登山用水筒の選び方 材質と形状、本数と容量、飲み口のタイプ、保温保冷性など
山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんに取材をして、登山用水筒の選び方のポイントを教えていただきました。
使いやすい材質と形状のものを選ぶ
登山用水筒はいろいろな材質や形状のものがあります。登山シーンや用途にあったものを選びましょう。
ペットボトル ポリエステルなどの樹脂製は比較的安価
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
登山用の水筒は、いかにも「水筒」らしい筒形のものが中心です。外側からの圧力に強くて破損しにくく、口を閉じないままテーブルの上などに置いても中身がこぼれず、安心して使用できます。
筒形の水筒のなかにはやわらかな素材を使ったものがあり、立てて置くのは難しくなりますが、内部の水が少なくなるほど小さくつぶすことができ、収納に便利です。
一般的に金属製よりも安価で購入しやすいのが、ポリエステルなどを使った樹脂製の水筒です。軽量さにもメリットがありますが、耐久性では金属製には敵わず、熱湯を入れることもできません。
樹脂製やペットボトルタイプは軽くて扱いやすいため、子ども用やハイキングシーンなどにも使いやすいです。一方落とすと破損しやすい、気温や気圧の変化に弱いのがデメリットです。
金属製ボトル アルミやステンレスなど耐久性があって頑丈
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
耐久性が高く、長い間使えるのは、なんといってもアルミを中心とした金属製の水筒です。熱にも強いので、お湯で内部の殺菌もできます。
落としても破損しないため、登山中に大切な水を失うこともふせげます。また、保温や保冷性のある金属製の水筒も多いため、水だけでなくお湯の持ち運びにも便利です。冬山での保温にも役立ちます。
ソフトボトル ポリエチレンなどのフィルム状で薄く収納できる
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
フィルム状の水筒も人気があります。これは水を入れていない状態だと紙のように薄くなり、携行性に非常に優れています。ただし、形状が安定しないので立てて置くのは難しく、使用するたびに口を閉じる必要が出てきます。
もっとも軽量なのはポリエチレンなどを使ったフィルム状の水筒で、高温にも対応する商品もあります。ただし、やわらかくて薄い素材なので傷みやすく、長期間使うことはできません。耐久性、軽量性、入れる液体の温度などを考えて適当なものを選びましょう。
ハイドレーションタイプ 背負ってチューブで吸水できる
チューブで給水するソフトボトルタイプの水筒がハイドレーションタイプです。背中にせおってそのまま給水できるので、荷物を降ろさず行動したまま、自分の好きなタイミングで水が飲めるのがメリットです。
水を吸うときに少しコツがいるので、使用前に練習しておくのがよいでしょう。特殊な形状のため、使用後に洗浄するのに少し手間がかかるのがデメリットです。
自分に必要な「本数」と「容量」で選ぶ 最低0.5Lは必要、夏なら2L
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
0.3L、0.5L、1Lを本数で組み合わせる
アウトドア用の水筒の多くはシリーズ化され、同一モデルでいくつかの容量が用意されています。水筒の用途が「登山中の水分補給」だとすると最低0.5Lは必要で、大量の汗をかく夏シーズンならば2Lでも足りないくらいです。しかし大容量の水筒ひとつで済ませるのではなく、複数の水筒を使って間に合わせられます。
アミノ酸系などの日本製の粉末ドリンクの大半は1Lの水に溶かしてつくるため、粉末ドリンクを利用したい人は、容量が1Lの水筒がおすすめ。また、山小屋などの目的地に到着後、持参したウイスキーやワインを楽しみたいという方は、小容量の水筒(0.3L程度のもの)も便利です。
容量が大きいと水筒が飲みにくく、小分けにすると荷物を圧迫します。持ち運ぶ水筒の本数も考慮して、ぴったりの容量のものを選びましょう。
口の形状と開け方で選ぶ 飲みやすさと洗浄時のポイント
シグ『ワイドマウスダイナミック スポーツ(0.75L)』
片手で使えて「スポーツキャップ」の飲み口が特徴の水筒です。
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
飲み口はスクリュータイプとワンタッチタイプ
水筒の口の大きさも重要な要素です。飲み口が大きいものには氷も入れることができ、洗うのも簡単で洗った後は乾燥も早く、内部にカビが生えたりするトラブルを避けられ衛生的です。しかし、使用時に中身がこぼれることも多いので、不安な場合は口径が小さい飲み口のほうが安心して使えます。
水筒の飲み口の多くはネジ式のスクリュータイプですが、なかにはワンタッチで開けられるタイプのものもあります。水漏れの心配が少なく、破損も少ないのは一般的なスクリュータイプですが、手軽に使いたい人は片手でも開けやすいワンタッチ式のものも選択肢のひとつになります。
スクリュータイプの場合、グリップがついていると登山グローブをつけたまま回せるので便利です。
登山シーンや用途で保温保冷性をチェック 冬山なら保温、夏山なら保冷
保温保冷機能のある登山用水筒なら、いろいろなシーンで活用できます。冬山なら保温目的で、夏山なら冷たいままの水を給水できます。また、雪山登山なら水筒の中身が凍ってしまうのを防げます。
ほかにも、お湯を入れてコーヒーなどのあたたかい飲みものを作る、カップラーメンを作る、スープなどを入れておくなど給水以外のいろいろな用途で使えます。
登山用水筒のおすすめ8選 ナルゲン、サーモス、シグ、プラティパスほか
うえで紹介した登山用水筒の選び方のポイントをふまえて、山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

ナルゲン『Tritan(広口1.0L)』






出典:Amazon
容量 | 約1.1L(満水容量) |
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重量 | 約180g |
材質(素材) | 本体:飽和ポリエステル樹脂 キャップ:ポリプロピレン ループ部:ポリエチレン |

ナルゲン『OTFボトル(0.65L)』












出典:Amazon
容量 | 約0.71L(満水容量) |
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重量 | 約130g |
材質(素材) | 本体:飽和ポリエステル樹脂 キャップ/ループ部:ポリプロピレン、TPE パッキン:シリコン |

シグ『トラベラークラシック(1.0L)』

出典:Amazon
容量 | 1.0L |
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重量 | 150g |
材質(素材) | アルミ |

クリーンカンティーン『リフレクトボトル 27oz』




























出典:Amazon
容量 | 0.8L |
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重量 | 240g |
材質(素材) | 18/8ステンレススチール、バンブー |

シグ『ワイドマウスダイナミック スポーツ(0.75L)』

出典:Amazon
容量 | 0.75L |
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重量 | 175g |
材質(素材) | アルミニウム |

プラティパス『メタボトル(1.0L)』

出典:Amazon
容量 | 1.0L |
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重量 | 195g |
材質(素材) | 上部:PP 下部:TPE |

プラティパス『デュオロックソフトボトル(2.0L)』










出典:Amazon
容量 | 2.0L |
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重量 | 50g |
材質(素材) | 本体:PE・ナイロン 注ぎ口・キャップ:PE・TPE ハンドル:PE |
サーモス『真空断熱ケータイマグ(JNR-501)』

出典:Yahoo!ショッピング
容量 | 0.5L |
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重量 | 約210g |
材質(素材) | 本体:ステンレス鋼(アクリル樹脂塗装) フタ・せん本体:ポリプロピレン 飲み口:ポリプロピレン フタパッキン:シリコーン |
「登山用水筒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用水筒の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用水筒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
オプションパーツも有効活用しよう 山岳/アウトドアライターからのアドバイス
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
使用後はすぐ洗浄・乾燥を
登山用水筒には、さまざまなオプションパーツが販売されています。もちろん、そのままでもじゅうぶんに水筒としての機能は果たしますが、大きい飲み口を小さなものに変更したり、保温ケースを組み合わせたりすると、ますます使い勝手は向上します。
なかに浄水用のフィルターを合わせられるものもありますので、チェックしてみるといいでしょう。使用後は飲み物を入れたままにせず、早めに洗浄と乾燥を行なうことをおすすめします。
酸性の飲み物は金属製の水筒すら腐食させる可能性があり、また長時間湿らせたままでいると雑菌が繁殖しますので注意しましょう。メンテナンスにも気を遣えば、愛用できる期間も長くなるでしょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/15 一部コンテンツ修正のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 横尾忠徳)
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。