面でも、プロ系モニターを彷彿(ほうふつ)とさせます。
サウンドは、とくにアコースティックなロックとの相性がいいものといえます。骨太で、中高域に華があるような明瞭(めいりょう)な音を聴かせてくれますので、ロックやジャズを聴く方におすすめしたいスピーカーです。JBLで音楽を聴くということが1つの趣味の完成形ともいえるかもしれません。

YAMAHA(ヤマハ)『NS-B330』

出典:Amazon
サイズ | W183×H320×D267mm |
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再生周波数帯域 | 55Hz~45kHz(-10dB)~100kHz(-30dB) |
能率(出力音圧レベル) | 87dB |
インピーダンス | 6Ω |

TEAC(ティアック)『S-300NEO-SP』








出典:Amazon
サイズ | W184×H240×D229mm |
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再生周波数帯域 | 55Hz~33kHz |
能率(出力音圧レベル) | 86dB |
インピーダンス | 6Ω |

MONITOR AUDIO『BRONZE 1』






出典:楽天市場
サイズ | W165×H260×D180mm |
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再生周波数帯域 | 55Hz~30kHz |
能率(出力音圧レベル) | 87dB |
インピーダンス | 8Ω |

DALI『OBERON 1』

出典:Amazon
サイズ | W162×H274×D234mm |
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再生周波数帯域 | 51Hz~26kHz |
能率(出力音圧レベル) | 86dB |
インピーダンス | 6Ω |

KEF『Q350 BOOKSHELF SPEAKER』














出典:Amazon
サイズ | W210×H358×D306mm |
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再生周波数帯域 | 63Hz~28kHz(±3dB) |
能率(出力音圧レベル) | 87dB |
インピーダンス | 8Ω |

Bowers & Wilkins(B&W)『スピーカー 607』

出典:Amazon
サイズ | W165×H300×D207mm |
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再生周波数帯域 | 40Hz~33kHz |
能率(出力音圧レベル) | 84dB |
インピーダンス | 8Ω |
オーディオファンの選ぶ定番ブランド
Bowers & Wilkins(B&W)は、世界的にも大手の英国のスピーカーブランド。音楽製作スタジオでも採用されています。Hi-Fiオーディオ好きの人のなかでは、必ずといっていいほど名前が挙がるブランドのひとつです。B&Wのスピーカーは、高域までのびやかに伝わる音のクリアで美しい再現性と、スピーカーの存在が消えて音楽に包みこまれるような空間表現力が特徴。それゆえに、高級モデルから『607』のような入門モデルまで一貫して評価されています。
これはHi-Fiオーディオとしてのひとつの方向性をきわめたスピーカーとも呼べるでしょう。音の空間への広がりを求めている方におすすめしたいスピーカーです。
「小型ブックシェルフスピーカー」のおすすめ商品の比較一覧表
スピーカー選びは試聴から! オーディオライターからのアドバイス
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家
小型ブックシェルフスピーカーの選び方をガイドしましたが、記事のなかでも説明したとおり、スピーカーをスペックだけで選ぶのはおすすめできません。スピーカーが備えている音色は、それぞれ個性があります。記事のなかでは、私が自ら各スピーカーを試聴した経験をもとにサウンドの特徴を説明していますが、求めるサウンドの特性は好みが分かれるところでしょう。
最近は、メーカーのショールームやオーディオ専門店に行かなくても、家電量販店の大型店舗に試聴コーナーが設けられるケースも増えています。本格的に趣味としてスピーカーを選びたい方は、自分の耳で聴いて、好みにあうスピーカーを探すことを強く推奨します。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/11 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
オーディオ&ビジュアル専門誌『AV REVIEW』『プレミアムヘッドホンガイドマガジン』や、モノ雑誌『家電批評』『MONOQLO』『GoodsPress』『MonoMax』『DIME』『日経トレンディ』等、Webでは『Phileweb』『日経トレンディネット』『価格.comマガジン』『@DIME』『&GP』等の媒体で、レビュー、解説で活躍する1979年生まれの若手評論家。 日々、新製品発表会や欧米のIT・家電関連イベントを取材しデジタル家電のトレンドにも精通。 高価なハイエンドの機器だけでなく、格安・コスパ志向、ライフスタイル志向の製品までもカバー。 AV家電製品の取材歴が長い事もあり、製品はスペックで判断するだけでなく、実機に触れてクオリティをチェックした上でのレコメンドを心がけている。2009年より音元出版主催のオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員。