天体望遠鏡とは?
天体望遠鏡とは、天体観測をするための望遠鏡です。天体望遠鏡を使えば、月のクレーターはもちろん、効率的に光を集めてもっと遠くの惑星を見ることができます。また、天体望遠鏡には、月面やその他惑星の観測、それらの撮影など用途に合わせた機種が複数存在します。
天体望遠鏡の選び方のポイント
月や満天の星空を間近に見させてくれる「天体望遠鏡」。遠く離れた星を身近に感じることができ、子どもから大人まで楽しめるアイテムです。
天体望遠鏡を選ぶときは、鏡筒の方式、架台の種類、重量など、注目しておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、目的にあった天体望遠鏡の選び方について解説します。
ポイントは下記。
【1】鏡筒の方式で選ぶ
【2】架台の種類で選ぶ
【3】倍率で選ぶ
【4】機能で選ぶ
【5】「カメラアダプター」が便利
【6】持ち運ぶなら軽量で組み立てやすいものを
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】鏡筒の方式で選ぶ
天体望遠鏡は、鏡筒と呼ばれる筒状の望遠鏡本体と架台と呼ばれる三脚部分から構成されています。鏡筒は次の3種類に大別できます。
屈折式天体望遠鏡
屈折式天体望遠鏡は、対物レンズと接眼レンズを利用するもので、扱いやすく初心者向きです。メンテナンスも不要ですが、大口径の屈折式は高価です。
反射式天体望遠鏡
反射式天体望遠鏡は、対物レンズの代わりに凹面鏡を使うもので、同口径の屈折式と比べて安くて軽いことが利点です。その代わり、光軸がズレやすく、使用前に外気になじませる必要がありますので、慣れた人向きです。
反射屈折式天体望遠鏡(別名:カタディオプトリック式)
反射屈折式天体望遠鏡は、別名カタディオプトリック式とも呼ばれ、その名の通り反射式と屈折式を合わせたような仕組みになっています。口径の割にコンパクトなことが利点です。
【2】架台の種類で選ぶ
架台は、経緯台式と赤道儀式の2種類に大別できます。最近では、見たい天体を選ぶだけで、自動的に天体の位置に望遠鏡を向けてくれる「自動導入機能付き望遠鏡」も人気です。
経緯台式
経緯台式は、上下方向と左右方向に鏡筒を動かせるので直感的に使え、価格も安いことが利点ですが、長時間星を追尾するには向いていません。
赤道儀式
赤道儀式は、地球の自転軸に対して平行な軸と垂直な軸が回転する仕組みで、つまみをひとつ動かすだけで、天体の動きにあわせて望遠鏡を追尾させることができます。そのため、長時間観察や写真撮影などに向いています。その反面、赤道儀は極軸をあわせる作業が必要で、値段も張ります。
また、モータードライブ付きの赤道儀なら、天体の自動追尾が可能です。
【3】倍率で選ぶ
天体望遠鏡の明るさは口径の大きさで決まります。口径60mmなら土星の輪がはっきりとわかり、口径80mmなら木星の大赤斑や縞模様を見ることができます。ここでは、天体に合わせて選ぶ倍率の目安についてご紹介します。
月を観るなら50~150倍
天気の良い日であれば、肉眼でも観察できる月ですが、天体望遠鏡で観ると、迫力ある姿をくっきり観察することができます。50倍の倍率で月の全体を、70倍でクレーターを、150倍以上にもなると小さな起状まで観察できます。
土星や金星などの惑星なら150倍以上
月以外の惑星を観るには150倍以上のものがよいでしょう。とくに、木星や土星といった遠い惑星の場合は、200倍以上のものがおすすめです。
星雲・星団を観るなら50倍以下
星雲や星団を観察するなら、50倍以下の低倍率がおすすめです。アンドロメダ銀河などは20倍~30倍もあれば観測できます。
【4】機能で選ぶ
続いて、天体の位置を自動で視野に導入したり、天体の動きを自動で追尾してくれる便利な機能についてご紹介していきます。
また、星を探すときに使うファインダーですが、初心者は調整不要の「のぞき穴ファインダー」を選びましょう。一方、取り付けた後に天体望遠鏡の調整が必要ですが、肉眼では見にくい星も見つけやすい「光学ファインダー」は、中級者以上だと扱うことが容易でしょう。こちらもチェックしてみてくださいね。
自動導入機能
自動導入機能は、初期設定を行うことで、目当ての天体を自動で視野に導入してくれる大変便利な機能です。この機能を使うことで、肉眼では見えない等級の天体でも正確な位置を特定することができます。
自動追尾機能
自動追尾機能は、天体の動きに合わせてモーターが作動し、鏡筒を動かしてくれます。とくに天体撮影においては、必須の機能です。自動追尾機能を使わずに撮影した場合、天体が線状に写ってしまうことになります。
【5】スマホ連動!「カメラアダプター」が便利
最近では、一眼レフやミラーレス一眼だけでなく、スマートフォンで手軽に天体を撮影することができます。ただし、普通に撮ると当然手ブレを起こしてしまいます。そんな時に役立つのが「カメラアダプター」です。
【6】持ち運ぶなら軽量で組み立てやすいものを
屋外で天体観測を行う場合は、持ち運ぶ望遠鏡の重量もしっかり確認しておきましょう。
架台の種類によって重さが異なり、経緯台は軽量で気軽に持ち運びができます。一方、赤道儀は経緯台と比べると重量があるので、屋内での使用が望ましいでしょう。
屋外へ持ち運ぶ目的での望遠鏡選びは、本体の重さだけでなく、三脚やその他付属品などすべての重量も加味するといいです。また、ネジなどが少なく、組み立てやすいものが理想です。
エキスパートのアドバイス
高倍率をうたう製品には注意
最初に説明したように、天体望遠鏡には適正倍率があります。適正倍率より高い倍率にしても、見にくくなるだけです。
製品のなかには200倍や300倍などの高倍率で安価な製品もありますが、紹介した製品と劣るものもあるため購入の際はよく検討しましょう。
大口径の天体望遠鏡は、暗い天体を見るのに適していますが、大きく重くなるので、出して観測するのが億劫になりがちです。最初は気軽に持ち出せる軽い製品を選ぶことをおすすめします。
うえで解説した天体望遠鏡の選び方のポイントをふまえて、天体望遠鏡のおすすめ商品をご紹介します。高倍率で観測をしたい方は、参考にしてみてください。
天体望遠鏡は【反射式】【屈折式】【カタディオプトリック式】にわけて紹介していきますので、見てみてくださいね。
【反射式】天体望遠鏡3選 天体望遠鏡のおすすめ
天体望遠鏡は【反射式】【屈折式】【カタディオプトリック式】にわけて紹介していきますので、見てみてくださいね。
まずは、反射式の天体望遠鏡をご紹介します。比較的安価で軽いことが利点のタイプです。
初心者から上級者まで幅広く楽しめる
自動追尾機能付きなので、初心者の方でも手軽に観測を行うことが可能です。また、反射式なので暗い星の観測に向いており、上級者の方も楽しめる望遠鏡です。
気軽に持ち運びできるので、屋内での観測はもちろん、キャンプなどアウトドアシーンでも活用するでしょう。
別売りのACアダプターを使うことで、長時間の利用やデジカメをセットして撮影もできます。

淡い星雲を観測したい中級者におすすめの高性能望遠
VIXEN(ビクセン)の中級者向け天体望遠鏡。口径130mmの反射式望遠鏡で、架台はモータードライブ付き赤道儀です。
赤道儀としては珍しくフリーストップ式で、極軸をあわせる作業もかんたんです。焦点距離は650mmで、接眼レンズは31.7m径のPL20mm(33倍)とPL6.3mm(103倍)が付属しています。架台込みの重量は15.2kgです。
大口径なので、光を集める性能が高く、星雲や星団などの淡い天体の観測に適しています。
自動導入システム「SynScan」搭載
こちらは、40,000個の天体を記憶した自動導入システム「SynScan」を搭載しています。リモコン操作も日本語対応となって、より操作しやすくなりました。また、パソコン接続がUSBとなり、専用ソフト「SUPER STAR V for Sky Explorer」(別売)を使用することで、さらにパソコンでの操作が快適に。
鏡筒・赤道儀・三脚・アイピースなどがセットになり、購入してすぐに天体観測を行うことができます。
【屈折式】天体望遠鏡5選 天体望遠鏡のおすすめ
ここからは、屈折式の天体望遠鏡を紹介していきます。屈折式はほかのタイプと比べて高価な製品が多いですが、取り扱いがかんたんなので初心者でも安心して使えます。

日本メーカーの初心者向け望遠鏡の決定版
日本の望遠鏡メーカー、スコープテックの初心者向け天体望遠鏡。
口径60mmの屈折式望遠鏡で、架台はフリーストップ式経緯台なので、初心者でも扱いやすくなっています。焦点距離は700mmで、接眼レンズは25.4mm径のK20mm(35倍)とF8mm(87.5倍)が付属していますが、31.7mm径の接眼レンズにも対応しています。
架台込みの重量も2.5kgと軽く、気軽に持ち出せます。安くてもよく見えますので、小学生が初めて使う天体望遠鏡としてもおすすめです。
持ち運びに便利なバッグつきの天体望遠鏡
ビクセンの初心者向け天体望遠鏡です。上下左右に動かせる経緯台には、微動ハンドルがついているため目的の星にしっかりとレンズを向けることが可能。鏡筒にはアクロマートレンズを採用しているため、木星のリングまでしっかりと観測することができます。
3.3kgとコンパクトで持ち運びに便利なバッグつきです。キャンプでの夜間の星の観察にもぴったりです。

惑星を高倍率で見たい初心者におすすめ
VIXEN(ビクセン)の初心者向け天体望遠鏡。口径80mmの屈折式望遠鏡で、架台は経緯台となります。微動装置付きのフリーストップ式なので、大まかに位置を合わせてから、目的の天体を視野に入れやすくなっています。
焦点距離は910mmで、接眼レンズは31.7m径のPL20mm(46倍)とPL6.3mm(144倍)が付属しています。架台込みの重量は約9kgで、ミニポルタ A70Lfに比べると2倍近くになっていますが、その分安定性も高くなっています。
中学生から大人まで、特に木星や土星などの惑星を高倍率で見たい人に向いています。
子どもでも安心して使える!
機能が充実していながら、初心者や子どもでも扱いやすい天体望遠鏡です。三脚は最長130cm、最短83cmまで高さ調節が可能です。
持ち運びに便利なサイズなので、アウトドアシーンでの天体観測で活躍してくれます。また、スマホアダプターが付属しており、天体望遠鏡に映った景色を楽しめるので家族や友人との観測にも適しています。

大口径ながら低価格で買える入門モデル
アメリカの光学機器メーカーミードの初心者向け天体望遠鏡。
口径が90mmの屈折式望遠鏡で、架台は微動装置付きフリーストップ経緯台で、向きの微調整がしやすくなっています。焦点距離は600mmで、接眼レンズは31.7mm径のMA26mm(23.1倍)とMA9mm(66.7倍)、MA6.3mm(95.2倍)が付属するほか、倍率を2倍にできる2倍バーローレンズも付属。
ドットサイトファインダーも見やすく、初心者向き。架台込みの重量は5.34kgと軽く、気軽に持ち出せます。コストパフォーマンスを重視する方におすすめです。
【カタディオプトリック式】天体望遠鏡3選 天体望遠鏡のおすすめ
最後に、コンパクトで屋外などへ持ち運びしやすいことが特徴であるカタディオプトリック(反射屈折)式の天体望遠鏡を紹介していきます。

自動導入機能付きで操作がかんたん
アメリカの光学機器メーカーCelestronの自動導入機能付き天体望遠鏡。口径127mmのカタディオプトリック式望遠鏡です。
焦点距離は1,500mmと長く、接眼レンズは31.7mm径の25mm(60倍)と9mm(167倍)が付属しています。
ハンドコントローラーには約4,000の天体の情報が入っており、見たい天体を指定するだけで、自動的にその天体の方向に望遠鏡を向け、その後もずっと追従してくれるので、プラネタリウム感覚で天体観測が楽しめます。
コンパクトでパソコンとの連動も可能
日本語を含む13か国語から言語が選択できるハンドコントローラーが付属しており、天体情報とともに観測を楽しむことができます。
また、別売のソフトを使用すれば、パソコンと連動して使用することも可能になります。コンパクトで持ち運びも便利なので、さまざまなシチュエーションでの活用が期待できる天体望遠鏡です。
小型車でも安心して持ち運べる小型望遠鏡
オレンジ色が目を惹くセレストロンの天体望遠鏡は、機能が充実しており、上級者はもちろん初心者の方でも安心して使用することが可能です。
三脚部分はコンパクトにまとめることができるので、小型車の荷台にも積みやすく、ほかの荷物の邪魔になりにくいです。組み立てもかんたんですばやくできるので、気軽に天体観測を楽しめます。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 天体望遠鏡の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での天体望遠鏡の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
天体観測をより楽しむための星座情報
天体観測に欠かせない星座の情報についてご紹介します。
天体観測をする際は、事前に星座の情報について知っておくとより観測を楽しめます。星座にはたくさんの種類があり、季節ごとに観測できるものも異なります。
たとえば、春にはしし座やかに座、夏は夏の大三角形と呼ばれること座・わし座・はくちょう座などが見られます。秋や冬の寒い季節になると、ペガサス座や冬の大三角形などが見られます。
観測を行う時間帯や場所によって星座の見える位置も異なり、星空と一緒に月や火星などの惑星の観測ができることもあります。季節ごとの星座情報を知って、より楽しく天体観測を行ってみるとよいでしょう。
星に関連する記事はこちら
まとめ
月や満天の星空を間近に見ることができる、天体望遠鏡の選び方とおすすめ商品をご紹介しました。いかがでしたか?
天体観測は子どもにも大人にも人気があり、子どもや初心者でも使いやすい価格帯のものや高額なものまでさまざまです。最初は安価なオーソドックスなものからはじめてみるのも◎。ある程度知識のある方は、自分が使う機能が付いているか、興味のある機能が付いているか、で選びましょう。
使いやすい天体望遠鏡を見つけて、月や星座などをじっくり観察してみてくださいね。
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