赤川次郎はどんな作家?
赤川次郎は1948年生まれ、福岡県福岡市出身の小説家です。桐朋高校を卒業後、会社員として働きながら小説の執筆を続けていました。1975年には、テレビ朝日のドラマ「非情のライセンス」のシナリオ募集で入選。1978年には「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビューを果たしました。
「三毛猫ホームズ」シリーズのヒットにより、30歳で専業作家に。数々のベストセラー作品を世に送り出しています。
赤川次郎作品の魅力とは
発行部数もさることながら、作品数も多い赤川次郎の小説は、ジャンルの幅も広いです。どの作品も登場人物や舞台が異なり、性別や世代を超えてあらゆる人が楽しめます。とくに人気のジャンルはコメディ要素も散りばめられたミステリー。ライトでユーモアがあり、読みやすいです。
また、シリーズものが多いのも特徴です。成長や変化なども感じられるため、読み続けたくなるおもしろさがあります。映像化されている原作小説も多く、小説を読まない人が知っている作品もあるでしょう。
赤川次郎が書いた作品の数は?
赤川次郎は執筆ペースが速いことでも知られている作家です。多いときでは年間24冊も出版されました。2019年時点では年間10冊ほどを出版し、累計620冊の作品を手がけています。2015年には累計発行部数が3億3000万部を突破。
シリーズものも長く続く作品が多いため、赤川次郎の小説にはまった読者は、飽きずに何年も読み続けられそうです。
赤川次郎の小説の選び方
赤川次郎の作品数はとても多いので、どれを読もうか迷ってしまうでしょう。そこでまずはの選び方をご紹介します。司書教諭・学芸員であるyokoさんのアドバイスも参考にしながら、読んでみたい一冊を選びましょう。
【1】続けて読みたくなる「シリーズ」作品
赤川次郎の小説はシリーズものが多くあります。登場人物の成長や、関係性の変化が見られるのも、シリーズものの醍醐味です。作品の世界観が好きなら、シリーズがあれば何冊でも楽しめます。
代表作として知られているのは、猫と刑事のコンビが織りなす「三毛猫ホームズ」シリーズ。作品誕生から50年を超えて、53冊が出版されました。
ほかにも家族を中心に描かれる「早川一家」や「三姉妹探偵団」、「三世代探偵団」、時代ものの「鼠」、主人公が現実と同じく年齢を重ねていく「杉原爽香」などさまざまなシリーズ作品があります。
【2】ミステリー、青春……どんな「ジャンル」が好き?
作品数が多い赤川次郎の小説は、ジャンルも幅広いです。人気なのは推理小説やミステリー。軽妙なタッチの作品が多く、読みやすいです。シリアスな展開の作品は読みごたえがあります。
10代が主人公で、学校を舞台とした青春ストーリーも。さらに現実からは離れたファンタジー、目が離せなくなるサスペンスやホラー、江戸の町を描く時代ものなど盛りだくさん。どんな人でも気に入る作品があるはずです。
【3】「メディアミクス」作品がたくさんある
小説を原作として映画やドラマ、ゲームになるなど、メディアミクスされている作品が多いです。世代を超えて知られているのは「セーラー服と機関銃」。小説なら自分のペースで読めます。ふだんは小説を読まない人でも、映画やドラマを観て気になったら、原作を読んでみるのもいいでしょう。小説を読んでから、映像を見るとイメージもつかみやすいです。
また長く活躍している作家なので、過去に映像化されて、新たにリメイクされる作品もあります。小説との違いや、時代の変化をメディアミクス作品から知るのも楽しみ方のひとつです。
【4】「文学賞」の受賞作で選ぶ
シリーズやジャンルを絞っても選びきれないときは、文学賞を受賞している作品を選ぶのもひとつの手です。世間にはおもしろい小説があふれていますが、文学賞に選ばれるというのはいわば選抜。作品としての完成度の高さやおもしろさに太鼓判が押されているようなものです。
赤川次郎はデビュー作で新人賞を受賞しているので、まずは最初の作品を読んでみてもいいでしょう。
【5】「作品の長さ」をチェック
赤川次郎の小説には短編集もありますが、長編が多いです。読む時間が限られている人は、1話で完結する短編が読みやすいでしょう。
ただ読みやすい文章なので、長編でも苦になりません。読み応えがあり、世界観にどっぷりとつかれるのも長編の魅力です。長編の場合はページ数を確認して、読めそうかどうかを考えてみましょう。
【6】ターゲットとなる「読者層」は?
小説は子ども向けと大人向けがありますが、赤川次郎の作品は読みやすい文章なので、どんな世代でも読みやすいです。10代の登場人物が多く出てきたり、学校が舞台になっていたり、青春をテーマにしたりする作品は同じ世代の子どもたちに読みやすいでしょう。
大人向けの小説でも、ライトでユーモアのある物語は子どもにとっても魅力的です。大人だからこそ読みごたえがある、恋愛やサスペンスなどの題材もあります。作品のストーリーや世界観をチェックして、読者層が自分にマッチするかどうかも、選定の基準にしましょう。
同世代の主人公、かつ長編を選ぶ 司書教諭・学芸員がアドバイス
赤川次郎さんの作品は、スラスラとライトに読めてしまうのが魅力の一つです。ある程度小説を読みなれている人なら、長編も難なく読めるでしょう。中高生にもおすすめです。同世代の登場人物が出てくる作品を選ぶと感情移入しやすいですよ。
赤川次郎のおすすめ17選
たくさんある赤川次郎の小説のなかから、人気があり、ベストセラーになっている作品をご紹介します。シリーズものだとしたらどんな舞台や登場人物なのかをチェック。好きなジャンルなのか、またジャンルのなかでも恋愛やホラー要素が入っているなど、作品ごとに個性があります。映画やドラマなどの原作であれば、映像を見てから小説を読むのもひとつの手。
ストーリーを中心にどのような作品なのかを解説するので、ぜひ選ぶときの参考にしてください。
『三毛猫ホームズの推理』は、ホームズという名の猫と、刑事の片山という男性のコンビが活躍する作品です。ライトな文体で読みやすいのですが、事件の内容自体は割とハードです。

一匹とひとりの名コンビが誕生!
ベストセラーにもなっている「三毛猫ホームズ」シリーズの第1作目。主人公はなんと猫です。優雅できりっとした顔立ちで、ときどき物思いにふける猫の名前はホームズ。
相棒となるのが刑事の片山です。背が高く童顔な彼は、血が苦手で、酒に弱く、女性恐怖症と頼りない存在。まったく違う一匹とひとりが出会い、難事件を解決に導いていきます。ドラマ化もされました。恐ろしいだけでなく、楽しく読めるのが「三毛猫ホームズ」シリーズの魅力です。
『三姉妹探偵団』は、姉妹のセリフの掛け合いがとても面白いです。テンポが良く、ユーモアもあって、思わずくすりと笑ってしまいます。児童文庫感覚で読めるので、中学生にもおすすめです。

魅力的な三姉妹のユーモアミステリー
それぞれ違った魅力を持つ三姉妹が事件を解き明かすシリーズの1作目です。三姉妹は火事に見舞われてしまいます。なんとか自宅から逃げるも、焼け跡からは若い女性の焼死体が発見されて……。頼りにしている父親は出張中。つまり三姉妹が事態を切り抜けるしかありません。それぞれの魅力をいかし、事件解決へと導いていきます。ユーモアもあるミステリーなので楽しく読み進めていけるでしょう。
映画化やドラマ化されていて、一部の作品では三姉妹から四姉妹に変更されています。
代表作の一つとも言える『セーラー服と機関銃』は、初めて赤川作品を読む人にもおすすめ。何度も映画化されています。波乱万丈な運命に巻き込まれる女子高生の泉から目が離せませんよ。

セーラー服の女子高生が組長に
映画やドラマで知っている人も多い作品。原作の小説は大ベストセラーです。
父親を殺された女子高生・星泉は、組員が4人しかいないヤクザの組長になってしまいます。組長になってから、泉のマンションが荒らされたり、事務所に機関銃が撃ち込まれたり、波乱に巻き込まれてしまい……。泉は組長として、セーラー服で立ち向かいます。続編も出ています。
教養センターで起こる講師連続殺人事件
猫と刑事がコンビの「三毛猫ホームズ」シリーズ、2作目です。舞台が教養センターとなり、新たなミステリーが開幕します。
血もお酒も女性も苦手な刑事・片山の妹、晴美は教養センターの受付嬢に。高い授業料を払って、すべての講座を受講する金崎沢子という女性があらわれた途端、講師が次々と殺される事件が起こります。しかし、本物の金崎沢子は2年前に亡くなっていて……。またも猫のホームズと、頼りない刑事の片山、さらには猫ぎらいの石津刑事も加わり事件の謎を追います。2作目もドラマ化されました。
事件の渦中にいるのは猫、追うのも猫
「三毛猫ホームズ」シリーズの3作目は猫がたくさん登場します。舞台は西多摩のニュータウン。子どもが次々と事故に遭っている不審な状況が続いていました。ついには猫屋敷に住む女性が11匹の猫と一緒に殺されてしまう事態に。さらに殺人事件は続きます。
もちろん事件を解くのはよく考える猫のホームズと、苦手なことが多すぎる刑事の片山。被害者も猫、謎を解くのも猫、猫尽くしの長編ミステリ-です。
新人賞も受賞した鮮烈のデビュー作
「幽霊列車」は赤川次郎のデビュー作です。山間にある温泉町に向かう列車で、乗客8人が消えてしまう事件が発生。中年の宇部警部が聞き込みをしていると、行く先々で推理マニアの女子大生と鉢合わせます。いつしか2人はコンビとなり、事件を追うことに。
オール讀物推理小説新人賞を受賞した作品です。続編もあり、シリーズ化もしています。ドラマ化もされ、ゲームにもなるなどした話題作。すべて合わせて5つの作品が収録されている短編集です。
5人家族の招待は犯罪一家!?
「早川一家」シリーズの1作目です。早川家は5人家族で母が泥棒、兄が殺し屋、妹が詐欺師、弟が警察官。そんな全員の秘密を知る圭介は弁護士をしています。謎の石油王がダイヤ・コレクションを持って日本に帰国したことから、家族が自分の目的のために動き出して……。圭介は家族が犯罪に手を染めるのを阻止しようと奔走します。
家族が事件に巻き込まれたり、巻き起こしたりする、長編ユーモアミステリーです。
祖母、母、娘の三世代による痛快ミステリ
祖母、母、娘によるミステリー小説「三世代探偵団」シリーズの1作目です。
主人公は女子高生の有里。天才画家の祖母と、生活力がまったくない母と3人で暮らしています。有里が出演する舞台で母の代役女優が殺されてしまい、死に際で彼女が口にしたのは母の名前。さらに有里が通う学園で大スキャンダルが起こるというウワサもあり……。ふたつの事件にはつながりがあり、三世代が謎を追うことになります。
個性豊かな三世代による痛快ミステリをお楽しみください。
不思議な火災と残された指の正体は
天才画家の祖母、おっとりとした母、女子高生の娘でおくるミステリーの「三世代探偵団」シリーズ、4作目にして新刊です。
祖母や母と暮らすうち、しっかり者になっていった女子高生の有里。映画のプレミア会場で出会った矢ノ内香から、両親を不思議な火災で亡くし、頼りにしていた恩師から裏切られた話を聞きます。さらに香のカバンには、切断された指が入っていて……。指は誰のものなのか、不思議な火災の真相とは、三世代がまたもや謎を追います。
森に幽閉されていた美少女と連続殺人事件の関係は
書き下ろしの長編ミステリー作品。父親から「ガラスの人形」と呼ばれていた美少女は、森の奥に幽閉されていました。大都会では次々と殺人事件が起きます。美少女と事件の関係とは。
物語は息もつかせぬ勢いで進みます。赤川次郎作品は明るくコメディ要素も取り入れたものが多いですが、シリアスなサスペンスを味わいたいという人に読んでほしい一冊です。
17歳の名探偵が学園の謎を追う
17歳の女子高生が名探偵となり、事件を追う青春サスペンス・ミステリー。とある学園の女子高生3人が、立ち入り禁止の教室を訪れて、いたずらをしようとしていました。しかし、3人は全員が謎の死を遂げてしまいます。クラスメイトの死を不審に思った結城真知子は調べはじめますが、彼女にも恐怖の影が忍び寄り……。
学園を舞台とした作品は、映画化もされています。
いないはずの姉の声が聞こえる、青春ファンタジー
亡くなったはずの姉の声が頭のなかで聞こえるようになり、奇妙な共同生活をするようになった千津子。姉は17歳で亡くなってしまい、妹である千津子もいつかは姉の年齢を超えてしまいます。姉はいつまで一緒にいてくれるのか……。
ふたり姉妹のほろ苦く、切ない青春ファンタジーです。出版後には大ヒットし、160万部のベストセラーに。映画やドラマにもなり、のちに続編の「いもうと」という作品も出版されています。
愛していれば、奇跡は起きる
人間ドラマや恋愛を描いた小説です。バスの転落事故で、多くの人が湖に沈み、亡くなってしまいました。ところが、いなくなったはずの人たちが愛する人に会うため、午前0時に戻ってきて……。生きていくことの切なさや、愛することの尊さを描ききったファンタジー作品です。
今作を原作とした「あした」というタイトルの映画も制作されています。
森はすべてを見ていた
ホラーが好きな人には、赤川次郎が初期に書いた、サスペンス長編が気に入るかもしれません。深い森の果てに、かつて名医と呼ばれた老人がひとり山小屋で暮らしていました。ある日、足を撃たれた男がやってきます。男は連続少女暴行事件の容疑者として追われている人物でした。人ぎらいだった老人ですが、なぜか男をかくまいます。山小屋には小包がいくつも届いていて……。
なぜ容疑者である男を受け入れたのか、黒い森はすべてを見ていました。得体の知れない森に飲まれるように、ページをめくるたびにホラーの沼にはまっていくでしょう。
極限状態の人を夜が襲う
極限に陥った人間の恐怖と混乱を描く、パニック小説です。とある町が大地震に見舞われ、15軒の家が孤立してしまいました。日が暮れると光がなくなり、夜の闇が町を包みます。閉鎖された極限状態が、人々の精神を蝕んでいくことに。さらに人間ではないものが、次々に人を襲います。
目をそらしたくなるような展開ですが、目を離せなくなる作品です。
盗賊が江戸の町を守る
赤川次郎がはじめて手がけた時代小説です。江戸庶民の心の動きをていねいに描き、シリーズ化もされています。
江戸の町でウワサになっている盗賊「鼠」の正体は、遊び人の「甘酒屋次郎吉」。盗賊ですが、正義にこだわり、事件に首を突っ込もうとします。なぜなら大好きな江戸の町を守りたいから。妹で小太刀の達人・小袖もが相棒となり、江戸で巻き起こるいろんな事件を追います。時代劇のドラマ化もされました。
主人公とともに年齢を重ねていくシリーズ
読者とともに、主人公も年齢を重ねる「杉原爽香」シリーズの1作目。1988年に発行されたとき15歳だった主人公は、現実と同じように年を取り、大人になっていきます。10代から大人になっても、読み続けたくなる作品です。
主人公の杉原爽香は15歳。学校の教室で、親友の久代の遺体が見つかります。久代のそばには、若草色のポシェットが落ちていました。思春期を駆け抜けるミステリーです。
「赤川次郎」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 赤川次郎 の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの赤川次郎 の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
推理小説や青春小説もチェック!
あなたが読みたい赤川次郎は見つかった?
赤川次郎の小説はとにかく作品数が多く、ジャンルも幅広いので、どれを読もうか迷ってしまう人も多いはず。どれも魅力的なので、自分が気になるものがあれば、ぜひ読んで見てください。楽しい読書体験が待っているはずです。
シリーズものならたくさんの作品を楽しむことができます。どれが自分に合っているかわからないときは、受賞作や読者層のチェックも選び方のひとつ。ご紹介した小説で、あなたの気になる一冊を、一冊といわずいくつも見つかれば幸いです。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
本や博物館が好きすぎて、司書教諭の免許と学芸員の資格を保有しているライター。小学校教諭と幼稚園教諭の資格も保有。 どのようなジャンルの本も幅広く読む。趣味は小説を書くことや美術館めぐり。ネイルやマッサージなど、リラックスできることが生きがい。基本的に文化系女子。世界をひとりで旅行して、暮らすように滞在するのが好き。プチミニマリストで、がんばらない家事を意識している。