恩田陸とはどんな作家?
1992年にデビュー作『六番目の小夜子』が日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり話題になった恩田陸氏。1964年に青森県で生まれ、宮城県仙台市を出身とする女性作家です。
1998年からは作家活動に専念し、『夜のピクニック』や『ユージニア』、『中庭の出来事』とつぎつぎと作品を発表して賞を受賞しています。2017年には『蜜蜂と遠雷』で直木賞と本屋大賞をダブル受賞。これらの作品以外にも多数のベストセラーを世に送り出し、ファンを魅了し続けています。
恩田陸作品の魅力
恩田陸氏の作品は、ミステリーやホラー、SFから青春ものなど、幅広いジャンルの小説が数多く発表されています。根強いファンから「恩田ワールド」と呼ばれる、独特で幻想的でちょっぴり不可思議な世界観も魅力です。
風景描写や心理描写が秀逸なのも読者を惹きつけてやまない理由。過去の小説のスピンオフ作品も多く、読めば読むほどファンになってしまう作家のひとりです。
恩田陸作品のおすすめ27選
ここからは、司書教諭・学芸員のyokoさんと一緒に編集部が厳選した恩田陸作品をご紹介します。興味のある作品をぜひ読んでみてください。
本屋大賞を受賞した、青春小説である『夜のピクニック』。現役高校生はもちろん、大人にもおすすめ。高校生のときに感じていた想いや、葛藤を思い出すことができますよ。ノスタルジックな素敵な作品です。

本屋大賞受賞の青春小説
高校生活が舞台の永遠の青春小説。第2回本屋大賞も受賞し、映画化もされたすばらしい作品です。
物語は高校生活最後のイベントである「歩行祭」で、主人公の甲田貴子が今までみんなに言えなかった秘密を精算しようとする話で進んでいきます。夜を徹して80キロ歩くなかで語られる、青春時代の美しさや葛藤をうまく表現した作品。もうだいぶ大人になった方でも、あの頃の自分を思い出して楽しめる物語となっています。
『木洩れ日に泳ぐ魚』は、濃密な心理戦にページをめくる手が止まらなくなってしまう作品です。登場人物の心理が巧みに描かれています。恩田ワールドを楽しみたい人は是非読んでみて下さい。

恩田ワールド全開のミステリー小説
アパートの一室で繰り広げられる、別々の道を歩むことにした男女の語り合いをもとに進むミステリー。ある男を殺したのは目の前の相手ではないかとお互いに疑い、話し合いに心理戦が混じり合う緊迫したストーリーが展開していきます。
どこか不穏な空気が漂い、ハラハラドキドキと物語の先が気になってしまう恩田ワールドを堪能したい方にぜひ読んでもらいたい作品です。
不思議な世界観を感じたいなら、『禁じられた楽園』がおすすめです。奇怪な芸術作品、悪夢、野外美術館というゾクゾクするキーワードが、あなたを虜にするでしょう。ゾクゾクするホラー小説です。

秘密の野外美術館で繰り広げられる幻想ホラー
熊野の山奥にひっそりと作られた野外美術館に招待された、建築学部の大学生である平口捷。招待した若き天才美術家の烏山響一は、奇怪な芸術作品を通してどんな悪夢を捷に見せるのか?
野外美術館を訪れる登場人物たちの深層心理や過去の傷をえぐられる怖さが、読み手をグングン引き込む作品です。じわじわと怖さが増すホラーストーリーがお好きな方におすすめです。
直木賞と本屋大賞をダブルで受賞!
第156回直木賞と2017年本屋大賞を受賞した傑作。マンガや映画にもされた音楽家たちの青春群像小説です。
3年ごとに開催されるピアノコンクールを舞台にした、4人の若き才能溢れる音楽家を中心に繰り広げられる人間の才能と運命の物語。取材に11年費やしたとだけあって、音楽に関する描写が秀逸と絶賛されている作品です。
全10話収録の恩田ワールドを楽しめる短編集
恩田陸のデビュー作である『六番目の小夜子』の番外篇である「図書室の海」や、『夜のピクニック』の前日譚である「ピクニックの準備」などが収録された短編集。
「図書室の海」では『六番目の小夜子』に登場した、関根秋の姉である関根夏の高校時代の物語を描いています。どこか不可思議で魅力的な雰囲気をまとう、恩田陸の世界にどっぷりと浸かれる物語がつまった作品集です。
日本推理作家協会賞を受賞した作品
名家で起こった大量毒殺事件をテーマにしたサスペンスミステリー小説。日本推理作家協会賞で長編賞を受賞し、直木賞にもノミネートされた作品です。
物語はある名家で起こったジュースによる毒殺事件をもとに話が進みます。現場に残されていた「ユージニア」という謎の詩や、ただひとり生き残った盲目の美少女。毒殺事件の真実が数々の証言によって浮かび上がっていきます。小説の読み手によって、結末の感じ方が変わるかもしれないサスペンスミステリーの傑作です。
男子寮で起こる青春ミステリー
年末に4人の生徒が残ることになった男子校の寮での物語。それぞれが事情と秘密を抱え、古くなった寮で自由で孤独な7日間を過ごすことになります。クリスマスイブの告白ゲームをきっかけにして、さまざまな事件が起こり、謎が深まっていくというストーリーです。
驚きと感動を与えてくれる、青春ミステリーの傑作。どこかノスタルジックな雰囲気も味わえる作品です。
「理瀬」シリーズの第2作品目
3月に転入しなければ、その転入生は破滅をもたらすと信じられている全寮制の学園。そこへなぜか2月の最後に転入することになった主人公の理瀬を中心に、まわりから隔離された学園で不可思議な事件がつぎつぎと起こります。
恩田陸氏独特の幻想的な作品で、読み手を引き込むストーリーが秀逸です。第1作『三月は深き紅の淵を』に続く「理瀬」シリーズの第2作品目をぜひ読んでみてください。
父親から超能力を与えられた少女の物語
人間のさらなる進化を研究する博士である父から、超能力を持つ体にされた娘の遥。彼らが所属していた秘密組織「ZOO」から逃れるが、7年後再び組織の追手と戦うことになります。父が亡くなってしまい、数奇な運命に翻弄される遥の成長を描いた作品です。
読むごとに物語の先が知りたくなってしまう、中毒性のあるストーリー展開が魅力です。
「常野物語」シリーズの第1作目
常野から来た特殊な能力を持つ家族は、自分たちの能力を誇示することなくひっそりと暮らしていた。常野の一族はそれぞれが不思議な能力を持っていたが、知的で穏やかで権力を得ようとするわけでもない。彼らの能力は一体何のためにあるのか?
そんな常野一族の不思議な優しさと哀しみをうまく描写した短編集。この作品は「常野物語」シリーズの第1作目で、このあとに『蒲公英草紙』と『エンドゲーム』という作品が続いて発表されています。
『蜜蜂と遠雷』の全6編からなるスピンオフ短編集
恩田陸氏の大ベストセラーである『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品。『蜜蜂と遠雷』に出てくる登場人物の、そのあとの物語などが収録された全6編の短編集となっています。『蜜蜂と遠雷』を先に読んでからこちらの作品を読むと、より楽しめるかもしれません。
『蜜蜂と遠雷』と同様に、音楽に関しての描写が見事にされ、読者を引き込む力を持った作品です。
恩田ワールドが楽しめる短編集
恩田陸氏が描く独特の世界観が楽しめる、ミステリーやSF、ホラーなどの短編物語が全19編収録された作品。恩田陸作品を読んでみたいけれど、長編小説ではなくサクッと読める短編集を探しているという方にぴったりです。
不思議な目をした少女からダンスに誘われる、ちょっぴり幻想的な物語の「私と踊って」という作品などが収録されています。
「常野物語」シリーズの第2作目
「常野物語」シリーズの第1作目である『光の帝国』に続く、感動の長編小説である「常野物語」シリーズの第2作目。
物語は20世紀初頭の東北の農村が舞台です。村の名家の娘、聡子嬢の話し相手である少女峰子の視点から語られる物語。村にやってきた不思議な能力を持つ春田一家は、常野一族でした。常野一族と村の人々の優しくも切ないストーリーに感動する傑作長編小説です。
ふたりの少女が繰り広げる演劇ロマン
無名で地味だけど天性の才能がある飛鳥と、華やかでまわりから絶賛されている若手女優の響子。対称的なバックグラウンドを持つふたりの女優が、役の獲得をかけてオーディションで戦う物語です。演劇の世界を舞台にした、少女たちの才能と情熱がぶつかりあう感動の長編小説。
オーディションの緊張感が読み手にひしひしと伝わってくるような、感動と興奮の傑作となっています。
「理瀬」シリーズの長編ミステリー小説
舞台は長崎の洋館。全寮制の学園を去ったあとの理瀬は、この洋館に引っ越してきます。ここでは祖母が謎めいた遺言を残して亡くなり、美しく優雅に暮らす叔母ふたりの生活はどこか奇妙。この洋館がなぜ「魔女の家」と呼ばれるのかを探っていくうちに、不吉な事件がつぎつぎと起こっていくという物語です。
『麦の海に沈む果実』などに続く「理瀬」シリーズの長編小説。登場人物の人間関係が複雑に絡み合う心理サスペンスを楽しんでください。
ダークファンタジー短編集
2013年の長編作品『夜の底は柔らかな幻』で繰り広げられた、特殊能力を持つ男たちの凄絶な殺し合いの物語のスピンオフ短編集。この作品ではそれぞれの男たちの過去が明らかにされていきます。
それぞれの短編にダークで幻想的なストーリーが描写され、読み手を引き込んでいく魅力のある作品集となっています。ぜひ『夜の底は柔らかな幻』とともに読んでみてください。
恩田ワールドがたっぷり味わえる幻想ファンタジー
日本各地に発生する、人々の情念による「裂け目」。その「裂け目」を封じることができる特殊能力を持つ元夫婦の物語。息子が生まれることで狂い出すふたりの運命とは?なぜこの夫婦が別れなければならなかったのか?
謎めいた不穏な雰囲気に包まれたストーリーで、読者を魅了する作品です。恩田ワールドが好きな方にはうれしい、幻想ファンタジーの物語となっています。
九州の水郷都市が舞台のミステリー
老女の失踪事件が相次ぐ、九州の水郷都市が舞台の物語。失踪した老女たちは、記憶をなくしひょっこり戻ってくることになる。事件に興味を持った元大学教授が調べていくうちに、ある「人間もどき」の存在が明らかになっていくという物語です。
魅力的な登場人物たちが織りなす、ちょっとホラーで不可思議なストーリー。読んでいくうちにどんどんと物語に引き込まれていく作品となっています。
林間学校を舞台にしたひと夏のミステリー
古城での林間学校に招待された少年少女たち。彼らにはそれぞれ何か秘密があるようです。全身が緑色の不思議な男に引率され、謎の林間学校生活が始まっていくというストーリーです。
「七月に流れる花」では少女側からの視点で、「八月は冷たい城」は少年側の視点で描かれた作品となっています。ミステリアスでちょっぴり怖い、恩田ワールドが楽しめる作品です。
少年少女の吸血鬼SFストーリー
母方の故郷で、あるキャンプに参加することになった14歳の少女、奈智。そのキャンプの目的は星々の世界へ旅立つ「虚ろ舟乗り」を育てることにあった。キャンプで過ごすうちに、どんどんと体が得体の知れないものへ変化していく少年少女たち。吸血をしなければ生きていけなくなる体に戸惑い、悩む少年少女たちの物語です。
恩田陸氏独特の壮大で不可思議なストーリー展開にきっと読者は自然に引き込まれていくでしょう。
青春の輝きを怖さとともに描いたデビュー作
日本ファンタジーノベル大賞の最終候補となった恩田陸氏のデビュー作品。ドラマ化もされた人気作品です。
物語はとある地方の高校が舞台。そこに転校してきた美しくて少し謎めいた女子高校生が、高校に長くまつわる奇妙なゲームに巻き込まれていくというストーリー。学園生活の描写を通して、友情や恋愛、青春の輝きを漆黒の恐怖とともに描き出した傑作です。
夢をめぐる新感覚サスペンス
各地の小学校でつぎつぎと起こる集団白昼夢事件。夢の映像をデータ化して記録できる時代になり、その記録を解析する仕事をしている男のところに集団白昼夢事件を調べるよう依頼がくる。現実と夢がしだいに混じり合い、何とも不可思議なストーリー展開が繰り広げられる物語です。
結末は一体どうなるのか。恩田陸氏が描き出す不可思議な世界に、読み手はワクワクさせられるでしょう。
少女たちの夏が描かれた不思議ミステリー
高校の美術部に在籍する毬子と、彼女の憧れの先輩である香澄と芳野を中心に語られていく物語。川のほとりの古い屋敷で美術部の合宿をすることになるが、その屋敷で昔起こったある殺人事件をめぐって、登場人物たちの思惑が交錯するというストーリー。
彼女たちの夏を描き出すことによって、多感な年頃の少女たちのはかなさや美しさを克明に描写した、不思議なミステリー作品となっています。
大物女流作家の死をめぐる心理ミステリー
舞台は大物女流作家が薬物死をしてから4年後のうぐいす館。女流作家を偲ぶ会が開かれていたが、謎のメッセージをきっかけにして、告発と告白がつぎつぎにされ、女流作家の死の真相が暴かれていく。大物女流作家の死は自殺ではなく、他殺だったのか。
恩田陸氏が独特な世界観で描く長編心理ミステリー。緊張感のある舞台劇のようなセリフのやりとりに引き込まれていきます。映画化もされている人気作品です。
重いテーマをコメディタッチで描いた傑作
この物語の舞台は近未来の原発事故で汚染された場所。立入制限区域をロボットがパトロールしているが、そこにある人間の女性がやってくる。人間が来ることを知らされていなかったロボットたちは、戸惑いながらも彼女の命令に従っていく。
自立型のロボット「ウルトラエイト」を主人公に、ゾンビや巨大化した猫まで登場する異次元の世界が奇想天外に描かれている作品です。
凄腕ウイルスハンターが登場するシリーズの第1作目
アジアの西の果てに建てられた直方体の謎の白い建物。この建物に一度足を踏み入れると、行方不明になってしまう人間がいるらしいという噂を聞きつけた凄腕ウイルスハンターが、謎を解明していく物語。
荒野に存在する不可思議な建物を舞台に、手に汗にぎるストーリーが展開していきます。読者をグイグイと引き付ける恩田ワールドが魅力の作品です。
不思議な読後感の恩田ワールド作品
東京を舞台にした戯曲を書いている主人公は、じつは自分は吸血鬼だという男に出会う。東京の秘密を知るには、死者の痕跡を調査するといいと言われて東京を探索する物語と、吸血鬼である男の視点から見た物語、主人公が描く戯曲についての物語が交錯していくストーリー。
エッセイなのか小説なのか、不思議な読後感に包まれる作品となっています。最後に『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ小説「悪い春」も収録しています。
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恩田ワールドの独特な世界観を楽しみましょう
恩田陸氏の作品は、不穏でいてどこか不可思議な世界観があるものが多く、恩田ワールドに惹かれるたくさんのファンを魅了してやみません。長編小説だけではなく短編集も数多く世に発表していて、青春をテーマにしたものや、ミステリーやホラー、SFとさまざまな物語を生み出しています。
そのため、あなたのお気に入りの1冊もきっと見つかると思います。今回ご紹介したおすすめの本も参考にしながら、ぜひたくさんの恩田陸作品を楽しんでくださいね。
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