痔の薬の選び方
医療ライターの西村テツジさんへの取材をもとに、痔の薬の選び方をご紹介します。自分の症状に合った痔の薬を選ぶための参考にしてください。
痔の種類や症状に合ったものを選ぶ
痔の薬は、おもに「坐剤」「軟膏」「注入軟膏」「内服薬」の4タイプに分けられます。自分の症状に適したタイプを選びましょう。
肛門内側のいぼ痔には「坐剤」がおすすめ
肛門の内側にできた「いぼ痔」や「きれ痔」には、坐剤が適しています。坐剤は固形状の薬で、肛門内に挿入して使用するタイプです。体温で溶けるように設計されているため、挿入後に直腸膨大部にとどまって溶け出し、患部に直接作用します。
油脂性基剤を配合した坐剤であれば、痔によってキズついた患部を保護しながら、スムーズな排便を助けてくれます。
肛門外側・肛門付近のいぼ痔や切れ痔には「軟膏」がおすすめ
肛門の外側や肛門付近の「いぼ痔」や「きれ痔」に適しているのが、軟膏タイプの薬です。軟膏タイプはチューブに入っており、手やガーゼを使用して患部に直接塗布します。
軟膏タイプは、寒い時期や低温での保管によってかたくなり、押し出しにくくなることも。そんな場合は、チューブを手で包み込むようにして温めると、やわらかくなって扱いやすくなります。
いぼ痔と切れ痔の両方に使える「注入軟膏」
肛門の内側と外側、両方の痔でお悩みの方には、2パターンの使い方ができる注入軟膏が便利です。注入軟膏は、肛門内側の痔には注入、肛門外側の痔には直接塗布することができます。
肛門内側の痔に使用する場合は、細長いノズル部分を肛門内に挿入し、容器を押し潰して軟膏を注入します。1回分の量が入った使い切りタイプで、使用の際に手が汚れないので衛生的です。
注入や塗布に抵抗のある方は「内服薬」も
痔の薬には、鎮痛成分や止血作用、炎症を抑える成分などを配合した内服薬もあります。水と一緒に服用する錠剤・顆粒のほか、舌の下で溶かして服用する舌下錠が販売されており、体のなかから痔の症状に働きかけます。いぼ痔や切れ痔を繰り返しがちな方におすすめです。
肛門内への薬剤の注入や、患部に直接塗布するのが苦手な方にも使いやすいでしょう。
症状に対応した成分が配合されているか確認を
痔の薬には、炎症を抑える成分、かゆみを鎮める成分、止血をうながす成分などが配合されています。おもにどんな成分が配合されているかをチェックして、自分の症状に合ったものを選びましょう。
かゆみがあるなら「抗ヒスタミン成分」を選ぶ
かぶれによるかゆみ、ムズムズ感といった不快な症状には、かゆみを鎮める抗ヒスタミン成分が配合された痔の薬がおすすめです。抗ヒスタミン成分には、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩などがあります。
また、抗ヒスタミン成分のほかに注目したいのがメントール成分。スーッとした清涼感のある使いごこちで、かゆみの緩和に役立ってくれるでしょう。
腫れや出血がある場合は「ステロイド入り」を選ぶ
痔が腫れて痛みが強いときには、抗炎症成分入りの薬を選ぶのがおすすめです。痔の薬に配合されるおもな抗炎症成分には、ステロイドの一種であるプレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステルなどがあり、患部の腫れや炎症を抑える働きを持っています。
ステロイドが苦手な方、妊娠中や授乳中の方であれば、ステロイドが入っていない痔の薬がいいでしょう。非ステロイドの抗炎症成分には、グリチルレチン酸や生薬由来のセイヨウトチノキ種子エキスなどがあります。
出血が伴う場合は「止血成分」配合のものを
「きれ痔」や「いぼ痔」になると、排便時に強くいきんだときやスポーツなどで激しく動いたときに出血することもしばしば。
そんなつらい出血の症状には、テトラヒドロゾリン塩酸塩やナファゾリン塩酸塩などの止血成分が配合された痔の薬を選びましょう。これらの成分には、血管を収縮させて止血をうながす作用があります。
痛みやかゆみをやわらげる「局所麻酔成分」
痔によって引き起こされる痛みやかゆみの症状には、局所麻酔成分入りの痔の薬が有効です。局所麻酔成分には、リドカイン、ジブカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチルなどがあります。
局所麻酔成分は、肌や粘膜の知覚神経に作用して刺激の伝達を抑えるのが特徴です。それにより、痔の痛みやかゆみを鎮めてくれます。
痔の薬【坐剤タイプ】おすすめ4選 肛門の内側の痔に! ボラギノールなど
医療ライターの西村テツジさんと編集部が選んだおすすめの痔の薬を「坐剤」「軟膏」「注入軟膏」「内服薬」の4タイプに分けてご紹介していきます。まずは、坐剤タイプから見ていきましょう。

大正製薬『プリザエース坐剤T』は、長時間型の静止型坐剤で、抗炎症成分ヒドロコルチゾン酢酸エステル、痛みを抑えるリドカイン、止血剤塩酸テトラヒドロゾリン配合で、痛み・出血の痔におすすめです。
7つの有効成分を配合
7種類もの有効成分を配合した坐剤です。痔のつらい痛み・急な出血・腫れ・かゆみに対応しています。
肛門内に挿入後、有効成分が素早く溶け出して患部付近に長時間留まるのが特長。メントール成分が配合されており、スーッとさわやかな使用感です。
※この商品は「第2類医薬品」です。
刺激が少なくて挿入しやすい!
炎症を鎮めるプレドニゾロン酢酸エステル、痛みやかゆみを抑えるリドカイン、キズついた組織の修復を助けるアラントイン、うっ血の改善をたすけるビタミンE酢酸エステルという計4つの有効成分を配合しています。
体温で溶け出す油脂性基剤を使用しているため、肛門内へスムーズに挿入しやすいです。
※この商品は「第2類医薬品」です。
ステロイド成分を含まない坐剤
ステロイド成分を配合していない坐剤タイプの痔の薬です。非ステロイドの抗炎症成分グリチルレチン酸が、痛みやかゆみの原因となる炎症をやわらげます。
ほかにも、痛みやかゆみを鎮めるリドカイン、キズついた組織を修復するアラントイン、うっ血緩和をサポートするビタミンE酢酸エステルを配合。4つの有効成分が、肛門内側のいぼ痔や切れ痔に作用します。
体温で溶け出す油脂性基剤を使用しているので、坐剤の挿入も有効成分の放出もスムーズです。
※この商品は「第2類医薬品」です。
痛みやかゆみに長く効く!
腫れや出血を抑えるプレドニゾロン酢酸エステルなど、5つの有効成分を配合した坐剤です。痛みやかゆみを和らげる塩酸リドカインが時間差で溶け出すように設計されており、痛みやかゆみに長く効きます。
効き目が長く続くので、仕事や家事に集中したいときや、外出の予定があるとき、就寝前の使用にもぴったりです。
※この商品は「第2類医薬品」です。
痔の薬【軟膏タイプ】おすすめ5選 患部に直接塗布できる
続いて、医療ライターの西村テツジさんと編集部が選んだ、おすすめの軟膏タイプの痔の薬を5選ご紹介します。

女性のおしりトラブルにおすすめのロート製薬『メンソレータム リシーナ軟膏A』は、痛み、かゆみを鎮め、はれ等の炎症、出血も抑えます。下着に付着してしまっても、水で落としやすいベタつかない軟膏タイプです。
サラッとした軟膏でベタつかない
肛門外側のきれ痔やいぼ痔などに悩む女性向けに作られた軟膏です。痔の痛み・出血・腫れ・かゆみ・ただれをやわらげる8つの有効成分が配合されています。
サラッとしてベタつかない軟膏で、塗布したあとの不快感が少ないのも魅力。また、こちらは7歳以上の小児の場合、保護者の指導監督のもとなら使用可能です。
※この商品は「第2類医薬品」です。
デリケートな患部に塗りやすい、なめらかな軟膏
肛門外側のいぼ痔やきれ痔に適した、軟膏タイプの痔の薬です。抗炎症成分のプレドニゾロン酢酸エステル、局所麻酔成分のリドカイン、組織修復成分のアラントイン、血液循環に作用するビタミンE酢酸エステル、合計4つの有効成分を配合。痔の痛み・出血・腫れ・かゆみといった、つらい症状をやわらげます。
なめらかな油脂性基剤を使用しているため塗りやすく、デリケートな患部への刺激が少ないのも特長です。
※この商品は「第2類医薬品」です。
肛門のかゆみや痛みに素早くアプローチ!
きれ痔などによって起こる肛門のしつこいかゆみや痛み、腫れに対応した、軟膏タイプの痔の薬。かゆみを元から鎮める成分や炎症を抑える成分が素早く効いて、不快な症状を緩和します。
1日3回まで、肛門の患部へ使用が可能。ベタつきが少なく、軟膏を塗布したあと気持ち悪さを感じにくいのもうれしいポイントです。
※この商品は「第2類医薬品」です。
ひんやりクールな使用感
痔のかゆみや腫れ、ムズムズ感を鎮めたい方にぴったりなジェルタイプの軟膏です。かゆみを鎮めるクロルフェニラミンマレイン酸塩や、腫れを抑える塩酸テトラヒドロゾリンなど、5つの有効成分を配合。ステロイド成分を含まないのも特徴のひとつです。
透明でベタつかないジェルタイプで、ひんやりクールな使いごこち。塗ってすぐに、メントール成分による清涼感が感じられます。
※この商品は「第2類医薬品」です。
やわらかな軟膏でなめらかに塗れる
抗炎症成分のプレドニゾロン酢酸エステルをはじめ、痛みやかゆみをやわらげるリドカインなど、7種類の有効成分を配合した軟膏です。きれ痔(さけ痔)・いぼ痔に対応しています。
軟膏にやわらかい基材を使用しているため、塗りごこちがなめらか。デリケートな患部にもやさしく塗布することができます。
※この商品は「第2類医薬品」です。
痔の薬【注入軟膏タイプ】おすすめ5選 肛門の内側にも外側にも!
ここでは、医療ライターの西村テツジさんと編集部が選んだ、おすすめの注入軟膏タイプの痔の薬を5選ご紹介します。

天藤製薬『ボラギノールA注入軟膏』は、痛み・出血・はれ・かゆみに効く、ノズルの先端が丸みを帯びた設計のため、肛門への挿入がしやすく患部にも低刺激です。個包装で携帯もしやすいです。
使いきりで清潔に使える
ステロイド性の抗炎症成分や局所麻酔成分など、4つの有効成分を配合した注入軟膏です。痔による痛み・出血・腫れ・かゆみを緩和します。
肛門内への挿入のしやすさと、患部への刺激に配慮して、ノズル先端が丸みを帯びた設計になっているのもすぐれたポイント。また、個包装タイプなので、外出や旅行にも携帯しやすく、使いきりで清潔です。
※この商品は「第2類医薬品」です。
メントール成分でスーッと心地いい使用感
痔のつらい痛みや急な出血のほか、腫れ、かゆみにも対応した注入軟膏です。抗炎症成分、局所麻酔成分、止血成分など、合計7つの有効成分を配合しています。メントール成分も配合しており、スーッとさわやかな使用感です。
肛門内側の痔には注入、肛門外側の痔には塗布の2パターンの使い方が可能なので、自分の痔の症状に合わせて使用できます。
※この商品は「第2類医薬品」です。
4種類の有効成分を配合
痔のかゆみ・腫れを鎮めるプレドニゾロン酢酸エステルと痛み・かゆみを抑えるリドカイン、キズ口やただれた粘膜の修復を助けるアラントインなど、4つの有効成分を配合した注入軟膏。痔の症状に合わせて、注入と塗布のどちらでも使用できます。
容器のボディに商品名の文字が浮き出た部分があることによって、ボディをつまんだり、軟膏を押し出したりする際に、指がすべりにくくなっています。
※この商品は「第2類医薬品」です。
細いノズルでやさしく注入できる
痔のつらい痛みや出血、腫れ、かゆみなどの症状をやわらげる、8種類の有効成分を配合した注入軟膏です。痔の症状に合わせて、注入・塗布の使い分けができます。ベタつかない使用感も特長です。
肛門内へ注入する際の負担を減らすために、ノズル部分が6mmと細く作られています。注入軟膏がはじめての方や女性にも使いやすい設計が魅力です。
※この商品は「第2類医薬品」です。
ステロイド成分を含まない注入軟膏
妊娠中や授乳中の女性にも適した、ステロイド成分が入っていない注入軟膏です。主成分として、抗炎症作用を持つ生薬のセイヨウトチノキ種子エキスを配合。痛みやかゆみを鎮めるリドカイン、キズついた組織の修復を助けるアラントインなども配合されています。
軟膏が肛門の奥までしっかり届くように、長めのノズルを採用しているのもポイント。ノズルの先端はなめらかな形状になっており、挿入しやすくなっています。
※この商品は「第2類医薬品」です。
痔の薬【内服薬タイプ】おすすめ3選 飲んで痔を治したい人に
最後に、医療ライターの西村テツジさんと編集部が選んだ、おすすめの内服薬タイプの痔の薬を3選ご紹介します。

小林製薬『ヘモリンド 舌下錠』は、飲みこまずに舌の下で溶かして服用する、舌下錠タイプのいぼ痔用薬です。舌の裏の粘膜から有効成分が吸収され、いぼ痔の原因のいぼ内部のうっ血を内側から小さくします。
いぼ痔専用の舌下錠
繰り返すいぼ痔でお困りの方にぴったりな、飲みこまずに舌の下で溶かす舌下錠タイプです。舌の裏の粘膜から吸収された有効成分が、血流に乗っていぼ痔の根元に直接アプローチ。うっ血や腫れ、出血などの症状を鎮め、いぼ痔を根元から小さくしていきます。
舌下錠の服用方法は、舌の下で自然に溶かすだけ。急性症、一般症状、慢性症と症状に合わせた量を空腹時に舌下間で服用してください。
※この商品は「第2類医薬品」です。
3種の生薬を配合した顆粒タイプの内服薬
いぼ痔やきれ痔による痛み・出血・腫れ・かゆみなどの症状に対して、体のなかから働きかける顆粒タイプの内服薬です。有効成分として、3種類の生薬エキスと、うっ血の緩和をサポートするビタミンE酢酸エステルを配合しています。
服用回数は1日2回。1回分ずつ個包装になっているので飲みやすく、携帯もしやすいです。
※この商品は「第2類医薬品」です。
つらい痔の出血でお悩みの方に
おもにつらい痔の出血でお悩みの方に適した、錠剤タイプの内服薬です。瓶入りの商品で、1回2錠、1日2回までの服用となっています。
弱った血管を丈夫にして出血を抑えるカルバゾクロムをはじめ、患部の粘膜を正常な状態に導くビタミンB2、血行をよくするトコフェロール酢酸エステルなどを配合。いぼ痔、きれ痔の症状を緩和する乙字湯加大棗エキスも含まれています。
※この商品は「第2類医薬品」です。
「痔の薬」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 痔の薬の売れ筋をチェック
Amazonでの痔の薬の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【Q&A】痔の薬に関する疑問を解決!
妊娠中に痔の薬は使っても問題ない?

妊娠中でも使える成分とそうでない成分があります。市販薬を使う場合は、薬剤師に妊娠していることを伝えて相談してから購入しましょう。一番は、かかりつけの産婦人科の先生に相談することです。
肛門の内側に痔ができた場合、どんな薬を使えばいい?

肛門の内側にできた痔には、坐剤がおすすめです。外側にできた痔には軟膏がおすすめです。注入軟膏はどちらの場合もお使いいただけます。
医療ライターがアドバイス
痔の悩みは、肛門の外側にできるいぼ痔やきれ痔だけでなく、内側のいぼ痔や外側、内側両方に症状が出るなどさまざまです。そのため、お薬も症状や部位に合わせて使いやすいものが用意されています。
肛門の外側にできるいぼ痔やきれ痔には軟膏、内側にできるいぼ痔には坐剤、外側と内側両方の症状がある場合には注入軟膏がおすすめです。
また症状が繰り返す方には、内服薬をおすすめします。
自分の症状に合った痔の薬を選ぼう
医療ライターの西村テツジさんにお話を伺い、痔の薬を選ぶときのポイントやおすすめ商品をご紹介しました。痔の薬には、坐剤、軟膏、注入軟膏、内服薬など複数のタイプがあるので、痔の場所や症状に合わせて選ぶことが大切です。薬ごとに定められた使用回数や使用方法、使用期間の目途もしっかり守りましょう。
もし、一定期間使用しても症状がおさまらない場合や、炎症などの諸症状がひどい場合には、病院で医師の診察を受けるようにしてください。
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