寒冷地エアコンとは?
寒冷地エアコンとは通常のエアコンに比べ、氷点下になる地域の真冬でも暖房性能を維持できる出力を持ったエアコンです。それぞれのメーカーで「ズバ暖」「スゴ暖」「フル暖」というようなシリーズ名を持っています。
寒冷地、とくに北海道では真冬は-10℃~-20℃程度になることも珍しくなく、そういった場合にエアコンを使用しようとしても常に霜取り運転を行ってしまい、まったく暖房としての役割を果たせませんでした。そんな背景も手伝って2010年代初頭の北海道のエアコン普及率は20%以下となっており、決して高い数値ではなかったものの、2020年代に入ってからはエアコン性能の向上、オール電化世帯の増加に伴い、エアコンの普及率は40%程まで上昇してきています。
現在では従来のFFストーブや煙突ストーブ、ペチカといった灯油タンク直結のストーブではなく、床暖+暖房エアコンやパネルヒーター+暖房エアコンといった暖房方式も北海道では見られるようになっています。
普通のエアコンとの違いは?
通常のエアコンと暖房エアコンの違いですが、まず大きなところでいくと暖房能力が段違いという点が挙げられます。通常のエアコンは気温が氷点下になってしまうと室外機が凍ってしまうという事態を避けるため、室外機に暖気、室内機に冷気を入れて室外機の氷を融解させる霜取り運転を行います。しかし、室外機が大型で出力も高い暖房エアコンは霜取り運転の頻度が低く、結果的に長時間暖房を室内機に入れ続けることが出来ます。
また、室外機にも工夫がなされており、室外機のドレン部分にヒーターを配置し、通電をすることで真冬でも室外機が凍らないようになっています。更に吸引口や排気口部分に風よけのひさしである「防雪フード」を備えられるため、外の天候が風雪でも室外機の運転を気にすることなく使用できます。ただし、積雪などで物理的に室外機が埋まってしまうと上手くエアコンを動かすことが出来ない場合もあるため、室外機の様子を見ながら時折除雪を行わなければいけない点は注意しましょう。
寒冷地エアコンの選び方
それでは早速暖房エアコンの選び方を見ていきましょう。ポイントは下記。
【1】対応畳数
【2】暖房・冷房能力
【3】消費電力
【4】便利な機能
上記のポイントをおさえることで、よりほしい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
対応畳数で選ぶ


エアコンには同じ型でもそれぞれ出力があり「6畳用」や「10畳用」などといった内容で記載されています。もちろん部屋によって多少差異はあれど、自分の使用したい部屋が何畳かという点を考えながら選べば良いとされていますが、実を言うとこれは半分誤りです。
現在のエアコンのカタログの畳数の基準は1964年と60年程度前に制定されたもので、当時は断熱材と言った考え方などまったくありませんでした。その時の基準をそのまま使用しているためこれを現在の建築様式に当てはめて考えるとその頃より7倍以上の気密性が家屋にはあります。よって、少し広めの部屋であってもエアコンの畳数的には小さめでもカバーすることが出来るということが言えます。
とくに寒冷地の家屋は高気密住宅になっており、外気をシャットアウトする力が強いため、対応する畳数そのまま、もしくは一つ上程度の畳数のエアコンを選べば事足りる場合が多くなります。
暖房・冷房能力を確認
エアコンには冷房能力と暖房能力が明記されており、2.2kWなどの数値で表されます。また、その下に括弧書きで(0.4~3.4kW)というような数字がありますが、これは「最低出力」と「最大出力」を表しており、この数値が大きいほど出力が大きくなるということになります。
寒冷地エアコンで重要視されるのは「外気温◯℃時の暖房能力」が重要になっており、外気温-15℃時に6畳であれば3.5kW以上、10畳用であれば5kW以上、14畳用であれば7kW以上の定格出力が明記されているものを選ぶと良いでしょう。
消費電力もチェック
エアコンを使用する上で気になる消費電力量ですが、寒冷地エアコンの場合、同じ畳数の通常モデルよりも年間使用電力量がおよそ100~200kWh程度増加します。前述した室外機の出力やヒーターへの通電も行わなければいけないため、通常のエアコンよりも電力量が多少高くなってしまう点は注意しましょう。その中でも「省エネ基準達成率」という数値を見て、この数値が110%を超えている製品であればかなり節電能力は高いということが言えます。
家電の省エネ基準達成率はトップランナー方式という方式を採用しており、昨年の省エネ達成率が一番高かった製品を100%とし、それを超える省エネ率をどのメーカーも目指しているため、この数値が110%以上であれば昨年モデルと比べてもかなりの節電効果が期待できるということになります。
機能で選ぶ
自動お掃除機能|お手入れがラクになる
自動お掃除とはエアコン内部のフィルターのほこりを自動で掃除する機能です。一般的には運転終了後、フィルターが上下に動いて備え付けてあるハケのようなブラシに当たり、ほこりが一箇所に貯められる仕組みになっています。しかし一部機種はお掃除ロボットがフィルター部分に搭載されており、ほこり取り~排出までを全て行ってくれるものもあります。
スマホ連携機能|外出先から操作できる
とくに一人暮らし世帯やペット、小さいお子さんがいるご家庭などでとくに活用できる機能ですが、外出先からスマホでエアコンの電源のONOFFや室温、湿度の確認などを行うことが出来ます。何時に帰れるか不透明な場合、帰路についた時点でエアコンの電源をONにしておくと家についてからすぐに快適な温度で過ごすことが出来るため、家を空けがちな人にとくにおすすめの機能です。
センサー機能|温度や湿度を自動で調整可能
センサー機能は室内の温度や湿度など、さまざまな要因から部屋の温度を自動で調節し、快適な空間を作る機能です。メーカーごとにさまざまな角度からセンサーを取り付けており、赤外線センサーやAIでの室温変化予測など、ボタンを押すだけで後は全ておまかせで調節をしてくれるのが魅力です。
寒冷地エアコンの人気メーカーを紹介
三菱電機(MITSUBISHI)
霧ヶ峰のCMでおなじみ、三菱電機です。ズバ暖という暖房エアコンブランドを展開しており、ラインナップが豊富なのが魅力。また、「ムーブアイmirA.I.+」という独自センサーでAIが体感温度や室温の変化を予測し、その場にいる人一人ひとりに最適な空調を届けるのが特徴です。エアコンのフラップを開いて奥まで掃除したりおそうじメカを全て外してお手入れできたりと自分で全て分解掃除が出来る点も見逃せません。
ダイキン(DAIKIN)
世界的にも有名な空調機器メーカーのダイキンはスゴ暖という暖房エアコンを展開しています。空調メーカーらしく、他のメーカーに比べて気流の出方に気を使っており、夏は全体の空気を一気にかき混ぜるサーキュレーション気流、冬は足元から暖める垂直気流を大風量で送り、人になるべく風を当てずに室温を快適に保つことが出来ます。また、省エネ性能に優れており、ランニングコストがかかりづらいのも特徴です。
パナソニック(Panasonic)
国内でも有数の家電の総合メーカー、パナソニックが手掛ける暖房エアコンです。ブランド名はフル暖と言います。立ち上がりが早く、夏はすぐに冷房が、冬はタイマー始動前から予熱を行ってすぐに温風が出るAIチャージ機能など、すぐに室温を何とかしたいという人に好適。また、お掃除ロボットを搭載しているため、運転終了後はフィルター掃除~ほこりの排出までを全て自動で終わらせてくれます。
寒冷地エアコンのおすすめ8選
それでは前述した残量表示機能付きモバイルバッテリーの選び方のポイントをふまえて、プロのIT家電ライターたろっささんと編集部が厳選したおすすめ商品をご紹介します。
お求めやすい暖房エアコンエントリーモデル
三菱の暖房エアコン「ズバ暖」の中でもコスパを重視したスタンダードモデルです。上位のHXVシリーズやVXVシリーズに比べてフィルターの自動清掃やAIでのセンサーモードが付いていない、無線LANアダプタは別売りと少し機能が削がれてはいるものの、客室や子ども部屋など、使用頻度の低い部屋であれば充分なスペック。とりあえず暖めたいという用途に好適です。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,484kWh |
フィルター自動お掃除 | - |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | H295×W799×D230(据付後235)mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,484kWh |
フィルター自動お掃除 | - |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | H295×W799×D230(据付後235)mm |
すべてが揃った高機能タイプ
ダイキンの暖房エアコンであるスゴ暖3モデル内の上位モデルです。AI運転が搭載されており、温度と湿度だけでなく床や壁の温度、運転の履歴などを学習し、その時その時に最適な気流を自動で提供。難しい操作なども一切必要ないため、使いやすさが魅力と言えます。また、省エネ性に優れているため、ランニングコストを抑えられるのもポイントです。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房5.0kW |
消費電力 | 1,066kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 高さ295×幅798×奥行370mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房5.0kW |
消費電力 | 1,066kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 高さ295×幅798×奥行370mm |
すぐでる暖房で部屋を素早く暖める
パナソニックの暖房エアコン「フル暖」の中でも子ども部屋などの小さめのお部屋に適しているTXモデルです。エアコンが各曜日、24時間の中でどの時間帯やどの状態の時に暖房を起動しやすいかを学習し、事前に予熱運転をAIが判断して行っておくことで電源を入れてすぐに温風が吹き出します。何時に帰ってこれるかわからない帰宅時などに合わせてくれるため、帰ってすぐに部屋を暖かくすることが出来るのがメリットです。
対応畳数 | 6畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房2.2kW/暖房2.5kW |
消費電力 | 640kWh |
フィルター自動お掃除 | お掃除ロボット |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295mm×798mm×239mm |
対応畳数 | 6畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房2.2kW/暖房2.5kW |
消費電力 | 640kWh |
フィルター自動お掃除 | お掃除ロボット |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295mm×798mm×239mm |
北海道電力推薦あったかエアコン
有名な日立白くまくんの暖房エアコン「メガ暖」のミドルクラスのモデルです。北海道電力、通称ほくでんの推薦エアコンになっており、暖かさが安定しているのが特徴。また、日本の工場で製造している日本製のため、作りに関しても安心と言えます。また、本体内部の熱交換器を定期的に凍らせて一気に溶かし、水洗いを行う凍結洗浄も好評です。
対応畳数 | 18畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房5.6kW/暖房6.7kW |
消費電力 | 1,795kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295×798×385mm |
対応畳数 | 18畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房5.6kW/暖房6.7kW |
消費電力 | 1,795kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295×798×385mm |
外気温-15℃でも約55℃の温風を放射
東芝暖房エアコン「暖太郎」の上位モデルです。外気温が低くても高温風が出るのが特徴で、吹き出し55℃、足元温度約38℃で部屋中をポカポカにすることが出来ます。また、プラズマイオンを放射し、送風路を始めとした経路をしっかり除菌乾燥させるため、嫌なニオイがつきにくいのもポイントです。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,240kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 293×798×352mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,240kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 293×798×352mm |
三菱ズバ暖の上位モデル
三菱暖房エアコン霧ヶ峰「ズバ暖」の上位モデルです。KXVと比べて赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.+」を搭載しており、360度部屋を見渡しながら体感温度を計測。部屋の暖まりやすさや冷えやすさを分析しながらそれぞれに快適な気流を先読みしながら届ける機能が付いています。運転だけでなく電源のONOFFも自動で行うため、部屋の空気は常に快適が保たれます。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,220kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | H295×W799×D385(据付後390)mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,220kWh |
フィルター自動お掃除 | ダストボックス |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | H295×W799×D385(据付後390)mm |
更に暖房能力が強化されたハイクラスモデル
パナソニックの暖房エアコン「フル暖」の中でも上位に位置するモデルです。TXシリーズに比べて暖房機能が更に強化されており、外気温-15℃でも60℃の温風を放射することが出来る出力はかなりの高性能。スマホ連携だけでなく、AIスピーカーや空気清浄機と連携をすることも可能なため、IoTに興味のある人にもおすすめです。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,081kWh |
フィルター自動お掃除 | お掃除ロボット |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295×799×385mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,081kWh |
フィルター自動お掃除 | お掃除ロボット |
スマホ連携 | ◯ |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 295×799×385mm |
コンパクトな室内機で設置場所に困らない
富士通ゼネラルの暖房エアコンである「ゴク暖」のエントリーモデル、DNシリーズです。特筆すべきは何と言っても高さがわずか250mmという驚きの小ささ。暖房エアコンの中でも最小クラスになっているため、カーテンレールや天井までの距離が稼げない場所にも設置することが出来ます。取り付けたいけど場所がないという人はこちらを検討してみましょう。
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,327kWh |
フィルター自動お掃除 | ◯ |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 250×777×319mm |
対応畳数 | 14畳 |
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冷房・暖房能力 | 冷房4.0kW/暖房6.0kW |
消費電力 | 1,327kWh |
フィルター自動お掃除 | ◯ |
スマホ連携 | 別売 |
センサー機能 | ◯ |
室内機サイズ | 250×777×319mm |
「暖房エアコン」のおすすめ商品の比較一覧表
寒冷地エアコンの電気代は高い?デメリットはある?
結論から言ってしまうと通常のエアコンより年間でおよそ10~20%程度割高になります。暖房として使用する、真冬でもしっかり暖めるということを考えるとヒーターへの通電などからどうしても仕方ない部分ではあります。
また、室内機はさほどでもありませんが室外機がかなり大型になり、設置場所に困るという声もあります。あまり狭い場所に無理やり入れてしまうと熱がこもってしまい、室外機の寿命を縮めることになってしまう場合も。充分な設置スペースがあるかどうかは事前にカタログなどで大きさをチェックし、シミュレーションするようにしましょう。
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まとめ:暖房エアコンで寒冷地の寒い冬を乗り切ろう!
一昔前まではエアコンで寒冷地の冬を越すのは無理と言われてきました。しかし、最近ではエアコンの性能の向上から、北海道の極寒の地で耐久テストを行い、実際に冬を越している製品が次々と出現してきています。寒冷地だからあまりエアコンに興味がない、そもそも自分には関係ないという時代は過去のものになりつつあります。皆さんも今回の記事を読んで、是非とも暖房エアコンの暖かさを体感してみてくださいね。
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