アガサ・クリスティーとは
アガサ・クリスティ―は、1890年生まれのイギリスの女流作家です。
子どものころに「インフルエンザに罹った際読む本がなくなったことから自分で創作活動をはじめた」といわれ、出版社に作品を送り続けていました。長く不採用が続いていましたが、1920年に「スタイルズ荘の怪事件」が出版され、以後続々と素晴らしい作品を執筆しています。とくに「アクロイド殺人事件」はミステリー小説として「フェア」か「アンフェア」かの物議が巻き起こったことから、アガサ・クリスティ―の名前が知られるようになりました。
アガサ・クリスティ―自身も一時期謎の失踪事件を起こしたこともありますが、その真相は明らかになっていません。
1976年に静養先で、惜しまれつつ亡くなりましたが、作品はいまも色あせることなく世界中で愛されています。
アガサ・クリスティーの作品が愛される理由
一説によると、アガサ・クリスティ―の作品は、世界中の100以上の言語で20億冊以上刊行されているともいわれています。「ミステリーの女王といえばアガサ・クリスティ―」を思い浮かべる人も多いでしょう。
第一次世界大戦中、篤志看護師として働いた経験があり、その際に薬剤師の補助を行なっていたために、毒薬に関する知識を得たといわれています。
アガサ・クリスティ―の作品は、あっと驚くトリックを使ったものが多く、最後の行まで気が抜けない作品ばかりです。
また、ミス・マープルやポアロなど、人間的にも魅力的な探偵が活躍しているのも読者の心をつかんで離さないポイントです。
映像化されているものから選ぶ 司書教諭がアドバイス
「海外の小説は情景や人物像がイメージしづらくて苦手」という人もいるでしょう。そのような人は、映画などの映像化されている作品から選ぶのがおすすめです。最初に映像を見て、イメージを膨らませた後に読むと、スムーズですよ。慣れてきたら、映像化されていない作品にもチャレンジしてみましょう。
アガサ・クリスティー作品おすすめ17選 司書教諭・yokoさんと編集部で選ぶ
ここからは、アガサ・クリスティー作品のなかで、とくにおすすめをご紹介します。気になるものがあればぜひチェックしてみてくださいね。
アガサ・クリスティーの代表作のひとつ、『オリエント急行の殺人』。名探偵ポワロが、事件の解決に臨みます。ミステリーの名作中の名作。映画化もされているので、小説、映像の両方が楽しめます。

アガサ・クリスティ―作品の代表作ともいえる作品
真夜中、猛吹雪のなかを走っていたオリエント急行が非常停止します。夜が明けてみると、乗客のひとりが複数カ所刺された刺殺体で発見されました。たまたま乗り合わせていたポアロは、事件解決に向けて動き出します。
アガサ・クリスティ―自身がオリエント急行の大ファンであり、考古学者である夫に同行して中東に向かう際に乗車をしています。そのため、車内の描写についてもとても詳細に描かれています。
何度も映画化やドラマ化された作品なので、そちらを見てから小説を読んでもいいでしょう。
『そして誰もいなくなった』は、アガサ・クリスティーの作品のなかでも最高峰のミステリー作品です。意外な真相に「まさか!」と驚きますよ。読みやすく、読書好きの中高生にもおすすめ。

いまなおミステリーの頂点に輝く作品
性別・年齢・職業がばらばらの10名の男女が招待状により孤島に集められました。外部と連絡がとれないなか、ある童謡に沿うように、次々と殺人が行なわれます。
アガサ・クリスティ―作品のなかでもっとも人気のある作品です。アガサ・クリスティ―自身も、自分の作品のなかのお気に入り10作に入るといっているほどです。また国内外のミステリーランキングで首位を獲得しているなど、古さを感じさせない魅力が詰まった作品です。
一通りアガサ・クリスティーの作品を読破したなら、『アガサ・クリスティー自伝(上・下)』も読んでみましょう。彼女の半生を知れば、より深く小説を楽しめます。イギリス文学を勉強している人にもおすすめ。

これぞアガサ・クリスティーの傑作
この自伝は、1890~1966年までのアガサ・クリスティーの半生を書き出しています。そのためアガサ・クリスティーのすべてを知ることはできません。(没年は1976年)
しかし、死後に発表されたこの自伝を読んだファンは口をそろえて「彼女の作品のなかでもっともすぐれた作品だ」と高評価しています。
結婚や離婚、母の死などプライベートなテーマだけではなく、ポアロ誕生秘話など作品に関する内容も盛りだくさんです。
この小説は、ミステリーとしてフェアかアンフェアか
村に住む富豪の未亡人が睡眠薬の過剰摂取により遺体で発見されます。彼女と結婚すると噂になっていたアクロイドも刺殺体で発見されます。アクロイドから、死亡した未亡人が前夫を殺害し脅迫されていたことを聞かされた「わたし」は、村に移住してきたポアロと知り合い、助手として捜査にかかわるのでした。
この作品は、ミステリーファンのあいだでフェアかアンフェアか物議をかもすことになり、一躍アガサ・クリスティ―の名前を世に広めることになりました。
車窓越しに見た殺人は夢の続き?
電車のなかでうたたねをしていた女性がふと目を覚まし、窓のそとを見ると別の列車が並走しているのに気づきます。彼女が驚いたのは、並走している列車のなかで、男性が女性の首を絞めようとしているからでした。ミス・マープルに相談するものの、被害者も容疑者も遺体も見つかりません。
アガサ・クリスティ―作品の人気シリーズ・ミス・マープルシリーズの長編7作目であり、代表作です。
イニシャルにそった連続殺人
ポアロのもとに「6月21日、アンドーヴァーを警戒せよ」と挑戦状が届きます。そして、Andover(アンドーバー)でイニシャルがA.Aの老婆が殺されます。同様にBの街でB.Bがイニシャルの娘が、Cの街でCのイニシャルの文字の紳士が殺されます。
ポアロシリーズ11作に当たる長編作品です。2012年に週刊文春が行なった「東西ミステリーベスト100」で62位になるなど、根強い人気がある作品です。
冒険心にあふれる人気コンビ
幼馴染のトミーとタペンスは、ひさしぶりに再会し「ヤング・アドベンチャラーズ」という探偵事務所を開設しました。怪しげな依頼からふたりは国家規模の機密文書争奪戦に巻き込まれることになります。
ポアロやミス・マープルと並ぶ、アガサ・クリスティ―の人気シリーズ「トミーとタペンスシリーズ」の1作目です。のちに夫婦となるふたりの痛快な活躍が楽しめます。
クルーズ船という密室で行われた殺人
ナイル川をクルーズしている遊覧船のなかには、1組の新婚カップルと、そのカップルを付け回す女性が含まれています。その女性は、新婚夫婦の男性の元婚約者で、新婦に深い恨みを抱いていました。たまたま居合わせたポアロは新婦より女性を説得するよう依頼されますが、ある夜新婦が銃殺される事件が起こります。
アガサ・クリスティ―自身が、夫の仕事に同行した際に経験したナイル川クルーズにインスパイアされて生まれた作品です。「海外旅行もののなかでいい作品のひとつ」というほどの自信作です。
聞きなれた童謡になぞらえた作品
殺された会社社長のポケットのなかにはなぜかライ麦が詰められていました。その後、第2・第3の殺人が続きます。第3の被害者が、ミス・マープルの教えた元メイドであったことから、憤った名探偵ミス・マープルがいよいよ捜査に乗り出します。
本作は、ミス・マープルシリーズの長編6作目に当たります。「そして誰もいなくなった」と同様、マザーグースの童謡になぞらえた「見立て殺人」が本作の大きな特徴です。
探偵としての一線を越えてしまったポアロ
旧友のポアロの招きを受けて、その住居に向かうヘイスティングズ。そこでポアロから5つの殺人事件を提示される。関連性がなさそうなそれらの事件の真犯人が、ポアロの住むスタイルズ荘に滞在していることを告げ、犯人の名を告げずに捜査するよう依頼する。
原題「Curtain: Poirot's Last Case」が示すとおり、ポアロシリーズの最終作です。当初は、アガサ・クリスティ―の遺作として発表する予定でしたが、出版社の熱意に負け生前に出版。しかし、翌年にアガサ・クリスティ―は亡くなっています。
ポアロとミス・マープルが同時に楽しめる1冊
舞踏会のさなか、男性の刺殺体が発見されます。翌朝には、男性の婚約者が薬物中毒で亡くなっているのが見つかりました。ふたりは舞踏会中にケンカをしていたという証言があり、婚約者は途中で帰っています。このふたつの事件に関連性があるのか、難航しそうな事件に、ジャップ刑事はポアロに捜査の依頼をします。
ポアロとヘイスティングズコンピが活躍する短編11作と、ミス・マープル作品が1作、怪奇小説が1作収録された短編集です。アガサ・クリスティ―作品をこれまで読んだことがない人におすすめする1冊です。
ミス・マープルの記念すべき第1作目
セント・メアリ・ミード村の牧師館で、土地の名士が死んでいるのが発見されました。最初、牧師が犯人だと疑われましたが、その村に住む画家の青年が自首します。さらに、被害者の妻も自首したため、捜査は振り出しに戻ります。
邦題として「ミス・マープル最初の事件」(創元推理文庫)とつけられているものもあるとおり、ミス・マープルのデビュー作です。ミス・マープル以外にも、シリーズに登場する人物も何人か登場しているので親しみやすいでしょう。
衆人環視のなかで行なわれる殺人
地方紙の広告欄に掲載された「予告殺人」のお知らせを見たミス・マープルを含む村人たちが、予告された日時に指定されている場所に集まりました。そこで暗闇のなか銃声を耳にします。殺されていたのは、ホテルの従業員でした。
江戸川乱歩が、自身の好きな作品ベスト8に選ぶなど、アガサ・クリスティ―ファンのなかでも人気の高い作品です。
バカンス先でもポアロは休めない
避暑地でバカンスを満喫していた女性が殺害される。宿泊先の客と関係を持っていたとの情報から容疑者が挙げられるが、いずれもしっかりしたアリバイがあり、捜査が難航する。ポアロのいった「白昼の悪魔」とは?
宿泊客のなかに居合わせた休暇中のポアロが、解決へ導く長編です。シリーズでは20番目の作品になります。
戦争が色濃く影を落とした作品
第二次世界大戦中のイギリスが舞台。ナチスのスパイの正体を探るという密命を受けたトミーは相棒であり妻であるタペンスを騙して任務に取り掛かろうとします。しかしタペンスが素直に騙されるわけがありません。結局ふたりで、任務にかかることになります。
トミーとタペンスシリーズの長編2作目になります。第1作目「秘密機関」から年月がたち、結婚して空軍に所属する子どもがいる年代のふたりのスリルたっぷりのストーリーです。
アガサ・クリスティ―自ら手掛けた戯曲が上演された
夫殺しの罪をかぶせられて、獄中で亡くなった母の遺書を読んだカーラは、母の無実を信じてポアロを訪ねます。マザーグースの童謡「五匹の子豚」と符合する関係者の話を聞くうちに、過去へさかのぼり、真実が明らかになります。
本作には、アガサ・クリスティ―自身がアレンジを行なった戯曲「Go Back for Murder(もう一度殺人を)」(1960)があります。実際にロンドンで演劇として上演されました。ただしそちらは、ポアロが登場していません。戯曲も邦訳されて出版されているため、読み比べてみるのもおもしろいでしょう。
女性心理の描写にも注目したい作品
婚約中だったロディ―をとられたことでメアリを殺したと、エリノアが逮捕されます。エリノアだけが動機とチャンスはあったという前提で進行される法廷において、ポアロだけが彼女の無実を確信していました。絞首刑が執行されるまでに犯人を明らかにするというカウントダウンがはじまります。
こちらは、ポアロ作品のなかで、珍しく舞台の中心が法廷になっている点が大きな特徴です。
「アガサ・クリスティー おすすめ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする アガサ・クリスティーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのアガサ・クリスティーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
アガサ・クリスティー作品にハマる理由はさまざま
今回は、名著の多いアガサ・クリスティー作品のなかから、司書教諭・yokoさんと編集部で厳選したおすすめをご紹介しました。
どれを読めばいいかまだ迷うという人は、ドラマや映画になった作品も多いので、映像を見てから本を読んでみるのもいいでしょう。
多くの推理小説家たちも好きなミステリーにアガサ・クリスティー作品を挙げています。好きな作家の原点となっているかもしれないアガサ・クリスティー作品をぜひ楽しんでください。
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