短編小説ってなに?
小説には、短編・中編・長編小説がありそれぞれ明確な定義はありません。おおよそ短編小説であれば文字数400字の原稿用紙80枚程度まで、文字数にすると32,000文字程度までのものを短編小説とすることが多いようです。
長編小説であれば原稿用紙200枚以上が一般的。短編小説は文字数が短いぶん、主題が分かりやすくなっています。
短編小説の魅力をチェック
短い物語である短編小説にはどんな魅力があるのでしょうか。詳しくチェックしていきましょう。
1冊で複数の物語を楽しめる
長編小説は1冊、もしくは複数冊でひとつの物語を楽しみます。短編小説は1冊に複数の物語を楽しめるのが魅力。それぞれの小説の結末を想像しながら読み進めるのは楽しいもの。
短編小説のなかには、同じストーリーに登場する複数の登場人物が主人公になるような連続短編小説というジャンルもあります。短編小説でありながら、1つの長編小説を楽しんでいるような気分になれるのが連続短編小説です。
すき間時間に楽しめる
長編小説は何時間も何日もかけて読み終える人が多いですが、短編小説はページ数が少ないため、読み終えるのも短時間ですみます。読書の時間がなかなかとれないという人も読み進めやすいのが短編小説の魅力です。
通勤や通学の電車のなかで1話読み終えられる場合も。長編小説の途中で挫折してしまう人や飽きっぽい人にもぴったりです。
短くまとまっているので想像力をかきたてられる
短編小説はページ数が少ないため、登場人物のこまかな心理描写や背景などの描写が少なくなりがちです。読者がそれらを自ら創造する必要が出てきます。面倒に思う人もいるかもしれませんが、それを楽しみながら読むのが短編小説の魅力のひとつ。
また、短編小説でははっきりと結末をしめさず終わる場合もあります。登場人物のとある一言で終わるという手法も存在しています。
アンソロジーを楽しめる
短編小説ではアンソロジーが楽しめるのも魅力です。アンソロジーはひとつのテーマをもとに、複数の作家がそれぞれ短編を書いてまとめられたもの。同じテーマでありながらまったく異なる作風を楽しめます。
好みのテーマのアンソロジーや参加している好きな作家をきっかけに、新たに好きな作家を見つけるといった楽しみ方ができます。
専門家がアドバイス
アンソロジー作品を選ぶ
「どの作家の短編小説を選べばいいか分からない」という人は、さまざまな作家の作品が収録されたアンソロジー短編集を選ぶといいでしょう。たくさんの作家の短編作品が一気に読めるので、好みのテイストが見つかりますよ。
短編小説をジャンル別に紹介
一口に短編小説と言ってもジャンルはさまざま。司書教諭・学芸員のyokoさんのアドバイスもご紹介しています。どんなジャンルがあるのかチェックして好みの短編小説を見つけましょう。
おすすめ11選|多くの人に愛された国内外の名作
多くの人に愛される名作も短編小説で楽しめます。一度は読んでおきたい誰もが知る名作。なかなか読書に時間を割けないという人でも名作短編小説であれば気軽に手に取れるかもしれません。
長編小説を多く執筆している作家が短編小説を出している場合もあります。気になる作家の作品をまずは短編小説から楽しんでみるのもよいでしょう。
浅田次郎さんの『鉄道員(ぽっぽや)』は、とにかく泣けます。ひとつひとつの作品に重みがあるので、読後はさまざまな想いが胸にこみ上がることでしょう。短編集ですが読みごたえ抜群です。

仕事に忠実に取り組む主人公に胸打たれる
表題作は高倉健主演で映画化された作品です。第117回直木賞受賞作でもあります。幼い娘を亡くした日も、妻を亡くした日も駅に立ち続けた主人公。プライベートの悲しみを胸の奥に押すこめ、仕事に忠実に取り組む主人公の姿に胸を打たれる作品です。
「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」など8作品を収録しています。
涙なしでは読めない連続短編小説
2014年にNHK BSで佐々木蔵之介・檀れい主演でドラマ化され、2016年には朗読劇化された作品です。ずっと続くと思っていた毎日が突然断ち切られる家族の死、それに向き合う父と子の姿を中心に描かれた連続短編小説です。
登場人物や読み手それぞれのなかに存在する生と死、日常のなかの幸せについて考えさせられます。
切れ味のある都会的な作品
1984年にパリで亡くなったアルゼンチン作家、コルタサルの短編小説を10編収めた短編集です。夕暮れどきにたまたま公園で撮影した写真から、非現実が入り混じった不可思議な世界が生まれる「悪魔の涎」。
ジャズの即興演奏と薬物の耽溺にみせられたサックスプレイヤーを主人公にした「追い求める男」。そのほかにも「南部高速道路」「正午の島」などを収録しています。
8名の作家の作品が楽しめる
NHK WORLD-JAPANのラジオ番組で朗読された小説のなかから、8名の作家の作品を収録した短編集。この世ではもう会うことのない大切な人との日々など、切ない話や不思議な話がそろっています。
『仕事始め』赤川次郎、『晴れた空の下で』江國香織、『梅酒』田丸雅智など、新鋭作家の作品まで幅広く楽しめます。
太宰治の死を感じさせる短編集
毎日飲み歩いて借金を重ねる詩人の大谷は、妻と幼い子どもに貧しい暮らしをさせていました。大谷が悶着を起こした小料理屋で借金を返すためと言いながら働く妻はある思いに至ります。
表題作の『ヴィヨンの妻』のほか、『親友交歓』『トカトントン』『父』『母』『おさん』『家庭の幸福』『桜桃』を収めた短編集。どれも死の予感を思わせる作品たちです。
おすすめ11選|胸キュンする恋愛
男女の恋愛に主軸を置いた恋愛小説。長編小説であれば、それぞれの登場人物の背景や心情をこまかく描写されています。その一方で恋愛短編小説は、短い文章で胸がキュンとするエピソードやシーンをサクサク読めるのが魅力です。
いろんな胸キュンエピソードをたくさん読みたい人、1冊でいくつも楽しみたい人にぴったりなのが恋愛短編小説です。
三浦しをんさんの『きみはポラリス』は、三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛など、さまざまな愛の形を描いた作品です。登場人物の価値観をどう受け止めるかはあなた次第です。

おすすめ20選|背筋がゾクっとするミステリー・ホラー
短編小説で多いジャンルはミステリー・ホラーです。ミステリー小説は推理小説ともよばれており、殺人や誘拐、詐欺などのなんらかの犯罪が起きて解決に向かう経過が描かれます。ホラー小説は恐怖を主題としていて、読者に恐怖をあたえるよう描かれた小説です。怪奇小説や恐怖小説と呼ばれることもあります。
短編ミステリー・ホラー小説は短い文章のなかにゾクっとするエピソードや驚きのトリックが盛り込まれています。1冊でいくつものトリックやエピソードを楽しめるのが魅力です。
ミステリー好きな人は、米澤穂信さんの『満願』がおすすめ。スピード感のある作品です。伏線が繋がったとき、ゾクリとしますよ。小説に散りばめられたヒントに注意しながら、読んでみましょう。
福澤徹三さんの『怪を訊く日々』は、実話ホラー小説です。著者自ら取材したという実話の数々は、どれも背筋が凍ります。実話ならではの怖さが、この短編集には詰まっています。

おすすめ10選|世界観が楽しめるファンタジー・SF
『7分間SF』は、1話分が約7分で読めるので、通勤時間や朝読書にピッタリの作品です。話の内容も面白く、著者の草上仁さんの発想や展開に驚かされます。ちょっと不思議な話が好きな人におすすめ。
「短編小説」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 短編小説の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの短編小説の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかの小説はこちら
お気に入りの一冊で楽しい時間を
複数の物語が1冊で楽しめて、短い時間で読み終えられる短編小説は本好きの人もそうでない人も親しみやすいアイテムです。たくさんの人に愛されてきた名作から、新鋭作家による新しいテイストの作品。恋愛ものや推理小説などさまざまなジャンルの短編小説があります。
受賞した作品や映画化されている作品もありますので、それらの情報を参考にして探してみるのもよいでしょう。お気に入りの短編小説を見つけて、通勤や通学時間、休憩時間などのすき間時間を楽しい時間にしてください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
本や博物館が好きすぎて、司書教諭の免許と学芸員の資格を保有しているライター。小学校教諭と幼稚園教諭の資格も保有。 どのようなジャンルの本も幅広く読む。趣味は小説を書くことや美術館めぐり。ネイルやマッサージなど、リラックスできることが生きがい。基本的に文化系女子。世界をひとりで旅行して、暮らすように滞在するのが好き。プチミニマリストで、がんばらない家事を意識している。