アウトドア用高機能ダウンの選び方 最強の防寒性
それでは、アウトドア用高機能ダウンの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】ダウンの品質を判断する指標「フィルパワー」を知る
【2】ウェアに使用されているダウンの「量」はじゅうぶんか?
【3】内部の暖気を閉じ込める「表面生地」の性質も大事
【4】高度な加工が施された特殊ダウンにも注目
【5】フードなどの「ディテール」もチェック
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ダウンの品質を判断する指標「フィルパワー」を知る
ダウンの品質を見きわめる指標のひとつが、「フィルパワー(FP)」という単位であらわされる数値です。FPとは「一定の重量を加えて圧縮したダウンが、どれくらいの体積に復元するか」という数値であり、言い方を変えれば「いかに少ない量で、いかに大量の暖気をため込めるか?」ということになります。
街着よりも保温力が期待されるアウトドア用では、700FP以上がひとつの目安になり、なかには1,000FPのダウンも開発されています。ただし、ダウンはかんたんには増産できない天然素材。しかも加工に手間がかかるので、高品質のものは高価になります。FPが高いものほどよい製品が多いですが、価格とのバランスを考えて選びましょう。
【2】ウェアに使用されているダウンの「量」はじゅうぶんか?
FPが高いものは高品質ですが、それだけでよし悪しが決まるわけではありません。たとえば、1,000FPのダウンを100g使ったジャケットよりも、800FPのダウンを150g使ったダウンジャケットのほうが、一般的には保温力が高いものです。FPの数値にばかり目を向けず、使用されているダウンの重量もチェックしましょう。
FPの数値や使用されている重量は保温力を知るうえで大きな目安。ただしそれ以外にも、表面生地や裾(すそ)のデザインなど、ディテールによっても左右されます。
【3】内部の暖気を閉じ込める「表面生地」の性質も大事
いくら高品質のダウンがたくさん使われていても、ダウンを覆う表面の生地の通気力が高すぎると、せっかくの暖気が逃げていきます。風の影響が少ない生地のほうが保温力は高く、なかには完全に風をシャットアウトする素材のものも販売されています。
また、防水性の生地を使用しているものもありますが、防水性ばかりで透湿性がない製品は注意が必要。内部に湿気がたまってしまい、ダウンがつぶれて温かくなくなってしまうからです。
しかし、あらゆる機能性を備えた特殊な生地を使っているものは高価になりがち。どのような表面生地のものを選ぶのかも、予算との相談になるでしょう。
【4】高度な加工が施された特殊ダウンにも注目
ダウンの弱点は、湿ってしまうと羽毛のふくらみが減り、保温力が激減すること。水を含めばボリュームはなくなり、保温力はなくなってしまうのです。そのため、特殊な薬剤を使うことで撥水力を持たせたダウンも登場しています。
撥水力を持ったダウンであれば、雨や溶けた雪などの水分がウェア内部に浸透してきても、ダウンの保温力をあまり低下させずにぬくもりをたもつことが可能。天候を気にせず安心して着用することができます。
【5】フードなどの「ディテール」もチェック
ウェア内の暖気が逃げていくのは、首元、袖、裾といった開口部です。フードがついているものは頭自体が温かいだけではなく、首元から流れ出る暖気を受け止める役割も果たし、保温力の向上に貢献します。
大半のウェアの袖や裾は、伸縮性素材で口の開きを抑えたり、面ファスナーやドローコードで絞れたりするようになっています。ただし、これらが過度になると着心地を損ねるので注意。着用しやすい適度なものを探しましょう。
アウトドア用高機能ダウンおすすめ7選 真冬のアウトドアにも最適!
上で紹介したアウトドア用高機能ダウンの選び方のポイントをふまえて、実際に山岳/アウトドアライター&プロデューサー・高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。自分に合った商品があるかどうか、ぜひチェックしてみてください。
火を使うアウトドアにぴったり
難燃性の素材を使っているため、文字通り「焚火」を楽しめるダウンジャケットです。
羽毛には超撥水ダウンが使われており、雨や汗でダウンが小さくなり、保温力が低下するのを防いでくれます。袖口や腰元にもこだわりと工夫が感じられる一品です。
ポケットが9つついているので、細かな道具を入れておくのに便利ですし、街中で着る際はカバンを持たず身軽にお出かけできます。
高い防水性能をもつ軽量ダウン
表の生地にストームライトDPII(ポリエステル100%)、ライナー・中綿にポリエステル100%を使用。さらに、耐久撥水DWR加工で高い防水性能をもちます。
また、左側には財布が入る程度のサイズの内ポケットがあり、XS~XXLと幅広いサイズ展開。軽くて丈夫ですよ。
インナーとしてもアウターとしても着られる
高品質800フィルパワー・EXダウン素材。撥水加工が施され、シングルキルト構造の非常に軽い生地になっています。
インナーにシャツを着てもよいですし、コンパクトなのでこれ自体をインナーに着込んでもよいでしょう。インナーとしてもアウターとしても着られる軽くて暖かいダウンジャケットです。

1枚あるとウェアリングの応用度がアップ
カットソーのように襟がないラウンドネックが特徴的なデザインです。襟やフードがついたほかのウェアと重ね着がしやすく、アウターとして着用するだけではなく、インナーダウンとしても実力を発揮します。
中綿はダウンだけではなく、特殊な加工を施したポリエステルの化繊中綿も40%ミックス。遠赤外線の効果で保温力を高めるとともに、撥水性も加わっています。ポケットのなかにウェア本体を収納できるパッカブル仕様になっているのもありがたい点です。
機能性の高い生地で作られたダウンジャケット
アウトドアウェアを多く手掛けるコロンビアのダウンジャケットです。
80年代から90年代前半に販売されていたダウンジャケットを元にデザインされ、生地も当時使われていたものを現代の技術で再現しました。
湿気を吸うことにより綿が膨張して防水性が高まるという機能的な素材が使われています。通気性や耐摩耗性にも優れているので、快適さを保ちながら長く使い続けることが出来ます。
snow peak(スノーピーク)『FR 2L ダウンジャケット(JK-21AU001)』
真冬のアウトドアにも耐えられる保温性
極寒の地域でも着られるような高い保温性を誇るダウンジャケットで、冬の天体観測や雪上ハイクを楽しみたい方におすすめできます。
中綿に使われているのは、特殊セラミックスの遠赤外線効果により保温性を持続させる光電子ダウンです。
襟やフードなどにも冷気を入れないための工夫が施されています。表の生地には撥水性があるため、雪や小雨程度ならはじくことが出来ます。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする アウトドア用高機能ダウンの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのアウトドア用高機能ダウンの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ダウンジャケットに関するQ&A よくある質問
ダウンとフェザーの違いは?

ダウンは胸のあたりからとれる羽毛で、軽量でふわふわしているのが特徴。空気を含み保温性が高いため、ダウンの割合が高いほどフィルパワーも高くなります。
一方で、フェザーは文字通り羽根。弾力性はありますが、ダウンほど空気を含みません。そのため、フェザーの割合が高いほどフィルパワーが低くなる傾向がありますが、その分価格も抑えることができます。
ダウンは水に弱いって本当?

本当です。ダウンは、水分を含むと体積が減ってしまいます。ただし、近年では羽毛自体に撥水加工を施すことで、水に濡れても膜を作って羽毛が濡れるのを保護する技術「UDD」(ウルトラライトダウン)も存在します。
そのほかのアウトドア用高機能ダウンジャケット
高機能ダウンの保温力を活かすにはサイズ感も重要
中綿の品質や量、表面の生地やディテールなど、ほかのウェア以上に凝ったものほど高価になるのがダウンウェアです。しかし、自分が求める以上に保温力が高い必要はありません。使用するシチュエーションに合わせて過不足ないものを選びましょう。
また、とても重要なのがウェアのサイズ感。タイトすぎるシルエットのものはダウンのふくらみを損ねてしまい、せっかくの保温力が発揮されません。
反対に余裕がありすぎるシルエットのものは体のまわりにすき間ができてしまい、ウェア内部がなかなか温まらず、せっかく温まっても暖気が逃げやすくなります。ダウンのウェアは、過不足ない「ジャストサイズ」を選ぶことがとても大事なのです。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。