アウトドア用高機能ダウンの選び方 最強の防寒性
山岳/アウトドアライター&プロデューサー・高橋庄太郎さんに、アウトドア用高機能ダウンを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ダウン独特の特徴を把握して、アウトドアにぴったりのものを選べるよう、チェックしてくださいね。
ダウンの品質を判断する指標「フィルパワー」を知る
ダウンの品質を見きわめる指標のひとつが、「フィルパワー(FP)」という単位であらわされる数値です。FPとは「一定の重量を加えて圧縮したダウンが、どれくらいの体積に復元するか」という数値であり、言い方を変えれば「いかに少ない量で、いかに大量の暖気をため込めるか?」ということになります。
街着よりも保温力が期待されるアウトドア用では、700FP以上がひとつの目安になり、なかには1,000FPのダウンも開発されています。ただし、ダウンはかんたんには増産できない天然素材。しかも加工に手間がかかるので、高品質のものは高価になります。FPが高いものほどよい製品が多いですが、価格とのバランスを考えて選びましょう。
ウェアに使用されているダウンの「量」はじゅうぶんか?
FPが高いものは高品質ですが、それだけでよし悪しが決まるわけではありません。たとえば、1,000FPのダウンを100g使ったジャケットよりも、800FPのダウンを150g使ったダウンジャケットのほうが、一般的には保温力が高いものです。FPの数値にばかり目を向けず、使用されているダウンの重量もチェックしましょう。
FPの数値や使用されている重量は保温力を知るうえで大きな目安。ただしそれ以外にも、表面生地や裾(すそ)のデザインなど、ディテールによっても左右されます。
内部の暖気を閉じ込める「表面生地」の性質も大事
いくら高品質のダウンがたくさん使われていても、ダウンを覆う表面の生地の通気力が高すぎると、せっかくの暖気が逃げていきます。風の影響が少ない生地のほうが保温力は高く、なかには完全に風をシャットアウトする素材のものも販売されています。
また、防水性の生地を使用しているものもありますが、防水性ばかりで透湿性がない製品は注意が必要。内部に湿気がたまってしまい、ダウンがつぶれて温かくなくなってしまうからです。
しかし、あらゆる機能性を備えた特殊な生地を使っているものは高価になりがち。どのような表面生地のものを選ぶのかも、予算との相談になるでしょう。
高度な加工が施された特殊ダウンにも注目
ダウンの弱点は、湿ってしまうと羽毛のふくらみが減り、保温力が激減すること。水を含めばボリュームはなくなり、保温力はなくなってしまうのです。そのため、特殊な薬剤を使うことで撥水力を持たせたダウンも登場しています。
撥水力を持ったダウンであれば、雨や溶けた雪などの水分がウェア内部に浸透してきても、ダウンの保温力をあまり低下させずにぬくもりをたもつことが可能。天候を気にせず安心して着用することができます。
フードなどの「ディテール」もチェック
ウェア内の暖気が逃げていくのは、首元、袖、裾といった開口部です。フードがついているものは頭自体が温かいだけではなく、首元から流れ出る暖気を受け止める役割も果たし、保温力の向上に貢献します。
大半のウェアの袖や裾は、伸縮性素材で口の開きを抑えたり、面ファスナーやドローコードで絞れたりするようになっています。ただし、これらが過度になると着心地を損ねるので注意。着用しやすい適度なものを探しましょう。
アウトドア用高機能ダウンおすすめ11選 真冬のアウトドアにも最適!
上で紹介したアウトドア用高機能ダウンの選び方のポイントをふまえて、実際に山岳/アウトドアライター&プロデューサー・高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。自分に向いた商品があるかどうか、ぜひチェックしてみてください。

Columbia(コロンビア)『ストレッチダウンDSフーデッドジャケット(OE0752)』










出典:Amazon
サイズ | S・M・L・XL |
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ダウンの比率 | - |
フィルパワー | 800 |
生地 | ダイナミックストレッチニット(ポリエステル100%) |
防水・撥水 | 〇(撥水) |
カラー | ファイアリーレッド、マンタグレー、ブラック、ダークジンク |

マウンテンイクイップメント『クラウド・セーター』

出典:Yahoo!ショッピング
サイズ | S・M・L |
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ダウンの比率 | - |
フィルパワー | 800 |
生地 | ナイロン100% |
防水・撥水 | 〇(撥水) |
カラー | ダークブルー |

ノローナ『メンズ リンゲンゴアテックス ダウン850 フードジャケット』














出典:Amazon
サイズ | S・M・L・XL・XXL |
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ダウンの比率 | - |
フィルパワー | 850 |
生地 | GORE-TEX ACTIVE SHAKEDRY |
防水・撥水 | 〇(撥水) |
カラー | キャビア、インディゴナイト |

Marmot(マーモット)『1000イーズダウンジャケット(TOMMJL34 1810)』








出典:Amazon
サイズ | S・M・L・XL |
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ダウンの比率 | ダウン95% フェザー5% |
フィルパワー | 1,000 |
生地 | 15d Bright Rip(ナイロン100%) |
防水・撥水 | 〇(撥水) |
カラー | ダークレッド、ブラック、ダークネイビー、グリーン |
超高品質! 1,000FPのダウンを使用
一見するとシンプルなダウンジャケットですが、重要なポイントは内部にあります。使用されているダウンはなんと1,000FPという高品質で、しかも撥水加工を施してあり、水濡れにも強いタイプ。襟がハイネックなので暖気を保ちやすく、体温が逃げやすいとされる首元を守る効果も高くなっています。
ユニークなのは、『TWO IN ONE』という同社の防水性アウターと組み合わせられるシステム。2着をファスナーで一体化して着用できるようにすることで、防水性と保温力をともに高めることができます。これだけの品質ですが価格は控えめで、リーズナブルな一品です。

patagonia(パタゴニア)『メンズ・ウインドスウィープ・ダウン・フーディ』
サイズ | XS・S・M・L・XL・XXL |
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ダウンの比率 | - |
フィルパワー | 600 |
生地 | 表地:ナイロン80%/ポリエステル20%。DWR(耐久性撥水)加工済み、裏地:ポリエステル100% |
防水・撥水 | 〇(耐久性撥水) |
カラー | ブラック、フォージグレー、ネイビーブルー |

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)『サンダーラウンドネックジャケット』






出典:Amazon
サイズ | S・M・L・XL・XXL |
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ダウンの比率 | ダウン54%、ポリエステル40%、そのほかの羽毛6% |
フィルパワー | - |
生地 | PERTEXR Quantum(ナイロン100%) |
防水・撥水 | 〇(撥水) |
カラー | ニュートープライトグリーン、ブラック |
Columbia(コロンビア)『シダーヒルズ ダウンジャケット』










出典:Amazon
サイズ | XS・S・M・L・XL・XXL |
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ダウンの比率 | ダウン80%、フェザー20% |
フィルパワー | 650 |
生地 | 表パークタッサー(コットン60%、ナイロン40%)、裏20Dフルダルナイロンタフタ(ナイロン100%) |
防水・撥水 | 〇(撥水加工) |
カラー | ブラック、カレッジエイトネイビー、ティンバーウルフ、メープルシュガー |
ナンガ『別注モデル 焚火 ダウンジャケット』


















出典:Amazon
サイズ | XS・S・M・L・XL・2XL |
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ダウンの比率 | ダウン80%、フェザー20% |
フィルパワー | 650 |
生地 | 93% ポリエステル, 7% 分類外繊維(ケプラ) |
防水・撥水 | - |
カラー | チャコール、カーキ、ダークネイビー、コヨーテ、グレー |
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)『バルトロライトジャケット』














出典:Amazon
サイズ | 2XS・XS・S・M・L・XL |
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ダウンの比率 | ダウン72%、レーヨン20%、フェザー8% |
フィルパワー | - |
生地 | 表:ナイロン100%、裏:ePTFE、裏地:ナイロン100% |
防水・撥水 | 〇 |
カラー | ブラック、ニュートープ、TNFネイビー、サミットゴールド、ユーティリティブラウン、アーバンネイビー、TNFレッド、ブリティッシュ |
snow peak(スノーピーク)『ダウンプルオーバー』












出典:Amazon
サイズ | S・M・L・LL |
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ダウンの比率 | ダウン90% フェザー10% |
フィルパワー | 800 |
生地 | 表地:ポリエステル96%、アラミド4%、裏地:ポリエステル100% |
防水・撥水 | 〇 |
カラー | ブラック、ブラウン、オリーブ |
ARC'TERYX(アークテリクス)ARC'TERYX(アークテリクス)『セレスSVパーカ』






出典:楽天市場
サイズ | S・M・L |
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ダウンの比率 | - |
フィルパワー | 850 |
生地 | ナイロン100% |
防水・撥水 | 〇 |
カラー | ブラック |
「アウトドア用高機能ダウン」のおすすめ商品の比較一覧表
高機能ダウンの保温力を活かすにはサイズ感も重要 山岳/アウトドアライター&プロデューサー・高橋庄太郎さんのアドバイス
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
中綿の品質や量、表面の生地やディテールなど、ほかのウェア以上に凝ったものほど高価になるのがダウンウェアです。しかし、自分が求める以上に保温力が高い必要はありません。使用するシチュエーションに合わせて過不足ないものを選びましょう。
また、とても重要なのがウェアのサイズ感。タイトすぎるシルエットのものはダウンのふくらみを損ねてしまい、せっかくの保温力が発揮されません。
反対に余裕がありすぎるシルエットのものは体のまわりにすき間ができてしまい、ウェア内部がなかなか温まらず、せっかく温まっても暖気が逃げやすくなります。ダウンのウェアは、過不足ない「ジャストサイズ」を選ぶことがとても大事なのです。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部 横尾忠徳)
※2020/12/04 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。