広角レンズとは?
「広角レンズ」は一般的に、焦点距離が35mm以下のレンズのことを指します。24mm以下になると「超広角レンズ」と呼ばれます。
焦点距離はレンズの中心点から撮像素子(イメージセンサー)までの距離のことで、焦点距離が短いレンズほど写真の画角は広くなり、広範囲を撮影することができます。
広角レンズの特徴
標準レンズや望遠レンズと比較すると、画角が広いことが「広角レンズ」の一番の特徴です。
初めて一眼レフカメラを購入する際、本体のみではなく、本体とレンズがセットになっている「レンズキット」を選ぶことが多いと思います。しかし、レンズキットは標準ズームレンズや望遠ズームレンズが基本で広角レンズは含まれていません。
カメラに慣れて、もう少し撮影の幅を広げたいと思ったら、広角レンズの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
広角レンズの使用に適しているシチュエーション
▼雄大な風景写真を撮りたいとき
手前から奥までピントの合った写真を撮ることができます。街中の風景はもちろん、雄大な自然の景色も隅から隅まで美しく写すことが可能。星空の撮影などにも向いています。
▼狭い空間で撮影をするとき
後ろに下がるスペースがないような狭い部屋で、部屋全体の風景を撮影したいときは広角レンズが役立ちます。最短撮影距離(AFが効く距離)が短いものが多く、画角が広いため、限られた空間でテーブルフォトを撮影したい場合にも有効です。
▼遠近感を強調したいとき
広角レンズには「遠近感の強調」という特徴があります。肉眼で見たときよりもデフォルメされた、ダイナミックで個性的な写真を撮りたいときにも広角レンズがおすすめです。
ソニー広角レンズの選び方
ひと口に広角レンズと言っても、さまざまなタイプがあります。今回はミラーレス一眼市場のトップを走る「SONY(ソニー)」のカメラに対応する広角レンズにスポットを当ててご紹介します。
カメラ評論家・田中希美男さんに、ソニーの広角レンズを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
ポイントは下記。
【1】対応マウントを確認する
【2】Aマウントは互換性をチェック
【3】Eマウントは種類や機能を確認
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ソニーの一眼レフはAマウント、ミラーレスはEマウント
ソニーのレンズ交換式カメラには、一眼レフカメラとミラーレスカメラがあります。
●Aマウント:一眼レフカメラのレンズマウント
●Eマウント:ミラーレスカメラのレンズマウント
Aマウント対応の交換レンズをEマウント対応のカメラに取りつけたり、逆の組み合わせをして使用することは基本的にはできません。
ただし、Aマウントの交換レンズは専用のマウントアダプターを使用すれば、Eマウントのミラーレスカメラに取りつけて撮影することは可能です。
また補足として、ソニーの一眼レフカメラは他社の一眼レフのように反射ミラー(半透過性のあるトランスルーセントミラー)は可動せず、固定されたままです。
ガラス製のペンタプリズムもないやや特殊な構造をした一眼レフカメラで、これにより高速連写や高速で動く被写体の動画撮影が可能になるという強みがあります。
【2】一眼レフ用Aマウントのレンズは古いものでも互換性あり
ソニーがラインアップしているAマウントの一眼レフカメラには、フルサイズ判またはAPS-C判センサーを使用した機種がありますが、現在販売中のカメラはフルサイズ判の「α99 II」とAPS-C判の「α77 II」の2機種のみです。
しかし、文字Aマウント交換レンズは30本以上のラインアップがあります。このAマウントは旧ミノルタカメラ、コニカミノルタの時代から続いている歴史のあるマウントで、それをソニーが受け継ぎ、改良を加えながら作り続けています。
つまり、Aマウントのレンズであれば互換性はありますので、古いレンズであっても使用することは可能。Aマウントのフルサイズ判カメラにもAPS-C判カメラにも、取りつけて撮影することができます。つまり、ほぼ完全互換性があると言えます。
ただしAPS-C判用のAマウントレンズ(レンズ名にDTの記号がついています)をフルサイズ判カメラで使用するときは、レンズ焦点距離に1.5倍を掛けた狭い画角相当になります。
なお、α99 IIもα77 IIもボディ内にセンサーシフト式の手ぶれ補正の機能を備えていますので、レンズ側に手ぶれ補正(OSS)の機能がなくても気にすることはないでしょう。
【3】ミラーレス用Eマウントの種類や手ぶれ補正機能をチェック
ソニーのミラーレスカメラはEマウントを採用。Eマウントのカメラにはフルサイズ判センサーを使用したシリーズと、APS-C判センサーを使用したシリーズがあります。
フルサイズ判カメラ用の交換レンズは「FEレンズ」。APS-C判に対応した交換レンズは「Eレンズ」といい、それぞれのレンズ名にFE、Eと記号がつけられています。
FEレンズ・Eレンズどちらも、Eマウントのミラーレスカメラに互いに取りつけて通常どおりに撮影することが可能。ただし、APS-C判用のEマウントレンズも、フルサイズ判カメラで使用するときは使用レンズの焦点距離に1.5倍を掛けた狭い画角相当になるので注意が必要です。
Eマウントのソニー現行ミラーレスカメラには、カメラボディ内にセンサーシフト方式の手ぶれ補正機能を備えた機種と、そうでない機種があります。交換レンズも、FEレンズ・Eレンズともにレンズ内に手ぶれ補正(OSS)を内蔵したレンズとそうでないレンズが混在しています。
なお、最新型の手ぶれ補正内蔵カメラでは、手ぶれ補正内蔵レンズと組み合わせると、自動的に両方の手ぶれ補正が分担作動してくれる便利な機能を備えています。
ソニー広角レンズのおすすめ11選
ソニー広角レンズの選び方のポイントをふまえて、カメラ評論家・田中希美男さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。
ソニー広角レンズのおすすめ2選|Aマウント
まずは、一眼レフカメラに対応する「Aマウント」のおすすめ品をご紹介します。

ヌケのいいクリアーな描写をするズームレンズ
ソニーのフルサイズ判Aマウント一眼レフカメラ用の広角ズームレンズです。カバーする画角は16~35mmで、開放F値はF2.8でズーミングしてもF値は一定のコンスタントF値。
このレンズの特徴はカールツァイスのブランドのズームレンズであることです。ツァイスレンズにはT*(ティースター)とよばれる独自のレンズコーティングが施されていて、大変クリアーで「ヌケ」のいい描写をします。
やわらかすぎず、かといってハイコントラストすぎず、上品なコントラスト描写がツァイスレンズのもうひとつの特徴。
もし、いま標準ズームとして『Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II』を使っていて、広角系レンズをもう1本追加したいと考えておられるなら、この16~35mmズームを第一におすすめします。
一部の焦点距離(24〜35mmまで)が重複(かぶる)ところもありますが、それは気になりません。むしろ使い勝手から言えば、こうして焦点距離がかぶったほうが実際は使いやすいものです。

小型軽量で16.5~27mm相当の画角をカバー
ソニーのAPS-C判Aマウント一眼レフカメラ用の広角ズームレンズです。フルサイズ判換算で16.5~27mm相当の画角をカバー。
おもに色収差を補正するためのEDガラスレンズや、球面収差やコマ収差を補正するための非球面レンズを使用して、ズーム全域ですぐれた描写性能を誇っています。約360gという軽量で、全長が約8cmほどのコンパクトサイズも特徴です。
AFでのピント合わせは、構成レンズ群のなかの軽くて小さなレンズを高速で前後移動させるインターナルフォーカシング方式を採用しているのでAFスピードは高速で快適です。
ソニー広角レンズのおすすめ9選|Eマウント
つづいて、ミラーレスカメラに対応する「Eマウント」のおすすめ品をご紹介します。

手ぶれ補正内蔵のコンパクトな超広角ズームレンズ
APS-C判のEマウントミラーレスカメラ用の広角ズームレンズ。フルサイズ判換算で15mmから27mm相当の画角をカバーします。
開放F値はF4で、ズーミングしてもF値は変化しない一定F値のレンズです。全長が6cm少し、重さは約225gというコンパクトかつ軽量ですが、手ぶれ補正(OSS)を内蔵しています。
最短撮影距離はズーム全域で25センチですので広角近接撮影で印象的な作画をすることも可能です。
レンズ構成は非球面レンズを3枚やスーパーEDガラスレンズを採用した8群10枚構成で、このクラスのレンズとしてはぜいたくな設計。さまざまな収差を適正に補正しています。

ソニー最高峰のレンズシリーズが誇る広角レンズ
フルサイズ判Eマウントのミラーレスカメラ用広角ズームレンズです。特徴としては、ソニーの光学設計技術の最高を目指して設計し製造された「G Master(GM)」シリーズの代表格であること。
16mmから35mmまでの画角をカバーするズームで、かつソニーがイチ押しするGM広角ズームレンズでもあるというわけです。
開放F値はF2.8でズーミングしてもF値は変化せず、開放絞り値でも素晴らしい描写性能です。
すぐれた解像力描写とフレア/ゴーストを徹底的に抑えるために、超高度非球面XAレンズ2枚に加えて通常の非球面レンズを3枚使用。さらにEDレンズを2枚使用するぜいたくなレンズ構成です。
ソニーにはフルサイズ判ミラーレスカメラ用のFEレンズに同じ焦点距離の『Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS(SEL1635Z)』もあります。
こちらは開放F値はF4でカールツァイス製で手ぶれ補正(OSS)を内蔵している点が魅力的ですが、ここはソニーの最新最高峰であるG Masterズームレンズを搭載した本商品がよりおすすめです。

12mm超広角画角から24mm画角をカバー!
フルサイズ判のEマウントミラーレスカメラ用の超広角ズームレンズです。
12mmという超広角画角から24mm画角までをカバーするレンズですが、同じEマウントを採用するソニーのAPS-C判ミラーレスカメラで使用することも可能。そのときはフルサイズ判換算で18~36mm相当の画角をカバーしてくれます。
Gレンズはコニカミノルタ時代にスタートし、その後ソニーと共同で独自の設計技術と品質管理技術が注ぎ込まれた高性能レンズ群で、現在ソニーの最高峰レンズシリーズのG Masterのベースとなっているシリーズです。
12~24mmズームはED(特殊低分散)ガラスやスーパーEDガラスレンズ、非球面レンズを多く使用した高画質タイプの広角ズーム。
さらに広角系レンズで目立ちやすくなるフレア/ゴーストを抑えるために特殊レンズコーティングであるナノARコーティングも採用されています。
超広角ズームレンズを上手に使いこなすには少しの努力と訓練が必要ですが、ほかには替えがたい個性的な写真表現が可能です。

ソニーのフルサイズ判Eマウントミラーレスに対応
ソニーのフルサイズ判Eマウントミラーレスカメラ用のフォクトレンダーブランドの超広角レンズです。
「VoightLander(フォクトレンダー)」はカールツァイスに並ぶ古い歴史を持つドイツの光学機器メーカーで、その流れを受け継いで現在では「コシナ」が作っています。
画角は10mmと超広角ですが魚眼レンズではありません。歪曲収差を徹底的に補正して直線を直線として写せるレンズに仕上げています。
さらに、ソニーEマウントセンサーに最適化した光学設計。最も広い画角130°が新たな写真表現を生み出します。
マニュアルフォーカス専用設計ですが電子接点を搭載しているので画像のExif情報に撮影データを記録することも可能。また、距離エンコーダーを内蔵しているためαカメラボディ内の5軸手ブレ補正にも対応しています。
撮影シーンを問わず高い解像力とコントラストを実現
Eマウント用としてGレンズをお探しの方にピッタリのレンズです。Gレンズを名乗るだけあって、対応するズーム域は約6倍にも及びます。ズームは電動となっていますので、切り取りたいシーンを逃すことなく安定したズームが可能です。
特殊低分散レンズが2枚、非球面レンズが3枚装備されていて、どんな倍率での撮影時にも、その解像力とコントラストに満足できるでしょう。光学式の手ブレ補正がついていますので、動画を撮影する際にもくっきりと撮影可能です。
比類のない高解像度を実現するAFレンズ
シャープでクリアな広角レンズをお探しのあなたにぴったりのレンズです。開放F値1.4から素晴らしい高解像度を実現しています。その秘密は、蛍石レンズ3枚などのこだわり抜いたレンズ構成にあります。製品一つずつに球面収差の調整を行い、味のある画像を実現しています。
鏡筒の内面は植毛などによって反射率を大きく下げており、フレアゴーストの発生をぎりぎりまで抑えています。別売りのテレコンバーターにも対応していますので、必要に応じて使用できます。
風景写真からポートレートまで万能選手のレンズ
小型で軽いこのレンズは、旅のお供に最適です。開放F値1.8で明るくボケ味を感じさせる1枚を実現します。旅先の心に止まった風景を撮るときにも、共に歩いた同伴者の表情を撮るのにも、これ1本で対応できます。気軽なスナップ写真の際にも、隅々まで明るくボケ味を感じさせる仕上がりになります。
リニアモーターで静かに反応するオートフォーカス機能と、光学式の手ブレ補正機能が装備されていますので急なシャッターチャンスも逃しません。
ワイルドな撮影シーンにも防塵・防滴で応える逸品
大口径の中望遠レンズにもかかわらず、小型化、軽量化を図ってアクティブな撮影シーンにも対応します。防塵・防滴にこだわった設計で、ワイルドな撮影シーンにどこまでも付いてきてくれます。ED(特殊低分散)ガラスによって色収差を効果的に補正します。
フォーカス用の駆動力にはダブルリニアモーターを装備していますので、素早く、確かなフォーカスを実現しています。大口径レンズならではの背景ボケを活かした、素敵な写真を楽しめます。
静止画、動画、マルチにこなすオートフォーカス
35mmフルサイズに対応した大口径の広角レンズです。大口径ながら、質量280gと小型軽量のサイズを実現しており、持ち運びにもわずらわしさがありません。
開放F値1.8でも画面の隅々まで高解像度を実現しており、背景をぼかしたポートレートや、街角をとらえたスナップ写真に至るまで、仕上がりにもきっと満足できるでしょう。
静かに高速で作動するオートフォーカスは、静止画はもとより、動画撮影においても威力を発揮します。
「ソニー・広角レンズ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ソニー交換レンズの売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのソニー交換レンズの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ソニーのカメラに関するそのほかのおすすめ記事
ソニー広角レンズに関するQ&A
レンズの保管方法について教えてください。

レンズやボディは必ず防湿庫の中で保管するようにしましょう。レンズはカビやホコリの混入を防ぐため、ボディはグリップ部分の加水分解をふせぐためです。
APS-C用レンズをフルサイズのボディに付けることはできますか?

Nikon・PENTAX・SONYは付けられますが、Canonは付けられません。ただし、SIGMAやTAMRONなどサードパーティー製レンズは装着可能です。
フルサイズ用のレンズの場合は下位互換があるため、マウントさえ同じであればどのメーカーのものでもAPS-Cのボディに付けることができます。また、マウントアダプターを装着することで互換性が得られます。
フルサイズカメラにAPS-C判レンズを使用するときは注意
エキスパートからのアドバイス
ソニーの一眼レフカメラはAマウントで、フルサイズ判とAPS-C判のカメラがありますが、ボディも交換レンズもAマウントで共通です。互換性もあるのでカメラボディと交換レンズの組み合わせを自由に選んで使うことができます。
同じようにミラーレスカメラはEマウントで、フルサイズ判とAPS-C判があり、それぞれの交換レンズ(FEレンズ、Eレンズ)はどちらのカメラボディと組み合わせても使用可能です。
ただしAマウントのカメラ/レンズと同様に、一部の組み合わせでは撮影画角が変化します。
所有しているカメラに対応しているかどうかをチェックしたうえで、用途に合った広角レンズを選んでください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。