大人の絵本選びのポイントは? ジャンル、ストーリーとイラストがポイント
素直に惹かれる絵の作品を選ぶ
絵本専門士
絵本の絵は文章と同じくらい大切なものです
絵本の絵は「読むもの」とも言います。文章を補足するためのものではなく、文章と決して切り離せないもの。何十年にも渡って読み継がれるような絵本には、絵そのものが語りかけてくるほどの力があるのです。
そのため、ランキングや知名度にとらわれず、素直に「好き」「いいな」と思えるものを選んでみてください。きっとそれが、今のあなたに必要な何かを持っているはずです。
文が自分にフィットするか、声に出して読んでみる
絵本専門士
自分の声を耳で聞くことでより集中しやすくなります
文章を音読してみてください。もちろん、状況により難しいこともあるでしょうから、その場合は、心の中で声に出して読んでもいいでしょう。
絵本の文章は、丁寧で分かりやすいだけでなく、心地よく響くものです。その文章の持つ雰囲気やリズム、そして沈黙――それらが今の気持ちにフィットするかどうかは、声に出してみるとよく分かります。また声に出して読むと、絵本に集中しやすくなるため、絵本の世界にスッと入れます。
ジャンルや表現方法に注目、大人ならではの楽しみを見つける
絵本専門士
新しい世界観や感性を知ることができます
「絵本」というと、物語を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、そのほかにも、民話・伝説、ナンセンス、科学、ことばなど様々なジャンルの絵本があります。文字のない絵本や写真絵本、しかけ絵本など表現も多様。さらに、世界各国で出版されています。
多彩な絵本に触れることで、既知のものと改めて出会ったり、初めての感情にハッとしたり、子どもには見せられないほどブラックでシニカルな世界で遊んだり……大人ならではの楽しみを見つけることもできます。
泣ける大人の絵本おすすめ6選

『くまとやまねこ』(河出書房新社)

出典:Amazon
作・文 | 湯本香樹実 |
---|---|
絵・イラスト | 酒井駒子 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2008年 |
講談社『だいじょうぶだいじょうぶ』

出典:Amazon
作・文 | いとうひろし |
---|---|
絵・イラスト | いとうひろし |
翻訳ほか | - |
発行年 | 1995年 |
瑞雲舎『Life』

出典:Amazon
作・文 | くすのきしげのり |
---|---|
絵・イラスト | 松本春野 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2015年 |
講談社『100万回生きたねこ』










出典:Amazon
作・文 | 佐野洋子 |
---|---|
絵・イラスト | 佐野洋子 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 1977年 |
福音館書店『ラチとらいおん』

出典:Amazon
作・文 | マレーク・ベロニカ |
---|---|
絵・イラスト | マレーク・ベロニカ |
翻訳ほか | とくながやすもと |
発行年 | 1965年 |
あすなろ書房『おおきな木』






出典:Amazon
作・文 | シェル・シルヴァスタイン |
---|---|
絵・イラスト | シェル・シルヴァスタイン |
翻訳ほか | 村上春樹 |
発行年 | 2010年 |
元気が出る大人の絵本おすすめ3選

『おなかのすくさんぽ』(福音館書店)

出典:Amazon
作・文 | 片山健 |
---|---|
絵・イラスト | 片山健 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 1992年 |
疲れたときのエネルギーチャージにぴったり!
頭ばかりを使ってぼーっとしてきたら、「ぼく」と散歩に出かけましょう。
凛々しい眉に強い目ぢから、パンと張った頬のぼく。歩いていたら、動物たちが水たまりで遊んでいたから、ぼくも一緒にバチャバチャバチャン。
おまんじゅうを作ったり穴の中でまあるくなったり、イノシシもミミズも一緒です。突然くまに「きみはおいしそうだねえ」となめられたりもするんです。
ぼくのお散歩は、風と水と泥にまみれて伸びて縮んで転がって、五感をフル活用します。どこか危なげで、甘美なにおい。だんだん動物めいてくるけれど、おなかが空いたら「おうちへ かーえろ」とスッと立ち上がるのです。お見事!
あっぱれな生命力を分けてもらえます。
福音館書店『オニのサラリーマン』






出典:Amazon
作・文 | 富安陽子 |
---|---|
絵・イラスト | 大島妙子 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2015年 |
偕成社『すてきな三にんぐみ』

出典:Amazon
作・文 | トミー・アンゲラー |
---|---|
絵・イラスト | トミー・アンゲラー |
翻訳ほか | いまえよしとも |
発行年 | 1969年 |
学べる大人の絵本おすすめ4選

『クマよ』(福音館書店)






出典:Amazon
作・文 | 星野道夫 |
---|---|
絵・イラスト | 星野道夫(写真) |
翻訳ほか | - |
発行年 | 1999年 |
今すぐ野生を取り戻す旅に出る
町の中でふと感じた「おまえ」の存在――「おれ」が電車に揺られているとき、同じ空の下でぐいぐいと草をかき分けて歩いているかもしれない……。「おまえ」とはクマのことです。
「気がついたんだ おれたちに 同じ時間が 流れていることに」。堂々たるクマと広大な自然。クマのそばで過ごす作者の感覚は、どんどん自然に近くなっていきます。
たとえ実際にクマのいる場所に行かなくても、私たちには「思う」力があります。疲れたとき、息苦しさを感じたとき、同じ空の下にいるクマを思うことで得られるのは、私たちもまた生きものであるという実感なのかもしれません。
1996年に亡くなった星野道夫さん最後の写真絵本です。

『すごいぞ!ニッポン美術』(西村書店)

出典:Amazon
作・文 | 結城昌子 |
---|---|
絵・イラスト | 日本の伝統的な美術作品 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2017年 |
日本を知って、日本を伝える
日本のことを聞かれて、きちんと答えられずに恥ずかしい思いをしたこと経験はありませんか? この絵本は、直感こども美術館シリーズの1冊で、海外でも人気の日本美術を取り上げています。
「縄文のビーナス」から若冲・北斎・速水御舟といった美しく面白く繊細な作品に、「大きなおしり!」なんて思わず笑ってしまうような解説が付けられています。
肩の力を抜いてアートを楽しんでいるうちに、有名な国宝の新たな表情が見えてきます。きっとそのとき、日本人の心と文化も発見できるでしょう。
さらには、絵本というメディアの幅広さや持ち味も感じていただけるはず。絵本は物語絵本だけではないのです!

『ながいながい骨の旅』(講談社)






出典:Amazon
作・文 | 松田素子 |
---|---|
絵・イラスト | 川上和生 |
翻訳ほか | 桜木晃彦、群馬県立自然史博物館(ともに監修) |
発行年 | 2017年 |
私が今ここに来るまでの旅のお話
私たちの体の中にある骨の歴史―地球の誕生からヒトの一部になるまで―をたどる旅をしましょう。骨ができるまでの過程、進化の歴史がよく分かりますが、この旅はもっと深い感動を呼び起こしてくれます。
海からやってきた私たちが、体の中に、骨やその中で作られる血という形の"海"を持っていること。そして、赤ちゃんの頃は、母親のおなかの中の成分が原始の海ととても似ている水に浮かんでいたこと。その水の中で、生物がたどってきたのと同じ旅をして、この世界に出てきたこと。
親やきょうだいというよりも、もっと大きな単位でのつながりと不思議を思わずにはいられません。すべての"子"であるみなさんに、おすすめの1冊です。
福音館書店『生物の消えた島』

出典:Amazon
作・文 | 田川日出夫 |
---|---|
絵・イラスト | 松岡達英 |
翻訳ほか | ‐ |
発行年 | 1987年 |
考える大人の絵本おすすめ9選

『すきになったら』(ブロンズ新社)

出典:Amazon
作・文 | ヒグチユウコ |
---|---|
絵・イラスト | ヒグチユウコ |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2016年 |

『満月をまって』(あすなろ書房)

出典:Amazon
作・文 | メアリー・リン・レイ |
---|---|
絵・イラスト | バーバラ・クーニー |
翻訳ほか | 掛川恭子 |
発行年 | 2000年 |
仕事にまっすぐ、向き合う心
100年以上前のアメリカで、かごを作っては町に売りに行っていた山の職人たち。父親に憧れかご職人を目指していた「ぼく」は、町を初めて訪れたときに、自分たちがばかにされていることを知ります。
誰かに否定されたり、何もかもうまくいかなくなったり、仕事をしていると迷うこと悩むことが多くあるもの。そんなとき、あなたはどうしますか?
かご職人は語ります。「風からまなんだことばを、音にしてうたいあげる人がいる」「風は、おれたちには、かごをつくることをおしえてくれたんだ」――自分の仕事を真摯に続けることの大切さに気づき、「ぼく」はかご作りに励みます。
謙虚な気持ちを思い出させてくれる1冊です。

『どんなかんじかなあ』(自由国民社)

出典:Amazon
作・文 | 中山千夏 |
---|---|
絵・イラスト | 和田誠 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2005年 |
何かにモヤモヤしたときに
ある日、ひろくんは考えました。目の見えないまりちゃんのことを。「目が見えないって、どんな感じかなあ…」。そうして知ったのです。見えないって、たくさん聞こえるんだってことを。
きっとどんな人だって、大なり小なりそれぞれ事情を抱えているでしょう。関わり合いの多い大人になればなおのこと。
ひろくんは、そんな一人ひとりが背負っているものに目を向けながら、人を思いやることを教えてくれます。そしてラスト、ひろくんの「事情」にきっと誰もがハッとするはず。
誰かに、何かに、モヤモヤしていませんか? 余裕のないときほど、想像力を働かせてみることで、新しい何かが見えるかもしれません。

『アライバル』(河出書房新社)

出典:Amazon
作・文 | ショーン・タン |
---|---|
絵・イラスト | ショーン・タン |
翻訳ほか | 小林美幸 |
発行年 | 2011年 |
サイレント映画に魅せられるように
不穏な影の落ちる町に家族を残し、主人公は新たな土地に渡ります。そこは、一見、私たちの知る国に近いようで、謎に満ちた異世界。
『アライバル』は、文章の書かれていない文字なし絵本です。けれど、ことばも暮らしもまるで違う国で感じる、不安と孤独、新しい出会いの喜びといった感情がひしひしと伝わってきます。懸命に生きようとする人々の姿に、引き込まれずにはいられません。
そして、表紙を開くとずらりと並んでいる様々な人種・階層・年齢の顔は、この物語がファンタジーでありながら、今この現実とつながる移民の物語だと訴えかけてくるようです。大人が没頭する深くて大きな絵本の世界があります。
河出書房新社『セミ』








出典:Amazon
作・文 | ショーン・タン |
---|---|
絵・イラスト | ショーン・タン |
翻訳ほか | 岸本佐知子 |
発行年 | 2019年 |
講談社『エリカ 奇跡のいのち』

出典:Amazon
作・文 | ルース・バンダー・ジー |
---|---|
絵・イラスト | ロベルト・インノチェンティ |
翻訳ほか | 柳田邦男 |
発行年 | 2004年 |
河出書房新社『ギャシュリークラムのちびっ子たちーまたは遠出のあとで』

出典:Amazon
作・文 | エドワード・ゴーリー |
---|---|
絵・イラスト | エドワード・ゴーリー |
翻訳ほか | 柴田元幸 |
発行年 | 2000年 |
好学社『フレデリックーちょっとかわったねずみのはなし』

出典:Amazon
作・文 | レオ・レオニ |
---|---|
絵・イラスト | レオ・レオニ |
翻訳ほか | 谷川俊太郎 |
発行年 | 1969年 |
教育画劇『ぼくがラーメンたべてるとき』

出典:Amazon
作・文 | 長谷川義史 |
---|---|
絵・イラスト | 長谷川義史 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2007年 |
心が穏やかになる大人の絵本おすすめ3選

『きこえる?』(福音館書店)






出典:Amazon
作・文 | はいじま のぶひこ |
---|---|
絵・イラスト | はいじま のぶひこ |
翻訳ほか | - |
発行年 | 2012年 |
心のざわつきが穏やかになる
静かな、静かな、静かな場所。絵本の中は、自分の息遣いが邪魔になるくらい静かで、でも不思議とあたたかく感じます。そこでくり返される、小さな質問「きこえる?」「はっぱの ゆれる おと」「はなの ひらく おと」。
やわらかい色と簡潔な様々なシルエットと、ふんわりとした厚手の紙。余計なものは何ひとつなく、耳をすますたびに生きとし生けるもの、すべての音が響いてきます。星の光る音も、波の寄せる音も――。
こんなひと時をじっくりと味わえるのは大人だからこそです。
ゆっくりゆっくり目を閉じて、耳をすませてください。聞こえたときには、きっと心も静かにないでいると思います。 とても美しい絵本なので、プレゼントにもおすすめです。
あすなろ書房『急行「北極号」』

出典:Amazon
作・文 | クリス・ヴァン・オールズバーグ |
---|---|
絵・イラスト | クリス・ヴァン・オールズバーグ |
翻訳ほか | 村上春樹 |
発行年 | 2003年 |
福音館書店『旅の絵本』

出典:Amazon
作・文 | 安野光雅 |
---|---|
絵・イラスト | 安野光雅 |
翻訳ほか | - |
発行年 | 1977年 |
「大人の絵本」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 大人の絵本の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの大人の絵本の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
大人だからこそ絵本を読む時間を大切に 絵本専門士からアドバイス
絵本専門士
大人が絵本を読んでみると、子どものときとはまた違った感想を持つことがあります。それは大人が子どもと大人、両方の心と経験を持っているからです。
今の自分にピッタリの絵本に出会ったとき、その絵本からは、きっと大きなメッセージを受け取ることができるはずです。それは、困ったことをすぐに解決してくれるものではないかもしれません。
けれど、時間をかけてゆっくりと、こちこちになっていた私たちの心や体をほぐしてくれます。また、じっくり絵本を読むことで、ハッと気づかされることもあります。
大人こそ絵本を―― 自由にのびやかに楽しみましょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正が必要と気付かれた場合は、ぜひ、記事下の「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:kazuya-shibata、掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/05 コンテンツを追加更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 花島優史)
高校の国語科教員、公共図書館や学校図書館等の司書を経て、現在フリーランス。 絵本専門士・ライターとして、執筆を中心に、絵本や図鑑・日本の伝統行事の紹介、絵本講座、作文・自由研究・季節の手紙のワークショップなどを行う。 メインテーマは、「ことば」「学び」「暮らし」。食欲・物欲系の記事の執筆も多数。