防水デジタルカメラの魅力
防水デジタルカメラが一台あることで得られるメリットは、水辺の写真を撮ることだけではありません。ダイビングやシュノーケリングでは、光が入りにくい水中でも、自動で調節し、美しい風景と水中の生物たちとの関わりを綺麗な写真で撮ることができます。また、結露や雨などが発生しやすいキャンプや登山でも、カメラの故障を気にせず写真が撮れます。
機能によっては、水中や登山中、動きながらでも手ブレ補正により、劇的なその瞬間を写真に収めることができます。防水だけでなく、防塵、衝撃にも強く設計されています。本記事では、フォトグラファーの瀬川さんへの取材のもと、水中でも、水のないアウトドアシーンでも美しい瞬間を残すために、防水デジタルカメラの選び方とおすすめ商品をご紹介いたします。
防水デジタルカメラの選び方
フォトグラファーの瀬川陣市さんにお話をうかがい、防水デジタルカメラを選ぶ際のポイントをご紹介いたします。防水性能以外にも、衝撃や通信機能などいろいろいな着眼点がありますので、ぜひ参考にしてください。
カメラの防水性・防塵性・耐衝撃性を確認しよう
防水デジタルカメラを選ぶときにチェックしてほしい防水性・防塵性・耐衝撃性について解説します。
性能は最大水深を確認

※防水デジタルカメラの水深の目安
やはり一番重要になるのが「防水性能」です。防水デジタルカメラの防水機能は基本的に「最大水深」で設定されています。その水深を超えると水圧の関係で水が機種内に侵入し、故障の原因になるため、注意が必要です。
海辺、プール、シュノーケリングなどを楽しむのであるなら10m程度のものを。ダイビング体験なら12m程度のものを。ライセンスを取得したダイビングであるなら18m以上、ライセンスのレベルやポイントによっては30m以上のものなど、これから楽しむ水辺の水深に合わせて商品を選びましょう。
防塵保護等級をチェック
防水デジタルカメラを選ぶときは、砂やほこりによる故障のリスクを抑えるため、防塵性にも着目して選びましょう。日本では「IP保護等級」として防水・防塵における保護規格が定められています。防塵等級で0~6、防水等級で0~8の数値を組み合わせて「IP〇△」と表されます。
アウトドアシーンでは粉じんが内部に侵入しない「IP6」を。水面下での使用を考えているなら、防塵性も含めて「IP68」相当のカメラを選んでください。
耐衝撃性能をチェック
フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所代表
防水デジタルカメラは、アウトドアで使用されることを想定して設計されています。アウトドアで使用したい人には、防水性に加え、カメラ本体の耐衝撃性が高い機種がおすすめです。とくにタフな環境でカメラを使うことが多いユーザーは、耐衝撃性が高いものを選ぶとよいでしょう。
耐衝撃性能の目安は、各社で実施された落下試験の結果にもとづいて示されています。そのため、たとえば「耐衝撃2.0m」と表記されていれば、「2メートルの高さからの落下試験をクリアしている」ということを確認できます。
画素数とズームの性能も確認しよう
防水デジタルカメラで撮影した写真をSNSへ投稿したり、印刷したりして楽しむなら画素数やズームの性能についてもチェックしましょう。
画素数は写真の用途に合わせて決めよう
デジタルカメラの画素数とは、写真の画質を構成する画素の数のこと。画素数が多いほど精密な写真が撮れますが、SNSへの投稿や印刷して楽しむくらいなら、画素数は強くこだわらなくても大丈夫です。
高画素のデータは容量も大きくなるため、パソコンなどに取り込むのも時間がかかるうえに価格も高くなります。カメラマンなど商業用のクオリティが必要でなければ1,200~1,600万画素でもじゅうぶんにきれいな写真を楽しめるので、予算と相談しながら選びましょう。
ズームの性能も確認

Photo by Unsplash
ズーム機能はとおくにいる被写体をきれいに撮影できるため、アウトドアシーンでは必須です。
水中・水上関わらず注目したいのがズーム機能です。基本的にデジタルカメラのズーム機能には光学ズームとデジタルズームの2種類があります。光学ズームとはカメラのレンズを動かすことでピントを合わせ、拡大処理をするズーム機能。逆にデジタルズームはカメラのレンズはそのままに、部分的に拡大していくズーム機能です。
ほとんどのデジタルカメラは、上記の両方のズーム機能を駆使して画質のいい写真を撮りますが、より重要視すべきなのは光学ズーム機能です。水中でもそれ以外でも、魚や鳥などの生き物、もしくは景色は、ベストな距離にいるとは限りません。そのため、遠くの被写体を綺麗にズームしてくれる光学ズーム機能も注目し、スペックの高いものを選びましょう。
F値を見て光量のバランスを確認
F値は、カメラのレンズの光量を調節する数値のことを言います。絞り値とも表現されますが、光を取り入れるレンズの穴を広げる(絞りを小さくする)か、狭める(絞りを大きくする)かを決める数値です。つまり、数値が小さいと光を取り入れ明るい写真が撮れ、数値が大きいと光を取り込まず、暗い写真になるということです。目安として、人間の肉眼と同程度の明るさであるF2.8を基準にするとよいでしょう。一般的にそれより低い数値のレンズは明るいレンズとされています。
水中では太陽からの光が遮られるため、この数値が小さいほど綺麗な写真が撮れます。もちろん、シュノーケリングとダイビングで絞りの適正値は変わりますが、このF値を覚えておくことで、美しい写真が撮れるカメラを選べますのでしっかり確認しましょう。
焦点距離で画角や写る範囲が変わる
焦点距離とはレンズから撮影素子までの距離のことで、28mmや100mmといった数値で表示されています。焦点距離が短いと画角が広くなり、長いと画角は狭くなります。焦点距離が4.9mm~22.8mmのレンズは、焦点距離の両端の数値が書かれています。
雄大な景色を撮影したいなら、焦点距離が100mm以上のものを。人とのふれあいや接写などが多いなら10~24mm、または50mm前後など撮影したいシーンによって適した焦点距離があります。よりよい撮影ができるよう、こうした点にも着目して選んでみてください。
手ブレ補正機能はしっかり確認
アウトドアや海水浴、シュノーケリング、ダイビングなどで、子どもたちや、魚、鳥などの生きものを写真に収める際、重要になるのが手ブレ補正機能です。この手ブレ補正機能は、電子式と光学式の2種類があります。それぞれの特徴について解説します。
光学式|振動センサーで手ブレを補正
光学式(シフト方式)はレンズやカメラに内蔵された振動センサーが反応して、光軸をずらすことで機械的にブレを補正する仕組みです。画像がデータ化される前に補正されるため、高画質な撮影が可能です。
うす暗い室内や夕方の撮影も手ブレを抑えて撮影できるため、時間帯を問わずきれいに撮りたい方は光学式を選びましょう。ただし、光学式は高性能なぶん、レンズも大きくなりがちです。コンパクトに抑えたい方は光学式と同じような処理をおこなう、イメージセンサーシフト方式もあります。お好みで選んでみてください。
電子式|画像処理でブレを補正
リコーイメージング『RICOH WG-60』
電子式は画像を一度メモリに取り込み、画素をずらして手ブレが目立たないように補正する仕組みです。画像切りだし方式とも呼ばれており、撮影した画像データに補正処理を施すため、高画質は期待できません。おもにビデオカメラに採用されている手振れ補正方式で、静止画には採用されていません。
動画モードがあるカメラを選ぶなら、電子式手振れ補正機能がついているカメラを検討するといいでしょう。
子どもでも使えるシンプルなものを選ぶ
防水デジタルカメラは防水性だけではなく、防塵性や耐衝撃性などを備えているため、子ども用のカメラとしてもぴったりです。しかし、デジタルカメラは多機能なぶん、ボタン操作などが複雑な商品があります。ボタン数が少なく、機能がシンプルなカメラなら、子どもでも扱いやすいでしょう。
機能がシンプルなカメラは水中で操作がしやすいため、ダイビングなどで使用を検討している方は、機能面やボタン位置などもチェックしましょう。
メインカメラとして使うなら機能性にも着目!

Photo by Unsplash
アウトドアシーン以外に、毎日使えるカメラを選ぶならプラスαの機能にも着目してみましょう。
フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所代表
防水デジタルカメラはアウトドアで使用されることが多く、外でカメラを使うときに便利な機能が搭載されている機種も少なくありません。
アウトドアで多彩にカメラを使用をしたいという方は、カメラの多機能性にも注目しましょう。GPS機能やWi-Fi通信のほか、リモートコントロール機能があれば、離れた場所からシャッターチャンスをねらうことも可能です。アウトドア向けの機能が多いカメラは、そういった楽しさも増えます。
防水デジタルカメラをふだん使いするなら、メインカメラとして活躍する機能を備えているかチェックしましょう。自撮りを楽しむなら、液晶が180度回転するチルト式液晶が便利です。ほかにも4K動画撮影に対応したカメラなら、高画質な動画撮影も楽しめます。
また、カメラによってはトリミングや静止画への切り出しなどかんたんな動画編集が可能なものや、トリミングや明度調整など静止画編集が可能なものもあるため、目的に応じた機能を備えたカメラを探してみてください。
防水ケース・ハウジングケースも検討してみよう
フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所代表
防水デジタルカメラは製品によって使用可能な最大水深が異なります。なので選ぶ際は「使用できる水深」を基準にするのがひとつの方法です。
ダイビングなど水中で使用する場合は、カメラの使用可能な水深を事前に確認することが必要です。深いところでカメラを使う予定の方はとくに注意しましょう。また、使用可能な水深を超えた場所では、カメラをカバーする「ハウジングケース」に入れて使用できるものもあります。
海や川へ行く機会が少ない方は、手持ちのカメラを防水仕様に変えられる防水ケースを使ってみましょう。デジタルカメラ以外にスマホなども水中で使えるので便利です。
防水ケースには袋状のソフトタイプがあり、使い捨てカメラなどを入れて使うことが可能です。ただし、あまり深い場所へ潜る際には向いていません。カメラにフィットする専用ケースもあるので、持っているカメラが防水仕様でない場合は適用するケースがあるか確認してみてください。
防水デジタルカメラおすすめ10選 防水深度・防塵性能・耐衝撃性・画素数・ズーム・F値・焦点距離・手ぶれ補正の有無もチェック!
上で紹介した防水デジタルカメラの選び方のポイントをふまえて、フォトグラファーの瀬川さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。機能が豊富なもの、水中深くでも使えるものなど色々な商品がありますが、初心者でもわかりやすいよう丁寧に解説してもらいました。

OLYMPUS『Tough TG-5』




















出典:Amazon
防水深度 | 15m |
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防塵性能 | JIS / IEC保護等級6級相当 |
耐衝撃性 | 2.1m |
画素数/ズーム | 1200万画素/光学ズーム4倍 |
F値 | F2.0(W)〜 F4.9(T) |
焦点距離 | 4.5mm ~ 18.0mm(35mmカメラ換算25mm ~ 100mm) |
手ぶれ補正 | あり |

Nikon『COOLPIX W300』






























出典:Amazon
防水深度 | 30m |
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防塵性能 | JIS / IEC保護等級6相当 |
耐衝撃性 | MIL-STD 810F Method 516.5-Shockに準拠したNikon社試験条件をクリアー |
画素数/ズーム | 1605万画素/光学ズーム5倍、デジタルズーム最大4倍 |
F値 | F2.8-4.9 |
焦点距離 | 4.3mm 〜 21.5mm(35mmカメラ換算24mm 〜 120mm相当) |
手ぶれ補正 | あり |

リコーイメージング『RICOH WG-60』














出典:Amazon
防水深度 | 14m |
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防塵性能 | JIS保護等級6 |
耐衝撃性 | 1.6m |
画素数/ズーム | 約1600万画素/光学ズーム5倍、デジタルズーム約7.2倍 |
F値 | F3.5(W)~ F5.5(T) |
焦点距離 | 5mm ~ 25mm(35mmカメラ換算約28mm 〜 140mm) |
手ぶれ補正 | あり |

Panasonic『LUMIX DC-FT7』














出典:Amazon
防水深度 | 31m |
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防塵性能 | JIS CO920 / IEC 60529 保護等級6相当 |
耐衝撃性 | 2m |
画素数/ズーム | 2040万画素/光学4.6倍、デジタルズーム最大4倍 |
F値 | F3.3mm 〜 10mm(W)F5.9mm 〜 18mm(T) |
焦点距離 | 4.9mm 〜 22.8mm(35mmカメラ換算28mm〜128mm) |
手ぶれ補正 | あり |

FUJIFILM『FinePix XP140』




出典:楽天市場
防水深度 | 25m |
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防塵性能 | JIS保護等級6 |
耐衝撃性 | 1.8m |
画素数/ズーム | 1,635万画素/光学ズーム5倍、デジタルズーム約2倍 |
F値 | F3.9/F6.2(W)、F4.9/F8.0(T) |
焦点距離 | 5.0mm ~ 25.0mm(35mmカメラ換算28mm ~ 140mm相当) |
手ぶれ補正 | あり |
OLYMPUS『Tough TG-6』














出典:Amazon
防水深度 | 15m |
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防塵性能 | JIS/IEC保護等級6級 |
耐衝撃性 | 2.1m |
画素数/ズーム | 1200万画素/光学ズーム4倍 |
F値 | F2.0(W) ~ F4.9(T) |
焦点距離 | 25mm ~ 100mm(35mmフィルム換算) |
手ぶれ補正 | あり |
Nikon『COOLPIX W150』
































出典:Amazon
防水深度 | 10m |
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防塵性能 | JIS/IEC保護等級6級相当 |
耐衝撃性 | 1.8m |
画素数/ズーム | 1317万画素/光学ズーム3倍、デジタルズーム4倍 |
F値 | F3.3~5.9 |
焦点距離 | 30~90mm相当(35mmフィルム換算) |
手ぶれ補正 | あり |
RICOH『WG-6』














出典:Amazon
防水深度 | 20m |
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防塵性能 | JIS保護等級6級相当 |
耐衝撃性 | 2.1m |
画素数/ズーム | 約2000万画素/光学ズーム5倍、デジタルズーム約8.1倍 |
F値 | F3.5(W)~F5.5(T) |
焦点距離 | 約28~140mm(35mmフィルム換算) |
手ぶれ補正 | あり |
RICOH『WG-70』
























出典:Amazon
防水深度 | 14m |
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防塵性能 | JIS保護等級6級相当 |
耐衝撃性 | 1.6m |
画素数/ズーム | 約1600万画素/光学ズーム5倍、デジタルズーム約7.2倍 |
F値 | F3.5(W)~F5.5(T) |
焦点距離 | 約28~140mm(35mmフィルム換算) |
手ぶれ補正 | あり |
Kenko『DSC200WP』






出典:Amazon
防水深度 | 12m |
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防塵性能 | JIS / IEC保護等級5級相当 |
耐衝撃性 | 1m |
画素数/ズーム | 2016万画素/光学ズーム4倍、デジタルズーム8倍 |
F値 | F3.2/5.8 |
焦点距離 | 26mm〜104mm(35mmフィルム換算) |
手ぶれ補正 | あり |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
防水デジタルカメラに関するそのほかの商品 【関連記事】
防水デジタルカメラに何を求めるのか明確にしよう フォトグラファーからのアドバイス
フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所代表
防水デジタルカメラは、水中にカメラを入れても撮影が可能な性能をもっています。防水機能のほかに、どのような性能を求めるのかを明確にすれば、自分にぴったりのカメラが自ずと決まってくるでしょう。
耐衝撃性や防水性などの機能面か、あるいは高画質さを求めるのか、カメラに何を求めるかによって選択肢は絞られます。防水カメラの選択肢も増えてきているので、選択軸を決めてからそのスペックを比較して、自分に合う一台を選ぶのがいいでしょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:ピカルディ修士、掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/16 コンテンツ追加・修正のため記事を更新しました。(協力:マグスター 掲載:マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
米国ウィスコンシン州立大学などで写真を学び、帰国後に独立。 1995年からプロカメラマンとして人物、ウェディング、料理、建築、海外取材など広い分野の撮影をする傍ら、写真講座やメディア出演、執筆などを通じて撮影テクニックやフォトライフの楽しみ方を伝えている。 さらに動画撮影、ドローン撮影にも着手。画像や動画を未来につなげる活動を提案している。2018年には、長崎県五島市アンバサダーに就任。 写真と映像で行う地域貢献や海外に向けた日本文化の映像発信にも積極的に取り組んでいる。