登山で水筒を持っていくメリット 山登りやトレッキングで必要不可欠
たくさんの汗をかく山登りやトレッキングにおいて、水分補給は必要不可欠。山では水を確保できる場所が限られているため、登山用水筒が活躍します。
「水分補給ならペットボトルの飲み物でいいのでは?」と考える人もいるでしょうが、登山用水筒のメリットは機能性の高さです。ザックを下ろさず水分を補給できるハイドレーションタイプや、飲み終わったらコンパクトに折りたためるものなど、便利な商品がそろっています。
また、保温性の高い水筒なら、温かい飲み物やお湯を入れられるので、コーヒーやカップラーメンを作ることもできます。軽量設計で便利な登山用水筒は、ベテランの方はもちろん、初心者の方にもおすすめのアイテムです。
登山用水筒の選び方 材質と形状、本数と容量、飲み口のタイプ、容器の保温保冷性など
山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんに取材をして、登山用水筒の選び方のポイントを教えていただきました。
水筒の素材やタイプで選ぶ
登山用水筒は、素材や形状で大きく4つのタイプにわけられます。登山シーンや用途にあったものを選びましょう。
折りたためるボトル
ポリエチレンなどを使ったフィルム状のソフトボトルで、なかの水を飲み終わったら薄く折りたたむことができます。水が入っていないときはコンパクトに収納できるため、ザック内で場所を取りません。重量がとても軽いのも特長です。
ただし、やわらかくて薄い素材なぶん傷みやすく、長期間使うのにはやや不向き。荷物の軽量化を重視したいときや、登山時の予備の水筒としても活躍します。
プラスチックボトル
プラスチック製ボトルの特長は、軽さと適度な丈夫さを兼ね備えている点です。持ち運びやすく、扱いやすいのが魅力といえます。飲み物を入れるだけでなく、ナッツなどを入れる行動食用のケースとしても利用可能です。
ただし、プラスチックボトルは気温や気圧の変化に弱いため、高山登山には向いていません。また、落下させると衝撃で破損しやすいので注意してください。
アルミ・ステンレスボトル
アルミやステンレス素材のボトルは、耐久性が高く、繰り返し長く使えるのが特長です。落下などの衝撃で破損して水漏れする可能性が低いため、登山中に大切な水を失わずに済みます。
また、保温性の高いモデルが多いのも魅力で、温かい飲み物や熱いお湯もそのまま持ち運びが可能。冬山での保温対策にも役立ちます。また、熱いお湯を入れておけば、コーヒーやカップラーメンなどの調理にも使えて便利です。
ハイドレーションボトル
ハイドレーションタイプとは、チューブで給水するソフトボトルのこと。背中に背負ったまま給水できるので、水を飲むためにわざわざ荷物を降ろす必要がありません。登山中に自分の好きなタイミングでこまめに水が飲めるのがメリットです。
一方で、特殊な形状をしているため、使用後のお手入れに少し手間がかかります。チューブの洗浄や乾燥が難しいのがデメリットです。
自分に必要な「本数」と「容量」で選ぶ 最低0.5L、夏なら2Lは持ち歩きに必要
アウトドア用の水筒の多くはシリーズ化され、同一モデルでいくつかの容量が用意されています。水筒の用途が「登山中の水分補給」だとすると最低0.5Lは必要で、大量の汗をかく夏シーズンならば2Lでも足りないくらいです。しかし大容量の水筒ひとつで済ませるのではなく、複数の水筒を使って間に合わせられます。
アミノ酸系などの日本製の粉末ドリンクの大半は1Lの水に溶かしてつくるため、粉末ドリンクを利用したい人は、容量が1Lの水筒がおすすめ。また、山小屋などの目的地に到着後、持参したウイスキーやワインを楽しみたいという方は、小容量の水筒(0.3L程度のもの)も便利です。
口の形状と開け方で選ぶ 飲みやすさと洗浄時のポイント
飲み口の形状とフタの開け方もチェックしておきたいポイントです。プラスチックや金属製のボトルの場合、以下の2タイプがあります。
スクリュータイプ
登山用水筒の飲み口で一般的なのが、ネジ式のスクリュータイプ。くるくる回して開閉するタイプで、水漏れしにくく、破損しにくいのが特長です。
飲み口が広いものなら、水や氷がらくに入れられます。洗うのもかんたんで洗ったあとは乾燥も早く、内部にカビが生えたりするトラブルを避けられ衛生的です。
ただし、水を飲もうとしたときの勢いで中身がこぼれることもあるため、不安な場合は口径が小さい飲み口を選ぶといいでしょう。
ワンタッチタイプ
登山用水筒のなかには、ワンタッチで開けられるタイプもあります。手軽に使いたい人は、片手でも開けやすいワンタッチタイプを選ぶといいでしょう。衝撃で勝手にフタが開かないように、ロック機能がついたモデルがおすすめです。
ワンタッチタイプは飲み口の構造がやや複雑なので、ていねいに洗う必要があります。飲み口が取り外せるものなど、お手入れのしやすさも注目したいポイントです。
登山シーンや用途で保温保冷性をチェック 冬山なら保温、夏山なら保冷
保温保冷機能のある登山用水筒なら、いろいろなシーンで活用できます。冬山なら保温目的で、夏山なら冷たいままの水を給水できます。また、雪山登山なら水筒の中身が凍ってしまうのを防げます。
ほかにも、お湯を入れてコーヒーなどのあたたかい飲みものを作る、カップラーメンを作る、スープなどを入れておくなど給水以外のいろいろな用途で使えます。
登山用水筒のおすすめ12選 ナルゲン、サーモス、シグ、プラティパスほか
登山用水筒の選び方のポイントをふまえて、山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

定番中の定番、まさにイメージどおりの登山用水筒
この登山用水筒の口径に合わせてボトルホルダーのサイズを決定するバックパックも多いほど、アウトドア界を代表する樹脂製水筒の大定番。1Lを中心に、大小の容量サイズやデザイン違いが多数そろっています。
軽量で壊れにくいのが最大の魅力で、しかも安価。飲み口が広いので内部を洗いやすく、清潔さを保てます。気密性の高さにも定評があり、日常生活では食品保存用としても活用でき、おすすめです。

シンプルで使いやすいデザイン
キャップの部分が二重になっており、飲み物を入れる際や洗浄のときは、口径が大きいキャップを開け、中身を飲むときは口径が小さいほうのキャップを使用します。
小さいほうのキャップは片手で開閉でき、ロック機能も付けられているので、不用意にキャップが緩んで飲み物がこぼれることはありません。緩やかな曲線を描くフォルムは現代的で、日常生活でも使い方にもおすすめ。
3Lもの水を持ち運べる大容量タイプ
飲み水はもちろん、調理用の水を持ち運ぶのにも便利な大容量タイプ。3Lもの水を入れられるので、山頂でバーナーを使って調理を楽しみたいときにも活躍してくれるでしょう。底にマチがついており、水が入った状態で自立します。
ソフトボトルタイプなので、使い終わったらコンパクトに折りたたんで収納可能。省スペースで持ち運べます。

金属製の登山用水筒といえばまずはコレ
アルミ製水筒の代名詞的なメーカーが誇る、ブランド「シグ」を代表するモデル。これもまたアウトドア界の大定番で、毎年さまざまなデザインと柄の商品が発売されています。
耐久性は驚くほど高く、本体を踏みつぶしたり、高い場所から落としたりしても割れることがほとんどありません。
内部ににおいが付きにくいのも長所のひとつで、水以外のドリンク類を入れても後処理が簡単です。少し温かいお湯を入れて使用することができます。

落としにくい形状と、飲みやすい飲み口
単なる円筒形ではなく、本体の一部をくびれさせた特殊な形状のアルミ製の水筒です。汗ばんだ手でつかんでも滑り落ちにくく、気楽に使えます。飲み口にも特徴があり、飲み口のストッパーを歯で挟んで引っ張るだけで飲めるようになる「スポーツキャップ」が使用されています。
この飲み口は一度にたくさんの水を口内に流し込むことはできませんが、片手で扱えるので行動中には大きなメリットがあります。

落としても壊れないソフトな水筒
最上部に飲み口があるだけではなく、水筒の中央上でもふたつに分解ができる柔らかな素材です。内部が洗いやすく、雑菌が繁殖する前に乾燥させられます。
水筒のメインとなる下部には柔らかい素材が使われており、水を入れていないときはつぶして小さくして持ち運べます。
飲み物ごと凍らせられるのも大きなポイント。素材の伸縮性によって、水が凍り付いて膨張した分を緩和できるため破損しにくく、夏場など凍結させた飲み物を持参したい方におすすめ。

容量2Lの大サイズでも、重量はたった50g
ポリエチレンのフィルムで作られた、しなやかな水筒です。水を入れないときは丸めて小さく収納が可能。
サイズは0.75L、1.0L、2.0Lとラインナップされ、ロック式の大型キャップとカラビナ式のハンドルがついているのに、最大の2.0Lでもわずか50gの重さしかないというのは驚きです。
たくさんの汗をかく夏場に大量の水を持ち運んだり、山小屋やテント場で自炊をするときに調理用の水を確保したりと、小型水筒を補う形で使ってもいいでしょう。

竹を使った雰囲気のあるキャップ
無骨なデザインのものが多いなか、上品な雰囲気をもつステンレス製の登山用水筒。
プラスチックなどの樹脂は一切使わない反面、キャップには天然の竹を用(もち)い、ナチュラルなテイストを醸(かも)し出しています。
キャップに付けられたリングが大きいのも使いやすく、ここに手をかけてキャップをまわせば、あまり力を入れずに開閉することができるため、力の弱い女性やお子さんにもおすすめです。
優れた保温、保冷効力をもつマグボトル
68度以上の保温効力、10度以下の保冷効力がともに6時間と、温度をキープする性能が高いボトルです。とくに冬の登山などで重宝するでしょう。
しっかりロックできるフタは、ワンタッチで開くタイプで、飲み口も広め。カラーバリエーションも豊富にそろっているところもうれしいポイントです。
軽量コンパクトなソフトボトル
軽量で荷物になりにくいソフトボトルタイプです。なかの水を飲み終わったら、薄く折りたたんでコンパクトに収納できます。そのぶんザック内に空きスペースができるので、登山帰りに買ったお土産などを入れられて便利です。
水が入った状態で自立できる設計になっているのも使いやすいポイント。口栓とキャップは抗菌加工されており、雑菌の繁殖を抑えてくれます。
おしゃれなカラー&デザイン
チャムス定番のロゴが目を引く、おしゃれなデザインのステンレスボトル。豊富なカラーバリエーションも魅力です。ダブルウォールの真空断熱構造で、冷たい飲み物から温かい飲み物まで持ち運べます。飲み口が広く、お手入れもかんたん。洗いやすく、乾きやすいため衛生的です。
容量は550mlで、低山やトレッキングにちょうどいいサイズ。登山だけでなく、ふだん使いにもおすすめです。
丈夫で軽い! 使いやすさも文句なし
アルミ素材を使用した堅牢な登山用水筒です。落下などの衝撃で凹むことはあっても破損する可能性は低いので、登山中に大切な飲み水を失わずに済みます。容量1Lで、重さ163gと軽いのも特長です。
直径33.5mmの広口スクリューキャップを採用しており、水や氷をスムーズに入れられます。飲み口が広いぶん、お手入れもらくです。
「登山用水筒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用水筒の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用水筒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
登山用水筒に関するQ&A よくある質問
登山用水筒にはどんな種類がある?

折りたためるボトル、プラスチックボトル、アルミ・ステンレスボトル、そしてチューブで給水するハイドレーションボトルがあります。
登山にはどれくらいの水分量が必要?

次の計算式で登山中の脱水量がわかります。体重60kgの人が10kgの荷物を持って8時間登山した場合、脱水量(g)=5(g)×70×8=2800(g)となり、約3Lもの水分量が失われていることになります。
【計算式】
脱水量(g)=5(g)×体重(kg※荷重も含む)×行動時間(h)
山岳/アウトドアライターからのアドバイス
使用後はすぐ洗浄・乾燥を
登山用水筒には、さまざまなオプションパーツが販売されています。もちろん、そのままでもじゅうぶんに水筒としての機能は果たしますが、大きい飲み口を小さなものに変更したり、保温ケースを組み合わせたりすると、ますます使い勝手は向上します。
なかに浄水用のフィルターを合わせられるものもありますので、チェックしてみるといいでしょう。使用後は飲み物を入れたままにせず、早めに洗浄と乾燥を行なうことをおすすめします。
酸性の飲み物は金属製の水筒すら腐食させる可能性があり、また長時間湿らせたままでいると雑菌が繁殖しますので注意しましょう。メンテナンスにも気を遣えば、愛用できる期間も長くなるでしょう。
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1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。