ふるさと納税したら確定申告は必須なの?
今や手軽に利用できる寄付制度のふるさと納税ですが、寄付した場合に確定申告は必ずしなければいけないのでしょうか?
確定申告で大変な思いをするぐらいなら申告しなくてもいいと考える人もいるぐらいです。
そもそも確定申告ってなに?
年度末の1月中旬~2月中旬にかけて行われる確定申告は、個人事業者や給与以外の収入がある人だけのものではありません。確定申告をする前年の一年間に発生した収入および支出を元に、次年度の所得税や住民税などを算出します。この支出として、ふるさと納税で支払われた寄付金も申告することで、寄付金控除の対象となり、所得税が還付されたり住民税が控除されたりします。
なお、一般会社員など1か所からの収入のみの人は所得の申告をする必要はなく、そのほかの医療費やふるさと納税などを申告することになります。
なお、ふるさと納税を利用した人には「ワンストップ特例制度」があります。
ふるさと納税で確定申告が必要な人とは
ふるさと納税を確定申告することで、寄付金控除の対象となる可能性があるというメリットはありますが、全ての人が申告の必要があるわけではありませんし、必ずしも申告をしなければいけないものでもありません。
しかし、申告した方が後々控除の対象になる事は覚えておいてください。
具体的には次の条件に当てはまる人は申告が必要です。
・寄付した自治体数が6自治体以上
・寄付した自治体のうち1団体でもワンストップ特例制度の申請をしなかった人
・他の控除申請のために確定申告が必要な人
寄付した自治体数が6自治体以上
全国には1,765自治体あり、そのうちの5団体を超える自治体にふるさと納税をした場合に申告が必要になります。
ただし、寄付の回数は多くても同じ自治体に複数回寄付した場合は、5自治体以内であれば金額に関係なく確定申告の必要はありません。
寄付した自治体のうち1団体でもワンストップ特例制度を申請しなかった人
もし、5団体以内の自治体に寄付をしても、そのうち1団体でもワンストップ特例制度を申請しなかった場合は、その分を確定申告しなければいけません。
なお、ワンストップ特例制度については、詳しく後述します。
他の事案で確定申告が必要な人
もともと確定申告をする人は、通常の確定申告と一緒に申告します。この時、用紙や手続きを別にする必要はありません。同じ用紙に加えて記入してください。
ここで、別の事案で確定申告をしなければいけない人の条件を挙げておきます。
・医療費控除を受ける人
・住宅ローン控除を受けている人
・個人で事業を行っている人
・不動産収入がある人
・不動産や有価証券・会員権などの売却益や譲渡益などがあった人
・2,000万円以上の給与収入があった人
・2か所以上の会社から一定額の所得がある人
確定申告が不要な人はワンストップ特例制度を利用
上記のように所得の関係で確定申告の必要がなく、ふるさと納税だけの人は、ワンストップ特例制度を利用するととても便利です。
ワンストップ特例制度とは
ふるさと納税制度が設けられた当時は、確定申告で寄付金控除の申請をしなければいけませんでした。確定申告はふるさと納税だけではなく、他の項目の記入もしなければいけないため大変手間がかかるものです。そこで、より手軽にできるようにと設けられたのが「ワンストップ特例制度」です。
ワンストップ特例制度を利用できる人とは
ワンストップ特例制度を利用できる人は次の条件を満たしている人です。
・確定申告の必要のない人。つまり、給与制の会社員などで、他から収入を得ていない人、他の控除、例えば医療費控除を申請しない人。
・年間に寄付したのが5自治体以内の人。ただし、同一自治体に複数回寄付をした場合は1自治体と数える。
確定申告の時期
ふるさと納税を申告する時期は、通常の確定申告時期と同じです。通常、翌年の2/16から3/15までの約1か月の間に確定申告書を提出します。確定申告書は税務署でも配布していますし、国税庁ホームページからダウンロードすることもできます。
用紙配布は毎年1月の初開庁日以降から行っています。用紙代は無料ですが、自宅から郵送で提出する場合の郵送代は自己負担です。
ふるさと納税の確定申告の流れ
【STEP1】ふるさと納税の控除・還付の限度額を調べる
ふるさと納税には上限金額があります。寄付金は上限がありませんが、確定申告の際に認められる額が決まっています。限度額を超えると自己負担分の金額が増えることになりますので、注意が必要です。
また、限度額は一律ではなく、年収(所得)や家族構成、受けている税金控除などによって限度額は変動します。ふるさと納税を利用する前に、調べてから寄付金額を決めることをおすすめします。
なお、簡単に限度額を調べる事ができるシミュレーションサイトがありますので、利用するといいでしょう。
【STEP2】ふるさと納税の寄付をする
寄付する金額が決まったら、それに見合う寄付先の自治体を選びます。この場合、自治体によっては最低寄付額が設定されているところや、いくつかの寄付金額を設定しているところ、返礼品がないところや寄付金額によって返礼品が異なる自治体などさまざまです。寄付する目的や返礼品の内容など、自分の希望に合った自治体を選びましょう。
寄付する自治体が決まったら、直接自治体に申し込みます。この場合、各自治体が独自に行っているサイトから申し込むこともできますし、ネット通販会社などが運営しているふるさと納税サイトもありますので、それらを利用するのもいいでしょう。
寄付する自治体が決まっていて、その自治体が専用のサイトを開いているなら自治体のホームページから直接申し込むのもいいですし、とくに決めていない場合は、ふるさと納税サイトから選ぶのもいいでしょう。
【STEP3】寄付した自治体から書類と返礼品を受け取る
寄付をすると、後日書類や返礼品などが届きます。寄付をした証拠となる「寄付金受領証明書」も届きます。この書類は確定申告の際に必要ですので大切に保管しておいてください。
ただし、自治体によっては寄付金受領証明書と返礼品は同時に届くとは限りません。時期によっては確定申告に間に合わない場合もあります。その場合は、次年度に申告をすることになりますので、いずれにせよ大切な書類となります。
なお、申告時期に間に合わない、あるいは忘れていて申告し忘れても5年間の猶予があります。
【STEP4】確定申告に必要なものを揃える
ふるさと納税の場合でも、通常の確定申告と同じです。必要な書類等は次のものです。
・寄付金受領証明書
・還付金受取用口座番号
・マイナンバーカード(通知カード+本人確認書類)
・印鑑(ネット経由の場合は不要)
これらの必要なものはすべて提出しますので、寄付金受領証明書は原本を、マイナンバーカードはコピーしたものを、口座番号や印鑑は事前に確定申告書に記入しておくと心配ありません。なお、印鑑は認印で構いませんし、ネットから直接提出する場合は捺印は必要ありません。直接管轄の税務署へ持参する場合は、一応印鑑は持参してください。
【STEP5】確定申告書を作成し提出する
以上のような書類などを揃えた上で、確定申告書を作成し、提出します。
作成方法としては次の3つの方法があります。自分のやりやすい方法を選ぶことができます。
・書類を手書きし郵送または税務署に持参して提出する
・書類をウェブ上で作成し、郵送または税務署に持参する
・書類をウェブ上で作成し、そのままネット経由で提出する。いわゆるe-Taxを利用する
なお、詳しくは後述の「ふるさと納税の確定申告書の書き方」で詳しく解説します。
書類を手書きし郵送または持参して提出する方法
申請書類は、通常の確定申告書と同じものを使います。用紙は税務署でももらえますし、国税庁のホームページからダウンロードして使うこともできます。PCを持っていない人や不慣れな人は税務署で用紙をもらうのがいいでしょう。この場合は、手書きで必要事項を記入し、必要書類を添付したものを提出することになります。
提出方法は直接税務署に持参してもいいですし、税務署あてに郵送しても構いません。この場合の郵送代は自己負担となります。
書類をウェブ上で作成し郵送または持参にて提出する方法
PCに慣れている人なら、ウェブ上で確定申告書を作成することもできます。国税庁のホームページの確定申告等作成コーナーで作成することができます。
これを利用して作成すると、数字を入力するだけで自動的に計算してくれますので、きれいに間違いのない書類を作成することができます。作成した後はプリントアウトして、郵送あるいは税務署に直接持参して提出します。
書類をウェブ上で作成しネット経由で提出する方法
申告書はウェブ上で作成し、そのままネット経由で提出することも可能です。事前にe-Tax(電子申請)をするための機器があれば、書類をプリントアウトする必要もなく、より便利です。
ただし、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーや、読み取り対応のスマホなどが必要です。
【STEP6】税金の控除・還付がされる
申告書を提出し不備や問題がなければ、後日所得税や住民税の額が決定し、場合によっては還付金も支払われます。
ただし、税金額の決定は申告した年度の額となるため、税金払込書が届くまで分かりませんし、還付金も1か月から2か月ぐらい後に支払われることになります。
ふるさと納税の確定申告書の書き方
ここでは、文国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーから、申請書を作成する手順をご紹介します。少し長いですが手順通りに進めば簡単ですよ! なお、より理解しやすいように、もしあれば、ふるさと納税の受領証明書や確定申告書用紙を手元に準備してください。
1.国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーを開き、トップ画面の「作成開始」をクリックする。
2.「税務署への提出方法の選択」画面で「印刷して提出」をクリックする。
3.「申告書等印刷を行う前の確認」画面の「利用規約に同意して次へ」をクリックする。
4.「作成する申告書等の選択」画面で、「令和三年度分の申告書等の作成」をクリックし、「所得税」もクリックする。
5.「入力方法選択」画面で、給与・年金の方の「作成開始」を選択する。
6.「申告書の作成をはじめる前に」を読み、画面の「次へ」をクリックする。
7.「提出方法の選択」画面で、申告する人の生年月日を入力する。
8.「所得の種類選択」画面で「給与のみ」を選択し「入力終了(次へ)」、さらに「給与所得の内容等選択」では「給与の支払者は1ヶ所のみである」と「年末調整済みである」にチェックを入れて、「入力終了(次へ)」をクリックする。
9.「適用を受ける控除の選択」画面で「寄付金控除」にチェックを入れて、「入力(次へ)」をクリックする。
10.「給与所得の入力」画面の「入力する」をクリックする。
11.「支払金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」をそれぞれ書き写す。
12.年末調整で住宅借入金等特別控除を受けた人は「あり」、受けていない人は「なし」にチェックを入れる。
13.支払者の住所または所在地、氏名または名称を入力し、「入力内容の確認」をクリックする。
14.「給与所得の入力」、内容に誤りがなければ「次へ進む」をクリックする。
15.同様に「収入・所得金額の入力」、内容に誤りがなければ「入力終了(次へ進む)」をクリックする。
16.「所得控除の入力」画面で「寄付金控除」の「入力する」をクリックする。
17.「寄付金控除、政党等寄付金等特別控除の入力」画面で「入力する」をクリックする。
18.「寄付年月日」「都道府県・市区町村に対する寄付金」にチェックを入れる。
19.寄付金額を入力する。
20.複数の自治体へ寄付した場合は「別の寄付先を入力する」を、同一自治体に一年間に複数回寄付した場合は「同じ寄付先をもう1件入力する」にチェックを入れる。
他に寄付をしていない場合は、「入力内容の確認」をクリックする。
21.入力内容に誤りがなければ「次へ進む」をクリックする。自動的に、控除金額が表示されるので、確認したら「OK」をクリックする。
22.「所得控除の入力」画面で、誤りがなければ「入力終了(次へ)」をクリックする。
23.「税額控除等の入力」画面の「入力終了(次へ)」をクリックする。
24.次の扶養家族の有無についての画面で、「16歳未満の扶養家族の有無」「別居の控除対象配偶者等」の有無について、それぞれ当てはまるところにチェックを入れる。
25.金融機関の情報(口座番号、名義人などを入力する。
26.すべての情報を入力し終わると、申告者の氏名・住所を入力する。マイナンバーカードの番号も入力する。
ふるさと納税の確定申告に関するよくある質問
寄付金受領証明書をなくしたらどうすればいい?
自治体によっては、再発行できる所とできない所があります。直接問い合わせるのがいいでしょう。ただし、再発行できたとしても2か月程度かかる場合があります。確定申告書を作成する時点で失くしたことに気づいて再発行してもらってたら間に合わない可能性が大きいです。
よって、早めに書類を揃えておくようにしましょう。なお、再発行時には「寄付受付番号」など、本人である証明となるものが必要になります。つまり、必要がないと思っていてもしばらくの間は保管しておことが大切です。
ワンストップ特例で申請後に医療費控除などを受けることになり、確定申告を出す場合ふるさと納税の控除申請は再度必要?
今まで一度も確定申告をしたことがなく、ワンストップ特例制度を利用した後に、急に医療費がかかったため、医療費控除を受けることになってしまった場合は、ワンストップ特例は残念ながら無効になります。
医療費以外の控除でも同様です。
この場合は、確定申告書の「寄付金控除」の欄に記入して提出することになります。
なお、ワンストップ特例制度から確定申告に切り替えたという変更届のようなものはありませんので、自分の都合で変更することも自由です。
ふるさと納税の控除・還付の申請が期間内に間に合わなかったら?
ふるさと納税が控除の対象になることを知らなかったり、知っていてもつい期限を忘れてしまった場合でも、提出期限の5年以内であれば申告することができます。この場合は、更正の請求手続きを行うことで適用を受けることができます。
よって、期限が過ぎてしまったからといって、書類などを捨ててしまわずに、数年は保管しておいてください。
確定申告が必要か確認してからふるさと納税しよう
確定申告は、次年度の税額を決める大切な手続きです。たとえ少額でもふるさと納税はれっきとした寄付ですので、寄付した場合は必ず確定申告をしましょう。ただし、確定申告は不慣れな人にとって大変な作業です。年5自治体以内への寄付なら、ワンストップ特例が便利です。
毎年何らかの寄付を定期的にと考えているのでしたら、5自治体以内に収まるように決めておくと、ずっと簡単な手続きで長く続けることができますよ。
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※掲載の情報は2021年12月時点のものになります。
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