製薬会社社長から作家になった星新一
1926年に、東京の製薬会社創業者夫妻の長男として生まれた星新一。舞姫や雁などを執筆した、森鴎外の妹である祖母・喜美子にかわいがられて育ったという経歴があります。
東京大学農学部を卒業後、会社を引き継いで社長になりますが、1957年に日本初となるSF同人誌「宇宙塵」にて、ショートショート「セキストラ」を発表。その後、江戸川乱歩集「宝石」に転載され、商業誌のデビューを飾りました。
なお、星新一は日本にSFを根付かせた一人で、小松左京・筒井康隆ともに「SF御三家」と称されています。1997年に71歳で亡くなりましたが、これまでの功績をたたえ、1998年に日本SF大賞特別賞が贈られました。
ショートショートの神様と呼ばれる星新一
星新一の作品の特徴は、400字の原稿用紙10枚程度の短編であるということが挙げられます。「ショートショートの神様」と呼ばれるほど、短くて読みやすい小説を得意としています。
地名・人名などの固有名詞が出てこない点、時事風俗などを扱わない作風は、透明性があり、若い世代にもわかりやすいのがポイントです。とくに小中学生の子供たちに支持され、世界中で幅広く愛読されています。
星 新一のおすすめ17選 エキスパートさんと編集部が選んだ
ここからは、星 新一の小説をそれぞれの特徴の解説を添えて紹介します。

星 新一の代表作といえば、『ボッコちゃん』です。タイトルにもなっている『ボッコちゃん』のラストは「まさか!」という驚きに満ちています。読みやすく、おもしろい短編集ですよ。
星 新一のユニークな発想が詰まっている代表作
50作品が収められている短編集です。星 新一のスマートなユーモアが各作品で堪能できます。ユニークな着想で創造の世界に連れて行ってくれます。
バラエティに富んだ作品がたくさんあり、それぞれが短編になっているので、読みやすいのが特徴。すき間時間にもたのしめるので、本を読むのがあまり得意でないというかたにもぜひ挑戦してもらいたい作品です。
主な収録作品
「おーい でてこーい」「生活維持省」「最後の地球人」「殺し屋ですのよ」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」ほか全50編

宇宙やSFが好きな人におすすめなのが、『ようこそ地球さん』です。「宇宙通信」「宇宙からの客」など、ワクワクする短編が収録されています。読書好きの小学生や中学生も楽しめるでしょう。
奇想天外なアイデアでたのしめる短編集
ショートショート作品が42編が収められている、初期の星新一の短編集。『ようこそ地球さん』は3話のオムニバス形式の作品で、宇宙を舞台にしたSF短編小説です。
時事問題を扱わない星新一としてはめずらしい、当時の世界の宇宙進出の風潮に皮肉をつづった内容になっているのがポイント。人間の弱さを考えさせられる、大人向けの作品です。
主な収録作品
「処刑」「殉教」「愛の鍵」「空への門」「証人」「天使考」「小さな十字架」「セキストラ」「テレビ・ショー」ほか全42編
『未来いそっぷ』は、誰もが子どものころから慣れ親しんできたイソップ物語を、星新一流にアレンジした短編集です。「あの物語がこんな話に!」と楽しい驚きを味わえますよ。

『未来いそっぷ』は、誰もが子どものころから慣れ親しんできたイソップ物語を、星新一流にアレンジした短編集です。「あの物語がこんな話に!」と楽しい驚きを味わえますよ。
童話としてたのしんだイソップの物語を星新一風に
よく知っているイソップ物語のお話を、星新一がアレンジして描いた作品です。全部で33の短編小説が収められています。
アリとキリギリスやウサギとカメなどのだれもが知っている物語を、時代を変えて驚きのアイデアの作風でたのしくリメイク。ほかにも、ちょっとブラックなテイストで風刺している作品もあり、興味深いです。
主な収録作品
「いそっぷ村の繁栄」「ある夜の物語」「おカバさま」「奇病」「少年と両親」「夢の時代」「たそがれ」「利口なオウム」ほか全33編
アイデアを凝らした悪魔の描写
36編のショートショート作品が収められている短編集。人間の運命をコントロールする存在である悪魔について、星 新一らしいアイデアで表現・描写した作品です。
ロボットインコのお話や、未来の人間社会の恐怖を描いた作品などもあり、バラエティに富んでいます。日常の世界もSFの世界もたのしく簡潔に読み進められるのが特徴です。
主な収録作品
「デラックスな金庫」「ピーターパンの島」「もたらされた文明」「宇宙のキツネ」「肩の上の秘書」「ゆきとどいた生活」「エル氏の最期」ほか全36編
ロボットを通して人生を考えさせられる作品
35編の短編が収められている1972年に発表された書籍です。ロボットについてのテーマがたくさんあります。大人も子どももたのしく読み進められる作品です。
表題の作品では、料理ができ、掃除をし、話し相手にもなってくれる優秀なロボットを、扱いきれず困ってしまうところから、考えさせられる描写になっています。
主な収録作品
「きまぐれロボット」「新発明の枕マクラ」「試作品」「薬のききめ」「博士とロボット」「なぞのロボット」ほか全36編
自宅を国家として独立させた男についての皮肉
ショートショートの小説が31編収められた作品です。表題のテーマは、マイホームを「マイ国家」と称して、独立宣言をしてしまった男のお話。訪問者を不法侵入者として逮捕したりして、平和な毎日の生活がたちまちおかしくなってしまった世界を描いています。
主人公に対する皮肉やユーモアが面白く、社会に潜む恐ろしい一面を考えさせられる作品です。
主な収録作品
「マイ国家」「死にたがる男」「ねむりウサギ」「趣味」「商品」「国家機密」「服を着たゾウ」「友情の杯」「雪の女」「特賞の男」ほか全31編
星作品でよく出演するエヌ氏の非日常的生活
星新一の作品で、なんども登場するエヌ氏の、おもしろおかしい非日常な毎日を描いた作品です。全部で31の小説が収められています。休暇を過ごしたいエヌ氏は、奇想天外な出来事にいつも出くわします。
奇抜なアイデアのストーリーでたのしく読み進められるので、小さな子どもたちにもぜひ短編小説のよさを味わってもらいたいと思える作品です。
主な収録作品
「けちな願い」「人質」「波状攻撃」「殺し屋ですのよ」「あこがれの朝」「逃走の道」ほか全31編
巨大な恐竜が出現した社会を風刺的に描いた作品
11編の短編をまとめた作品集です。表題の作品は、現代社会に巨大な恐竜があらわれてしまった世界についてのストーリー。発展していく世界が、突然の出来事にパニックになる様子を、シニカルに描いた作品です。
ほかにも、思いこんでしまえば、なににでもなれてしまう世界を描いた、狂気にあふれる作品もあり、現代社会の在り方について考えさせられます。
主な収録作品
「午後の恐竜」「華やかな三つの願い」「戦う人」「狂的体質」「エデン改造計画」 「おれの一座」「契約時代」「幸運のベル」「視線の訪れ」ほか全11編
理想を追い求めたら思わぬ展開になるストーリー
11編のショートストーリーを収めた、短編小説集です。表題の作品では、さまざまな理想を思い描いて、生きている人たちに着目した、考えさせられる作品です。
家事ロボットを手に入れることや、世界平和を実現する組織など、理想を追い求めた冒険がいつも意外な結末に導かれるのが興味深く、登場人物の憎めない人間らしさが際立って描かれています。
主な収録作品
「親しげな悪魔」「あの男この病気」「おのぞみの結末」「ある占い」「要求」「空の死神」ほか全11編
妖精をめぐる人類の人間らしさを描いた作品
ショートショートの傑作31作が収録された短編集です。表題の小説は、妖精をペットとして飼う世界の生活と、人類の悪い面を描いた作品になっています。
妖精と暮らすことが普及し、配給する会社までできた社会。のちに振り返ってみると、人間にとってメリットだけではなかったということがわかってしまう、戦慄のストーリーがとても考えさせられます。
主な収録作品
「妖精配給会社」「福の神」「ごきげん保険」「宇宙の関所」「ごきげん保険」「福の神」「三角関係」「輸送中」「おそるべき事態」「アフターサービス」ほか全35編
地球外に追放された男のストーリー
短編小説が16編収録された作品です。表題の作品は、競合する企業にスパイとして調査を担当しているうちに、バレて捕まってしまい、処罰として地球外へテレポーテーションさせられてしまう男の話です。
心理描写がよく描かれていて、強く思い込んでしまう主人公の男の人生に感情移入しながら、たのしく読み進められます。
主な収録作品
「地球から来た男」「夜の迷路」「改善」「もてなし」「ある種の刺激」「あと五十日」「包み」「密会」「住む人」ほか全16編
人の心の奥の理不尽な願望を風刺する
短編の小説が40作収められている作品です。表題の作品は、恐怖や憎しみのために、人を殺してしまいたいと思う気持ちを揶揄
文字列した物語です。
ユーモアとシニカルで、人間の奥底にある気持ちや心の傾向を描いており、深く考えさせられるストーリーになっています。そのほかにも、宇宙をテーマとしたSF小説の作品も収録されていて、たのしめます。
主な収録作品
「れいの女」「外郭団体」「あるシステム」「新しい車」「マドラー」「こころよい相手」ほか全40編
他人の妄想を取り換える商売の顛末
32編の短編小説が収録されている作品です。表題の作品は、だれかの妄想をほかのだれかに移して妄想旅行をさせる商売を営む博士のお話。自分のことを想ってくれている女性の妄想を自分の好きな女性に販売したりすることで、妄想を発展させることで大繁盛します。
現代社会の問題を痛烈に皮肉によって警鐘する描き方をたのしく読み進められます。ほかにも、斬新なアイデアのシチュエーションで起こるさまざまなストーリーをたのしめます。
主な収録作品
「鍵」「古風な愛」「半人前」「味ラジオ」「とんでもないやつ」「陰謀団ミダス」「遭難」「信念」「宇宙の英雄」ほか全40編
自身の作品を解説したエッセイ集
11作のエッセイが収録されている作品です。
自身の小説について解説したものや、小説執筆の原点となるこれまでの彼自身の読書遍歴を紹介してくれるものもあります。星新一の小説の奇想天外なアイデアをどのように発想しているのかや、自身の小説をテーマ別に分析する内容もあり、かなり盛りだくさんのエッセイです。
星新一の自身のルーツである製薬会社のことや、化学についての見識が垣間見られるつくりになっています。
収録作品
「つぎの未来は」「 ジプシーとは」「『文章読本』を読んで」「凧のフランクリン」「ファシスト人物伝」「人生について」ほか全11編
ノックの音からはじまる多彩なストーリー
15編の小説が集められた短編集です。すべて「ノックの音がした」という書き出しからはじまります。二日酔いの男の部屋をノックするなぞの美女のお話をはじめ、どんな人がどこを訪れるためにノックしているのか、どんな目的を持っているのかなど、いろいろと考えながらたのしく読み進められるのがポイント。
意外性あふれる展開を15ストーリーも堪能できます。
収録作品
「人形」「唯一の証人」「盗難品」「現代の人生」ほか全15編
人生を一変させる1枚のカードのストーリー
16の奇妙なストーリーが収まっている作品です。表題の作品は、ひとりの青年がセールスマンから金属製のカードをもらうというお話。そのカードを持っていると、絶対的な安全が手に入るということになっています。
このカードを持つことで青年の人生が一変してしまったというストーリーで、興味深い展開になっていきます。
収録作品
「ポケットの中に」「頭痛」「親友のたのみ」「過去の人生」「人員配置」「めぐまれた人生」「出勤」「会員になって」ほか16編
泥棒を生業とする会社の物語
36の短編小説がたのしめる作品です。表題の作品は、盗賊株式会社という、泥棒をする会社についての物語。なんでもほしいものを手に入れられる泥棒をうらやましがる心をくすぐる展開で、斬新なアイデアのストーリーが繰り広げられます。
物語のエンディングもよく考えられたもので、たのしく読み進められ、幅広い層の方が読書をするきっかけにするのにぴったりの一冊です。
「星新一」のおすすめ商品の比較一覧表
収録作品
「雄大な計画」「新しい社長」「名案」「ぼろ家の住人」「滞貨一掃」「あるロマンス」「あすは休日」「盗賊会社」ほか36編
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 星新一の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの星新一の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかの小説はこちら
奇想天外な発想のストーリーをたのしもう
星新一作品では、思いつかないようなシチュエーションで、あり得ないことが起きてしまう楽しさを味わえます。短編小説がメインなので、身構えることなく、気楽に読み進められるのがポイント。また、ただおもしろいというだけでなく、勉強にもなります。
幅広いテーマを扱っているので、興味のある分野のストーリーからはじめて、いろいろな星作品を楽しむようにしましょう。
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本や博物館が好きすぎて、司書教諭の免許と学芸員の資格を保有しているライター。小学校教諭と幼稚園教諭の資格も保有。 どのようなジャンルの本も幅広く読む。趣味は小説を書くことや美術館めぐり。ネイルやマッサージなど、リラックスできることが生きがい。基本的に文化系女子。世界をひとりで旅行して、暮らすように滞在するのが好き。プチミニマリストで、がんばらない家事を意識している。