感震ブレーカーの選び方 備え・防災アドバイザーに聞く
備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに、感震ブレーカーを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
電気火災を最大限に防止するならば分電盤タイプを
備え・防災アドバイザー
感震ブレーカーは、地震の強い揺れを感知した際、自動的に分電盤のブレーカーや、設置した家電への電源を遮断してくれる装置です。
新築時やリフォームの際に自宅の分電盤へ組み込んでしまうタイプ、後付けで分電盤のブレーカーを落とすタイプ、コンセントに挿すことで特定箇所だけ電源を遮断するタイプなどに分けられます。
電気火災は家電が火元になるだけでなく、ホコリにまみれた延長タップや、外から見えない壁の中の配線がショートして発生する場合もあります。そのため電気火災を最大限に防止する効果を期待する場合は、分電盤へ組み込んだり、分電盤のブレーカーを落としたりするタイプが最適です。
電気遮断が望ましくない場合はコンセントタイプを
備え・防災アドバイザー
自宅で在宅用の医療器具を使っていたり、NASやデスクトップPCなどを利用していたりする場合、小規模な揺れや誤動作で電源が遮断されることは望ましくありません。
過去の地震被害を見ると、2011年の東日本大震災では、地震の本震による火災が110件発生しましたが、このうち6割が「使用中器具の破損・転倒」によるもの、さらに2割弱が「地震でスイッチが入る」ことで出火につながったと報告されています。(※1)
こうした火災を防ぐには、分電盤ではなくコンセントに設置し、火元になり得る家電の電源を個別に遮断できるタイプが適しています。なおこの場合、自宅から外へ避難をする際には、手動で分電盤のブレーカーを落とすようにしてください。
※1 内閣府・大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会資料2-2(2014年)
(独)建築研究所 岩見達也氏資料
緊急避難が必要な地域は遅延遮断タイプを
備え・防災アドバイザー
大地震直後に大津波や大規模な地震火災が想定される地域、また台風などによる水害時に土砂災害や浸水害の発生が想定される地域では、時に1分1秒を争う避難が必要になる場合があります。
この時、分電盤タイプの感震ブレーカーが自宅全ての電源を遮断すると、夜間の場合は明かりを失って身動きが取れなくなり、避難が遅れて生死に関わる事態につながる可能性が生じます。
そのため緊急避難が必要な地域は、揺れと同時ではなく、数分後に電源を遮断する機能がついた商品や、感震ブレーカーに非常用のライトが組み込まれているタイプが適しています。また予備の照明として、各部屋に自動点灯型のLEDライトを設置するとさらに安心です。
感震ブレーカーおすすめ5選 備え・防災アドバイザーが厳選
上で紹介した、感震ブレーカーの選び方ポイントをふまえて、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに選んでもらったおすすめの感震ブレーカー5点をご紹介します。

生方製作所 ピオマ『感震ブレーカー』

出典:Yahoo!ショッピング
タイプ | 分電盤設置 |
---|---|
電源供給方法 | 専用リチウム電池(寿命約10年) |
遮断震度 | 震度5強以上 |
本体サイズ | 本体:幅62×高さ87×奥行47mm、遮断部:幅67×高さ67×奥行31mm |

リンテック21『感震ブレーカーアダプター ヤモリ(GV-SB1)』

出典:Amazon
タイプ | 分電盤設置 |
---|---|
電源供給方法 | 電源不要 |
遮断震度 | 震度5強以上 |
本体サイズ | 幅66×高さ145×奥行55mm |
電池不要で動作するシンプル感震ブレーカー
こちらも分電盤に後づけするタイプです。
特徴としては安価であること、電源を使用していないため電池切れの心配がないこと。また付属の粘着テープで固定をするため取付けが簡単であることが挙げられます。派生品として、分電盤に設置スペースがない場合や分電盤に蓋がついているような場合にも対応できる姉妹品も用意されています。
ただし、前述のピオマ感震ブレーカーと異なり、地震の揺れを感知した瞬間に電力を遮断するため、夜間などに動作した場合は自宅の照明を即座に失い、安全確保の行動が取れなくなる恐れがあります。この商品を設置する場合は、必ず各部屋に、自動点灯タイプの照明器具を設置する必要があります。

エヌ・アイ・ピー『スイッチ断ボールⅢ』














出典:Amazon
タイプ | 分電盤設置 |
---|---|
電源供給方法 | 電源不要 |
遮断震度 | 震度5、6、7 |
本体サイズ | 幅34×高さ58×奥行32mm |
超アナログ動作で原理が分かりやすい
こちらも分電盤に後づけするタイプの感震ブレーカーです。コンセプトとしては前述の「YAMORI」と同じで、安価であること、電源が不要であること、簡単に取付けができることなどが挙げられます。
とりわけ、とにかくシンプルでわかりやすいことが特徴です。製品本体は主に「重り」と「台座」と「スイッチに取りつけるカバー」で構成されており、「揺れる→台座から重りが落ちる→スイッチを引っ張って物理的にスイッチOFF」と、その原理が一目瞭然です。
復旧時も、重りを台座に乗せるだけですので迷いがありません。電子機器よりもアナログ機器が好きな方、とにかくわかりやすい構造を好む方にはおすすめです。

寺田電機製作所『まもれーるシリーズ まもれーる・感震タップくん(RDJ20000W)』




出典:楽天市場
タイプ | コンセント設置 |
---|---|
電源供給方法 | コンセント |
遮断震度 | 震度5強以上 |
本体サイズ | 幅405×高さ65×奥行495mm |
照明を維持しコンセントをピンポイント遮断
コンセントに挿して使用するタイプの感震ブレーカーで、屋内配線からの出火の恐れが少ない新しい住宅などにむいた商品です。震度5強相当の揺れを感知すると即電源を遮断します。
設置したコンセントに挿してある電気器具の電源だけを遮断するため、夜間に照明を失ったり、あるいは誤動作による日常生活への影響を最小限にとどめたりすることができます。
基本的には、電気ストーブやファンヒーター、またアイロンのような電熱家電など、転倒や誤動作で火災の原因となる器具とセットで使用します。2口コンセントなので家電を2つ接続できるほか、1,500Wまでであれば電源タップを併用することで電源遮断の対象とする家電を増やせます。

アドソル日進『電源遮断システム グラッとシャット』


















出典:Amazon
タイプ | コンセント設置 |
---|---|
電源供給方法 | コンセント |
遮断震度 | 震度5強以上 |
本体サイズ | 感震センサー:幅74×高さ126×奥行39mm 電源遮断装置:幅75×高さ75×奥行27mm |
デザイン性に優れた増設可能タイプ
こちらもコンセントに挿して使用する感震ブレーカーです。
親機と子機の組み合わせで使用するタイプで、親機が地震の揺れを感知し、これをワイヤレスで子機に伝えることで複数のコンセント電源をまとめて遮断することができます。子機のみを増設する場合は比較的安価であることも特徴です。
感震ブレーカーと思えないシンプルなデザインで室内になじみやすく、また停電時には親機に内蔵されたLEDライトが室内を照らしてくれます。分電盤に設置するタイプは使いたくないが、複数の家電の電源を自動で落としたい場合や、防災グッズとわかるゴテゴテした器具を使いたくない場合などにおすすめです。
「感震ブレーカー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 感震ブレーカーの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでの感震ブレーカーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
備え・防災アドバイザーからひとこと
備え・防災アドバイザー
感震ブレーカーを設置する際は電源遮断リスクを検討
感震ブレーカーの目的は、大地震発生時に電源を自動的に遮断し、電気火災や通電火災を防ぐことです。しかし、例えば夜間に大地震が発生した場合に即電源が遮断されると、室内の照明を失い、安全行動をとれなくなったり、避難が遅れたりするリスクが生じます。
この場合は地震発生直後ではなく数分後に電源を遮断する器具を選んだり、別に停電時用の照明器具を設置したりするなどの対策が必要です。
また在宅用医療機器などを使用している場合は、電源遮断が生死に関わる事態を引き起こす恐れがありますので、分電盤ではなくコンセントタイプの器具を使用したり、停電対策をかねて非常用バッテリーなどを備えたりすることが重要です。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(マイナビおすすめナビ編集部 関口信太郎)
※2021/01/22 リード修正のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。 地震対策や感染症パンデミック対策などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災をやわらかく伝える分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。1982年、静岡県生まれ。