ホルンマウスピースの選び方
まずはホルンマウスピースの選び方をチェックしていきましょう。元大手楽器メーカー勤務・山野辺祥子さんのアドバイスもご紹介しています。自分の使い方にぴったりのホルンマウスピースを選ぶために参考にしてみてくださいね。
「カップの形状」|音色・吹き心地を左右する
ホルンに使われるマウスピースには2種類あることをご存知でしょうか。カップの形状によってUカップもしくはVカップがあり、各々音色や吹き心地が違います。まずは、その違いを見てみましょう。
Uカップ|高音が出しやすい
Uカップは、丸みがあって温かい音色で演奏したい人にぴったりのマウスピースです。吹いたときに少し抵抗感があるのが特徴で、高音を吹きやすいという特徴があります。
一方、丸い音になりがちなので、はっきりした粒立ちのいい音を吹きたい場合は、どちらかといえば不向きでしょう。とはいえ、美しい音色で吹きたい人は多く、商品ラインナップもたくさんあるので選択肢が豊富なのはうれしいポイントです。
Vカップ|しっかりとした低音を鳴らせる
Vカップは、息の入る部分がまっすぐなので息のとおりがよく、粒立ちのよい音を鳴らしやすいマウスピースです。とくに低音をはっきり鳴らしたいときに向いています。
一方高音を鳴らしたいときは、自分で抵抗を作って吹く必要があるので吹くには技術が必要です。また滑らかに奏でたい旋律も強い音色で演奏しがちになってしまうので、そういった曲の場合は、Uカップのほうがいいでしょう。
ダブルカップ|Uカップ・Vカップのいいとこどり!
なお、UカップとVカップのメリットを兼ね備えたダブルカップというマウスピースもあります。1つのマウスピースで2つのマウスピースの強みを持っていますので、さまざまな曲に対応することができます。
浅い部分で高音を鳴らし、深い部分で低音域を鳴らすことができるので、一度チェックをしてみてもいいかもしれません。
「シャンク」は2種類|ホルンのシャンクに合ったマウスピースを選ぶ
マウスピースをホルンに差し込む部分のことを「シャンク」といいますが、ホルン用のマウスピースには「アメリカンシャンク」と「ヨーロピアンシャンク」の2種類があります。事前に、手持ちの楽器と合っているか確認しましょう。マウスピースが飛び出したり、入りすぎたりしている場合は、シャンクが合っていないマウスピースを使っている可能性があります。
「アメリカンシャンク」とは?
アメリカンシャンクは、ヨーロピアンシャンクと比べると、見た目の角度が急になっています。また、アメリカンシャンクのホルンにヨーロピアンシャンクを入れると、しっかりと奥まで入れることができずガタガタ飛び出て音程も低くなってしまいます。
マウスピースが飛び出したり入りすぎたりしている場合は、シャンクが合っていないことを疑ってみましょう。
「ヨーロピアンシャンク」とは?
アメリカンシャンクは、ヨーロピアンシャンクと比べると、角度が緩やかになっています。また、ヨーロピアンシャンクにアメリカンシャンクのマウスピースを入れると、深く入りすぎてしまい、ガタガタと安定せず、音程も高くなりすぎてしまいます。
吹きやすい内径サイズを選ぶ
マウスピースは内径のサイズによっても吹きやすさや音量が違います。一般的に内径が小さいと高音は出やすいものの音量は小さくなります。一方内径が大きいと低音は出やすく音量は大きくなりますが、吹き続けると疲れやすいです。
選び方としては、会場が大きなオーケストラで吹く人は大きいものを、ライブハウスなどで演奏するジャズ奏者は小さいものを選ぶ傾向があります。いずれにしても、自分の吹きやすいものをチェックしてみましょう。
音域や音量に合わせてスロート径を選ぶ
マウスピースのもっとも細くなっている部分を「スロート」と呼びますが、スロートのサイズによっても音域や音量が変わってきます。細く長いスロートは高音域を鳴らすのが得意であり、太く短いスロートは低音域を鳴らすのが得意です。
奏者の口の形や吹き方によって合ったものマウスピースは変わってきますが、初心者の方は、細長いスロートのマウスピースのほうが、吹きやすい傾向にあります。
カップの深さも音色や音域に関わる
最後にカップの深さにも言及しておきます。カップの深さによっても音色や音量に影響が出ます。浅いカップは明るい音色で高音域が鳴りやすく、深いカップは暗めの落ち着いた音色で低音域が鳴りやすいです。ぜひ自分の好みで選んでみてください。
なお、オーケストラやバンドで吹く場合は、周囲との音の混じり方も考慮するのもポイントです。ひとりだけこもったり、逆に前に出すぎてしまうとハーモニーを崩してしまうので注意しましょう。
レビューチェックや音の確認がおすすめ 元大手楽器メーカー勤務がアドバイス
ホルンのマウスピース選びは、求める音色や音質、奏者の唇の形や歯並びなどによっても適するものが異なってきます。
できれば試奏をしてから「これ!」というものをチョイスできればいいですが、無理な場合もあるかもしれません。そのようなときはぜひ通販サイトのレビューを確認してください。動画でプレイヤーが実際出している音を確かめることもおすすめです。
ホルンマウスピースのおすすめ8選 元大手楽器メーカー勤務の山野辺祥子さんと編集部が厳選
ここからは、元大手楽器メーカー勤務の山野辺祥子さんと編集部が厳選した、ホルンマウスピースのおすすめ商品を紹介します!
ティルツ『フレンチホルンマウスピース Mc William 2 W』は、ベルリンフィルのホルン奏者をつとめたマクウィリアム氏のモデル。著書もあるので、奏法を参考にしつつマウスピースを使用するのもおすすめです。
YAMAHA(ヤマハ)『スタンダードシリーズ(HR-32C4)』は、同社のマウスピースのなかでもスタンダードなタイプ。楽器をはじめたばかりの方でも音を出しやすいでしょう。
Musik Alexander『Alexander Mundstück 8FM versilbert』もボアやや広めの標準モデルです。

内径がやや大きいYAMAHA製マウスピース
国内大手楽器メーカーのYAMAHAから発売されているマウスピースです。加工機を使いコンピュータ制御で製造されているため、高精度に加工されています。
内径がやや大きく設計されており、吹き心地は立ち上がりがスムーズかつ音のコントロールがしやすく大音量が得られます。また、日本のメーカーのものなので、手に入れやすいという点もメリットでしょう。
純金メッキが施されたカスタムモデル
おなじみYAMAHAのダブルカップタイプのホルン用マウスピースです。口に当たる部分は厚めの純金メッキが施され、柔軟性に富んだ滑らかな口当たりが特徴です。この口当たりのよさが唇の自由な動きを実現してくれ、柔軟性のある演奏が可能となっています。
YAMAHAの同じモデルのなかではやや内径が小さいモデルで、高音域も低音域もオールラウンドに使えます。
初心者にぴったりなオールラウンドなマウスピース
1958年に開発されたこのHoltonのマウスピースは、同時に開発された6種類のマウスピースのなかで、初心者から経験者まで愛用者の多いオールラウンドに使えるマウスピースです。
レンジの広い音域をしっかりとした音量で吹くことができるバランスのよさに定評があります。初心者の方でマウスピース選びに迷ったら、このモデルを選ぶといいでしょう。

歴史あるメーカーのホルン用マウスピース
ヨーロッパ、とりわけドイツを代表する金管楽器のマウスピース専門メーカーであるティルツ社。デザインや材料の金属などすべての分野で響きのバランスを追求しマウスピースを製造しており、モデルバリエーションは1,500種類以上もあります。
このホルン用マウスピースは、ベルリンフィルハーモニーホルン奏者ファーガス・マクウィリアム氏のモデルです。バランスのいい吹き心地で定評があります。
高音から低音まで響き豊かに鳴らせるマウスピース
一世紀もの歴史があるBachのマウスピース。このホルン用マウスピースは上級者から初心者まで愛用者の多いモデルです。1万分の1インチ単位で切断された真鍮の棒を使って高精度に作られており、イントネーションにすぐれた豊かな音色には定評があります。
高音部から低音部まで反応よく響きも豊か。輝かしく雄大な音を全音域に渡って、粒立ちよく鳴らすことができます。
演奏者との研究で開発されたマウスピース
ジョセフ・クリエは、ベルリン・フィル奏者をはじめとする演奏者たちとの研究をもとに、良質なマウスピースを製作しているマウスピースメーカーです。
豊富なモデルラインナップを有しており、多くのプレイヤーに支持されています。このマウスピースは、Exclusive (エクスクルーシブ) モデルと呼ばれるJKの看板モデルです。
初心者から上級者まで幅広く支持されるマウスピース
ジョセフ・クリエのホルン用マウスピースです。演奏家たちと定期的にディスカッションされ生まれたマウスピースは、初心者から上級者まで支持を集める商品となっています。
本商品は銀メッキが施され、響きはややダークながら、密着性がよく、耐久性に定評があります。なお、このシリーズはリム/カップの違いで5種類あり、スロートサイズも6種類あるので、演奏者の弾き心地のよさに合わせた選択が可能です。
ティルツ 『フレンチホルンマウスピース シュミットモデル シュミット8』
シュミットホルン専用のマウスピース
ドイツのマウスピースメーカーであるティルツ社のマウスピース。このモデルは数多いティルツのモデルのなかでシュミットモデルとなっています。シュミットのオリジナルシャンクのみのラインナップとなるので選ぶ際は注意しましょう。
一方、シュミットのホルンを使っている奏者にとっては、まさにぴったりのマウスピースなので、ぜひ使ってみたい逸品です。
「ホルンマウスピース」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ホルンマウスピースの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのホルンマウスピースの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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自分にあったホルンマウスピースを見つけよう
この記事では、ホルンマウスピースの選び方とおすすめの商品を、元大手楽器メーカー勤務の山野辺祥子さんと編集部で紹介しました。国内外さまざまなメーカーからホルン用のマウスピースは発売されていました。なかには特定のホルンに合わせて作られたモデルもあります。
ホルン用マウスピースを選ぶにあたっては、それ自体の特徴で選ぶというよりは、まずは使用する方の演奏のしやすさが優先されます。ぜひ、お店で試奏しながら自分に合ったホルンマウスピースを選んでみてください。
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武蔵野音楽大学出身。卒業後某大手楽器メーカーの法人部に入社。 音楽教室の運営や講師指導のサポート、店舗接客、楽器セッティングなどを担当するイベントクルーとして全国を飛び回る。また、出版部に在勤中は楽譜校正、楽譜情報誌編集の経験も。 現在はピアノ講師のかたわらフリーランスライター、校正者として活動中。プライベートでは3児の母。