それでは、西村 創さんと編集部で選んだ小学生の読書感想文におすすめの本を紹介します。
小学1年生から読める、異種間の友情を描いた名作
小学1年生から読める作品です。この物語は、異種間の友情を描いた名作で、主な登場人物はオオカミとヤギです。普通なら肉食のオオカミがヤギを襲ってしまう関係ですが、この作品では嵐の夜に出会ったオオカミのガブとヤギのメイによる、異種間の友情が描かれています。
物語は7つのエピソードで構成されており、オオカミやヤギの種族を巻き込んだ友情の行方にぐいぐいと引き込まれます。絵本なので文字だけの本に抵抗がある子でもとっつきやすいのがポイント。アニメ映画にもなっているので、あわせて見ると理解が深まり、感想が書きやすくなるでしょう。また、この作品はシリーズ化されていますので、読書感想文をきっかけに興味を持ったらシリーズ作品にも読書の幅を広げていくことができます。
ページ数 |
266ページ |
出版社 |
講談社 |
著者名 |
きむら ゆういち |
ページ数 |
266ページ |
出版社 |
講談社 |
著者名 |
きむら ゆういち |
『そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート』(講談社文庫)
小学5~6年生に。謎解きのおもしろさで読ませる
どうしても読書中の集中力が続かない……という子どもでも、続きが気になるミステリーには案外のめり込んでしまうものです。はじめてのミステリーで読みやすいのが、はやみねかおるの『名探偵夢水清志郎事件ノート』シリーズ。
変わり者の探偵「夢水清志郎」と、近所に住む三姉妹が事件の謎に迫る物語です。古くから愛されるシリーズで、コメディタッチながら本格的なストーリーは読書感想文のテーマとしても見劣りしないでしょう。
ページ数 |
276ページ |
出版社 |
講談社 |
著者名 |
はやみね かおる |
ページ数 |
276ページ |
出版社 |
講談社 |
著者名 |
はやみね かおる |
小学1年生から読める、勇気と知恵があふれた物語
主人公である9歳の少年、エルマーが竜の子どもを助けるために、さまざまな冒険をしていく物語です。歳が近い少年の冒険には、子どもも感情移入して読み進めやすいのではないでしょうか。作中、たくさんの動物がいる島では、ライオンやトラなどのおそろしい動物たちがエルマーを待ち受けます。しかし、危険や困難を正面からねじ伏せるのではなく、機転や工夫で乗り越えていくエルマーの姿に、うならされることも多いはず。エピソードごとに思ったことを並べていくだけでかんたんに感想文が書けてしまいます。
小学1年生から読めるように、分量はさほど多くなく、かんたんな漢字やひらがながメインで書かれています。また「世界傑作童話シリーズ」としてシリーズ化されていますので、読書感想文をきっかけに『エルマーとりゅう』や『エルマーと16ぴきのりゅう』といったシリーズ作品にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
ページ数 |
128ページ |
出版社 |
福音館書店 |
著者名 |
ルース・スタイルス・ガネット |
ページ数 |
128ページ |
出版社 |
福音館書店 |
著者名 |
ルース・スタイルス・ガネット |
小学5~6年生に。アニメとあわせて読める時間SF
少し読書にも慣れてきた高学年の小学5~6年生向けです。この作品は、アニメとあわせて読める時間SFの名作となっています。物語の内容はもちろんのこと、時間ネタの使い方が誰にでもわかるエンターテインメントとしてすぐれています。はじめてSFを読む子どもでもすんなりと内容に没入することができるでしょう。
過去にテレビドラマ化もされていますし、映画版は夏になるとテレビで放映されることも多い作品ですので、とっつきやすいかもしれません。
ページ数 |
158ページ |
出版社 |
KADOKAWA |
著者名 |
筒井 康隆 |
ページ数 |
158ページ |
出版社 |
KADOKAWA |
著者名 |
筒井 康隆 |
小学1年生から。いじめを題材にした1冊
学校生活とも密接に関わり、重たいテーマのひとつである「いじめ」。それだけに、子どもにも大人にも深く考えさせる力のある題材と言えます。絵本の形式をとる短い物語なので、ひとりでも読みとおすことはかんたんでしょう。
低学年の子には内容が深すぎるかもしれないので、ぜひ保護者も一緒に考えてみてください。重めのテーマではありますが、この本を読むことで自然と「いじめ」についてきちんと考えるきっかけになるかもしれません。
ページ数 |
32ページ |
出版社 |
偕成社 |
著者名 |
松谷 みよ子 |
ページ数 |
32ページ |
出版社 |
偕成社 |
著者名 |
松谷 みよ子 |
親子の触れ合いの大切さを感じられる作品
学校で先生から出された宿題は、小学生にとってはちょっと困った問題です。口では文句を言いながらも子どもたちからは笑みがこぼれます。うれしそうに見えるのは大好きな人に協力してもらわないとできない宿題だからです。
甘えたい気持ちがふくらんでいても自立心が芽生えた子どもたちは平気なふりをして我慢してしまいます。抑えている気持ちを出させるステキな宿題から親子の触れ合いの大切さを感じられるでしょう。
ページ数 |
32ページ |
出版社 |
岩崎書店 |
著者名 |
いもと ようこ |
ページ数 |
32ページ |
出版社 |
岩崎書店 |
著者名 |
いもと ようこ |
失敗を乗り越える力を与えてくれる一冊
『しっぱいに かんぱい!』は『かんぱいシリーズ』第一作目の作品です。運動会でリレーの選手として出場した達也のおねえちゃんは1着でゴールしますが、バトンの受け取り場所が決められたゾーンをはみ出ていたため失格になってしまいます。思わぬしっぱいに食欲がなくなるくらい落ち込んでしまったおねえちゃんが立ち直れたのは一本の電話がきっかけでした。
しっぱいしたことをはずかしいと思っている子どもたちを勇気づけてくれるお話です。
ページ数 |
96ページ |
出版社 |
童心社 |
著者名 |
宮川 ひろ |
ページ数 |
96ページ |
出版社 |
童心社 |
著者名 |
宮川 ひろ |
予想外の展開がおもしろい学校もの
宿題を忘れた主人公のゆうすけくんはどうして忘れたのか理由を先生に説明します。先生は誰もが嘘だと思うストーリーを展開していくゆうすけくんを叱りません。翌日から教室では順番に宿題を忘れた理由を発表していき、ついには先生まで宿題を忘れた理由を発表することになります。
いけないことだと思っているからか、タイトルから子どもたちは興味をそそられます。 叱られるはずなのに叱られない、予想外のできごとや嘘たっぷりの理由に惹かれ教室の生徒になった気分で読み進められるでしょう。
ページ数 |
96ページ |
出版社 |
童心社 |
著者名 |
山本 悦子 |
ページ数 |
96ページ |
出版社 |
童心社 |
著者名 |
山本 悦子 |
3~4年生以上にじっくり読ませたい
第19回小川未明文学賞で大賞を受賞している作品です。兄弟姉妹がいるいないに関わらず、興味を持って読み進められます。
弟がほしいと願っていた主人公の健太は学校から帰る途中で「ロボットかします」と書かれたお店を発見。おこづかいを使って手に入れた弟ロボットに最初は喜んでいましたが、自分一人のときと変わってしまったことにいら立ちを感じ始めます。
健太が弟ロボットにかけることばや行動に読む人はいろいろ考えさせられます。中学年以降の児童の心に響く一冊となるでしょう。
ページ数 |
120ページ |
出版社 |
学研プラス |
著者名 |
滝井 幸代 |
ページ数 |
120ページ |
出版社 |
学研プラス |
著者名 |
滝井 幸代 |
がんばる意味を教えてくれる不思議なストーリー
転校してきた主人公の始は宙に浮く男の姿を目にします。始に見えたのはビリになると見える神様でした。
神様を見ようとクラスの友達同士がビリをとるために協力し合うといつしか輪ができあがり団結力が強くなっていきます。
不思議な話の中で語られているのはトップを目指して競争するよりも大切なものがあるということ。ユニークな設定ですが、仲間と一緒に何かをがんばるすばらしさが伝わってきます。
ページ数 |
164ページ |
出版社 |
偕成社 |
著者名 |
岡田 敦 |
ページ数 |
164ページ |
出版社 |
偕成社 |
著者名 |
岡田 敦 |
Amazon、楽天市場での読書感想文向けの本の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
続いて、小学生の読書感想文に使う本の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の4つ。
【1】短編小説に絞って選ぶ
【2】「感想を書くための本」を念頭に選ぶ
【3】メディアミックス展開した作品に目を向けて選ぶ
【4】迷ったら名作を選ぶ
上記の4つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
どうしても読書感想文の本が決まらない場合は、名作と呼ばれる作品から選びましょう。広く世に知られている、また長きにわたり読まれている名作は話がよくできています。
それは、単純におもしろくて読みやすいだけではなく、読者に考えさせる要素を持っているからです。エキスパートによる選び方のポイントと組み合わせて選ぶと、感想文を書きやすい作品が見つかるでしょう。
少しでも子どもが興味を持った本があればしめたものですが、あまり背伸びをした作品だと、途中で投げ出してしまう可能性もあります。
小学生の場合、学年ごとに適切な名作があります。低学年のうちに高学年向けの本を読ませても理解ができないのが一般的なので、まずは年齢に合ったもののなかから興味がありそうなものを選んでみるのがよいでしょう。
ひとつの方法として、子どもが興味を持った名作があるなら一緒に読んでみましょう。その作品のレベルを把握できるだけではなく、おもしろさをアピールすることで、興味をあおることができます。
また、おもしろい作品は人と感想を交わしたくなるもの。一緒に感想を話し合うことができれば、その内容を感想文にまとめることも容易でしょう。
読書感想文は、あくまで宿題です。宿題の形をとっている以上、子どもが題材に対して興味を持つというのは難しいといえるでしょう。読書への目覚めは人それぞれであり、そのきっかけは別に読書感想文でなくともよいのです。したがって、読書感想文と読書への興味は切り分けて考えてみてください。
もちろん、読書感想文が読書に触れる機会であるのは間違いないので、子どもが示す興味については見逃さないようにしましょう。先ほど紹介したなかにも、シリーズ化されている作品がいくつかあります。もし、この読書感想文を書くための本に子どもが少しでも興味を持ったなら、次は宿題としてではなく、そのシリーズの本を読んでみるようにサポートしてあげてもいいかもしれません。
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