なぜ、電気代はこんなにも値上がりが続いているのか?
毎月明細を見るたびに、少しずつ確実に値上がりしている電気代。そもそも、電気代は契約容量で決まる「基本料金」と、使用電力量に応じて計算する「電力量料金」、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の三つを合計した金額で成り立っています。
なぜ、こんなにも電気代の高騰が続いているのでしょうか。
その理由は二つあります。ひとつめは「燃料費調整額の値上げ」です。発電にかかる燃料コストがさまざまな理由で上昇し、燃料費調整額の値上げにつながっています。燃料(石炭、液化天然ガス、原油)のほとんどを輸入に頼っている日本では、燃料価格が高騰すると燃料費調整額も上昇し、必然的に電気代も高くなります。
また、2012年に導入された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力の買取りに要した費用を、電気を使用している顧客に、電気の使用量に応じて負担してもらう「再生可能エネルギー発電促進賦課金」も年々値上げが続いており、この2点が電気代の値上げを大きく押し上げている要因となっているのです。
平均して月1万円の電気代を支払っている家庭の場合、2021年から2022年の1年間において、1ヶ月あたりで約2,400円も電気代が値上がりしています。(※東京電力圏内、電気使用量360kWhと仮定して計算)
さらに、大手電力会社10社中、関西/中部/九州を除く7社の電力会社は現在、経済産業省に値上げ申請を提出しており、早ければ2023年4月から順次値上げが開始されます。平均して34.78%も値上げされることとなり、家庭の光熱費に与える影響は避けられそうにありません。
1ヶ月の光熱費、電気代の平均はいくら?
目まぐるしく動く世界情勢や、新電力の値上げなどエネルギー関連のニュースが多い昨今。「今月も値上がりしているけれど、これって本当に合っているの?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
一般的な家庭の1ヶ月の光熱費のうち、電気代の平均額はどのくらいなのでしょうか?
▼1人暮らしの1ヶ月あたりの電気代は平均5,482円
2021年に総務省統計局が発表した「家計調査 家計収支編」によると、1人暮らしの平均光熱費は、1ヶ月あたり総額11,383円、そのうち電気代は5,482円と光熱費の約半分を占めています。
▼4人暮らしの電気代は、1ヶ月あたり平均11,376円
また、4人暮らしの家庭でみてみると、1ヶ月あたりの電気代の平均価格は11,376円となっており、こちらもひとつきあたりの光熱費の総額23,477円のおよそ半分を占めていることとなります。
2021年から比較して、現在では電気代が約2~4割値上げされていることから、実際の家庭の電気代の請求額はこの平均値を大きく上回るコストインパクトを与えていることでしょう。
光熱費の中で、エアコンにかかる電気代はいくら?
電力会社から請求される電気代の中で、エアコンにかかっている料金はどのくらいなのでしょうか。
資源エネルギー庁によると、冬の夕方19時台の電気代内訳の推計では、冬の暖房にエアコンを使う家庭の場合、電力使用量のうちエアコンが30%、照明が13%、冷蔵庫11%の順番で占められています。
また、夏の場合も北海道を除く全国で、電力使用量の多い順にエアコン 58%、冷蔵庫 17%、照明 6%と続いています。
つまり、電気代のほとんどをエアコンが占めており、エアコンの節約が電気代を大きく左右することが分かります。
▼エアコンの電気代の算出方法
エアコンの電気代は、下記の計算方式で算出することができます。
1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)×稼働時間
1時間あたりの消費電力は、エアコン販売メーカーの公式HPで確認することができます。例えば、6畳のお部屋でエアコンを稼働した場合、1時間あたりの電気代は、
冷房:2.84円〜24.84円
暖房:2.84円〜39.96円
とエアコンの性能や使用環境によって大きく差が開いています。
▼エアコンの電気代は室温と設定温度の差で決まる
エアコンの電気代を大きく左右する性能と使用環境。性能はメーカーの公式HPで確認することができます。もうひとつ、エアコンの電気代に関わる使用環境という点では、実は部屋の室温と設定温度の「差」が大きな影響を及ぼしているのです。
エアコンの温度を1℃変えるだけで、電気代は10~13%変動するといわれています。例えば、外気温と室温の差が5度以上ある場合、エアコンは設定温度に近づけようとフルパワーで稼働を開始します。その際、この立ち上げにかかるエネルギーが大きければ大きいほど、電気代が上昇する仕組みになっています。
例えば、冷房を24℃設定にしていた家庭が設定温度を27℃に上げることで、およそ30%程度の節電ができると言われています。
こまめに消すor付けっぱなし。結局どちらがお得なのか
エアコンの電気代節約の中で、必ず話題に上がるのが、「エアコンの付けっぱなし」と「こまめに消す」どちらがお得なのかという問題です。
エアコンメーカーのダイキンが検証した結果によると、各部屋のエアコンを9:00~23:00まで、『付けっぱなし』と「30分ごとに入り切り」で運転し、それぞれの消費電力を計測・比較した際、日中9:00~18:00の時間帯は、30分間であればエアコンを切るより、『付けっぱなし』にするほうが消費電力量は少なかったという結果が出ています。
一方、外出する時刻や時間の長さを考慮せずに『付けっぱなし』にしていると、「こまめに入り切り」するより消費電力量は多くなったという検証結果も出ていることから、気温や時間帯によって『付けっぱなし』と「こまめに入り切り」を使い分けるのが良いと言うことが分かりました。
エアコンの電気代を節約する5つの方法
「高騰する電気代を、なんとか節約したい!」そんなあなたに、電気代を節約する3つの方法をご紹介します。
1. エアコンをこまめに清掃する
はじめに、エアコンのフィルター、ドレンホースなどといったパーツをこまめに清掃し、エアコン効率を上げるという方法です。1年を通して使用頻度の高いエアコンは、フィルターやホースに汚れが付着し、エアコンの効率を著しく低下させてしまいます。
エアコンのフィルターは2週間に1度、小まめに掃除することで、内部へのホコリの侵入を防ぐことができます。もしもエアコンを購入してから年数が経つ中で、掃除をしていなかったという人は、清掃を行うだけでもエアコンの電気代を節約することができるでしょう。
2. 寒い冬、暖房費を節約するには?
寒い冬。一刻も早く温まりたい。そんな中でもエアコンの暖房費を節約するにはどのような方法をとれば良いのでしょうか。
エアコンの電気代は、室温と外気温の温度差が大きな影響を及ぼしています。設定温度を1度下げてみる、たったこれだけでも約10%の節電につながります。また、カーテンやドアを活用するだけでも、部屋の室温をプラス1~2度上昇させることができるため、ぜひ併用してみましょう。
3. 熱い夏、冷房費を節約するには?
では反対に夏の暑い時期の冷房で、電気代を節約する方法はあるのでしょうか。冷房の場合も暖房と同様、外気温との温度差が鍵を握っています。冷房の場合、設定温度を1度上げることで約13%の節電ができます。
また、エアコンと同時に扇風機やサーキュレーターを併用することも、冷房効率を上げる手助けをしてくれます。無理なく節電をし、快適に過ごせるよう心がけましょう。
4. 電気料金を見直してみる
燃料費高騰などから値上げされつつある電気料金。節電しても一向に効果がない場合には、もしかしたら電気の料金単価そのものが高いプランを契約していたり、料金設定がライフスタイルに合っていないことも考えられます。
電力会社の変更や、料金プランの変更は随時無料で行うことができます。現状の電気料金を見直し、ご家族のライフスタイルに合った料金プランを選択し、電気料金の節約を行ってみるのも良いでしょう。
5. 節電モデルへの買い替えも視野に
一般的なエアコンの設計上の標準使用期間は製造から約10年で設定されています。また、エアコンの省エネ性能は年を追うごとに格段に向上してきています。
もしも今お使いのエアコンが10年以上前のモデルの場合、新しいモデルに買い替えることで、電気代を下げることにつながります。最近のモデルでは、フィルターや内部を自動で清潔に保つ機能や、省エネモードが搭載されている機種も多く、節電に大きく貢献してくれることでしょう。
まとめ:賢く節電して電気代を節約しよう!
ますます高騰することが予測される電気代。私たちの暮らしを直撃する大切なインフラだからこそ、毎月支払う光熱費は節約したいところ。光熱費の中でも大きなウエイトを占めるエアコンの電気代。賢く節電して、暮らしを快適にしていきましょう。
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